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読んだ本の感想をつづったブログです。


戦争とインフレが終わり激変する世界経済と日本 (一般書)
戦争とインフレが終わり激変する世界経済と日本 (一般書)
増田 悦佐
徳間書店 2014-09-20

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増田悦佐による、今後は資源の価格が下がることで戦争が減り、デフレ基調となって日本にとって有利な時代になるであろうことを語っている経済読み物。

まず長期的な傾向として、太陽による気候変動によって豊作でインフレと戦争が続く世紀と、不作でデフレと平和が続く世紀が繰り返されてきたことを挙げている。
(前者が16世紀、18世紀、20世紀で、後者が17世紀、19世紀、そして21世紀?)
それでも飢饉と疫病に苦しめられた17世紀に30年戦争が行われたドイツでは甚大な被害を受け、その後の歴史にも影響を及ぼしていると語っている。

そして近年の事象として、資源の価格が中国の浪費によって維持されてきたことにも限界が来て、BRICsやオーストラリアのような資源国が苦境に陥っていることが書かれている。
ほぼ同時期に日本とオーストラリアが経済的に離陸したために比較し、資源に恵まれたオーストラリアでは製造業がパッとせず、資源に恵まれない日本が製造業で成果を挙げてきたプロセスを語っている。

そして戦争については、アメリカで軍事産業が肥大化して戦争をしたがっているという一方で、世界全体では危機をあおる報道に反して戦争の規模が小さくなっていたことを挙げ、戦争は減っていくと語っている。
中国については内政が手一杯で日本に戦争を仕掛ける余裕はないので安倍政権の方向性に異議ありとしているが、実際の戦争以外にも謀略や脅迫など多くの手段で圧力を加えているのは事実だし、六大軍区の暴発やクーデターなどもありえると考えているので、このあたりの論調には疑問がある。

省エネ技術の発達によって資源価格が低下することで資源をめぐっての紛争は減り、少ない資源やエネルギーでGDPを生み出してきた日本にとってより有利な世の中になるとの見通しが書かれている。
100年周期の説でいくと今後の21世紀は気温低下で不作になる可能性に対しての見解は書かれていないが、このあたりは技術の進歩などに期待するというところなのだろうか。

日本にまつわるところでは少し異論もあったりもするが、歴史的な周期や戦争の起こる原因からの分析が興味深く、じっくり読んでいった。
アメリカで盛んなロビー活動を、合法的なワイロと表現しているのが面白い。





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中国自壊: 賢すぎる支配者の悲劇
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増田 悦佐
東洋経済新報社 2013-06-28

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増田悦佐 による、主に中国共産党政府による身分制度の悪質さと、それが限界に達して崩壊が迫っていることを解説している作品。

身分制度というのは都市戸籍と農村戸籍というもので、多数を占める農村戸籍の住民は十分な社会福祉が受けられなかったり都市に定住する権利が認められていないなどの差別を受けており、都市戸籍の住民に対しては民主化すると現在の既得権益を失うことになるという脅しによって共産党を支持させるという分断政策を行っている。

また、多くの国では経済成長するに従って国民の経済レベルも上がるのが普通だが、これを行うと消費だけでなく政治的な権利も要求することにつながるわけで、共産党は意図的に経済成長の成果を(都市戸籍を含む)住民に振り向けずに経済レベルを低いままにしているという。

それでは経済成長の成果がどこに向かうかというと、「親方五星紅旗」で利権を分配するのが役目の国営企業、それらから共産党幹部や人民解放軍高級将校へ賄賂、そして経済成長という見た目を維持するための資源の買い漁りや利用されることをあまり考慮していない鉄道や施設の建設などで、あまりのもったいなさに引く。
その国営企業ができない経済成長をやっているのが外資系企業ということで、変な分業がなされている。

