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読んだ本の感想をつづったブログです。


「日本の歴史」4江戸篇 世界一の都市 江戸の繁栄 (WAC BUNKO 237)
「日本の歴史」4江戸篇 世界一の都市 江戸の繁栄 (WAC BUNKO 237)
渡部昇一
ワック 2016-06-24

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渡部昇一による、日本史を語ったシリーズの江戸編。

基本的に鎖国政策には否定的な見解を示していて、鎖国をやっていなければ第二次世界大戦での日米戦争もなかったと語っている。
これは石油の禁輸が要因だったわけだが、日本が江戸時代にも多くの国との幅広い交易を続けていれば東南アジアなどに親日国が多くできていて、日本への石油輸出を止められる事態は発生しなかったというロジックである。
その一方で鎖国によって生み出された繊細な文化もまた大きく評価していて、複雑な感情を持っていることが分かる。

鎖国をはじめとする江戸時代の基本政策は家康の個性による部分が大きいとしていて、明治時代も徳川家のための政治だったという評価も紹介されている。
その後、各時代の為政者による政策を評価している。

まず、新井白石といういかにも儒学者というタイプの人物が政治を担当した場合のユニークな政策の話が印象に残る。
例えば朝鮮通信使や日本に密入国した宣教師のシドッチとも真正面から論戦をしたシーンなどは想像力をかきたてられる。

次に、田沼意次の重商主義や国防、交易といった政策を評価していて、先見性はもっと評価されてもいいと思う。
評判が悪い田沼の時代や11代将軍の家斉の時代に大衆文化が花開いたということは、武士階級は別として民衆の生活が良かったということになると指摘しているのもなるほどと感じた。

そして、徳川吉宗・松平定信・水野忠邦の三大改革のダメさも書いている。
柳沢吉保、荻原重秀、新井白石、間部詮房、田沼意次のような政治家は低い身分から成り上がったために武士の上流階級から評判が悪く、吉宗・定信・忠邦は将軍・将軍の孫・譜代大名と血統の良さで評価される部分が大きいので、史料で過大評価されたとされているのが納得しやすい。
民衆からすれば経費節減と贅沢禁止で経済を冷え込ませた暗君と評価されたようで、歴史を評価するのは難しいと改めて感じる。

幕末に江戸幕府が開国した際の失敗は、幕府が鎖国したのだから自己の判断で開国すればいいものを、諸大名や朝廷に意見を求めてしまったことを挙げている。
次に、井伊直弼が開国路線を進めたのはいいとして、安政の大獄で橋本左内のように有能な人材を多く殺してしまったことを指摘している。彼らの一部が処刑されずに政局が変わってから釈放されていたら、どれだけプラスになったのかが気になる。

他の著作でも見られる論旨の明快さや分かりやすさは本書でも感じられ、興味深く読むことができた。






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[新訳]読書について 知力と精神力を高める読み方
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ショウペンハウエル (著), 渡部 昇一 (翻訳)
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渡部昇一がショウペンハウエルの『読書について』の言葉を抄訳し、言葉の背景や自身の考えなどを語っている作品。

まず、ショウペンハウエルの文章が本質を突いている一方でひねくれた感じという特徴は、彼の経歴が大きく影響していることを解説している。

現代の価値観からすると誤解を生みかねないと判断したのか、編訳者が語りたいことが多かったのかは不明だが、編訳者による読書や学問に関するエッセイという要素の方が強い。

以前読んだ赤坂桃子訳の『読書について』で感じたショウペンハウエルによる文章のウザさがかなり低減されているが、その分物足りない気持ちもある。
それを編訳者の文章で補っているような形であり、ショウペンハウエルに対してけっこうきついことを語っているのも面白い。

例えば、「学者の中には古典の原典を読んでいなくて語っている人がけっこういる」という趣旨の話はなるほどと思った。
最近で言えばメディアなどが批判することが多い教育勅語がそれに当たると思っていて、私はまだ読んだことがないので軽率なことは言えない。
他にも、漫画家の小林よしのりなどの論客や学者たちとの論争に関するエピソードが書かれているのが興味深い。

そして、読むだけでなく書くことが非常に重要だという話も強く印象に残っている。
確かに、このブログを書くようになってから本の読み方に変化が出てきたと思っていて、どこが重要なポイントなのかを意識したり、読み方に緩急をつけたりするようになった。

くせのある作品だが、読書することやアウトプットの仕方などについて考えさせられる部分も多かった。






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決定版 日本人論~日本人だけがもつ「強み」とは何か?~ (扶桑社新書)
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渡部 昇一
扶桑社 2016-07-02

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日本人が古代から行ってきた思考や行動の様式から、日本文明の価値を語っている作品。

