読んだ本の感想をつづったブログです。


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警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官
警視庁捜査二課・郷間彩香 特命指揮官
梶永 正史
宝島社 2014-01-10

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一千兆円の身代金
刑事小町 浅草機動捜査隊 (実業之日本社文庫)
自覚: 隠蔽捜査5.5
ゼロの迎撃 (「このミス」大賞シリーズ)
迷宮捜査


第12回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した2作品のうち1作で、捜査二課の女性警部補が、銀行強盗から始まる一連の大事件に挑む警察小説。

閉店間際の新世界銀行渋谷支店で銀行強盗が人質を取って立てこもり、犯人は捜査指揮官および交渉人に、捜査二課の警部補である彩香を指名してくる。
彩香は普段電卓を叩いて汚職事件の捜査を行う姿から「電卓女」と呼ばれていて、なぜ畑違いの担当に犯人から指名されるのか疑問に思いつつも任務に就く。

さらに、単なる銀行強盗なのに警視庁から吉田という警視長、SATから如月という狙撃手が現場に派遣されてきたり、刑事部長の野呂が警察庁の次長と官房長から会議室に呼び出されるなど、明らかに通常の事件ではないことが徐々に分かってくる。

彩香の直情的なキャラクターや、彩香の親代わりだった野呂との関係、吉田の飄々とした言動、彩香と反りは合わないが有能さを見せるSIIの後藤など、それぞれの人物が個性豊かに話を進めるのが面白い。

警察小説としては突っ込みどころが多いような気もするが、重い部分と軽い部分の書き分け方がうまく、思っていた以上に早く読み終わった。
著者の作品が他にも出たら、読んでみようと思う。



[本書とともに第12回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した作品]
一千兆円の身代金一千兆円の身代金

八木 圭一
宝島社 2014-01-10

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ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社+α新書)
ニーチェの警鐘 日本を蝕む「B層」の害毒 (講談社+α新書)
適菜 収
講談社 2012-04-20

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ゲーテの警告 日本を滅ぼす「B層」の正体 (講談社+α新書)
キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)
日本を救うC層の研究
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キリスト教における弱者こそが権力者だとする考え方、そしてそれに派生する平等や民主が至上という考え方の危険性についてニーチェが指摘していたことを語っている作品。

耳障りのいいフレーズに踊らされることの多い層をB層と呼ばれているらしく、このB層は上記の考え方を持った層でもあるという。
現代はこうしたB層を狙ったマーケティングや世論誘導が行われるだけでなくB層の人々が政治家になっていることが問題としている。

例として挙げられたのは原口一博、安住淳、松本龍といった本書発行時に政府高官だった民主党の議員たちが多く、中でも菅直人を反知性的な傾向があるとか独裁志向を持つとしているなどと手厳しい。

民主主義は尊いものと無条件に考えてしまいがちだが、衆愚やポピュリズムといった問題点もあり、ニーチェや著者はこうした傾向を危険視している。
おそらくこのあたりは古代のアテネあたりから人類が何度もやらかしてきた失敗であり、当分正解が出ない問題でもある。

これに対して著者が語っているのは、B層の人にはつける薬がないという身も蓋もないという結論で、現在のB層の人が跋扈する中でいかに正気を保つかという話になっている。

著者は選挙に行かないことを公言していて、その理由に選挙で世の中を変えられるという考え自体に批判的で、能力のあるしかるべき人がしかるべき役割を果たすべきという感じの論調からすると、エリートが支配する階級社会が望ましいと言っているように見える。

以前読んだ著者の『新編 はじめてのニーチェ』は面白かったが、本書は少々語り口に引っかかるところが多かったように思う。




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私が日本人になった理由 日本語に魅せられて (100年インタビュー)
私が日本人になった理由 日本語に魅せられて (100年インタビュー)
ドナルド・キーン
PHP研究所 2013-04-24

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ドナルド・キーン自伝 (中公文庫)
果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)
私の大事な場所 (中公文庫)
ドナルド・キーン わたしの日本語修行
日本人の戦争―作家の日記を読む (文春文庫)


日本文学史や明治天皇に関する著作などで知られるドナルド・キーンによる、東日本大震災以降に日本に帰化した事情や、現代につながる日本文化が形成された室町時代の様式、日本語の魅力などについて語ったインタビューをまとめている作品。

著者が日本と深く関わることになったきっかけや、戦時中に任務で読んだ日本兵の日記に感銘を受けたことなどのエピソードを語っている。

著者は足利義政のことを将軍としては最低の人物だが、銀閣に代表される書院造や能など現在につながる日本文化を根付かせた功績は大きいと評価していて、ダメな将軍としてのイメージが先行している義政について考えさせられた。

本来面白い内容という古典が、学校で文法学習の題材として扱われることで興味を失わせていることを問題視し、まずは古典の面白さを現代語訳ででも伝えることを優先すべきだと主張しているのにはその通りと思った。
これは私が学生時代に古代中国の歴史小説をよく読んでいたことで、漢文の試験では文法の単体での問題はともかくとして、文章を読んでの問題では読んだことのある話が出ると簡単に解けた体験からもうなずける。これは古文でも同じことが言えるだろう。

著者は日本が戦争や震災で荒廃してもその都度復活してきたことへの驚嘆や、日本語の重要性などについても語っている。
短い内容の作品ではあるが、分かりやすい言葉で日本の良さなどについて書かれていて、いい作品だと感じた。




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天下、なんぼや。
天下、なんぼや。吉川 永青
幻冬舎 2014-09-19

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窓から逃げた100歳老人
誉れの赤
野望の憑依者 (文芸書)


戦国末期から江戸初期にかけての時代、鴻池屋を創業した鴻池新六(山中幸元)の活躍を描いた歴史小説。

話は新六が伊丹にいる大叔父のもとを頼って、飢えをしのぎながら出かけるところから始まる。
そして大叔父が亡くなった後は大鹿屋という酒蔵で丁稚奉公を始めるが、以蔵という杜氏から殴る蹴るといった厳しすぎる指導を受ける。

その後も元同僚や近所に住む豪農の息子からのいやがらせ、店を持った後での風評被害や仲買人との関係など、多くの問題に遭遇する。

そうした中、あるきっかけで清酒を造ることに成功したことや、家康の知遇を得たことなどから徐々に商人として成功を重ねる。

家康やその家臣である酒井忠利、大阪の大商人である淀屋善右衛門らと交流を重ねるうちに、新六が過去の体験から武士が嫌いで商売をしようとしなかったところから、より大きな視点で世の中を銭の力でいかに良くしていくかを考えるようになっていく。

新規参入業者による競合や、新規事業が儲けられるサイクルなど、経営やマーケティングに出てくるような話が出てくるので、経済小説としても読むことができる。

新たなタイプの歴史小説という感じを受け、興味深く読んでいった。



[鴻池新六を主人公にした他の歴史小説]

月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始月に捧ぐは清き酒 鴻池流事始

小前 亮
文藝春秋 2014-03-24

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[本書で参考文献に挙げられていた作品]


[著者の他の作品]


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