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読んだ本の感想をつづったブログです。




唐の太宗・李世民が魏徴などの家臣たちとのやり取りを記録した『貞観政要』の一部を現代語訳して解説している作品。

著者の作品で同じテーマの『貞観政要』も既に読んでいるが、本書の方はより著者の話が長くなっている。

扱われている話にも違いがあり、本書では治世が13年目に入って李世民が少し政治に飽きたのかわがままな傾向が出てきたことに対し、魏徴が10項目にわたるダメ出しの上書が扱われているところが印象に残る。
かなり手厳しいことが書かれていて、処罰されるリスクを冒して上書した魏徴も、これを受け入れて褒美を出した李世民も立派な人物だったということになる。
(これが始皇帝とか朱元璋だったら、すぐに処刑されてもおかしくない)

著者は漢の高祖・劉邦や『三国志』で有名な曹操、山本五十六、唐の玄宗皇帝などのエピソードも加え、話をより分かりやすくしている。

また、日本では教育に力を入れる傾向があるのに対し、中国では教育はせずにとにかく人材を探すという違いがあるという話、人を見る上で能力、性格、学識のどれを優先するかが時代によって異なるという話などが面白かった。

いい古典ということを再認識でき、本書もまた興味深く読んだ。




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守屋 洋 (著)
PHP研究所 (2012/11/27)


PHP研究所から出ている古典の言葉を現代語したシリーズの1冊で、『孟子』の言葉と現代語訳を右ページ、著者の解説文が左ページという見開きで構成されている。

著者の作品は解説での説教臭さが鼻につくが、本書では特にその傾向が著しいと感じた。
これはおそらく、『孟子』の言葉自体の熱さ・ウザさと、著者のウザさ・老害ぶりが相乗効果を上げているためと思われ、なかなか強烈である。

「昔は良かったが今は道徳が廃れてダメ」とか「昔はどこにでもいた、面倒見が良くて筋の通った人々はどこに行ったのだろう?」といった趣旨の言葉がいくつも出てきて、著名人がSNSでつぶやいたら炎上しそうなものが多い。

これは斉の宣王や魏の恵王との問答の雰囲気や背景などがそぎ落とされていて、言葉だけの響きだけが強く出たための可能性もあるかと思っている。

『孟子』の言葉自体は理想主義的でちょっと重いものが多いが、「賢いと余計なものまで詮索してしまう」みたいに味わい深いものも多いので、もう少し他の作品も読んだ方がいいかもしれない。




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中国の古典からリーダーに求められると思われる言葉を100集め、見開き2ページで右が訳文、左が解説文の構成で紹介されている作品。

いいことが書かれているのは確かだし、例えば『墨子』で「人は長所で失敗する」という趣旨の言葉の鋭さが印象に残ったりもしたが、全体的にはやや無難な言葉が多いように感じた。

著者の悪癖である解説文の説教臭さもかなり出てしまっていて、あまりいい方の作品ではない。






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『韓非子』で扱われている説話を中心に解説している作品。
対訳がついていない分、すらすらと読んでいくことができる。

賞罰の権限を委譲してはならないことや、自身の意向を知られることは家臣に操られることにつながるので避けるべきなど、君主と家臣の立場の違いが対立につながる部分は厳しいが正しいところを突いていることが伝わってくる。

基本的には君主のために書かれた作品なのだろうが、逆用すると下の者が上の者を差し置いてのし上がる方法、下克上マニュアルとしても使用できることも分かってくる。
もしかすると、王朝の簒奪をしてきた歴史上の人物たちも、こうした古典を参照していたのかもしれないと思った。

トリックを仕掛けて相手の意向を知ったり、底意地の悪い手法で恨みを持つ人物に意趣返しをする話がしばしば出ているところが、マキャベリの『君主論』よりもえげつないと感じたりもした。

著者の作品にしては引っかかるところが少ないと感じたが、これは著者が解説でちょいちょい書くことがある、現代の世相に対する嘆きや説教を書いていないためかと思う。
こうした部分を修正してもらうと一気に読みやすくなるので、ぜひ続けてほしい。






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