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読んだ本の感想をつづったブログです。



本郷 和人 (著)
中央公論新社 (2023/3/8)


源頼朝が任じられてから武家政権のトップということになった、征夷大将軍という地位がどのような扱いだったのかを語っている作品。

「他と違う大将軍」というリクエストから征夷大将軍が選ばれた経緯や、足利義教のように将軍に就任していなくても将軍としての職務を果たしている事例などから、朝廷からの任命よりも武士たちから将軍として扱われていることが重要という話などが面白い。

室町幕府4代将軍の義持が後継者の指名をせずに「お前たちで決めろ」と語った背景には、武士たちに認められなければ意味がないという意図があったとする説にはなるほどと思う。

また、藤田達生氏が唱える足利義昭による「鞆幕府」説にも、当時義昭の政権を認めていた武士がほとんどいないから大した説ではないと語っているのも笑ってしまった。
今年初めに著者や藤田氏が出演していたNHKのテレビ番組で、著者が藤田氏の話に反論していたことを思い出し、著者が藤田氏のことをあまり好きではないんだろうなと感じてしまった。

将軍に求められてきた役割としてはまず、本領安堵などを含めた軍事面、その次に朝廷との交渉が挙げられていて、行政的な役割は後になってついてきたという話、そして頼朝や足利尊氏のように最初は自身が動く存在だったのが、徐々に神輿としての役割に変わっていった話が、映画『仁義なき戦い』の松方弘樹が演じる若頭のセリフを例に語られていたのも興味深い。




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本郷 和人 (著)
宝島社 (2021/6/10)


東大史料編纂所の教授が、日本史の教科書や定説が研究が進んできたために変わってきた部分を紹介している作品。

著者の作品を何冊か読んでいると重なるものが多いのと、近いテーマでは河合敦氏なども書いているため、本書で初めて知ったことがあまりなかった。

著者としては繰り返し語りたいことなのだろうが、読む側としてはあまり刺さらなかった。




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本郷 和人 (著)
河出書房新社 (2022/10/26)


来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」の主人公である徳川家康について、東大史料編纂所の名物教授が語っている作品。

馬術や水泳の達人だが、それは負けた時に生存確率を上げるためという重要だがあまりかっこよくない理由、軍事では小牧・長久手での秀吉戦でみせた鮮やかな引き際くらいしか見るところのない平凡さ、息子には冷たいが娘や婿には甘い傾向など、信長や秀吉のような派手さはないものの努力や経験の蓄積をしていった家康の魅力が描かれている。

徳川家で武官と文官では武官が優先しているのは当時の求められる統治技術がそれほど高くなかったからという話や、家康が信康の後にしばらく息子が生まれなかった謎、家康が三河武士団を信用していなくて人質時代に育った駿河が好きだった節があることなど、著者独自の視点と思われる話がいくつも書かれていて興味深く読むことができる。




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本郷 和人 (監修)
学研プラス (2021/10/7)


上杉謙信や家康の資産額、信長が安土城で取った観覧料、新撰組の給料など、歴史上費やされたり蓄えられたお金を現在の価値に換算していくらくらいになるか?を紹介している歴史読み物。

子供向けの作品だが、扱われているテーマが面白いので読んでみた。

戦争にかかる金額の大きさや、身分による給与の格差、物価の変動などが印象に残る。

さすがに物足りなさはあるので、著者が新書で書いている『「お金」で読む日本史』も読んでみたいと思っている。




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本郷 和人 (著)
トランスビュー (2019/12/5)


近年語られがちな、「信長はイメージと違って保守的な大名。革新的とされることも他の大名が先にやっていたことも多い」という言説に対し、それならなぜ信長は違った結果を出したのか?信長は時代の要望に応えることができた歴史的人物なのではないか?という考えが語られている作品。

宗教、土地、軍事、国家、社会など、信長が出現する前後でどのような変化があったかを挙げ、時代の流れにいかに信長が応えてきたかが分かってくる。

例えば、軍事で言えば兵種別の編成やロジカルに数的優位を作る手法、国家のところでは信長以後の関ケ原の合戦で上杉・毛利・黒田などが領土争いから発想が抜けられていないことなどを挙げていて、なるほどと思わされる。

そして、現在の歴史学の問題点にも踏み込んでいて、近年の著作にあるシリアスさは本当に語りたかったことなのだろうと感じた。
本書もまた、興味深く読むことができた。




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