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読んだ本の感想をつづったブログです。



宮崎 正勝 (著)
PHP研究所 (2022/8/18)


ロシアのウクライナ侵略、中国による一帯一路戦略など、地政学で言うところのハートランドの大陸勢力がなぜこのような「大陸シンドローム」と言われる行動をするのかを解説している作品。

ロシアも中国も、中央ユーラシアを支配したモンゴル帝国に支配された歴史があり、それぞれ西欧に対してはビザンツ帝国の後継、中華世界に対しては中華帝国の後継として、そしてユーラシアの草原世界に対しては遊牧民の支配者であるハンの後継として振る舞ってきた部分が共通している。

どちらも、多くの民族や勢力が存在して強権でしかまとめられなかったために欧米や日本のような形で民主国家になりづらかった、あるいはなれないかもしれないことが分かってくる。

そして北欧、東欧、中東、東南アジア、東アジアなどが大陸勢力と海洋勢力の緩衝地帯となるか、戦いの舞台になるかの歴史が繰り返されてきたことが書かれていて、アメリカや日本が取るべきなのは長期的には封じ込めしかないのかな?と考えてしまう。

テーマがかなり重いものではあるが、それだけに読みごたえもあった。





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宮崎 正勝 (著)
河出書房新社 (2021/2/19)


世界史に大きな影響を与えた民族を10選び、どのような活動をしてきたかを解説している作品。

10大民族には、イラン人(ペルシア人)、ラテン人、アラブ人、インド人、漢人(中国人)、モンゴル人、トルコ人、満洲人、ゲルマン人、ユダヤ人を選んでいる。
この中のインド人と漢人は言語がバラバラなのでヨーロッパ的な価値観では単一の民族ではないが、「複合的民族」として話をまとめるために選ばれていて、ゲルマン人にはアングロ・サクソンやノルマン人の流れをくむ北欧の諸族も含んでいる。

農業民が住む狭いエリアに遊牧民が攻め込んでくるというのが古代から中世にかけての1つのパターンとなっているが、インドはカイバル峠くらいしか大規模な侵攻ルートがないこと、中国は広くて農業民が多いことから遊牧民が同化されることで、他の地域と少し様相が異なっている。

気候や地勢、宗教、交易などの観点も踏まえた形で多くのトピックが扱われており、興味深く読むことができた。





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宮崎 正勝 (著)
新潮社 (2015/3/27)


ドイツの思想家であるカール・シュミットの『陸と海 世界史的な考察』で描かれている「空間革命」という概念から、これまで6度の空間革命が発生したという観点から書かれた歴史読み物。

その6回の空間革命は、下記のようなことが書かれている。
  1. 大河流域での文明発生
  2. ローマ、ペルシア、漢などの帝国が成立したことによる諸地域世界の形成
  3. アッバース朝やモンゴル帝国によるユーラシア規模での空間の統合
  4. 大航海時代以降に大西洋世界が開発されたことによる資本主義など近代システムの成立
  5. 産業革命、鉄道、蒸気船などによる地球空間の統合
  6. アメリカを中心とする地球規模の電子空間の形成
具体的に読み進んでいくと、モデルの立て方はなかなか面白いのだが、それぞれの事例が教科書的な話が多くてあまり面白くない。
この面白くなさは先日読んだ著者の『文明ネットワークの世界史』とも通じていて、多分新たな研究成果や意外な観点からの話などが少ないことに起因するように感じる。

また、もう少し文章を簡潔にまとめたり図解をもう少し増やすなど、分かりやすさやサービス精神による工夫ができる余地が大いにありそうだと思った。

ちょっともったいない作品だが、『陸と海 世界史的な考察』という作品があることを知って読んでみようかと関心を持つことができたので、これが最大の収穫かもしれない。





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宮崎 正勝 (著)
原書房 (2003/4/1)


文明ネットワークをテーマに書かれた世界史の作品。
・・・なのだが、ところどころでネットワークらしき図解はあるものの、教科書的な記述が多くて斜め読みになってしまった。

大航海時代あたりの話はそこそこ興味深く読んだが、それ以外の時代があまり特徴が感じられず退屈だった。
発行された2003年当時に読んだら面白かったのかもしれないが、面白くて分かりやすそうな体裁なだけに残念感が強い。






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陸の帝国・モンゴル、海の帝国・イギリス、空の帝国・アメリカと覇権国が交代してきた歴史を、気候や地勢、交易などと関連付けて解説している作品。

バルト海や大西洋の交易、ヴァイキングがバルト海からロシアの大河を経由してイスラム圏と交易していたなど、歴史学者の玉木俊明氏の作品と似た内容で、それを簡単にかつ定説寄りに書かれているという印象だが、本書では気温や湿度、地勢など地理的な要素をより重視して書かれているのが特徴だと感じた。

地中海は乾燥した海でバルト海からの小麦に救われた話、古代文明では黄河文明だけが海に開かれていない内陸型の文明と評するなど、梅棹忠夫著『文明の生態史観』などを連想したりもした。

大きなスケールからの話を区切り良く・分かりやすく解説されていて、概説書としてなかなか良かったと思う。






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