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読んだ本の感想をつづったブログです。



今野 敏 (著)
角川春樹事務所 (2022/11/15)


今野敏による安積班シリーズの最新作。

臨海署の近くの海上で老人の他殺体が発見され、安積班・相楽班ともに殺害事件の捜査本部で捜査に当たることになる。

その人物は少し前に葛飾署管内で詐欺の容疑で逮捕されたことがあったことが分かり、葛飾署の生活経済係で当時の取り調べをしていた係長の広川も、安積が手掛ける捜査に協力していく。

それとは別に、東報新聞記者の山口が安積班の水野に、先輩に当たる定年を過ぎた記者からセクハラまがいの指導を受けていると相談を受けていて、これも話に多少影響してくる。

本作で目立つのは間延びした口調だが実際はかなり有能なことが伝わってくる広川の活躍で、こうしたゲスト的な人物が活躍するのもこのシリーズでの見どころである。
また、交通機動隊小隊長の速水も、重要なポイントで登場する。

SNSの普及や高齢化といった時代的な話を織り交ぜたり、それにふさわしいキャラクターを活躍させるなど、本作もまた楽しむことができた。





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今野 敏 (著)
実業之日本社 (2022/9/8)


気が弱いマル暴の刑事である甘糟が活躍する『マル暴甘糟』シリーズの第3作。

薬物関係のタレコミがあったために住宅街にあるジャズバーへの捜査に甘糟らが参加させられるところから始まり、そのバーで大人気の女性歌手の正体や、そのバーを乗っ取ろうと狙っているヤクザへの対応などが描かれていて面白い。

前作にも登場したソフト帽を目深にかぶったピンストライプのスーツという、麻生太郎みたいないでたちの人物も話に大きく関わっている。

また、このシリーズの本編に当たる阿岐本組シリーズの第5作である『任侠シネマ』から甘糟の上司として仙川係長が登場していたが、このシリーズでも仙川が出てきて、やはりというか甘糟の先輩に当たる郡原と相性が悪い描写や、メンツや手柄に異常にこだわるキャラクターをいじっていて、今後もかなり使われそうな感じがする。

以前よりも甘糟が郡原や本庁の刑事たちに意見をするシーンが出てくるなど、甘糟が成長しているように感じられる描写が見られるのも、シリーズものとしてうまいと思う。




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今野 敏 (著)
中央公論新社 (2022/6/21)


小さな暴力団・阿岐本組が他業種のトラブルに首を突っ込む任侠シリーズの第6作。

今回はET(イースト・トウキョウ)交響楽団という、コンサートを控えてトラブルを抱えている交響楽団から依頼を受け、日村は組長の阿岐本とともにコンサルティング会社という体で入っていくこととなる。

トラブルの内容は総指揮者がドイツの著名だが癖の強い指揮者に代わったことと、それに伴って若手とベテランの間で溝ができているという、まあ色々な組織でありがちなものとなっている。

さらに、そのドイツ人の指揮者が襲撃される事件が発生し、その指揮者が強硬に犯人を捕まえるように主張したために警視庁本庁から碓氷という刑事が送り込まれてくる。
主人公がヤクザなので身構えてしまうものの少し変わった刑事で、実は著者の別シリーズの主人公だった。

日村や阿岐本ら阿岐本組の面々や碓氷、ET交響楽団のメンバーなどのキャラクターがそれぞれ立っていて、本作も楽しく読むことができた。
楽団の女性マネージャの片岡は今後も出てくるかもしれないと思わせる描写があり、ちょっと気になる。

そして阿岐本組と付き合いが長く、マル暴刑事なのに気弱な甘糟と、彼の上司に当たる係長の仙川も登場するが今回は見せ場が少ないのが少し物足りないものの、「甘糟さんと仙川」という健一の呼び方にちょっとくすっとしてしまった。
甘糟に関しては近く発行されるスピンオフの『マル暴ディーヴァ』での活躍を期待したい。

クラシックやジャズのコンサートに行ったことがなくて伝わりにくい部分もあったが、行ってみたいという気にさせてもくれた。




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今野 敏 (著)
光文社 (2022/5/24)


渋谷署を拠点に活動する機動捜査隊のコンビである、高丸と縞長を主人公としているシリーズの第2作。

高丸と縞長が目黒駅近くのコンビニで指名手配の爆弾犯・内田を見つけたが逃走され、タクシー運転手を人質に取っての立てこもり事件に発展してしまう。

また、少し前に知り合った自動車警ら隊の隊員から内田が前科のある人物と取引をしているシーンを目撃していたことが分かり、爆弾テロの危険が高いことから特別捜査本部が設置され、SITや公安なども捜査に参加することとなる。

今野作品の警察小説だと警察組織にエリート気取りの嫌な奴が出てくることが多いが、本作ではSITに所属する増田という隊員が過去に縞長の同僚だったことから縞長をいびる言動を繰り返し、悪役としての存在感を出している。

本作でもこのシリーズの魅力が出ていて、続編が出たらぜひ読みたいと思わせてくれる。




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今野 敏 (著)
双葉社 (2020/6/17)


『確証』『真贋』に続く、捜査第三課(盗犯係)の萩原警部補と武田秋穂刑事のコンビが活躍するシリーズ第3巻。

本作では舗脇(たてわき)というIT企業を経営する資産家の家から「4億円かかった」というある物が盗まれたという被害届が出されたことから話が始まる。

なぜか盗まれたものを教えようとしない舗脇に対して繰り返し質問したところ、盗まれた物は「ソロモンの指輪」で、所持していることを知られただけでイスラム教の過激派集団「山の老人」から命を狙われるなどの荒唐無稽な話を語られて萩尾と秋穂は面食らう。
多分、このシリーズを読んできた読者もそのような印象を受けたと思う。

ここに、前作の『真贋』に登場した癖のある美術館員の音川が舗脇の友人として登場したり、オカルトものミステリーである『神々の遺品』の主人公で私立探偵の石神が舗脇から探偵兼ボディガードとして雇われるなど、個性豊かな人々が登場して話を盛り上げている。

刑事シリーズと古代文明の伝説という組み合わせは著者は好きなのだろうが、ちょっと話が荒唐無稽な感じが強く、著者の作品ではそこまで好きな方とはならなかった。
終盤の謎解きなどは面白かったと思うが、私の好みの問題なのだろう。




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