読んだ本の感想をつづったブログです。


渋沢栄一 「明日の不安」を消すにはどうすればいいか? (知的生きかた文庫)渋沢栄一 「明日の不安」を消すにはどうすればいいか? (知的生きかた文庫)

大下 英治
三笠書房 2010-10-21

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渋沢栄一の事跡をたどりながら、彼が事業を興したり運営する上で大切にしてきた『論語』の言葉とともに教訓となりうるエピソードを紹介している作品。

渋沢は武蔵の豪農の家に生まれ、尊皇攘夷の志士としての活動に挫折してから一橋家、徳川幕府、静岡藩、明治政府の大蔵省を経て、資本主義を興すべく多くの企業や団体を設立するなどの活動をしていることで知られている。

その中でも銀行、製紙、煉瓦、人口肥料、海運、紡績といった分野の企業を設立した際の苦難について多く扱われている。
明治政府の政策による逆風、スポンサーの倒産、技術の未熟さによる品質の低さ、資金繰りの行き詰まりなど、何度も経営破たんの危機に追い込まれながらも、これからの日本に必要な産業だからと断固として経営を続けた姿には感銘を受ける。

海運事業では三菱の岩崎弥太郎との確執があったり、水道事業に関する意見の相違から暴漢に襲撃されるなど、何度も大変な目にあっていることが分かり、明治の殺伐とした時代に事業を興すことがいかに困難だったかが伝わってくる。

1つのエピソードが数ページという構成で区切りよく読むことができ、分かりやすく書かれていてなかなか良かったと思う。






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関連タグ : 渋沢栄一, 孔子,

論語を知らなくても使える ビジネス「論語」活用法
論語を知らなくても使える ビジネス「論語」活用法
小宮 一慶
三笠書房 2011-10-26

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経営コンサルタントによる、『論語』のエッセンスをいかにビジネスに活かすことができるかを解説している作品。

職業柄か道を踏み外した経営者の話が多く扱われていて、経営者にならなくても多少調子に乗る時期は誰にでもあるはずなので、こうした時期こそ気を引き締めることが必要なのだと再認識させられる。

他にも役立つ話が多いが、強く印象に残ったのは以下の2点である。

1つ目は、分かることはすぐにできるとは限らないということで、中途半端に分かったつもりになっていることがいかに危ういことなのかが書かれている。
できる人ほど謙虚で努力を続けていることが紹介されていて、継続して学習し続けていかなければならないと思った。

もう1つが、目の前の仕事に全力を尽くすことの大切さで、これができていないと広い視野からの意見を出しても受け入れてもらえないわけで、納得ができる。

タイトルには「論語を知らなくても」とあるが、『論語』は読んでおいた方がいいと考えている。
重要なポイントが分かりやすく表現されていて、比較的早く読み進めることができた。






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関連タグ : 孔子,

孔子、老子、韓非子から孫子、尉繚子まで 知っていると役立つ「東洋思想」の授業
孔子、老子、韓非子から孫子、尉繚子まで 知っていると役立つ「東洋思想」の授業
熊谷 充晃
日本実業出版社 2016-11-17

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中国の春秋戦国時代に活躍した諸子百家から、孔子、孟子、荀子、老子、荘子、韓非子、孫子、呉子、尉繚子の思想を分かりやすく解説している作品。

それぞれ文献の来歴や構成、著者とされる人物の業績、ポイントとなる言葉の解説、故事成語となった言葉などが書かれている。
この中では特に、著者とされる人物についての話が充実しているように感じた。

知っている話も多いが、春秋時代に活躍した人物(孔子や孫子)とその後の戦国時代に活躍した人物(荀子や韓非子)では経済の発達や国際政治が複雑になったこともあり、より政治的な話が多くなっているという傾向を指摘しているのはなるほどと思った。

この手の作品では扱われることが少ない荀子や尉繚子についてそれなりにページが割かれているのも好感が持てる部分となっている。

それぞれの書物が江戸時代や明治時代に及ぼした影響についても書かれていて、いかに時代を通用する思想となっているかを再認識することにもなった。

ところどころでケアレスミスと思われる記述が散見されるのはマイナスポイントだが、それ以外は入門書としてまずまずの内容になっていると思う。






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関連タグ : 孔子, 荀子, 韓非子, 孫子,

現代語訳 論語 (ちくま新書)
現代語訳 論語 (ちくま新書)
齋藤 孝
筑摩書房 2010-12-08

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齋藤孝による、『論語』を現代語訳した作品。
「すっと読めて」「完全にわかる」ことを意識し、白文や読み下し文、解説などはなく、現代語訳のみの構成で書かれている。

用語や背景が分かりにくいところは現代語訳の本分の中に違和感が出ない程度に書かれていて、中国の春秋時代の予備知識があまりなくても読みやすいものとなっている。

文体についてもかなり平易なものとなっていて、孔子が御者を務める弟子のレベルの低い質問に少しいらだったり、多弁な傾向のある司馬牛にやんわりと諭したりと、やり取りの感じがよく出ているように思う。

その分、孔子や儒教では弱いとされていると思われる、政治や礼楽以外の職業の人への敬意があまり感じられないところや、秩序にこだわりすぎるところなども出ていて、『論語』のいい部分もいまいちな部分も出ているようだった。

下に挙げる関連記事で取り上げた作品と同等くらいに、『論語』を現代語訳した作品として優れていると思う。
そこから先は、訳し方や文体の好みということになる。






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関連タグ : 齋藤孝, 孔子,

渋沢栄一の「論語講義」 (平凡社新書)
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渋沢 栄一 (著), 守屋 淳 (編集)
平凡社 2010-09-16

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日本資本主義の父とも評される渋沢栄一による、『論語』の言葉を解説した『論語講義』を現代語訳した作品。
『論語』の解説だけでなく、幕末から明治にかけての人物評や、渋沢による独自の解釈なども書かれているのが特徴となっている。

人物評では不平等条約改正の業績で知られる陸奥宗光が頭脳が切れすぎたために人気がなかったことや、渋沢が2度ほど新撰組の近藤勇と会ったことがある話、井上馨や大隈重信らとの交流などが興味深い。

渋沢の語りでは、人の気持ちを血気と志気に分けて血気が年齢の影響を受けやすいのに対して志気は本人の修養で高められるという話、道徳も重要だが生活や経済も重要だし孔子の時代と現在(明治~大正)の違いもあるという話などが印象に残る。

渋沢が日本とアメリカや中国との関係悪化について心を痛め、さまざまな働きかけをしていたことも知ることができる。

『論語講義』を現代語訳した作品では竹内均訳の『孔子―人間、どこまで大きくなれるか』も読んでいるので、比較しての評価をすることになる。

本書がおそらく原文に近い構成で書かれているのに対し、竹内訳の方は現代の人にとって分かりやすさを重視している作品という違いがあるように感じる。
どちらも読むのであれば、竹内訳の方から本書に進むのがいいと思う。






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