読んだ本の感想をつづったブログです。


日本史「悪役」たちの言い分―視点を変えればワルも善玉 (PHP文庫)日本史「悪役」たちの言い分―視点を変えればワルも善玉 (PHP文庫)

岳 真也
PHP研究所 2003-12

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歴史小説などで悪役とされる人物たちに着目し、悪役とされる元となった通説と、本人たちの言い分となりそうな通説であまり語られないエピソードを解説している作品。
扱われているのは下記の15人である。
蘇我入鹿/弓削道鏡/北条政子/高師直/日野富子/斎藤道三/松永久秀/明智光秀/小早川秀秋/淀殿/由井小雪/吉良上野介/田沼意次/芹沢鴨/井伊直弼

松永久秀の合理的な思考や高い教養および技術、吉良上野介の領地での善政、田沼意次の進んだ経済政策など、それぞれすぐれた業績を挙げたり、能力を発揮しているエピソードが書かれている。

歴史はその時々勝者や権力者によって書かれるものであり、実際以上に貶められているケースも多いようで、幾分か歴史上の人物の見方について考えさせられた。
さらっと読むことができるのもいい。



[著者の他の作品]


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警視庁公安部・青山望 機密漏洩 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 機密漏洩 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2013-08-06

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政界汚染―警視庁公安部・青山望 (文春文庫)
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警察小説である、青山望シリーズの第4作。

平戸に漂着した不審船で5人の射殺された中国人の死体が発見され、六本木や琵琶湖でも殺人事件が発生する。
それに対して麻生署の警備課長となっている青山は一連の事件からチャイニーズマフィアやヤクザの関与、そして前作の『報復連鎖』で未解決となったままだった部分とのつながりも疑い、捜査していくうちにまたも大きな事件であることが判明していく。

警視庁に加えて長崎県警に滋賀県警、さらには琵琶湖での被害者が宮古島在住だったことから沖縄県警も動くこととなり、今回も青山・藤中・大和田・龍のカルテットが活躍していくこととなる。

環境技術に対する中国の執着、金に目がくらんだりハニートラップに引っかかって中国に機密を漏洩した政治家や企業の従業員、ヤクザと癒着した警察官、そしてこれまでの作品に登場した岡広組系暴力団や、旧龍華会、東京狂騒会などの組織も登場し、日本をとりまく犯罪者の脅威が恐ろしいことを実感する。

本作も十分読み応えがあり、最近シリーズ最新作である『濁流資金』も出たのでこれも読んでみようと思う。



警視庁公安部・青山望 濁流資金 (文春文庫)警視庁公安部・青山望 濁流資金 (文春文庫)

濱 嘉之
文藝春秋 2014-09-02

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資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
資本主義の終焉と歴史の危機 (集英社新書)
水野 和夫
集英社 2014-03-14

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人々はなぜグローバル経済の本質を見誤るのか (日経ビジネス人文庫)
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資本主義は格差があること、資源が豊富にあることを前提に動いてきたが、新興国の台頭などでフロンティアがなくなったことで行きづまり、金融やITで延命を図ってきたのが限界にきていることを語っている作品。

利潤が極端に少なくなるという意味で似たような事例は中世におけるイタリアのヴェネチアでも発生していた話から始まり、この時はその後に大航海時代や産業革命が起こったのでその後も資本主義は続いたと語っているのに驚く。

そして先進国の中では日本が最初に資本主義の限界に突き当たったとしていて、だからこそ次の段階に進むには有利な位置にあるとしている。
そしてアベノミクスは無駄どころか有害と批判している。

それらを踏まえて資本主義後の世界システムが今後必要となるが、これまでも多くの哲学者や思想家が長年やってきたことなのですぐにはできないと、エリートに任せるかのような論調につながっているのは少々がっかりする。

それまでには資本主義のクラッシュを避け、低成長かゼロ成長、悪くてもマイナス幅を少なくすることで時間稼ぎをすべきと当面の処置を説いている。

読んでいて、制限のかかっていない資本主義は崩壊に向かうという考え方は合っていると思う。
しかし単にダメなので次を待つという論調を読んでいて楽しくないのは、私が成長を求める資本主義の病に冒されているからなのだろうか?

