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読んだ本の感想をつづったブログです。



司馬 遼太郎 (著)
新潮社 (1984/9/27)


司馬遼太郎による、始皇帝死後の内乱から楚漢戦争を描いた歴史小説。

中学時代に本書を読んで面白かったので該当する時代を扱った陳舜臣著『中国の歴史(二) 』(中国歴史シリーズ)を読み、そこから中国の古代史や諸子百家などの本を多く読むようになったきっかけとなった。

『こち亀』の両津勘吉みたいなキャラクターの劉邦と、育ちが良くて残酷なことを平気でやってしまう項羽を中心に、始皇帝、趙高、蕭何、張良、韓信といったメジャーな人物だけでなく、召平や陳嬰、紀信といったその後他の本であまり読んだことがないのでマイナーと分かった人物の描写も印象に残っている。

読んだ当時も面白かったが、時間が経ってから他の歴史小説などを読んでから思い出してもかなりいい作品だったと再認識できる。
読み返すとまた違った印象になるかもしれないが。





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司馬 遼太郎 (著)
講談社 (2004/1/16)


司馬遼太郎による、黒田官兵衛孝高の生涯を描いた歴史小説。
中学生か高校生の頃、官兵衛について書かれた作品としては初めて読んだものである。

播磨の小寺家の新興の家老の息子に生まれ、有り余る才能を振るいたい意欲に燃えていた時期、秀吉との出会い、播磨の諸勢力が信長に離反した際に仲間たちから裏切られて有岡城で囚われた苦難の時期、そして解放後の心理的変化など、多くの場面を思い起こす。

最初に読んだのが本書だったためか、官兵衛については策謀家というイメージよりも、ちょっと山っ気のある芸術家肌の人物という印象を持つようになっている。

また、桔梗色のおしゃれな服装をしていて周囲の人々から評判になっていたシーンや、栗山善助のような家臣たちに恵まれていた話など、思い起こすと司馬作品の人物描写が良かったのだと感じる。

また読み返すかもしれない、思い出の1冊となっている。



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司馬遼太郎が明治時代を新興国家に見立てて語っている歴史エッセイの下巻。

明治初期にキリシタン禁制がまだ解かれていない頃に英国公使のパークスと大隈重信が激論を交わした話や、東郷平八郎が10歳くらい年下ということにして英国の船乗りの学校で学んでいた話、勝海舟がオランダの海軍軍人だったカッケンディーテから「国民」の概念を学んだのではないか?という仮説、伊藤博文がプロイセンやオーストリアで憲法の研究をしていた話が書かれている。

大隈がパークスにも負けずに言い返しているところは現在の日本にもそのような人物がいたらいいのにと思ったが、この手の人物は野党から言葉尻を捉えて失言だと騒がれそうな気もした。

伊藤がプロイセンのヴィルヘルム1世から議会に力を与えすぎないように助言を受けたのにあまり従わなかったなど、伊藤とそのスタッフたちが何もないところから大日本帝国憲法を制定したのは時間や労力を考慮するとかなりの成果だと思う。
さすがに統帥権の問題が後で出てくることまでこの段階で防ぐのは難しかっただろう。

本書のあとがきではNHKで1989年に「太郎の国の物語」というタイトルでドキュメンタリー番組として放送されていたそうで、知らなかったので少し驚いた。
本を読んだので内容はほとんど重なるだろうが、少しだけ関心を持った。







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司馬遼太郎が明治時代を新興国家に見立て、「透明なリアリズム」のある時代であることや、それに先立つ幕末の時代背景などを語っている歴史エッセイの上巻。

はじめの方では江戸時代の遺産として小栗上野介による横須賀のドックが日清・日露戦争の勝利に大きく貢献したことが書かれている。
小栗が最後の将軍・徳川慶喜に対して提言した戦術が明治新政府に恐れられたこともあって小栗は逮捕・斬首されたが、生き残ったとしても新政府には仕えなかった可能性が高いように感じた。

中盤では薩長土肥(薩摩・長州・土佐・肥前)のそれぞれの特色が新政府での人材登用に現れた話が興味深い。

そして、明治維新では他国にそのまま参考にできそうな体制がすぐに見つけられなかったこともあり、どのような国家にするという青写真がなかったことが書かれている。
これは歴史のIFとして、佐幕派が勝利しても似たようなことが起こったのではないかと感じた。

このあたりから西郷隆盛が多く出てきて、紀州藩の津田出という人物が実施した改革に感銘を受けたり、廃藩置県に際して薩摩藩で実権を握っていた「藩父」島津久光から安録山と罵られて気に病んでいた話が印象に残る。
頑迷とされる久光も実際は賢い人物だったらしく、それだけに事態がこじれたことが伝わってくる。

他にもマリア・ルス号事件が発生した時の外務卿だった佐賀藩出身の副島種臣が時代背景があったからこうした教養豊かな人物が登場したわけで、もう出てこないと書いているなど、独特な視点からの話が書かれている。

著者の作品では脱線がつき物だが、『街道をゆく』シリーズみたいに読者が興味を持ちようもない著者の近辺の話しなどはせず、あくまで幕末・明治の話の範囲内での脱線なのでそれほど気にならない。

再読という形になるが、改めて興味深い作品であることを再認識している。






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街道をゆく 夜話 (朝日文庫 し 1-55)
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司馬 遼太郎
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司馬遼太郎による短いエッセイや評論、解説、あとがきなどから、『街道をゆく』シリーズにつながるものを集め、地域ごとに構成している作品。

収録された文章の種類と数が多いこともあり、面白い作品、つまらないと感じる作品のばらつきが大きい。
内容としては出会った人とのローカルすぎるやり取りを長く続けたり、地域振興などのために書かされたと思われる作品が厳しい。
おそらく著者がまとめてほしくなかったと思っているものも多いのではないだろうか。

興味深かったのは幕末に会津から激動の舞台に引っ張り出された秋月悌次郎の素朴な感じや、京都の人に見られる複雑な感情、出雲の人々に見られる大和への反感や石見の人から嫌われる事情、播磨の三木城で秀吉軍との篭城戦を戦った別所氏の時代遅れな見識などで、どうやら話の広がりと面白さに相関関係がありそうである。

解説文には『街道をゆく』シリーズの入門書に最適と書かれているが、そうでもないと思っている。
理由は本作の文章だと著者の話が脱線したままになったり、話が戻っても残りのページ数が少なかった場合が多かったことによる。
『街道をゆく』シリーズは私にとっては、つまらない脱線と面白い脱線を読み分けるもので、ある程度のページ数がないと良さが出ないような気がしている。






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