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読書:雨読夜話

ここでは、「読書」 に関する記事を紹介しています。



川井 昂 (著), 四季 童子 (イラスト)
主婦の友社 (2016/12/28)


小説投稿サイト「小説家になろう」で連載中のライトノベル『傭兵団の料理番』の書籍化した作品の第2巻。
第1巻が面白かったのと、WEB版に登場しないキャラクターや設定が書籍版では大幅に加筆されているようなので、続けて読んだ。

本作では弓隊の隊長でチャラい雰囲気のテグ、花魁みたいな見た目で特殊工作部隊の隊長でもあるアサギ、そしてニュービスト王国の王女で12歳ながら政治家としても能力を示すテビスとの回が収録されている。

テグとテビスはWEB版でも登場していたので話は大体分かっていたが、アサギは書籍版からの登場なので新鮮に感じながら読んだ。
花魁みたいな話し方は使い方として合っているのか怪しかったり、語り手としてもその口調でされるので違和感が強かった部分もあるものの、博打好きで女性的な魅力を前面に出したキャラクターはガングレイブ傭兵団に彩りを加えている。

雰囲気や設定、キャラクターなどが魅力的で、続けて読んでいるのだろう。
次の第3巻も読んでみる。





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森岡 知範 (著), 五味 洋治 (著), 角田 陽一 (著), 角田 裕育 (著)
宝島社 (2018/7/26)


東京やその近郊にある地下鉄、地下街、地下道、地下施設、地下水路などについて、101のトピックに分けて紹介・解説している作品。
地下施設の話は結構好きなので、本書も読んでみた。

この手の本を10冊くらいは読んだと思うので知っているものもそれなりにあるが、比較的新しいだけあって知らない話も多く扱われていて興味深く読むことができた。

例えば首都圏外郭放水路のことは知っていたが、正式名称が庄和排水機場で別名が「龍Q館」ということや、環状七号線の地下にも洪水対策のトンネルが存在して東京湾までの延長計画があることなどは知らなかった。
この環状七号線の下にあるトンネルの延長はこれまでの洪水対策が機能したために優先度が下げられたようである。

昨年は多摩川下流域の武蔵小杉などが豪雨による洪水に見舞われてタワーマンションが被害を受けたニュースが報道されていたが、元々は軟弱な地盤の工場用地だったわけだし、さすがに対策が立てられていなかったのだろう。
洪水が起こりそうな場所にマンションを多数建設して災害が起きたら税金で対策を・・・という話になると、理解が得られるのか少々疑問がある。

また、高輪の真言宗寺院の地下に変電所があることは知っていたが、他にもさまざまな場所にこうした地下変電所があって安定した電力供給を支えている話も興味深い。
場所はテロの問題があるので某所とぼかされていて、正しい判断だと思う。

他にも昔の雰囲気が残る地下街や、新たな名所となりそうな地下のスポット、地下の歴史遺産など多くの話が扱われている。

『大東京の地下鉄道99の謎―各駅の地底に眠る戦前の国家機密!』の著者である秋庭俊氏による地下施設に関する疑惑(旧日本軍が地下施設を建設していたのでは?というもの)にも触れているが、秋庭氏みたいに「隠されているから政府は真相を語れ!」みたいなことは書かれておらず、「おそらく当時の経済情勢では無理」とか「真相が明らかになることはおそらくない」とか「そんな施設を作ったら多くの作業員から漏れないとは思えない」など、冷静な意見が書かれていたのが面白かった。

好きなテーマについて新たな知識を得ることができ、読んでよかったと思う。





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蝉川 夏哉 (著), ノブヨシ侍 (イラスト), 転 (キャラクター原案)
宝島社 (2018/6/20)


異世界で営業している日本の居酒屋を舞台としたライトノベル『異世界居酒屋「のぶ」』コミック化した作品の、さらにスピンオフという、売れた作品に便乗に便乗を重ねたという作品。

内容としてはアルバイトのエーファが、しのぶが大将の目を盗んでおやつ作りを手伝わされておいしく食べ、後でしのぶが大将に叱られるというもので、レシピも紹介されている。

かなりデフォルメされた画風とキャラクター設定で、あまり好きな作品ではないが、この内容でも一定の需要はあるということなのだろう。





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森 博嗣 (著)
SBクリエイティブ (2020/4/7)


