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読んだ本の感想をつづったブログです。



童門 冬二 (著)
青春出版社 (2002/7/1)


藤堂高虎について読んだ、多分初めての歴史小説。
久しぶりに読み返した。

二番手での生きがいや、城づくりというやりたいことを実現するためにも、現在の仕事を手を抜かずに尽力することや、出世しすぎて周囲のやっかみを買わないようにするなど、サラリーマン的な感じで高虎が描かれているのが面白い。

羽柴秀長や徳川家康、本多正信、天海僧正といった周囲の人々との関係性も、多少作家の想像が行き過ぎている気がしなくもないが、そんなことを考えていたのかもしれないと思ったりもした。

分かりやすい構成や文体で書かれていて、読みやすい。




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関連タグ : 童門冬二, 藤堂高虎,

7人の主君を渡り歩いた男 藤堂高虎という生き方
7人の主君を渡り歩いた男 藤堂高虎という生き方
江宮 隆之
KADOKAWA 2015-12-18

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立花宗茂 「義」という生き方 (新人物文庫)
藤堂高虎


7回主君を変えた戦国大名として知られる藤堂高虎について、その生涯と学ぶポイントを解説している伝記。

若い頃は恵まれた体格を活かした猪武者だった高虎が羽柴秀長をはじめとする多くの人々と出会うことでさまざまな教養やスキルを身につけ、戦乱の世だけでなく太平の世でも活躍するに至った経緯が書かれている。

同時代の人物が「ゴマすり大名」とか「日和見」などと評した史料はないそうで、こうした評価は江戸時代以降に歴史の話を面白くするためにいやな役としてキャラ付けされたという部分が大きいようである。

これが自分あるいは子どもの代に改易となった加藤清正や福島正則などと比較すると、家が続いたかどうかという点で成功と失敗のポイントが分かる気がする。
著者は高虎が手堅く生きてきたと評価していて、ある程度納得する。

以前読んだ『江戸時代の設計者―異能の武将・藤堂高虎』にも書かれていた、領地である伊賀と伊勢は従来上方との交易を重視されていたのを、当時だとデメリットの方が大きいと判断して上方との交易を制限して保護貿易に当たることを行ったり、街道が城下町を通るように整備したことなど、近代的な政策を紹介している。

他には大阪夏の陣で長宗我部盛親軍と激闘を繰り広げて部将を多く失ったが、戦後に長宗我部の残党を雇い入れたことなど、まだまだ知らなかった事績が書かれていた。

高虎が7回主君を変えたといっても、主君の死や隠居などで本人の努力ではどうしようもないケースが2~3回あったわけで、戦国時代の事情を考慮するとそこまで珍しくなかったのかもしれない。
ただ、成功して長生きしたために目立ったのだろうと思う。

高虎についての本はこれまで何冊か読んでいるが、本書もなかなか読みごたえがあった。





藤堂高虎藤堂高虎

横山 高治
創元社 2008-12-01

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藤堂高虎 (人物文庫 む 3-32)藤堂高虎 (人物文庫 む 3-32)

村上 元三
学陽書房 2008-02

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下天を謀る(上)
下天を謀る(上)安部 龍太郎 (著)
新潮社 2009-11-27

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下天を謀る(下)
道誉と正成
小太郎の左腕
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墨染の鎧〈上〉


安部龍太郎による、藤堂高虎の生涯を描いた歴史小説。
以前読んだ『江戸時代の設計者―異能の武将・藤堂高虎』を参考文献になっていることがあとがきに書かれており、江戸時代の城作りや街づくりなどの社会整備に多大な貢献をしたという面が多く描かれていて厚みがある。

水野家の照葉姫とのロマンス、照葉のいとこの勝成や加藤清正らとの友情、そして高虎を見出した羽柴秀長や後年重用した徳川家康とのやりとりなど、多くの名場面が描かれていてドラマとしても面白い。
特に、秀長の後継者である秀保の怪死事件を受けて秀吉への抗議の意味で高野山に出家した際、家康から山から下りるよう説得する書状が場面はタイトルと連動していて印象深かった。

他にも秀吉の晩年における変質には淀殿が裏で操っていたという話や、高虎が加藤清正や池田輝政ら豊臣家の家臣たちから兄貴分と遇されている描写、淀殿の使いにすぎない石田三成が関ヶ原で増田長盛に出した書状の中で愚痴をつづっているところに伊達政宗や大久保長安によるキリシタン同盟の陰謀など、他の作品に書かれていない場面が多く描かれていて飽きさせない。

終盤の大阪冬の陣・夏の陣での描写では少々物足りない感じもするが、火坂雅志の『虎の城 (上) (下)』と同じくらい読みごたえのあるいい作品だったと思う。



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主を七人替え候―藤堂高虎の復権
主を七人替え候―藤堂高虎の復権
小松 哲史
幻冬舎 2007-08

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江戸時代の設計者―異能の武将・藤堂高虎 (講談社現代新書)
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著者が歴史作家ではなくビジネス書の著作の多いライターで、従来と少し違った視点から藤堂高虎の活躍を描いた歴史小説。

最近は何冊か高虎の悪評に反論をしている内容の本が出ているのでそのあたりは斬新というわけでもないが、地方分権というキーワードで高虎の志向を描いているのが特徴である。

また、秀吉の軍師として活躍した黒田如水もまた郷土に対する思いが強く中央権力への反抗をたくらむ人物として描かれていたり、これまで暗君とされてきた浅井長政の父の久政が実は有能な策士であって単に対戦相手(信長)が悪かったとしていたりして、新鮮な感じを与えている。

人名にしばしば誤りがあるのが気になるところで、著者にとっては初の歴史小説らしいので次作以降では正確性を期してほしいところである。




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虎の城 (下)
虎の城 (下)
火坂 雅志
祥伝社 2004-09

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虎の城 (上)
黒衣の宰相 (文春文庫)
天地人〈下〉
江戸時代の設計者―異能の武将・藤堂高虎 (講談社現代新書)
天地人〈上〉

藤堂高虎の生涯を描いた歴史小説の下編。

秀吉政権の末期から関ヶ原を経て徳川幕府の有力大名として多くの功績を残す姿を描いている。

ライバルの石田三成との確執、三成の家老である島左近との一騎打ち、徳川家康からの信頼に応えようとするところなど高虎の見せ場が続く。

また、成長した秀頼の姿に旧主の秀長の面影を見出して豊臣攻めに悩んだり、正室のお久に苦労をかけて後悔したり大阪冬の陣で家臣を多く失った上に筆頭家老の渡辺勘兵衛を処分することになった場面は高虎の苦悩が感じられる。

多くの経験を積んで成長し、秀長そして家康という働きを認めてくれる主君のためには働きを惜しまない高虎の業績は賞賛こそされ、”風見鶏”などと非難すべきではない。

これまで読んだ、高虎の生涯を描いた小説の中では最高のものと感じた。



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