読んだ本の感想をつづったブログです。


よくわかる論語―やさしい現代語訳よくわかる論語―やさしい現代語訳

永井 輝
明窓出版 2001-02

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『論語』をまずは一通り通読してもらうことを重視して現代語訳している作品。
その意図から、白文や読み下し文は入れておらず解説も最小限に抑えていて、現代語訳のみで書かれている。

「仁→人間愛」、「君子→立派な人」、「小人→つまらない人」のように、いかにも儒教っぽい表現をできるだけ一般的な言葉に置き換えていて、読み進めるのが容易になっている。
訳者も本書はあくまで『論語』の入り口になればということをあとがきで書いていて、その試みは成功していると思う。

さすがに孔子や『論語』に関係する本を30冊以上読んできたので、ある程度の感じがつかめるようになってきた。

本書と近いスタンスで現代語訳した作品では、下村湖人訳の『[現代訳]論語』と佐久協訳の『高校生が感動した「論語」』を読んでいて、訳の仕方によって感じが違っているのも興味深い。
私の好みでいくと、下村訳>本書>佐久訳の順になる。

1冊を何度も繰り返して読み返す方法もあるが、『論語』については異なる現代語訳の本や解説書を読む形で読んできたことになる。
まだ何冊か読んでいない『論語』に関連した本を積読しているので、これらも読んでいくつもりである。






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高校生が感動した「論語」 (祥伝社新書)
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佐久 協
祥伝社 2006-06-27

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元高校教師による、『論語』を思い切った形で分かりやすく現代語訳している作品。

原文に書かれていないニュアンスや、補足として語りそうなことを加えて訳しているので、著者が捉えている孔子のイメージが伝わりやすい。

ただ、中途半端に古い言葉、少し前に流行したような言い回しを使っているなどのくせがあるので、好き嫌いは分かれると思う。
(例えば子貢がインサイダーまがいの投機をしていると訳しているのはちょっと言いすぎ)
私としては下村湖人訳の『[現代訳]論語』の方がくせがなくて好みである。

孔子の死後における後継者争いの経緯などを推定しているなどの解説も読みごたえがあり、興味深く読むことができた。






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「四書五経」の名言録―儒教の精神・経営の心 (日経ビジネス人文庫)
「四書五経」の名言録―儒教の精神・経営の心 (日経ビジネス人文庫)
守屋 洋
日本経済新聞出版社 2010-12-02

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儒教の経典として知られる四書五経(『大学』、『中庸』、『論語』、『孟子』、『易経』、『書経』、『詩経』、『春秋』、『礼記』)に収録されている言葉を、経営という観点からどのように活かせるかを語っている作品。

この四書五経は、朱子学によって選択されたものという。
朱子学は儒教の教条主義的な部分が集まった感じがしてあまりいい印象を持っていないが、ある種の整備は必要で、整備されたからこそ現代に伝わったという面もあるのだろう。

経営に絡める性質上、著者が講演などで知り合った経営者のエピソードなど、著者の見聞を語った話が多くなり、エッセイに近い感じとなっている。

それもあってか、著者の作品での悪癖である説教臭さ、具体的には「昔に比べて現代は・・・」という感じで話を締めくくる箇所が多く出てきてうっとうしい。
いい言葉が扱われているだけに、くどくなって効果が薄れているようなのは惜しい。

儒教と経営について書かれた本を読むのならば、渋沢栄一の『現代語訳 論語と算盤』あたりから始めるのがいいと思う。






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[現代訳]論語
[現代訳]論語下村 湖人
PHP研究所 2008-09-27

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『次郎物語』の著者として知られる下村湖人による、『論語』を現代語訳した作品。
著者の『論語物語』も良かったので、本書も読んでみた。

この手の作品には白文と読み下し文がついていることが多いが本書ではそれがなく、原典が編纂された順に現代語訳と最小限の解説で構成されている。
白文は読まないので何とも思わないが、「子曰く・・・」が書かれていなくて「先師は言われた・・・」でいきなり始まるので、読み出してしばらくは少し落ち着かなかった。

他の『論語』を現代語訳した作品では(現代に合わないとか訳し方が分からないなどの理由で)省略されていると思われる言葉も収録されていて、著者が何とか意味が分かるものにしようと努力したことが解説からも伝わってくる。

おそらく原典の大部分をカバーしていると思われ、『論語』の全体的な流れや構成がよりよく伝わる1冊になっている。
著者独自の解釈も随所で見られ、興味深く読んだ。






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論語抄 (中公文庫)
論語抄 (中公文庫)陳 舜臣
中央公論新社 2009-08

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陳舜臣による、『論語』の言葉についての解釈や時代背景などを語っているエッセイ。
原文が編集された順に話を進めている。

まずまえがきで、説教調にならないよう気をつけたと書いていて、上から目線や説教臭い文章がいかに読者から嫌われるかを分かっていると好感が持てる。
この種の古典や思想に関する本ではこれが分かっていないのか、分かっていてもどうしてもそうなってしまうのか、そのような書き方になっている人が多いのには辟易させられる。

『論語』が編纂された当時は文字を竹簡や木簡に書き付けていて手間がかかることから、分かりきっていたことを省略しているケースが多かったようで、そうしたところの解釈が分かれがちなことが書かれていて、なるほどと思う。

そしていくつかの学説を紹介していて、漢文だと接続詞のニュアンスが伝わりづらくて複数の受け取り方ができてしまうものだと改めて感じる。

弟子たちの問答については彼らのキャラクターや、『春秋左氏伝』や『史記』などの歴史書で描かれた彼らの活動も紹介されている。
例えば子貢が仕えていた魯の国が隣国の斉から攻められないように呉や晋といった斉のライバル国と外交交渉を行っていたなどの話が書かれていて、孔子の弟子たちが政治の世界で活躍していたことが分かる。

この中では清廉潔白すぎて面白みがない顔回よりも、表裏がなくて感情をストレートに表す子路、才能豊かだがしゃべりすぎの傾向がある子貢、孔子に遠慮なく質問するシーンが目立つ子張などの方が感情移入しやすい。

後世に国教化したり朱子学のように原理主義的になった儒教とは合わないような言動を孔子がしていたり、弟子の派閥によって異なる解釈や話が書かれているなどの類推がされているのも興味深い。

著者らしい丁寧で分かりやすい語り口が読みやすかった。






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