こうした傾向は鄧小平が「社会主義市場経済」を始めた頃から顕著になり、これは資本主義と社会主義それぞれの暗黒面を併せ持つシステムであることが書かれている。

共産党幹部たちの言動は宋代で完成した科挙で採用された官僚たちの悪しき伝統を継いでいることを書いていて、権力争いや搾取についてはきわめて悪賢い一方で長期的な視点に欠けたり想定外の事態に対応できないこと、貴族と違って一代で財をなす必要な分だけ強欲になることなどが書かれている。

これまで続いてきたこの体制も限界がきていることを輸入量の減少や米国債の取り崩しなどの各種指標で解説していて、中国の買い漁りで潤ってきた資源国も巻き添えを食らうことが書かれている。

そして現在の共産党政府が崩壊したらどうなるのか?という問題に対しては、元、明、清などの末路から類推して、体制を守るために内戦が起こる確率よりも高級幹部が海外に逃亡することで共産党体制が終わる確率が高いのではないかとしている。
反日イデオロギーに凝り固まった中国人は日本に難民として来ないとも言っているが、反日自体が建前という面もあると思うので楽観視は危険だとも思った。

中国共産党の支配がいかに恐ろしいかを知ることができ、興味深く読んでいった。




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城壁なき都市文明 日本の世紀が始まる
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増田 悦佐
エヌティティ出版 2014-11-26

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日本が発展している理由の一因に、都市が城壁で囲まれておらず自由に拡大することができたがあったと解説している作品。

ヨーロッパなどでは城壁で都市と郊外をはっきり区切り、外敵からの侵入を防ぐとともに、城内にいる領民の支配を徹底させてきたことが書かれている。
それが都市住民からすると郊外の住民に対して差別意識を持つことにつながり、物理的な城壁がなくなった後も心理的な城壁が存在し続けてきたという。

その一つが鉄道が都心にまで来ていないことで、例えばパリでは(軽視している郊外の人が無制限に流入しないように)郊外の鉄道と都心の地下鉄との相互乗り入れをさせないために規格を違うものにするという底意地の悪い設計をしていたと知り驚く。

こうした城塞都市群の中で例外的に城壁で囲まれていなくて自由に拡大できた都市が時代ごとの経済覇権を握ってきたとし、ヴェネチア、アムステルダム、ロンドンを挙げている。
湿地帯や干拓地だったり川の南岸が開けていたなど事情はさまざまだが、日本やオランダのように都市のつながりができないのは、城壁や都市間の戦争などのなごりがあるからといったことが書かれている。

元々城壁がなかったアメリカは当初は自由に発展する都市だったのが、自動車の普及が鉄道を押しやったことで富裕層や中間層が郊外に逃げ出す現象が発生し、ヨーロッパとは逆に都心部がスラム化してしまった事情を語っている。

それでは中国はという話になり、中国の城壁は実用よりも権威を誇示する意味合いが大きかったらしく、孔子がけなすくらい田舎の賢人が有能だったと知られていたり、宋代に都心から郊外にかけて繁栄していた話が書かれている。
ただ、アヘン戦争によるショックで、欧米崇拝に近い状態となりその伝統が崩れてしまったのが残念というニュアンスで書かれている。
ここでは東アジアの人々が欧米に比べて平和的、かつ指導者の選び方が適当と思われることから、安倍晋三、習近平、パク・クネ、金正恩の指導者たちのことを(二世・三世であることから)太子党四人組と呼んでいるのに笑ってしまった。

そして日本の話に移る。
縄文時代から外から来た人を歓迎したり男性がふらっと旅に出かけたがる文化があったことや、江戸時代に幕府が大商人ではなく庶民寄りの裁定を下すことが多かったこと、女性や子供の盛り場が多かったことで都市が発展したことなど、著者の『奇跡の日本史―「花づな列島」の恵みを言祝ぐ』などとも一部重なる日本の美点が書かれている。
他国の都市と比較すると、日本はやはりいい国なのだろうと改めて感じる。

