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読んだ本の感想をつづったブログです。



塩野 七生 (著)
新潮社 (2014/8/28)


地中海世界の中世で、キリスト教勢力とイスラム教勢力の間で戦われた海戦や、海賊の活動などを描いた歴史読み物の完結編。

オスマン帝国によるヴェネチア治下のキプロス攻略、プレヴェザの海戦(キリスト教国連合軍の不和による敗戦)、レパントの海戦(キリスト教連合軍の勝利)、マルタ島攻防戦(聖ヨハネ騎士団が防衛に成功)と、オスマン帝国とスペインを中心とするキリスト教国連合による戦いの数々が描かれている。

この時期は大航海時代に入っていて、新大陸から金銀を持ち帰ったスペイン船がイスラム海賊の襲撃を受けたり、オスマン帝国に服属したイスラム海賊がアラビア半島沖でポルトガル船を襲撃するなど、戦いの範囲も広がっていることが分かる。

これまで地中海を暴れまわってきたイスラム海賊とスポンサーとなったオスマン帝国も、レパントの海戦で打撃を受けたりウィーン攻略に失敗したことなどもあり、勢力拡大がストップしてその後衰亡していくことになることが書かれている。

最終的にイスラム海賊がいなくなるのはフランスが根拠地のアルジェリアを植民地にした頃で、結局のところ根拠地を支配するしかなかったということなのだろう。

本書ではページ数の都合で詳しく書かれなかった話である、著者の『コンスタンティノープルの陥落』、『ロードス島攻防戦』、『レパントの海戦』ことも書かれていたので、これらも読んでみようかと考えている。




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塩野 七生 (著)
新潮社 (2014/8/28)


地中海世界の中世で、キリスト教勢力とイスラム教勢力の間で戦われた海戦や、海賊の活動などを描いた歴史読み物の第3巻。

オスマン帝国がコンスタンティノープル(イスタンブール)を攻略して東地中海の沿岸を支配し、陸軍国で海戦のノウハウが不足していたことへの対策として北アフリカを拠点としてきたイスラム海賊を海軍として雇用したことで、イスラム勢力の地中海での攻勢が強まっている。

この時代からクルトゴル、赤ひげ、シナムといった『ONE PIECE』に出てきそうな、組織的に活動する海賊のボスたちの名前が知られるようになったようである。

この事態に対してはローマ教皇庁、ジェノヴァ、スペインといったキリスト教諸国は連合を組み、イタリア史上屈指の海軍司令官とされるアンドレア・ドーリアを指揮官として本腰を入れて海賊との戦いを繰り広げている。

この時代はオスマン帝国でスレイマン1世、フランスでフランソワ1世、スペインでカルロス1世と世代が近くてライバル意識を強く持つ君主たちが在位し、対イスラムではフランスとスペインのどちらかしか参戦しなかったり、さらにはキリスト教国のフランスとイスラム教国のオスマン帝国が軍事同盟を結ぶなど、かなり複雑な勢力図になっている。

問題はフランソワ1世もカルロス1世も英傑と言える君主ではなかったようなところで、何度かあったイスラム勢力に決定的な打撃を与えるチャンスを逃しているのも、君主制の弱点が出たということなのだろう。

このシリーズも残り1冊となり、続けて読む。




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塩野 七生 (著)
新潮社 (2014/7/28)


地中海世界の中世で、キリスト教勢力とイスラム教勢力の間で戦われた海戦や、海賊の活動などを描いた歴史読み物の第2巻。

第1巻ではシチリア島がビザンツ帝国からイスラム勢の支配下に入ったことが書かれていたが、ヴァイキング系で南伊にやってきたノルマン人がシチリア島を奪取している。

また、その時期は十字軍の時代でもあり、多くがパレスチナを目指した一方で海賊の根拠地である北アフリカを攻める場面も出てくる。

そして、イスラム教にも理解があってローマ教皇と対立することも多かった神聖ローマ帝国のフリードリヒ2世の時期に、シチリアは多文化が花開いた話や、アマルフィ、ピサ、ジェノヴァ、ヴェネチアの海洋都市国家の活躍なども描かれている。

後半では、イスラム教徒の海賊がヨーロッパで住民を拉致して奴隷として働かせていたことに対し、彼らの救出を目的として国境を越えて結成された「救出修道会」と「救出騎士団」の活動が描かれている。