歴史上従来の体制が行きづまった後にどう解決されたかの事例、低成長だがそれなりに充実していた可能性がある時代(例えば江戸時代)もあるわけで、そのあたりも踏まえてもう少し希望を持たせるような論調にできないのかなと感じた。
未来予想はこれまで外れることもままあったので、時間が経って本書の危惧が杞憂に終わればいいと思う。




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【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)
【文庫】 本能寺の変 431年目の真実 (文芸社文庫)
明智 憲三郎
文芸社 2013-12-03

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明智光秀の子孫に当たるという人物による、本能寺の変を「歴史捜査」と称する手法で解明を試みている作品。

本能寺の変では光秀の怨恨説や野望説、ノイローゼ説、朝廷や足利義昭などによる黒幕説などが広く知られているが、勝者である秀吉が書かせた『惟任退治記』やそれを元にした軍記ものである『甫庵太閤記』で印象付けられている部分が大きいという。
そして怨恨説などの個人的な心理状況に基づく説に対しては「三面記事史観」とばっさり切り捨てている。

さらに、例えば司馬遼太郎の『国盗り物語』などでも描かれている、光秀が美濃の明智城主の息子で濃姫(斎藤道三の娘で信長の正室)の従兄弟という説も疑わしいという。

こうした俗説に対し、フロイスら宣教師たちの報告書、公家の吉田兼見や山科言経、家康家臣の松平家忠、奈良の寺院などがつけていた日記など信憑性が高いと思われる史料の記述から、事件の捜査を行うような感じで推論を組み立てている。

それらによると光秀は元々細川藤孝の家臣だった可能性があったり、計画的に物事を進める人物で発作的に謀反を起こすようなタイプではないなど、一般的にイメージされる人物像と異なっていることが分かる。

そして武田攻め後に信長一行が家康領を訪れた「富士山見物」や、家康と穴山梅雪の安土や堺の訪問した際の不自然な点、家康の伊賀越えとその後の出兵、秀吉のあまりに早過ぎる中国大返しなど、ミステリーを解くような感じで自論を展開していく。

ネタバレになるので具体的に書けないのがつらいが、よく売れていることが納得できる内容の作品に仕上がっていると思う。
歴史の謎は興味深いものだと再認識した。





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「君主論」55の教え (知的生きかた文庫)
「君主論」55の教え (知的生きかた文庫)
ニッコロ・マキアヴェリ (著), 渡部 昇一 (翻訳)
三笠書房 2011-09-21

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自分の品格 (知的生きかた文庫)
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君主論 (まんがで読破)
マキャベリ『君主論』 2011年10月 (100分 de 名著)
超訳 マキャヴェリの言葉 (PHP新書)


渡部昇一による、マキャベリの『君主論』において、当時のイタリアの政情で現代人から見て分かりにくいところ、あまり関心を持たれなさそうなところを切り落とし、分かりやすく抄訳している作品。

君主国と共和国の違い、冷酷さの使いどころ、気前の良さは権力の座についてからは有害など、他の『君主論』関連作品に書かれているものと同様の内容だが、本書はかなり分かりやすい方の作品に属すると思う。

特に、成功した君主と失敗した君主の違いについての部分が比較的分かりやすいように感じる。

イタリア半島はヴェネチア、ローマ教皇領、ミラノ公国、ナポリ王国といった小国に分裂しており、軍事的にスイスの傭兵に依存していたり、フランスやスペインが内乱に乗じて事あるごとに侵略するなど、かなり混乱した政情であることが分かる。

軍事的にやや劣るということもあり、こうした政治的な駆け引きが発達したのではないかと思う。
フランスから見るとイタリアは戦争を知らず、イタリアから見るとフランスは政治を知らないという趣旨のことが書いてあった。

平清盛(敵対勢力の弾圧が不徹底で源氏の逆襲を許す)や足利尊氏(気前が良すぎて大名たちに権力と財力を与えすぎたり、脇が甘くて家来の反乱が相次いで南北朝の混乱を長引かせてしまった)など、日本で『君主論』でダメとしているやり方で失敗した日本史上の偉人たちを思い起こしながら読んでいった。




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関連タグ : マキャベリ, 渡部昇一,

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