本作でも多くの論点から興味深い内容が書かれていて、読んでよかったと思う。
参考文献でも関心を持った作品があったので、そのうち読んでみたい。



[参考文献に挙げられていた作品]


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中国、インドなしでもびくともしない日本経済
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増田 悦佐
PHP研究所 2011-03-23

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BRICsなど新興国ブームが終わっていない時期に書かれた、こうした新興国ブームの虚構や暗黒面について書かれている作品。

中国の怪しさ、インドの貧富の差のすさまじさ、ブラジルでのハイパーインフレの続発による借金を返済しようというモチベーションの低さ、ロシアの伝統的な恐怖政治と、各国それぞれの問題点を書いていて、これまでBRICsのいい面ばかり報道されてきたことに対してバランスを取る効果がある。

これらの国々が何らかの形で長いこと植民地支配を受けていて、勤勉性や市民意識といったものが育たないという、国民性にマイナスの影響を与えていることを指摘していて、植民地支配の恐ろしさを知ることができる。

また、知識人になればなるほど旧宗主国の立場でものを考えるようになっており、例としてミャンマーのアウンサンスーチーの近年の言動を紹介している。
これだけを読むとどうやら社民党の福島瑞穂や韓国のパク・クネとレベル的には大差ない気がする。

資源国では勤勉さによる経済成長を行うモチベーションが存在しないことや、フランスでは英国以上に上から目線の言動がひどくて植民地化を文明化、奴隷を連れてくることに対しては「助けを求めた」などと厚顔無恥な言動をしているなど、活字にして読むと改めて各国の問題点が分かってくる。

新興国投資を煽ってきた欧米のエリートたちの本音は、日本が真正大衆国家として発展しているのが面白くないことや、どこでもいいから日本以外のエリートが支配する国にインフレを押し付けたいことなどがあるのではないかとしていて、他の作品と一貫している。

安易に他国を絶賛することは危険だと思わされる1冊だった。




[著者の他の作品]


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世界は深淵をのぞきこみ、日本は屹立する
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増田 悦佐
東洋経済新報社 2012-04-27

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増田悦佐による、世界がこれまで行ってきた政策のツケで大不況期に入る一方、日本は堅調な繁栄を続けていくのではないかと語っている作品。
他の作品同様、エリート支配の問題点や金融に傾倒し過ぎることの恐ろしさなどを、事例やデータを引いて分かりやすく書かれている。

経済学の理論通りにいくと、余計な経済政策はしない方がいいという結論となり、経済学者や中央銀行の存在価値がなくなるため、どうしても市場への介入を行う主張ばかりが目立つ話には納得してしまう。
また、借金をインフレによって棒引きさせたい政治家や官僚、税金で救済された経験に味を占めて大胆なリスクを取るようになった金融機関などの思惑によって金融バブルが形成されてきたが、そのモデルに限界が来ているとしている。

欧州では、ギリシアやポルトガルのように低利で借金ができるのをいいことに分不相応な支出を続けてきた国、英国のように経済規模が縮小したにもかかわらず生活スタイルを変えられなかった国、オーストリアやスウェーデンのように東欧に金融帝国を築こうとした国と、多かれ少なかれ金融でしくじった国が続き、ユーロという統一通貨の縛りがあってずるずると税金を投入し続けている状況が書かれている。

その中にはノルウェー公社が発行する債券の格付けが下げられた話が書かれていて、そういえば少し前まで証券会社がこのノルウェー公社の債券をやたら売り込んでいたことを思い出した。
さらに、豪州ドル建てやNZドル建ての債券が値下がりしたかと思えば、今度は南アフリカのランド建てというさらにリスクの高そうな債券を販売しだしたことも見ており、そうそうと思いながら読んでいった。

著者は本書を元々2011年に出すつもりが、時間を経ても古びないように改めたことをあとがきで書いており、事態が推移するスピードはともかく、大まかな流れは合っているように感じた。
しばらくぶりに著者の本を読んだことになるが、やはり興味深く読むことができる。




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