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読んだ本の感想をつづったブログです。



村上 春樹 (著), 安西 水丸 (イラスト)
新潮社 (1999/7/28)


村上春樹がイラストレーターの安西水丸とともに『週刊朝日』で連載していたエッセイ『村上朝日堂』の第4作。
90年代後半頃の話が扱われている。

体罰の問題や日本の形式だけ整えて本質はあまり改善しない問題などについての批判や、仕事上で人伝いに横車を押す感じのことをされて不快に思い拒否した話などの比較的真面目に書いた話も出てくるが、脱力エピソードも多い。

出版社からホテルにカンヅメ(もう死語かもしれない)された際にホテルの机の中にエロ本がいっぱい入っていて仕事にならなかった話や、全国に存在する変な名前のマンションやラブホテルの回、飼っていた猫が謎の行動をする話などが書かれていて、当たり外れはあるものの全体としては面白い。





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雨天炎天―ギリシャ・トルコ辺境紀行 (新潮文庫)
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村上 春樹
新潮社 1991-07-30

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村上春樹が若い頃、ギリシアとトルコを歴訪した紀行文。

ギリシアではギリシア正教の聖地で女人禁制の地もであるアトス半島を歩いて回り、トルコではイスタンブールから黒海沿岸、イラクとの近くから地中海沿岸を四駆で旅している。

ギリシアでは過酷な環境の中で、修道院で出される歯が浮くほど甘いお菓子やアルコール分の強い蒸留酒に驚きながらも、その後疲れた際にはこれらが欲しくなるという経験をしているのが印象に残る。
また、殉教者の絵が多く飾られていて、迫害のすさまじさと必ずしもそれに比例していない殉教者の表情の対比についても触れられている。

トルコは平均年齢が低い国ということ、周囲にこれまで戦争を繰り返してきた国に囲まれていることから若い兵隊が多くてたびたび兵隊をヒッチハイクすることになったり、著者と編集者がヤギ肉もトルコ料理の味付けも苦手で食べ物に苦労したりと、こちらもさまざまな出来事が発生している。

かなり大変な旅だったことが分かるが、著者がそれを楽しんでいる部分も伝わって興味深く読むことができた。






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村上朝日堂はいほー! (新潮文庫)
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村上 春樹
新潮社 1992-05-29

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村上春樹によるエッセイ集のシリーズである『村上朝日堂』の第3作で、1983年からの5年間に雑誌で連載していたエッセイをまとめている。

近所にある食堂「うさぎ亭」のコロッケ定食のおいしさや、肩がこらないので散髪の際に揉んでもらった際に肩こりについてあれこれ考えたことなどの身近な話から、有名人になってしまったがためのどうにもできない問題や標語のむなしさのように一般的に考察している話などさまざまな事柄について書いている。

マンションへの投資を勧められたが断ったことで儲けそこなったという話も入っているが、もし購入して保有を続けていたらその後のバブル崩壊で大損をしていたはずなので、結果的に著者の感覚は当たっていたということになるのだろう。
当時も「低金利時代に・・・」とか「このなんとかファンドどうかしら?」という言葉が見受けられ、このあたりは現在とさほど変わっていないなと思ってしまった。

著者のシンプルさで読みやすさが感じられる文体とちょっとしたこだわり、ところどころで出てくる安西水丸のイラストもあいまって、第1作、第2作と同様に楽しんで読むことができた。





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ラオスにいったい何があるというんですか? 紀行文集
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村上 春樹
文藝春秋 2015-11-21

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村上春樹による紀行文集で、JALの機内誌『AGORA』を中心に複数の雑誌に掲載されたものを元に構成されている。

表題にあるラオスの他、アメリカのボストン近郊やギリシアのいくつかの島、イタリアのように著者が以前住んで代表作となる小説を執筆していた場所、きっかけがあって初めて行ったアイスランドやフィンランド、それから著者が属する「東京するめクラブ」の番外編のような感じで熊本への旅行も収録されている。

時期としては1990年代前半から近年にかけてとかなりばらついていて、これは著者がこの時期はあまり紀行文を書かないようにしていて、作品が溜まるのに時間がかかったためという。

ボストン近郊の話では以前読んだ著作の中にアメリカに住んでいた頃のことが書かれていたのを思い出し、少しだけ残っていた記憶と対照しながら読んでいった。
その頃からすると現在は日本人野球選手のメジャーリーグ進出によってボストン・レッドソックスのことを知っているので、そのホームスタジアムがかなりくせのある球場ということが分かったのが興味深い。

他にもラオスではホテルで食べておいしかった魚を魚市場で見てショックを受けたり、ラオスの有り余る時間の中で多くのことを考察してみたり、かつて住んでいたギリシアの住宅にその面影を見出せずに戸惑ったりと、著者特有のぼそぼそと語るような感じの文体で書かれており、他のエッセイや紀行文とも共通する感じを楽しむことができた。





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村上朝日堂の逆襲 (新潮文庫)
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村上 春樹 安西 水丸
新潮社 1989-10-25

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村上春樹が30代の頃に連載していたエッセイを単行本化した作品。
前作の『村上朝日堂』に引き続き安西水丸が挿絵を担当している。

著者がジャズ喫茶を経営していた頃にアルバイトをやっていて、その後広告業界で活躍する山口昌弘氏をいじる回が特に面白い。
伊豆半島の下田出身である山口氏のペンネームとして「山口下田丸」とか「山口伊豆七」などと名づけて嫌がられるあたりでは、安西氏による「茶川賞作家・山口下田丸」として山口氏が大作家のように描かれた挿絵と合わせて秀逸である。

「政治の季節」という回を読む限り、本書を書いた頃の著者はあまり投票に関心がなく、よほどのことがあれば投票するし、いずれその時が来るだろうと書いている。
近頃あれこれ政治上の案件についてのコメントが取り上げられるということは、投票しているのだろうかと考えてしまった。

著者がまたもノーベル賞受賞を逃したというニュースを目にしているが、この手のエッセイを読む限りではあまり関心を持っていないような気もするし、迷惑と感じているというコメントも納得できる。

前作同様に、ゆるい雰囲気を楽しんで読むことができる。
異なっている部分としては本文の末尾に編集後記的なコメントを入れているところで、これも楽しい。





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