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読んだ本の感想をつづったブログです。





陸の帝国・モンゴル、海の帝国・イギリス、空の帝国・アメリカと覇権国が交代してきた歴史を、気候や地勢、交易などと関連付けて解説している作品。

バルト海や大西洋の交易、ヴァイキングがバルト海からロシアの大河を経由してイスラム圏と交易していたなど、歴史学者の玉木俊明氏の作品と似た内容で、それを簡単にかつ定説寄りに書かれているという印象だが、本書では気温や湿度、地勢など地理的な要素をより重視して書かれているのが特徴だと感じた。

地中海は乾燥した海でバルト海からの小麦に救われた話、古代文明では黄河文明だけが海に開かれていない内陸型の文明と評するなど、梅棹忠夫著『文明の生態史観』などを連想したりもした。

大きなスケールからの話を区切り良く・分かりやすく解説されていて、概説書としてなかなか良かったと思う。






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『聊斎志異』や『閲微草堂筆記』、『捜神記』など、中国の怪奇・幻想小説から比較的怖そうな話を収録しているアンソロジー。
読んだことがある『聊斎志異』からの話も多い。

表紙や挿絵が恐怖をあおるものになっていて、恐怖小説寄りにしたいという意図は伝わる。
ただ、中国の幽鬼や妖怪、ローカルな神などは変に人間臭かったり、無駄に精力的だったりするので、日本の怪談話とは違うことに留意しておいた方がいいと思う。

私は日本の怪談話よりも中国の幻想小説の方が好きなので、十分に楽しむことができた。






捜神記 (平凡社ライブラリー)
干 宝 (著), 竹田 晃 (翻訳)
平凡社 (2000-01-24)


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1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365 人物編
デイヴィッド・S・キダー (著), ノア・D・オッペンハイム (著),
パリジェン聖絵 (翻訳)

文響社 2019/4/12



『1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365』シリーズの第2作で、人物編。
365人の簡単な伝記みたいな構成になっていて、指導者、哲学者・思想家、革新者、悪人、文筆家・芸術家、反逆者・改革者、伝道者・預言者の7つのカテゴリーに分けて輪番で紹介されている。

「アメリカ人がアメリカ人向けに書いた」本という性質上、アメリカ人が多くなるのは当然で、特にモルモン教やクエーカー教のようなアメリカで生まれたキリスト教系の新興宗教の創始者や、黒人や女性の地位向上に尽力した活動家たち、マフィアや暗殺者、爆弾犯、詐欺師のような悪人などが印象に残った。

中でも作品や研究実績を知らなければ理解しづらい哲学者や作家、科学者などと違い、悪人はやったことがある意味明快なので、どうしても読むところが多くなった。
言葉は知っていたが詳細は知らなかった「バウンティ号の反乱」や「切り裂きジャック」などの話も扱われていて、悪人列伝みたいな本の方が売れるような気もする。

選ばれた人物では思った以上にイスラム圏の人物が多かったり、中国や日本の人物が少ないのが予想通りだったりした。
選ばれていてもおかしくないのに選ばれていない人物ではエジソン(同時代のグラハム・ベルやニコラ・テスラは入っている)やキング牧師、ヒトラー(ムッソリーニは入っている)、ポル・ポトなどが挙げられ、その編集意図がどうなのかも興味深い。

扱われている人数が多くて一読しただけで覚えられるものではないが、どのような人がアメリカ人から見ると有名なのかの一例として知ることができる。






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群馬県を恐ろしい秘境と設定したギャグ漫画の第1巻。

主人公の高校生・神月は親の転勤に伴ってチバからグンマに引っ越すこととなり、小学校の頃に同級生でグンマに引っ越していた轟と再会することとなる。
ここで神月は排他的でよそ者、特にトチギの人を敵視するグンマの人々に大変な目に遭わされて続けるという話となっている。

上毛かるた、焼きまんじゅう、ひも川うどん、だるま弁当、鳥めしなど、他県の人には分からないであろう名産などが多く登場し、「秘密のケンミンSHOW」みたいでちょっと興味深かったりもする。

絵のタッチなどはあまり好きなタイプではないが、思っていた以上に楽しむことができた。





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勇敢な日本経済論 (講談社現代新書)
高橋 洋一 ぐっちーさん
講談社 2017/4/19



9月に逝去されたブロガーで実業家の「ぐっちーさん」こと山口正洋氏が2年前、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏と日本経済などについて語り合っている対談本。

理系で財務省(旧大蔵省)の非効率さや不合理さを改善しようと奮闘していたが色々あって追い出されたり窃盗の容疑を受けたりした経験のある高橋氏と、海外の投資銀行で活躍していたがサブプライム証券の販売を拒否してクビになったことがあるぐっちーさんの対談ということで、それぞれボトムを経験した者の凄みを感じられる話が多い。

2人はボトムを経験した意味では4回も破産したトランプ大統領や、第一次政権を辞職した後に返り咲くことは無理だと思われていた安倍首相もそうした強みを持っていると語り、ぐっちーさんはトランプ氏が資金難の頃に奔走した経験を、高橋氏は安倍氏が暇だった時期にアベノミクスにつながる話をしていたエピソードを語っていて、かなりの刺激を受ける。

ぐっちーさんが会った頃のトランプ氏は上品な英語を話していたそうで、現在のような少し品がなくて分かりやすい語り方は低所得層に受けるためにやっているキャラのようで、未だにトランプ氏を単に異常な人扱いするマスコミが書けない話をしている。

そして日本政府を企業のようにバランスシートで見れば財政は全く問題ないこと、増税は財務官僚が天下り先の費用を徴収したいためという話、金融政策は雇用のためになされるべきとの主張、役所の規制緩和や改革への救いがたい抵抗、金融やマスコミのような規制に守られた業界の腐敗しきった対応など、テレビ番組などでは話すことを許可してもらえない話が多く刺激的である。

中でも、高橋氏が第一次政権辞職後の安倍氏に金融緩和を進めた際に「左派の政策ですけどいいんですか?」と聞き、安倍氏が「全く問題ない」と答えているエピソードなどが面白い。

また、規制緩和はどれが効果が出るかはやってみて時間が経たないと分からないので、特区を設けるなどしてとにかく数多くやってみることが効果的だが、効果が分からない上に既得権益層にはダメージがすぐに分かるために理解が得られない難しさを語っているところも印象に残る。

発行されてから2年以上経過しているが、あまり古びてもおらず興味深く読むことができた。
ぐっちーさんこと山口氏が若くして逝去されたのはつくづく残念である。





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