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読んだ本の感想をつづったブログです。


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先日東京を訪れた際、三菱一番館美術館で開催されていた「画鬼・暁斎—KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル」展(2015年6月27日~9月6日)を観に行った。
これまで河鍋暁斎の作品が何作か展示されている特別展は観たことがあるが、暁斎をメインにしている展示は初めてでテンションが上がった。

この展示では暁斎と、彼に弟子入りして暁英と称した英国人のジョサイア・コンドルについて扱っている。
コンドルは建築関係のお雇い外国人として三菱一号館や鹿鳴館の設計をした他、東京駅を設計した辰野金吾など明治の名建築家たちを指導したことでも知られている。

コンドルの作品としては多くの建築の設計図の他に、日本画も多く展示されていて、日本の絵師の作品として紹介されても全く違和感がないものとなっていて少し驚く。

そして暁斎の作品では強烈なインパクトのある絵も多い一方で、狩野派の絵師というアイデンティティも強かったそうで、締まった風景画や美しい人物画などもあり、多才さを再認識することになる。

以前読んだ『河鍋暁斎絵日記: 江戸っ子絵師の活写生活』で扱われている絵日記も展示されていて、実物を観るのはおそらく初めてなのでけっこう興奮した。
暁斎はコンドルの自宅に毎週訪れて指導していたことから、コンドルも「コンデール君」として多く登場しているのも楽しかったので、物販コーナーで河鍋暁斎記念美術館が出している『暁斎絵日記の中のコンデル』という冊子(650円)を購入した。

好きな画家の一人である暁斎の作品を多く観ることができ、充実した体験だったと思う。


※上に掲載している画像は、撮影OKだった河鍋暁斎『惺々狂斎画帖』のパネルを撮影したもの。




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関連タグ : 河鍋暁斎,

妖怪萬画 (第2巻 絵師たちの競演編)
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妖怪萬画 (第1巻 妖怪たちの競演編)
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鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集 (角川文庫ソフィア)
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今昔妖怪大鑑 -湯本豪一コレクション-


妖怪画を文庫本サイズでカラーグラビアで掲載し、解説している作品の第2作。
本作では江戸時代に活躍した絵師たちの作品を多く扱っている。

鳥山石燕、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳、河鍋暁斎、月岡芳年などで、これまで本を読んだり、博物館や美術館で特別展を観た絵師の作品も多く、ユーモラスな妖怪の絵を楽しめる。
そしてや喜多川歌麿や伊藤若冲など、妖怪画のイメージがあまりない絵師たちによる妖怪画も入っていて驚く。

序文に「妖怪のビッグバン」という論考が収録されていて、以前作家の京極夏彦が目にして唸ったという、妖怪は「水木しげるがつくったもの」というフレーズが紹介されているのが面白い。
ここでは多種多様な妖怪たちが毎週放送されるテレビアニメという形式に合っていたことや、こうした多くのキャラクターを知ったりグッズを集めたりする嗜好が日本では古くからあったことが書かれている。
こうした傾向が、食玩やガチャガチャ、スポーツ選手やアニメのカードやシールを収集するブームに通じていると思うし、多くのメンバーが在籍していて公演で様々な魅力を見せるAKB48もその趣向に合ったのがヒットした要因にあるように思う。

昔から妖怪もネタとして親しまれていることがよく伝わる作品で、楽しむことができた。




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河鍋暁斎絵日記: 江戸っ子絵師の活写生活 (コロナ・ブックス)
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幕末から明治時代初期にかけて活躍した絵師である河鍋暁斎が長年つけていた絵日記の一部をまとめている作品。
この絵日記は同時代でも欲しがった人が多かったようで国内外に散在してしまっているようだが、本書に入っている約4年間分だけでもその面白さは伝わってくる。

その日の天気や出掛けた場所、訪問客の顔ぶれや顧客との取引、家族や弟子たちの行動などがマンガ風のタッチで具体的に描かれていて、楽しいだけでなく当時の雰囲気が分かる資料にもなっている。

交流のあった人物には紙商や装丁職人、版元といった仕事相手から、お得意様と思われる商人、親交のあった僧侶、評判を聞きつけた外国人など多岐にわたる。
とくに有名なのは建築家として日本に招かれた後に暁斎に弟子入りした英国人のジョサイア・コンドルで、暁斎がコンドルの自宅に稽古をつけに行き、あぐらがかけないコンドルがうつぶせに寝そべったりするなど苦労しながら絵を描いている様子が描かれている。

