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読んだ本の感想をつづったブログです。


街道をゆく 夜話 (朝日文庫 し 1-55)
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司馬 遼太郎
朝日新聞社 2007-10-10

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司馬遼太郎による短いエッセイや評論、解説、あとがきなどから、『街道をゆく』シリーズにつながるものを集め、地域ごとに構成している作品。

収録された文章の種類と数が多いこともあり、面白い作品、つまらないと感じる作品のばらつきが大きい。
内容としては出会った人とのローカルすぎるやり取りを長く続けたり、地域振興などのために書かされたと思われる作品が厳しい。
おそらく著者がまとめてほしくなかったと思っているものも多いのではないだろうか。

興味深かったのは幕末に会津から激動の舞台に引っ張り出された秋月悌次郎の素朴な感じや、京都の人に見られる複雑な感情、出雲の人々に見られる大和への反感や石見の人から嫌われる事情、播磨の三木城で秀吉軍との篭城戦を戦った別所氏の時代遅れな見識などで、どうやら話の広がりと面白さに相関関係がありそうである。

解説文には『街道をゆく』シリーズの入門書に最適と書かれているが、そうでもないと思っている。
理由は本作の文章だと著者の話が脱線したままになったり、話が戻っても残りのページ数が少なかった場合が多かったことによる。
『街道をゆく』シリーズは私にとっては、つまらない脱線と面白い脱線を読み分けるもので、ある程度のページ数がないと良さが出ないような気がしている。






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街道をゆく 42 三浦半島記 (朝日文庫)
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司馬 遼太郎
朝日新聞出版 2009-05-07

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司馬遼太郎による『街道をゆく』シリーズの第42巻で、三浦半島を中心に書かれている。

小栗上野介が幕末に造船所を建設した横須賀や、鎌倉時代に幕府の外港だった六浦や北条実時の金沢文庫で知られる横浜市金沢区、鎌倉の鶴岡八幡宮、さらには海でつながった伊豆半島や房総半島などにも話が及んでいる。

最も多く扱われているのは鎌倉幕府に関する話で、源頼朝がいかに武士という農場主の階級からのニーズに応えてきたかや、頼朝の死後に北条氏が梶原景時、比企一族、畠山重忠、和田義盛、三浦一族といった有力御家人のライバルを滅ぼしていったエピソードが印象に残る。
平家の興亡や義経、範頼、頼家、実朝といった源氏の悲劇、西行法師と頼朝の関わりなども書かれていて、初めて知る話も多い。

また、横須賀と関わりの深い日本海軍の興亡として、日露戦争での日本海海戦、大東亜戦争でのミッドウェー海戦、キスカ島からの撤退作戦、「スマートであれ」という海軍での教えについてなどの話が興味深い。
陸軍に徴兵されていて著者からすると、「それに比べて陸軍は・・・」という愚痴を語ってしまっているのは仕方のないところだろう。

できれば室町時代の関東管領だった上杉氏や戦国時代の後北条氏についての話ももっと知りたかったが、このシリーズの中ではなかなかいい方の作品に入ると思う。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】神田界隈
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司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-02-19

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司馬遼太郎の代表的な紀行文シリーズにおける神田編。

中世だと平将門ゆかりの神田明神、家康による江戸入府の頃は上水、江戸時代は昌平坂学問所のあった湯島、明治時代は多くの学校、近代以降は古書の町である神保町と、読んでいくと神田界隈は多くのスポットを抱え込んだ地域だということが分かってくる。

明治時代に創設された学校では医学と法学を教える学校についての話が多く、特に明治大学、中央大学、専修大学、法政大学、日本大学と、プロ野球のドラフトでよく目にする私大の多くが元々は法律の専門学校としてスタートしたことは知らなかったので少し驚いた。

古書店街にまつわる話だと、岩波書店の創設者である岩波茂雄をはじめとする古書についの驚くべき目利きが紹介されていて、終戦後に二束三文で売りに出されていた古書を買い取っていったエピソードなどが印象に残る。
この章では敗戦に関連し、反日を叫ぶような言論は戦前に戦争を煽ってきたことの裏返しのような意味のことが書かれていて、自己の過ちを反省もせずに他者にばかり謝罪を求める朝日新聞や毎日新聞が連想された。

