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読んだ本の感想をつづったブログです。



小川 一水 (著)
ポプラ社 (2011/2/4)


21世紀中盤から後半にかけての時代、軌道エレベータが運用されている赤道直下でシンガポールの沖合にある島を舞台とした、働く女性たちが活躍する連作のSF短編集。

宇宙で働く人の服や道具をデザインするデザイナー、水上タクシーの運転手、環境保護と開発の両立を図る不動産業者、多民族の子供たちを預かる保育園の保母さん、緊急事態に宇宙エレベータに乗り込んだCA、ロボットハンドで固い素材でも加工する彫刻家、宇宙での自給自足(?)を提唱する研究者、そして軌道エレベータを運営する企業のCEOが若い頃の話と、8話が収録されている。

軌道エレベータはインドネシア領のリンガ島で発着しており、土地不足のため周囲にメガフロート(人口の浮島)が建設されていて大都市が形成されているという設定となっている。
そこにさまざまな需要が出るわけで、登場する主人公の女性たちはさまざまな困難に前向きに活動している。

それぞれの話は完全に独立しているというわけでもなく、第1話に登場するデザイナーの歩が第6話の主人公で彫刻家の里径にとっては先輩というポジションで再登場しているし、第8話の主人公であるアリッサは後に軌道エレベータ運営会社のCEOになってからの登場が多い。

著者の作品らしくスマートさや明るさ、前向きさが感じられる内容で、なかなか良かったと思う。




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コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)
コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水 (著), 橋本晋 (イラスト)
早川書房 2013-03-29

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天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)
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宇宙軍士官学校―前哨―4 (ハヤカワ文庫JA)
深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)


小川一水による、21世紀の地球と23世紀の小惑星の間でやりとりがなされる時間SF。

23世紀、ヴェスタに敗戦して占領下に置かれたトロヤの少年リュセージとワランキは、展示されていた昔の宇宙戦艦を探索していたところ謎の存在を見つける。

一方、21世紀に飛騨のコロロギ岳山にある天体観測所で観測に当たっている天文学者の百葉(ももは)はある朝、異変に遭遇することとなる。

そしてリュセージとワランキが危機に追い込まれている状態だったため、コロロギ岳とトロヤの宇宙戦艦との間で、時空を越えてのコンタクトがなされていく。

時間に関するパラドックスや干渉が発生するところやパラレルワールドっぽい展開は、以前読んだ鯨統一郎の『タイムスリップ森鴎外』に始まるシリーズや、J・P・ホーガンの『未来からのホットライン』、などを思い起こした。

ネタバレになるのでこれ以上内容については触れないが、パラドックスでこんがらがりそうな題材なのに、軽妙に話を進めているのは著者らしくて面白かった。




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臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)
臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)
小川一水
朝日新聞出版 2013-10-18

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女子高生、リフトオフ! (ロケットガール1)


小川一水による、ファースト・コンタクトを扱ったSF長編。
人類が太陽系だけでなく複数の銀河系に進出し、異星の種族とのコンタクトも果たしている時代、甲坂を指令とする調査艦隊はカラスウリ星系のディープ・ブルーと名づけた水の惑星を発見したが、その軌道上には異星人の艦隊が駐留しており、退去するよう警告を受ける。

しかしその艦隊は他の星系から来たもので、原住の種族は別にいると推定されたことなどから、地球の艦隊は調査隊をディープ・ブルーへ派遣することを決定し、新人カメラマンのタビトもAI(人工知能)のポーシャとともに参加することで話が展開していく。

人類の知に対するあくなき探求心や調査チームと軍人チームの確執、見た目や思考方法、行動様式の異なる2種類の異星種族の関係、そして異星種族内部でもいくつかの勢力に分かれていることなど、多くの要素が組み合わさっていて厚みのあるものとなっている。

J・P・ホーガンやロバート・J・ソウヤー、堀晃などの作品に出てきた設定を思わせる部分もあり、そういえばと思い出しつつ興味深く読んでいった。
著者らしいまとまった作品となっており、安心して楽しむことができた。





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小川 一水 (著)
角川春樹事務所 (2011/5/15)


中世ヨーロッパを舞台に、騎士のルドガーと異星人?のレーズが協力して町づくりを進めるSF長編の下巻。

上巻の後半で多くの犠牲を払いながらも、男爵軍を退けて「開市特権状」を受けてルーズフェントはますます発展していく。
しかし、英仏の戦争による影響がこの地にも及び、交易をめぐるハンザ同盟との対立やルプレヒト伯に疑いをかけられるなど、ルーズフェントに住む人々をおびやかす出来事が続く。

さらに、レーズと特別な関係にあるデンマーク王ヴァルデマール4世に目を付けられ、デンマーク軍の侵攻を受ける部分がクライマックスとなっていく。

上巻に続いて多くの魅力的なキャラクターたちが活躍し、またそれまで伏線として書かれていた事情の真相が次々と明るみに出るなど、ぐいぐい読み進んでいくことができた。
舞台やスケールは異なるが、田中芳樹の『アルスラーン戦記』に少し似た感じを受けた。

神聖ローマ帝国、ハンザ同盟、ドイツ騎士団、さらには黒死病(ペスト)と、中世ヨーロッパものの作品によく出てくる事物がきっちり入っていて、よく作り込まれていることが分かる。
著者のあとがきによると、日本人で受け入れられやすい、故郷にこだわる歴史ものとして書いたとあり、そうした意味でも成功していると思う。

日下三蔵の解説によると、マイクル・フリン著『異星人の郷(上・下)』という作品も本書に近い設定で書かれているそうなので、こちらも読んでみたい。




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小川 一水 (著)
角川春樹事務所 (2011/12/15)


小川一水による、中世ヨーロッパを舞台とした歴史SF長編の上巻。

ドイツ北部の男爵の三男で騎士のルドガーは、父に嫌われたために辺境の村に代官として赴任させられたが、そこでレーズと呼ばれる少女と出会う。
実は遥か昔に宇宙から訪れた存在であるレーズは、1,000年以上前にローマ帝国のカエサルに町の存在を教えられ、自由都市の良さを知るルドガーと思惑が一致したことから、レーズスフェントという新たな町の建設に協力することになった。

くせのある住民との駆け引きや、浮浪兵による襲撃との戦い、そして自由都市として繁栄を始めたことによる男爵との対立など、様々な障害にルドガーをはじめとする町の人々が立ち向かっていく。

ルドガーやレーズ以外にも、ルドガーの弟リュシアン、ルドガーを慕って居ついた姫君のルム、素行に問題があるが憎めない司祭のアロンゾなど、多くの人物も登場する。

SFよりも中世ヨーロッパの方に重点を置いた感じの作品で、宇宙人という概念があまりなかったと思われる中世の人から見た異星人という描写がうまいと思う。

テンポ良くストーリーが進んでいくので、比較的早く読み終えることができた。
続いて下巻を読んでいく。



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