現在は退官しているが国立大学の工学部助教授を務めながら作家を続けてきた作家による、お金ややりたいことに関する考え方を語っている作品。
編集者からは「お金の増やし方」についてのテーマを依頼されたが、著者はあまのじゃくのようなのでこのタイトルになったことが最初に書かれている。

ざっくりと著者の語りたいことをまとめると「本当に欲しいもの、やりたいことにお金がかかるのであれば、計画を立てて費用を調達する手段を取ること、ただし借金はダメ」ということになり、著者が副業で作家をするようになったのも、趣味である鉄道のミニチュアやラジコンなどの機材や工作用具、遊ぶための土地や家を得るためと語っていて、そこから「やりたいことをやってお金を減らす」という話に続いていく。

そしてもう1つ特徴的なのは、「必要なものに金をかけない」というもので、このために奥さんや子供に苦労を掛けてしまったとも書いている。
これは、「必要だから」と理由付けをすると安易にお金が出ていくため、そうならないための努力や工夫をすることだと解釈した。

著者がこの方法を実践できたのは「やりたいこと・欲しいもの」が明確になっていたためであり、他の人がなかなかできないのはこれらが明確になっていなかったり、他者との関係での欲求(自慢とか見栄とか)を優先してしまうためという。

お金を得る・増やす方法としては結局のところ、自分の能力を高めて仕事などで稼ぐ力をつけることが最も確実という、王道な話になっている。

それにしても、多忙な大学の勤務でもできる副業を探して作家という方法を選び、すぐにヒット作を連発したというのは「何だそれ?」と思うくらいうまくいっているように感じ、著者もそのように書いている。
ただ、それらを実現するための努力や工夫も十分にやってきたということだろう。

著者の金がかかる趣味に対して「面白そうだけどお金がないからできない」と言われることも多いようで、これは本当にお金がないからというよりも、本当にやりたいわけでもないのにしない理由付けとしてお金をつかっているだけと語っていて、大いに同意できる。

仮に何らかの趣味などを勧められたとして、「お金がないからできない」と言ったら、「お金があったら本当にやるのか?」ということになるので、自分はお金は理由にしないようにしている。
(単純に関心がないとか、合わなそうとかの理由で)
「お金がないからできない」を使うのは、借金を頼まれて断る時くらいである。
(さすがに「あなたのために貸したいお金などない」とまでは言えない・・・)

この「お金がないからできない」のバリエーションは他にもあり、以前ある人から「だって私はできないから(あなたがやってほしい)」みたいなことを言われ、「そんなことないだろう。単に面倒だからやりたくないだけだろう」と思ったけど言わなかったことを思い出した。

もう1つあるのが議論に近いおしゃべりをしている時に人によっては「そんなの分からないし・・・」みたいなことを言ってこちらの話を遮ろうとする場合で、これは「分からない」のではなく「分かりたくない、知りたくない、聞きたくない」ということだと解釈している。
それにしても自分は言いたいことを言ってこちらが話しかけてそう返されると、話をする気がなくなる。

やりたいことが明確になっているか?と言われると自信がないし、必ずしも他人を気にしないでいるかも分からない部分があり、その意味ではこうした考え方をはっきり明示してもらえたので、読んで良かったと思う。






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狩野博幸 (監修)
河出書房新社 (2019/11/13)


主に江戸時代から明治時代初めまでに描かれた浮世絵などのうち、面白さや風刺がメインとなった絵を紹介・解説している作品。

国芳や暁斎、芳年、広景、落合芳幾といった江戸時代後期の絵師たちの作品や、近江で土産物として販売されていた大津絵、百鬼夜行絵巻などはこれまで他の本で読んだり、美術館の特別展などで観たりしていて、改めて楽しむことができた。

初めて知った種類では江戸時代中期に大坂ではやったという鳥羽絵という細い体つきでユーモラスな表情や動きに特徴がある絵や、耳鳥斎(にちょうさい)という江戸時代中期に大坂で活躍した絵師によるシンプルにデフォルメした絵などが印象に残る。

これらを見ていると、デフォルメした技法は日本で長らく好まれ描かれてきたものであり、先日読んだ『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議 (2)』で作者が「デフォルメした技法が難しい」と語っていたこととも符合しているように思う。

それを考えると、現在の漫画もこうしたゆかいな浮世絵のエッセンスが続いてきているということなのだろう。

題材にしても七福神、福助、閻魔大王、鬼、そのへんの町人、歌舞伎役者、妖怪など多彩で、当時描かれていた対象のトレンドとしても興味深い。

新たな知識を得ながら楽しむことができた。






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