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読んだ本の感想をつづったブログです。


5分間SF (ハヤカワ文庫JA)
草上 仁 (著), YOUCHAN (イラスト)
早川書房 2019/7/18




SF作家・草上仁による16作から構成される短編集。
ハヤカワ文庫の『2分間ミステリ』のSF版として企画されたものと思われる。

書かれたのが2005年でタイトルが古びた感があるが「ユビキタス」は感じが出ていて良かったし、「大恐竜」や「二つ折りの恋文が」、「ナイフィ」、「半身の魚」あたりはベタなSFの設定を使った作品でSFを前面に出した作品集には合っていると思う。

「予告殺人」や「断続殺人事件」、「ひとつの小さな要素」などはパラドックスを扱った作品、「マダム・フィグスの宇宙お料理教室」は筒井康隆の若い頃を思わせる作品だったりと、多彩な作品集に仕上がっている。

ただ、全体を通すとこれまでに読んだ著者の作品と比較すると微妙な出来のような気がしないでもない。
出来のばらつきが大きいのはこれまでにも感じていたことなので、私に合う・合わないが作品によって出ているのだろう。




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日本SF短篇50 III: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
日本SF短篇50 III: 日本SF作家クラブ創立50周年記念アンソロジー (ハヤカワ文庫JA)
日本SF作家クラブ(編)
早川書房 2013-06-06

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SFマガジン700【海外篇】 (ハヤカワ文庫SF)


日本SF作家クラブの創立50周年を記念して編纂されたアンソロジーの第3作。
1983~92年の10年間に書かれた作品の中から10作が収録されている。

この時期はSFのブームがひと段落して少し厳しい時代になってきた感じではあるが、戦後SFの第2世代くらいに当たる作家による、第1巻および第2巻に作品が収録されている初期の方々とは異なるタイプのSFが収録されている。

作品を読んだことのある作家たちの作品も多く、椎名誠「引綱軽便鉄道」、田中芳樹「戦場の夜想曲」、谷甲州「星殺し」、草上仁「ゆっくりと南へ」がそれに当たり、良かったと思う。
中でも草上作品は単行本未収録の短編が多数あるようなので、電子書籍だけでもいいので傑作選などが出てほしいところである。

読んだことのない作家の作品で印象に残ったのは川又千秋「火星甲殻団」、森岡浩之「夢の樹が接げたなら」あたりで、関心を持ったので著作を読むことを検討したい。

SFのアンソロジーでありがちなことだが、ジャンルの幅が広いためにあまり関心がなかったり難しく感じる作品もあったりはしたものの、総じては面白い1冊だったと感じている。





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故・星新一より和製フレドリック・ブラウンと称された草上仁によるSF短編集。
運の収支がなされるシビアになされる社会を描く表題作の他、下記の6編が収録されている。
  • 主人公が乗る宇宙船がある小惑星に不時着し、住民たちから「夜」や「天」が恐ろしいとの話を聞き、 徐々にその恐ろしさが分かってくる「夜を明るく」
  • 宇宙船の壊れた部分の補修に、意識を持つ材料を使用することでトラブルが続出する「セルメック」
  • 強靭な甲羅を持つカニそっくりな異星人とともに、以前その異星人の同族が植民したと思われる 惑星を探検する「割れた甲冑」
  • アンケート回答者が行方不明となる事件から話が展開していく「牛乳屋」
  • ロボットやクローン人間が登場する少々気持ち悪い童話の「可愛そうな王女の話」

これまでに読んだ草上作品の中では、普通よりやや下という感じの評価となった。
「夜を明るく」と「割れた甲冑」は面白かったが、表題作や「牛乳屋」、「可愛そうな王女の話」などはあまり面白くなかった。



5分間SF (ハヤカワ文庫JA)
草上 仁
早川書房 2019/7/18


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草上仁による、5作のSF短編集。
下記の作品が収録されている。
  • 地球圏の天才科学者が他の銀河系へ旅行しようとして、機密流出を恐れる当局との間で騒動になる「国境を越えて」
  • 被子植物から進化した異星人から、有害図書に関するクレームを受けて当惑する「ポルノグラフィック」
  • アシモフの『鋼鉄都市』や『はだかの太陽』のようなSFミステリーである「転送室の殺人」
  • セカ星で栽培される、夜にさやがライトのように光る豆をめぐる話である「豆電球」
  • 宇宙移民用の巨大な宇宙船内の都市で、スペース利用の都合でウサギが処分されそうになったことで子どもたちが市長に対して取った手段を描いた表題作

この中では、アイデアと伏線の張り方が絶妙な「ポルノグラフィティ」と、地球からやって来た調査担当者からセカ豆を守ろうとする地球人とセカ人の考え方が徐々につながってくる「豆電球」が特に面白かった。

著者の作品を読むのは4冊目となるが、それぞれの短編が独特のアイデアが用いられた一定以上のレベルであり、古びてもいないことをひしひしと感じる。

寡作だとは言え、作品の多くが絶版になっているのはかなり惜しいと思っている。



5分間SF (ハヤカワ文庫JA)
草上 仁
早川書房 2019/7/18


鋼鉄都市 (ハヤカワ文庫 SF 336)
アイザック・アシモフ (著), 福島 正実 (翻訳)
早川書房 1979/3


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草上仁による5作のSF短編集。
以前読んだ『お喋りセッション』がなかなか面白かったので、ブックオフにて105円で販売されていたものを購入して読んだ。

収録されているのは以下のもので、これまで読んだ草上作品3冊の中では最も面白かった。
  • 「無重力でも快適」:無重力下でも快適に用を足せるトイレシステム会社のサポート担当者が、ある事情から怒り狂った顧客の宇宙船員と珍妙なやり取りをする表題作
  • 「クーラー売ります」:マーケティング担当の無能さにより、寒冷化の進んでいる惑星へクーラーの販売に行かされた営業マンの奮闘を描いたドタバタ劇
  • 「太公望」:知的生命体探索チームを乗せた宇宙船が湖のある惑星で探査を始めたが、釣り好きの船長が釣りを始めることから意外な事態が発生するユーモアSF
  • 「ウィークスを探して」:人類がかつて愛した知的生命体を探し求める男を描いた本書内での異色作
  • 「ヘイブン・オートメーション」:人口増大により事務処理に追われて過労状態となっている神々の世界へ、セールスマンが登場して解決策を提示する作品

この中では特に、天然なのか意地悪なのか分かりにくい主人公と隠し事のある船の乗組員がコントのようなやり取りを繰り広げる表題作と、釣り好きの船長が知的生命体探査そっちのけで釣りに熱中する「太公望」が笑える好きな作品だった。

解説を星新一が書いていて、著者は和製フレドリック・ブラウンのような評判があるらしいことが分かった。
少なくとも本書が発行された当時は会社員との兼業だったことも書かれており、作品がそれほど多くないように感じるのも理解できた。





5分間SF (ハヤカワ文庫JA)
草上 仁
早川書房 2019/7/18


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