読んだ本の感想をつづったブログです。


論理的思考を身につける本 (日経ビジネス人文庫)
論理的思考を身につける本 (日経ビジネス人文庫)鷲田 小彌太

日本経済新聞社 2002-08

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普段気付かずに使ったりしている論理について意識し、有効に使いこなすことを論じている本。

前半では論理とは何かということや論理にもいろいろな種類があること、論理でないような論理や、論理が論理を阻害する場合があることなどを論じている。
このあたりは種類については分かるとして、個別の内容が論理に関するところなので消化不良になった。

後半では立花隆、大前研一、長谷川慶太郎、谷沢永一といった現代の評論家たちの論理を紹介していたり、読書の効用や自己投資の重要性について論じていたりと比較的具体的な内容で、こちらについては面白かった。
特に、いわゆる「古典」や「良書」がかならずしも役に立たないことも多いとしていたり、論理で割り切れないのも世の中だとするなど、こだわり過ぎることへの注意を行っているところはその通りだと感じた。

刺激的ではないが、教養を積むことや自己研鑽の勧めの本としてはまずまずだと思う。
[著者の他の作品]

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孟嘗君と戦国時代 (中公新書)
孟嘗君と戦国時代 (中公新書)宮城谷 昌光

中央公論新社 2009-05

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中国古代を扱った作品の多い歴史作家による、中国の戦国時代概論。
最も戦国時代を体現するのにふさわしい人物として、著者が小説にもしている孟嘗君(もうしょうくん)を取り上げ、彼を通して戦国時代の政治や外交、思想などを分かりやすく語っていく。

孟嘗君とは山東半島にあった斉の王族で本名を田文といい、実力者として内政や外交に辣腕を振るった人物である。
食客三千人と言われるほど多くの食客を抱え、異能を持つ食客にピンチを救われた故事は鶏鳴狗盗(けいめいくとう)としても知られる。

当時の世相としては、中華の盟主だった周は一小国として落ちぶれたのに対し、周辺の秦・楚・斉・魏・趙・燕・韓の7ヶ国による戦争が繰り広げられる時代だった。
合従連衡という言葉もこの時代に生まれたものであることからも分かるように外交の駆け引きや謀略も盛んになされていた。
また、各国が人材を求めることを背景に百家争鳴と言われるほど多くの学派が生まれ、その中には孔子や孟子の儒家、老子や荘子の道家、商君や韓非子の法家などが知られている。
比較的自由な人の往来があり、かなりエネルギッシュな時代だったようである。

孟嘗君やその父靖郭君田嬰、当時の斉王だった威王や宣王の他、兵法家兼政治家の呉起、斉で活躍した兵法家の孫ピン、異民族の騎馬戦を取り入れた趙の武霊王など、有名かつ個性豊かな人物たちが多く取り上げられている。
また、道家の『荘子』には荘子の論争相手としてやりこめられがちな恵施という魏の宰相が登場するが、本書を読むと兵を動かさずに斉を弱めようとする謀略をしかけるなど、なかなかの策士だったことが分かってくる。

小説の『孟嘗君』を読んだ後であれば新たに知ることは多くないが、戦国時代や諸子百家について簡潔かつきれいに整理された形で構成されており、かなり読みやすい方だと思う。
中国戦国時代の入門書として、また『孟嘗君』のガイドブックとしても読むことができ、面白かった。

・・・ちなみに、孟嘗君が父の靖郭君と初めて対面した際の故事は大学の二次試験の漢文で出題され、ここだけは『孟嘗君』を読んでいたために比較的容易に解答できた。
高校までで出題される中国の古典はある程度限られていると思うので、読書好きで漢文の文法を覚えるのが中高生には、この手の小説や現代語訳の中国古典を多く読むことをお勧めする。


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ロボットのいるくらし (B&Tブックス)
ロボットのいるくらし (B&Tブックス)ロボLDK実行委員会

日刊工業新聞社 2007-10

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ロボLDK実行委員会という、ロボットの普及について調査や啓蒙を行っている団体が出している本。
ロボLDKのLDKは、通常住宅などで使われるリビング・ダイニング・キッチンのことで、これらと同様にロボットが生活に溶け込んだ社会を想定して名づけられている。

ロボットの普及は産業ロボットとしてはかなりなされているものの、家庭や公共機関など一般の場における普及は利用されるイメージが形成されていないのが現状である。
これに対して技術的なアプローチよりも実際にどのような用途が望まれるかという観点から、多くのイベントを開催しているようだ。

ロボットの特徴としてはPCや携帯電話で実現できないこととして、身体性、つまり実際の動きを通して人々の暮らしに役立つことからロボット利用の方策を模索している。
そしてロボットが人間の生活に入る上での安全対策や機能およびデザイン、知財保護など多くの点からロボットについて語られていく。

また、ロボットを扱った作品で有名なアメリカのSF作家であるアイザック・アシモフによるロボット三原則(ロボットは、人間に危害を加えないこと、人間の命令に従うこと、前項に反しない限り自らを守ること)を参考にして、ロボットの利用者を中心にして、ロボットを提供する技術者の視点をも取り入れたかたちでロボットはいかにあるべきかという、ロボLDK三原則を提唱している。
    ロボLDK三原則
  1. ロボットは、人の役に立つ存在でなければならない(有用性)
  2. ロボットは、人が安心して付き合える存在でなければならない(安全性)
  3. ロボットは、実空間において人と関わりあうことで、第一条、第二条を実践する存在でなければならない(身体性)

全体的には文章が少々固めで楽しく読めるという感じはあまりしなかったが、ロボットをSFの世界ではなく現実生活に取り入れるべき存在として、多くの視点から論じられておりなかなか興味深かったと思う。

[アシモフの代表的なロボットものSF]
われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)
「われはロボット 〔決定版〕 アシモフのロボット傑作集 (ハヤカワ文庫 SF)」
 著者:アイザック・アシモフ
 出版:早川書房
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目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』 (アートセレクション)
目をみはる伊藤若冲の『動植綵絵』 (アートセレクション)狩野 博幸

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江戸時代の画家・伊藤若冲による『動植綵絵(どうしょくさいえ)』をカラーのグラビアで掲載し、解説している本。

若冲は京の青物問屋の息子に生まれて店を継ぐことになるが、本人が学ぶことが大嫌い、しかもこれといって特技もないという状態で、店の運営やつきあいは苦痛そのものだったらしい。
やがて好きだった絵に楽しみを見出した若冲は最初狩野派、次いで中国画を学んだがこれら既成の画風に飽き足らず、鶏を飼って観察し続けることから絵を描くことになる。

この結果としてか、鶏の絵をはじめとしてかなり細かくかつ、単なる模写とは異なる活き活きとした感じで、当時の日本絵画とは一線を画した画風となっている。
構図にしても必ずしも写実的とはしておらず、動物の首の向きや足の曲げ方などいかに見せるかを主眼においているかが見るほどに感じられる。
また、実際によく観察した鶏や魚介類の描き方は細かく、鳳凰やオウムの描き方は幻想的と、見たことのあるものとないものとの差があるようなところも面白い。

これまで若冲はあまり知らなかったが、本書を読んでかなり引き込まれた。
機会があれば若冲の展示も見てみたいところである。


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