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読んだ本の感想をつづったブログです。



渋沢 栄一 (著), 竹内 均 (編集, 解説)
三笠書房 (2021/1/20)


渋沢栄一が『論語』や同時代の幕末・明治期の人物たちとの交流、日本史の事例などから得た教訓や哲学を語った『実験論語処世談』を現代語訳した作品。

渋沢が『論語』に登場する孔子をはじめとして子路や顔回などの弟子たちのキャラクターについて考察していたり、西郷、大久保、木戸、伊藤、井上、大隈など明治の元勲たちの話、そして秀吉や家康など、業績が多いだけあって話の引き出しの多さを感じることができる。

中でも面白いのはやはり同時代人の話で、そりが合わなかったが認める部分も多かった大久保、人徳を評価していた木戸、ネガティブで他人に厳しく親切の押し売りをしがちな井上、頑固で融通が利かない江藤や黒田など、他の著作と重なる話も多いが何度読んでも面白い。

また、一橋家に仕えていた頃に新撰組とともに容疑者を逮捕に出かける際に役割分担でもめたが、土方が話の分かる人物だったのでうまくことが運んだという話も、先日読んだ『映える幕末史~新感覚な歴史の教科書』でも扱われていたことを思い出して少しテンションが上がった。

多少説教臭く感じるところもあるが、これはいつの時代もそういうものなのだろうとも思った。




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関連タグ : 渋沢栄一, 孔子,


渋澤 健 (監修)
宝島社 (2019/2/9)


渋沢栄一の『論語と算盤』に書かれている言葉を、それぞれ400字で分かりやすく要約して紹介している作品。
渋沢の玄孫でコモンズ投信の会長を務める渋澤健氏が監修している。

ゆるめのイラストや用語解説、コラムなどが多用され、サービス精神にあふれた1冊になっている。
『論語と算盤』や渋沢栄一、そして幕末から明治にかけての歴史、日本の資本主義などについての入り口になりやすい作品だと思う。




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安藤 優一郎 (著)
朝日新聞出版 (2020/8/11)


タイトルにあるように、明治時代に徳川慶喜の復権について渋沢栄一と勝海舟が対立していたというエピソードを紹介している作品。

渋沢は慶喜に取り立ててもらった恩義を強く感じている一方、勝は慶喜から敗戦処理時の交渉だけを押し付けられて役目が終わったらすぐに左遷されたことに面白くない感情を持ち、2人は慶喜に対して正反対に近い感情を持っていたことが書かれている。

さらに、渋沢は勝と初めて会った時に小僧扱いされてプライドを傷つけられたことや、勝が新政府軍との交渉をやっていた時期に慶喜から交渉方法が綱渡り的で危なっかしいと苦言を呈されて反論したなど、さらにこじれた要因も紹介されている。

慶喜は新政府軍から比較的早い段階で謹慎処分を解除されたのだが、勝の進言もあって静岡から東京に出てこなかった時期が長く、渋沢から見るとこれが「勝が慶喜を静岡に閉じ込めている」ように見えたようである。

勝からすると慶喜が東京に出てくると政争に巻き込まれる危険があったことや、慶喜自身が朝敵という立場を重く受け止めて自粛していたこともあり、期間はともかくとして不安定な時期に東京に出てこなかったのは妥当な判断だったと感じている。

それでも渋沢と勝はそれぞれの立場から慶喜の東京復帰、そして明治天皇への謁見も実現できているので、それらは非常に良かったことと思う。

そして勝の死後、渋沢が慶喜の自伝を書くという事業を始め、初めは嫌がっていた慶喜も途中からは率直にインタビューに応じるようになったことも書かれている。
その中で、勝が話したり書いたりして広まっている話で事実ではないことも多く証言していて、いかにもありそうな話だと少し笑ってしまった。

これまで意識することがあまりなかった、幕末から明治にかけての偉人たちの関係性が分かりやすく書かれており、興味深く読むことができた。




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超訳 論語と算盤
渋沢 栄一 (著), 阿部 正一郎 (翻訳)
総合法令出版 2011/5/21



渋沢栄一の『論語と算盤』を現代的に分かりやすく現代語訳している作品。

構成もすっきりしていて、訳文も読みやすい。
また、怪しい祈祷師にはまったおばを論破して迷信の打破を説いている話などが面白い。

それなのに、この手の類書を多く読んで新たな発見が減ったためか、著者の訳文が合わなかったのか分からないが、それほど好印象でもなかったのはなぜだろう?

『論語と算盤』を現代語訳した作品であれば、齋藤孝氏の『現代語訳 論語と算盤』の方がいいと思う。






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渋沢栄一 100の言葉
津本 陽 (監修)
宝島社 2016/6/11



作家の津本陽が監修した、渋沢栄一の言葉100をエピソードとともに紹介している作品。
1つの言葉あたり見開き2ページの構成で、若い頃から晩年にかけての渋沢の写真が豊富に掲載されている。

『渋沢栄一訓言集』、『青淵百話』、『論語と算盤』、『論語講義』などに収録されている言葉が収録されていて、味わい深い。

自分の利益と社会や国家の利益、道徳と利益のように、正しいことと利益を求めることは相反するものではなく、正しく利益を求めることが世の中のためになるという『論語と算盤』でも書かれていることや、自立した生き方の重要性、貧富の差に対しては自助努力を助ける方向を勧めていることなど、渋沢の考え方を知ることができる。

若者が「やりたい仕事をさせてもらえない」と言う風潮は明治時代にもあったようで、これに対しては「仕事を引き付ける能力がないのではないか」と手厳しいがその通りと思える言葉を残している。

どこからでも印象深い言葉を読むことができ、いい作品だと思う。






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