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読んだ本の感想をつづったブログです。



すみだ北斎美術館(奥田敦子) (編著)
講談社 (2020/7/16)


2016年に開館したすみだ北斎美術館が所蔵する葛飾北斎の『冨嶽三十六景』をカラー写真を掲載し、構図別に解説を加えている作品集。

この作品の代表に挙げられることが多い「神奈川沖浪裏」(グレート・ウエーブ)や「凱風快晴」、「山下白雨」をはじめとして、山梨県側から見た富士山の景色や、橋げたや製作中の桶、建物の軒など、直線と円を多用して富士山がどこかで見える構図となっている浮世絵が多く掲載されていて、そのすごさを改めて感じることができる。

「神奈川沖浪裏」のダイナミックな波の絵は現在知られている形になるまでに何度か描かれてきたことが紹介されていて、名作になるには時間がかかるものも多いことが分かる。

手に取って見やすいサイズなので、手元に置いて気が向いたときに見返すのにも向いている。
すみだ北斎美術館は行ったことがないので、いずれ行ってみたい気持ちもある。




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九州国立博物館 (編著)
講談社 (2022/4/18)


4月に観に行った九州国立博物館「特別展 北斎」の図録本。

特別展は前期しか行かなかったので、目玉となる「日新除魔図」(獅子に関連した絵を描き続けたシリーズもの)で観ていなかった絵も観ることができる。
獅子に乗った閻魔大王や達磨さん、金太郎や、獅子舞で様々なことをやっている絵など、笑いの要素が強めな絵も多いのが面白い。

「日新除魔図」を描き続けた理由には、孫の素行の悪さがあったらしいことも紹介されていて、北斎のような人でもそうした悩みを持っていたのだと親しみがわく。

また、北斎の絵に影響を受けて書いたと思われる広重の絵との比較や、北斎が日本画、中国画、西洋画など多くの画風を取り入れて絵を描いたことから同時代の評論家みたいな人に「真似ばかりしている」という趣旨のことを書かれた話が紹介されているのも興味深い。

特別展で観たり読んだりしなかったことが多く扱われていて、興味深く読むことができた。




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この週末、九州国立博物館に「特別展 北斎」(2022年4月16日~6月12日)を観に行った。
10時少し前とけっこう早く行ったつもりだったが、すでに混んでいて鉄板の人気展ということを改めて実感した。

今回の展示の目玉は、2017年に本博物館に寄贈された重要文化財の「日新除魔図」という、北斎が個人的に1年間ほぼ毎日獅子に関連した絵を描き続けたシリーズもので、松代藩士の宮本慎助にプレゼントしたものだという。

北斎が世話になった宮本に絵を描いて贈る話をしていたところ、娘の阿栄(葛飾応為)から「うちの父は約束を破ることが多い。描きためていたこれをプレゼントしたら?」と提案して宮本家に渡り、色々あって寄贈されることになった経緯が書かれている。
北斎と阿栄のキャラクターが伝わってきてここですでに面白い。

この「日新除魔図」は時々数日分まとめて1枚になっていたり、9月頃は多忙で余裕がなかったのか?北斎や宮本が他の人に譲ったりして散逸したのか?分からないが少なかったりもするが、かなりの制作頻度となっている。
SNSのある現代に北斎が活きていたら、ハイペースでアップしていただろうと想像してしまった。

描かれているのは(当時としては)スタンダードな唐獅子が多く、次に獅子舞の絵をよく目にする。
菩薩様や金太郎が獅子の上に乗っている絵や、獅子舞の獅子頭を外して休憩している人の絵など、笑いを狙った作品も多くて楽しい。

また、このシリーズの多くを撮影可能というのがすごい。
あまりきれいに撮れていないが、少しだけ撮影した。
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他にも、代表作の「富嶽三十六景」や美人画、九州初公開となる天井画の「龍図」と「鳳凰図」なども展示されていて、かなり充実した特別展となっていた。

そして、出口の少し前のところでは漫画家・しりあがり寿氏による北斎のパロディ画が3点展示されている。
神奈川沖浪裏を太陽のコロナに見立てた絵、突風に旅人が慌てている絵を台風中継に見立てた絵、展望台から富士山を眺める人たちに自撮りをさせる絵の3点で、後2点は山田全自動氏のイラストを思わせるもので面白かった。

5月17日からは展示替えをするそうなので、もう1度行ってもいいかなと思っている。




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先週、福岡市美術館で開催中の「大浮世絵展-歌麿、写楽、北斎、 広重、国芳 夢の競演」(開催期間:2020年1月28日〜3月22日)を観に行った。
北斎や国芳の特別展は過去にも観に行ったことがあるが、観ていて飽きない。

歌麿と写楽はおそらくこうした特別展で見るのは初めてで、歌麿の美人画はそれほどピンときたわけでもなかったが、写楽の代表作である「江戸兵衛」の絵が見られたのにはテンションが上がった。
また、脇役の2人組を描いた絵は、サンドウィッチマンのように仲のいい芸人のコンビを連想させてくれるように感じたのも楽しかった。

北斎では有名で既に知っている『富嶽三十六景』や『諸国瀧廻り』、広重だと『東海道五十三次』や『木曽街道六十九次』、『名所江戸百景』などの他に、あまり知らなかった北斎の『千絵の海』や広重の『近江八景』といった作品が展示されていて、これだけでも観に来た意義があったとすら思った。

国芳では大胆な構図や魅力的なキャラクター描写、エンターテイメントとして様々な風刺やしゃれなどを駆使した多彩な作品が入っていて、現代でも全く古びていない面白さがあるのはすごいことだと感じる。

充実した展示を楽しむことができ、行って良かったと思う。




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関連タグ : 葛飾北斎, 歌川広重, 歌川国芳,


安村 敏信 (監修)
平凡社 (2010/9/3)


葛飾北斎の代表作の1つである「冨嶽三十六景」に収録されている46枚(10枚は好評のため増刊)の富士山を描いた浮世絵のカラーグラビアとともに、その解説や現在におけるそれぞれの場所の情報、現在富士山の方向を向けて撮影した写真などとともに紹介している作品。

有名な「神奈川沖浪裏」や「凱風快晴」(通称赤富士)、「山下白雨」といった有名な作品だけでなく、特別展で観たことがないような絵も収録されていて、東は茨城県から西は愛知県あたりまでの広範囲の場所の絵を描いていることを再認識させられる。

現在は東京の都心では当然ながら高層ビルによって富士山を見ることができない場所が多いが、東京よりも東の霞が関沿岸や、千葉県の多くの場所ではきっちり富士山が映っている写真が掲載されていて、天気が良ければ思っていた以上に広範囲で富士山が見えるということに驚いたりもした。

北斎の生涯や作品について語っている解説文やコラムも、読んでみるとなかなか面白い。
例えば風景画を多く描いたことで比較されることもある歌川広重との違いは何か?というコラムでは、どちらも現実にない風景を描く場合もあるが、広重の場合は写実的に描くのに対し、北斎は構図などのインパクトを重視して描くようなことが書かれていて、確かにその通りだと納得した。

「冨嶽三十六景」についての解説によって新たに知る部分も多く、興味深く読むことができた。





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