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読んだ本の感想をつづったブログです。





佐々木道誉を中心に、鎌倉時代末期から南北朝時代の四条畷の戦い(楠木正成の長男・正行が戦死)までを対象とした歴史評論。

現代が他の時代と比べて例外的に日本人が情けない時代と規定し、日本人が別のベクトルで例外的だった時代として、『太平記』の時代を扱っていると語っている。
具体的には強欲で我が強く、「金がなければ元や明からカツアゲすればいい」という考えをする人々の時代だとも書かれている。

これは当時中国で恐怖の独裁者だった明の太祖・洪武帝(朱元璋)でさえも日本は「攻めてはいけない国」と語っていたそうで、倭寇が活躍したことや、『太平記』では他の時代では登場しないような無茶をやる人物が多く登場することからも理解しやすい。

歴史の教科書などの記述から何となくイメージしてきたこととは異なる話が下記のようにいくつも出てくるのも、新鮮に感じる。
  • 北条高時は愚かではないが周囲の人々に抑えられてきた気が弱い人物だった(フランス革命時のルイ16世を連想した)
  • 鎌倉幕府が滅んだのは元寇の約50年後なので元寇が直接の原因ではなく、御家人間の格差や対朝廷政策の失敗、わがままで執念深い後醍醐天皇の出現などが重なって短期間に急に滅んだ
  • 後醍醐天皇は『太平記』や史書で書かれる以上に悪い意味で強烈な人物で、悪玉扱いされがちな足利尊氏・直義兄弟や高師直などはそれほどひどい人物でもない
  • 南朝正統史観で持ち上げられがちな新田義貞はそれほど勢力も大きくなく、戦死の仕方があまりにも残念
1991年に放送された大河ドラマ『太平記』での、真田広之(足利尊氏役)、陣内孝則(佐々木道誉役)、片岡鶴太郎(北条高時役)、後藤久美子(北畠顕家役)などが演じたシーンの話も随所で書かれていて、大河ドラマのDVDを観てみたくなってしまう。
(昔ちょっとだけ観て、陣内孝則が演じる道誉が濃くて面白かったような記憶がある)

著者らしい毒のこもった書き方もあり、一気に読み進んでしまった。
続編と思われる、『倉山満が読み解く 足利の時代─力と陰謀がすべての室町の人々』も読んでみたい。






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世界史での出来事を貿易や税制、金融政策など、お金の観点から解説している作品。
エジプト、ローマ、漢、イスラム、モンゴル、オスマン、スペイン、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本と、様々な時代の様々な国家のお金事情が書かれていて面白い。

古代のエジプトやローマの時代から税制に関する共通した法則があることを指摘していて、官僚機構が妥当な額の税を徴収している間は国が栄え、徴税請負人のように中間搾取がひどくなれば増税なのに税収不足の状態を経て、平安時代の日本で荘園に土地を寄進したような脱税がまかり通るようになって国が衰退していくというものである。
経済が傾いたから増税となるのか、税制で失敗したから経済が傾くのかは双方向で作用しているようにも感じる。

近代にイギリスが覇権を握った理由には国債による資金調達、株式会社のいち早い組織的な運用、そして海賊行為を挙げていて、まっとうな方法だけで短期間にのし上がることは難しいのだろう。

また、この時期にユダヤ系のロスチャイルド家がヨーロッパ各国の宮廷に入ってナポレオン戦争で大儲けをした一方で、その後振るわなくなったのは家族経営を重視しすぎて株式会社への移行が遅れたためとあり、成功体験が次の足かせになる事例であるとも思った。

イギリスの次の覇権国がアメリカだが、第一次大戦や第二次大戦でヨーロッパやアジアの戦争には傍観するつもりだったのが、ドイツや日本みたいな国がアメリカのドル体制へ挑戦する動きを認識した途端に全力でつぶしにかかっていることが書かれているのも印象に残る。

そして、一方的に搾取する経済システムを構成するとそれがどこかで破綻に至るパターンも書かれていて、人間は一定レベルで似たような行動パターンを繰り返すものなのかもしれないと改めて思った。

著者の他の作品と同様にお金というリアルな視点から歴史を読むことができ、興味深かった。






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コンテンポラリー・クラシックス 韓非子 人を動かす原理 (Contemporary Classics 今こそ名著)
韓非 (著), 前田 信弘 (翻訳)
日本能率協会マネジメントセンター 2017/12/23



中国の古典『韓非子』を現代語訳し、現代で使用しやすい形で解説している作品。
先日翻訳者の著書『知識ゼロからのビジネス韓非子』を読んでなかなか分かりやすかったので読んでみた。

『知識ゼロからのビジネス韓非子』と比較すると文章のみで書かれている分、それぞれの項目を丁寧に解説されているので、私にとっては本書の方が合うと感じた。

また、『韓非子』では具体的でわかりやすいエピソードを入れているので理解しやすいことも再認識できる。
これは著者の韓非がトークを苦手としていて文章で伝えるための工夫を重ねたためと思われ、結果として後世に残りやすい結果となったのだと思う。
それを考えると、蘇秦や張儀といった弁舌一つで各国の君主を説得した縦横家たちのトークはどのようなものだったのだろう?と気になった。

しっかりした内容が分かりやすく整理されて書かれているので、繰り返し読むことにも向いていると思う。






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父70歳、母69歳、娘40歳と現代に比較的いそうな沢村さん一家の日常を描いたコミックエッセイの第4作。

正月や大晦日のように季節のネタはしばしば出てくるが、その期間を過ぎても当然年を取ることはないわけで、サザエさんを連想してしまう。
読んでいる限りだと登場人物たちは健康で大きな悩みもなさそうなので、ある意味うらやましくもなる。

四朗が絶賛した白和えが実はいただきものだったために夫婦げんかになったり、典江がヒトミに独身いじりをチクリとやって怒られるシーンなどが面白い。

1冊に1話くらいの登場頻度というレアキャラだが、ヒトミの職場にいる「経理部のアイドル白鳥さん」も本作で登場しているのもくすっとしてしまう。

安定して楽しめるシリーズなので、著者の他の作品も読んでみようかと思う。






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ウォーレン・バフェットによる株式投資の傾向や考え方と、それを日本株投資でどのように活用することができるかを解説している作品。

バフェットの投資方法はざっくり表現すると「長期的に伸びる優良な企業の株を大きく下がった時に購入し、長期保有する」というもので、企業の選択、適正と考える株価、購入や売却のタイミングなどがポイントとなっている。

銘柄の選定には『会社四季報』などのデータブックが発行されているが、他国ではこんなに充実したデータブックは発行されていないことが書かれていて驚く。活用しがいがあるということだろう。

具体的な銘柄選びではストックオプションをしているところは避ける、自社株買いをしているところは望ましい、本業と関連性が疑わしいM&Aを繰り返しているところは避ける、サヤ取りみたいな短期売買はしないなど、バフェットに関する本で読んだり読んでいなかったりすることが書かれていて参考になる。

7年以上前に書かれた本だが、原則的なことが書かれているのでそれほど古びていないことも良かった。
必ずしも自分に合ったことばかりとは限らないが、使ってみたいことも多く書かれていて興味深く読むことができた。






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