神田に墓があるということで、大隈重信の先生から明治政府の顧問格になったとされるフルベッキの話も興味深い。
彼はオランダ出身でアメリカを経て来日したが、一般教養しか学んでいなかった経歴から国籍や専門にとらわれることなく政府にアドバイスができたのが非常に良かったという話が書かれている。
フルベッキは幕末や明治に行われた陰謀論に引っ張り出されることが多いが、まともな話を初めて読んだような気がする。

明治時代についてはあまり詳しくないが、急な国づくりを進めていく上で色々と無理をしなければならなかったエピソードが多く書かれていて、もっと知られてもいいように感じた。

本書でも印象深い話を多く知ることができ、読んで良かったと思う。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈II
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司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-03-25

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司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズにおける東京の本郷編に用語解説や詳細地図をつけて読みやすくした作品の下巻。
体裁が異なることでいかに読みやすくなるかを実感しながら読んだ。

下巻では本郷が大名や旗本の邸だった性格と、明治時代に東京大学ができてお雇い外国人が来たことで「欧米文明の配電盤」としての役割を果たした話を中心に語っている。

大名の話では『水戸黄門』の主人公となった徳川光圀の話、そして祖国である明が滅亡した後に光圀から招かれて厚遇を受けた儒学者の朱舜水の話が印象に残る。
朱舜水は志士だったが特に業績は残していないことを語っていて、日本で人々から一方的に尊敬の念を受けたような話が書かれているのが興味深い。
また、光圀が前田家と近藤登之助というあくの強い旗本の間で発生したトラブルを仲裁したエピソードも印象に残る。

明治の話では、本郷を中心に欧米の文明が広まっていったことが日本人の「東京と地方」という意識構造につながっているとして、夏目漱石の『三四郎』を題材に語っている。
漱石は弟子で物理学者の寺田寅彦から聞いた話だけでリアルな実験シーンを書いていて、例えば芥川龍之介もそうだが文学にも数学的な素養や意識が大いに役立つのだろうと感じた。

文学がらみでは漱石の他にも坪内逍遥、樋口一葉、正岡子規といった人々の話が出てきて、例えば樋口一葉の父親の上司が夏目漱石の父親だったなど、思わぬ関係性が出ているのに驚かされる。

他にも江戸時代に北方探検で活躍した最上徳内や近藤重蔵、西欧流の砲学を定着させた高島秋帆、適塾で大村益次郎や福沢諭吉を教えた緒方洪庵など、読んだり聞いたりしたことのある人物のエピソードが書かれていてあまり飽きなかった。

「本郷」という響きだけだとあまりピンとこなかったが、多くの歴史上の話が詰まった興味深い場所だということが分かり、読んで良かったと思っている。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈I司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈I

司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-03-25

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司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズにおける東京の本郷編に用語解説や詳細地図をつけて読みやすくした作品の上巻。

このシリーズは作品によっては興味のない話が続いて読むのに時間がかかることがあり、こうした形式でも読めるようにしてあるのは助かる。
率直なところ、この形式でなかったら読まなかったかもしれない。

この本郷というのは東京大学のあるところで、東京に住んでいた頃に東大が情報処理関連の試験会場だったために1度だけ訪れているが、あまり予備知識がなかったのであまりこれはという感想を持っていない。

東大のある場所は江戸時代は加賀藩前田家の屋敷であり、明治時代には大森貝塚の発見で知られるモースや日本美術の良さを欧米に広めたフェノロサのようなお雇い外国人の屋敷を経て東大になったという経緯が語られていて、思っていた以上に有名な人物が何人も登場する。

また、先日読んだ歴史小説である『家康、江戸を建てる』に登場する大久保藤五郎(主水)が引いた上水道があったり、夏目漱石や森鴎外、漱石の弟子に当たる寺田寅彦が住んでいた場所、三菱財閥創業者である岩崎弥太郎の屋敷、三代将軍家光の乳母で大奥を仕切った春日局の墓と、歴史上の人物にまつわる名所旧跡が多く扱われ、それらから彼らのエピソードが語られていく。

東京に住んでいたころに本書を読んでいたら見て回ったかもしれないと思うし、それくらい興味深い内容だった。
面白かったので、下巻も読むつもりである。






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