現在は戦後から70年以上経過しても思想的には独立できていないことや、マスコミやアカデミズムの世界に日本文明の破壊を目論む左翼の人物がのさばっていることに危機感を抱いているところから話を始めている。

本論では日本が外国の文化を受け入れて変化しながらも基本は変わらずに続けていくこと、仏教や律令、キリスト教などの毒素をうまく薄めた形で受容した器用さ、飛鳥時代から奈良時代にかけては仏教が日本文化を上書きしてしまう恐れがあったという話などが印象に残る。

また、日本の支配層であった武士たちが中国・唐の太宗・李世民と家臣の問答集である『貞観政要』を熱心に学んだことで、外国人がすぐには信じられないと思われる、支配層なのに貧しくなっていくという現象が発生したという話も面白い。

他にも白人が絶対的に優位だと思われていたのを覆し、世界最強のアメリカと近代戦を行った意義、飛鳥時代からの歴史がある留学システムの活用、外来のものを受け入れてさらに優れたものを作り上げる特質などについての話がなかなか良かった。

少し美化した感じが強いようなところもあるが、マスコミの報道などが過剰に自虐的な傾向があるので、これくらいの強い語り口の本を読んだ方がバランスが取れるのだろう。






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ローマの名言一日一言 (致知一日一言シリーズ)
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渡部 昇一
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古代ローマ帝国時代にさまざまな人物が語った名言を、1日に1つずつという構成で紹介・解説している作品。
中国や日本の名言に関する本は何冊か読んできたが、古代ローマのものは読んだ記憶がないので読んでみた。

人生、人間関係、金銭、運命、地位、政治、法律など、遠い昔に語られたものではあるが、驚くほど現在でも通用する言葉が多い。

よく知られていることわざと同じ趣旨の言葉も多く収録されていて、元ネタが本書に収録されている言葉なのか、それとも中国や日本、欧米など別の地域で語られた言葉とたまたま似ていたものなのかは分かりにくいが、時代や地域を問わず共通する認識というものがあるのだろう。

中庸の美徳を説く言葉もしばしば見受けられ、『論語』など儒教の言葉と共通しているところも興味深いし、キリスト教に染まる前はこのような考え方がなされていたのかとも想像してみたりした。

本書の中では、「忍耐は禍の防波堤」とか「これらの苦痛を想い出す時はいつかきっと楽しみとなるであろう」、「我々の生きている間、生きよ」のように、つらいことがあっても自暴自棄になったりせずに事態が好転することを信じて努力を続けることが重要という意味の言葉が特に印象深い。

また、他人の評価は急いでしてはいけないこと、何かを与えたり親切にすることは相手を見て行うべきことなど、経験に裏打ちされたと思われる言葉が多い。

ただ、この手の本でしばしば見られる、著者が解説で余計なことを語りすぎるという弊害は本書でも見受けられるのは少々残念に感じる。
特に、小林秀雄とか戸塚ヨットスクールの話をされても現在ではあまり伝わらないと思う。

それはそれとして、あまり目にした事のない言葉が多く収録されていたのはなかなか良かった。
他に類書を探して読んでみようかとも考えている






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「君主論」55の教え (知的生きかた文庫)
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ニッコロ・マキアヴェリ (著), 渡部 昇一 (翻訳)
三笠書房 2011-09-21

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渡部昇一による、マキャベリの『君主論』において、当時のイタリアの政情で現代人から見て分かりにくいところ、あまり関心を持たれなさそうなところを切り落とし、分かりやすく抄訳している作品。

君主国と共和国の違い、冷酷さの使いどころ、気前の良さは権力の座についてからは有害など、他の『君主論』関連作品に書かれているものと同様の内容だが、本書はかなり分かりやすい方の作品に属すると思う。

特に、成功した君主と失敗した君主の違いについての部分が比較的分かりやすいように感じる。

イタリア半島はヴェネチア、ローマ教皇領、ミラノ公国、ナポリ王国といった小国に分裂しており、軍事的にスイスの傭兵に依存していたり、フランスやスペインが内乱に乗じて事あるごとに侵略するなど、かなり混乱した政情であることが分かる。

軍事的にやや劣るということもあり、こうした政治的な駆け引きが発達したのではないかと思う。
フランスから見るとイタリアは戦争を知らず、イタリアから見るとフランスは政治を知らないという趣旨のことが書いてあった。

平清盛(敵対勢力の弾圧が不徹底で源氏の逆襲を許す)や足利尊氏(気前が良すぎて大名たちに権力と財力を与えすぎたり、脇が甘くて家来の反乱が相次いで南北朝の混乱を長引かせてしまった)など、日本で『君主論』でダメとしているやり方で失敗した日本史上の偉人たちを思い起こしながら読んでいった。




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