また、フランスの実業家であるエミール・ギメに連れられてきた画家のレガメとお互いの似顔絵を描き合った際のエピソードも紹介されていて、暁斎によるレガメの似顔絵が現代の画家が描いたと言われても分からないくらいの感じなのがすごい。

暁斎らしいユーモラスな描き方はここでも発揮されていて、妻のシャクレ、長女がおたふく顔、次男がイノシシ顔などといったところから始まり、装丁職人が鬼の顔だったり(人力車の)車夫の辰蔵が龍のような顔で描かれていたりと、そのデフォルメぶりが面白い。

来客に聞いた話が吹き出しの中に絵として描かれているところは日本の絵と西洋から伝わった漫画の描き方を合わせているようなのも興味深い。

暁斎の魅力をここでも楽しむことができ、読んでよかったと思う。




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昨日時間があったので、以前から行ってみたかった河鍋暁斎記念美術館に行くことにした。
現在は「狩野派としての暁斎一門」(2012年3月2日~4月25日)が開催されている。

場所は京浜東北線の西川口が最寄り駅で、そこから徒歩約20分の場所にある。
美術館のサイトには西川口駅前の交番で地図を配布しているとあったので、地図をもらって住宅地の方へ歩いていき、思っていたよりも早く着いた。

まずは隣にあるミュージアムショップで入場券(常設展だと300円)を購入し、その上で入館する。
保存の都合上、観客が入室時のみ展示室の照明をつける形となっている。

暁斎は少年時代は歌川国芳に師事したが、その後親の意向もあって狩野派で学んだ時期が長かったことで、今回の展示となっている。
狩野派は徹底して模写をさせる方針だったようで、暁斎自身が模写したり練習用に描いた絵の他、暁斎が収集した絵が多く展示されている。

題材としては花鳥風月を描いたものや、『三国志』で有名な諸葛孔明、端午の節句などで知られる鍾馗などを描いたものが多い。
もちろん暁斎のことなので、きっちり何らかのアレンジを加えているのも面白い。

妖怪の絵や蛙などを擬人化した戯画などが印象的で大好きな暁斎の絵だが、こうした正統的なタイプの絵も多く描いているわけで、改めて多才ぶりを感じることができる。

気軽に行ける感じの美術館なので、関心のある展示をやっている時期に、また行ってみようと思う。



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美術史家の狩野博幸と河鍋暁斎の曾孫にあたる河鍋楠美による、暁斎の作品と生涯を多彩なカラーグラビアとともに解説している作品。
東京美術から出ているもっと知りたいシリーズに近い構成となっている。

これまで3冊ほど暁斎関連の作品を読んでいるが、やはり技巧のうまさや作風の多彩さ、仕掛けの多い面白さなどは飛び抜けている。

狩野氏と河鍋氏の対談も収録されていて、以下のような話が語られていて興味深い。
  • 江戸から明治への激動の中、江戸文化を強く受けた暁斎は政治批判の絵を描いた罪で投獄されるなど、薩長中心の明治時代は生きづらかったのではないかということ
  • どのようなジャンルの絵も器用に描き切ってしまうために代表作が分かりづらく、日本では妖怪画や面白い絵の画家というイメージが強くなるなど不当に評価が低くなっている残念さ
  • 画家が即興で絵を描いてパトロンたちが購入するという席画という風習があり、この場で酔った状態で描いた絵もそれとは思えないようなレベルの高さだったこと
  • 日本画では実際の絵の前に下絵というものを描くそうで、その下絵も展示できるレベルという話
  • 最初の師である歌川国芳に弟子入りしたのが弱冠7歳頃という早熟さ
  • 鹿鳴館を設計した英国人のコンドルが弟子入りし、一緒に日光へりょこうしたほどの親密さ
暁斎が晩年に毎日描いたという観音像と菅原道真像、それから朝比奈三郎絵巻といった他の本に掲載されていない絵をいくつも見ることができ、こちらも楽しめた。

新たに知った暁斎の作品やエピソードがいくつも書かれていて、面白かった。



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