具体的には寄付を募って身代金を集め、海賊の根拠地のボスと交渉するというもので、苦しむ人を助ける行為そのものは善なのだろうが海賊にお金を払うことのデメリットは著者も指摘している。
病気で弱っている人を見せることで寄付を集めるやり方は日本のあの番組を連想させるし、イタリアで身代金目的の誘拐が非合法のビジネスになっている源流はこれなんじゃないの?という気もした。

さまざまなことを考えさせられる話が多かったように思う。




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塩野 七生 (著)
新潮社 (2014/7/28)


西ローマ帝国滅亡後、イスラム教の勢力とキリスト教の勢力が地中海をめぐって争った時代を描いた歴史読み物の第1巻。

中東から北アフリカ、イベリア半島と支配圏を広げたイスラム勢力は、相手が異教徒ということで首長が公認する形で海賊行為を繰り広げていることが書かれている。

対するキリスト教国側はビザンチン帝国が小アジアでイスラム勢力に圧迫された上に北からはスラブ人とも戦わねばならず、シャルルマーニュの後継者たちであるフランスや神聖ローマ帝国、そしてイタリアに盤踞するヴァイキング系のロンゴバルド人の勢力などは内輪もめを繰り広げ、ヴェネチア、ジェノヴァ、アマルフィ、ピサといった海洋都市国家はまだ弱小と、イスラム海賊からイタリアや周辺の島々を守ることができないという、まさに「暗黒の中世」といった状況が語られている。

北アフリカに近いシチリア島は特にイスラム海賊の襲撃を受けただけでなく、パレルモやシラクサといった主要都市も攻められていて、度重なる救援要請にキリスト教圏から本格的に救援に来るものがほとんどおらず、長期間にわたる籠城戦が報われないのはやりきれない。

さらに、イスラム海賊はイタリア半島の各地やフランス南部にも根拠地を作り、ローマやマルセイユといった大都市や、川をさかのぼった内陸部なども襲撃していて、その上襲撃しない代わりに金を出すよう脅迫するなど、やりたい放題をしていることが書かれている。
思っていた以上にイスラム勢力が地中海北岸を荒らしていたことが分かり、これだけ恨みを買ったのであればその後に十字軍が中東で暴れたのも理解できなくもないと感じたりもした。

この時代のローマ教皇はキリスト教徒たちが奪われ、殺されていくことに対して打てる手が限られていて、短命に終る人物が多かったようである。

他にも、イスラム勢力の支配下に置かれたシチリア島が、ギリシア、ローマ、イスラムといった文化が融合した独特な世界を形作ったという話も興味深い。

著者ならではの淡々とした語り口も読みやすく、続編も読んでみる。




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塩野 七生 (著)
新潮社 (2009/6/27)


全6巻でヴェネチア共和国の歴史を描いた『海の都の物語 ヴェネツィア共和国の一千年』シリーズの最終巻。

これまで東地中海の最重要拠点として守り抜いてきたクレタ島をはじめとした拠点の数々をオスマン帝国に占領され、ヨーロッパの交易の中心が北海や大西洋に移ってオランダやイギリスが台頭したことで二流国に転落、その結果としてこれまでのようにオスマン帝国との戦いでは西欧諸国からもあまり支援も得られなくなり・・・と、どんどん事態が悪化していく。

また、産業構造が交易中心だったのが北イタリアの領土が増えて手工業や農業が産業に占める割合が高くなって貧富の差が固定化したことで、票の売り買いがなされて議員のレベルが低下したりと、構造的な問題も顕在化していく。

それでも非武装中立という、どこぞの国のお花畑な考えの人々が喜びそうな政策を取っていてしばらく続けられたものの、フランス革命によってナポレオンがイタリア方面司令官を務めるフランス軍VSこれまで付き合いが長くてイギリスなどが背後にいるオーストリア軍の戦いに巻き込まれ、ナポレオンに降伏するまでの道を歩んでいる。

ナポレオン出現前後には外交上のミスも多かったことが書かれているが、もうこの時点ではフランスと対仏大同盟の間で中立を保つことはほぼ無理に近かったのではないか?と思われるので、ヴェネチア共和国の存在自体が情勢的に許されなくなったのかもしれない。

むしろ、他のイタリア都市国家が次々と他国の勢力に支配される中で、18世紀末までしぶとく独立を守り続けてきたことを高く評価すべきだと感じた。
かなり読みごたえのあるシリーズだったことを、改めて認識している。




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