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読書:雨読夜話

ここでは、「読書」 に関する記事を紹介しています。




信長に仕える女忍者を主人公とする4コマ漫画の第3巻。
信長が足利義昭を奉じて上洛しての畿内平定、そして南伊勢侵攻の時期を扱っている。

まずは梟雄・松永久秀が長髪にヘアバンド、豹柄の着物と派手ないでたちでくせのある老人というキャラクターで初登場し、本作で最もインパクトがあって良かった。
千鳥や信長とのやり取りでも久秀らしい言動を見せている。

また、剣豪将軍として知られる足利義輝、文武両道で歌詠みキャラとして登場する細川藤孝、個人的な武力では最強の戦国大名とされる北畠具教とその息子で肥満体の具房、信長の重臣として伊勢攻めを担当していた滝川一益、キリスト教宣教師のルイス・フロイスなどが初登場となっていて、それぞれキャラが立っているので面白い。

主人公の千鳥も多門山城で久秀と会談(?)したり、京では三好三人衆や黒幕となったあの元大名などとの戦い、そして具教との果し合いなどをしていて、魅力を生かした活躍をしていて楽しむことができた。






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神経質でエレガントな読書人、朝廷や室町幕府などの古い文化を大切にする人物、というイメージを持たれることが多い明智光秀が、史料を読んでいくとあくどい面が強い人物ということを語っている作品。

まず、出自には謎が多いものの、美濃の土岐氏に関係していることや室町幕府の下級役人だったのではないか?という話がなされていて、ここは比較的妥当な論であるように感じる。

若い頃は13代将軍足利義輝に仕え、義輝が松永久秀や三好三人衆に殺された後は流浪した後に義輝の弟・義昭や信長に仕えることとなる。
そのあたりから、光秀の強引さや謀略家である面が史料に現れてくる。

他の大名や国人衆もやっていることではあるが皇室や貴族、寺院などの荘園を横領したり、足利義昭のようにかつて仕えた主君や恩を受けた人物も役に立たないと見たら裏切ったり、力関係で自分より弱いとみた人物からは年貢や労働力を徴発したりと、エレガントさとは程遠い人物像が浮かび上がってくる。

そして通説とは異なり比叡山の焼き打ちは光秀が積極的で信長はむしろ引きずられたくらいだったという話はなかなかインパクトがある。

織田家の中でも秀吉とあちこちで主導権争いをしたり、原田長政のように利害が対立する同僚を見殺しにしたり、信長の甥に当たる信澄を娘婿にして影響下に置くなど、大企業内部で社内政治をしているのに似た感じのことをやっている。

こうしたことができるのも実績を挙げていたことはもちろんだが、光秀の妹が信長の女官として絶大な信頼を得ていたらしく、現代で言うところの秘書を通したロビー活動に成功していた面が強いようである。

光秀は近畿地方をみずからの派閥で抑えた上で毛利氏や長宗我部氏などとの協調を志向していたが、対立する宇喜多氏や三好氏を支援する秀吉派の巻き返しに遭って勢力拡大を芽を摘まれてしまう流れで書かれている。
これは信長に影響を与えることができた妹が亡くなってしまったことも関係していた他、織田家のさまざまな人物から恨みを買ってきたことも大きいようである。

光秀もまた戦国時代をたくましく生き抜いてきた武将であることが伝わってきて、興味深く読むことができた。





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本能寺の変と山崎の戦いの後に織田家の方針を決定するために開かれた清須会議 について、多くの史料や近年の研究結果から実像に迫っている作品。

通説で描かれている清須会議 は秀吉を称えるために書かれた史料や軍記物により、秀吉を美化して描かれている場合が多いようで、通説と異なる話も出てくる。

例えば柴田勝家が信孝、秀吉が三法師を推したとされていたが、実際は三法師が家督継承者となることは参加者からは異論はなく、その代理を信雄にするか信孝にするかでもめたようである。
結果として二人のどちらでもなく、家老たちの合議制で運営されるという結論になったと書かれていて、少し意外な印象を受ける。

また、秀吉と不仲だったとされる滝川一益は北条氏との戦いに敗れて排除されたとか会議に間に合わなかったような印象づけられることが多いが、元々関東での戦いを優先するために欠席が決まっていたことも書かれている。

そしてこの時期に家康が北条氏や上杉氏と旧武田氏の領国だった甲斐・信濃・上野をめぐって戦った天正壬午の乱では、家康に対応を一任されていた他、家康から織田家に援軍要請があったものの秀吉・信雄派と勝家・信孝派の対立のために援軍が出せなかった話も書かれている。
結果として家康は独力で北条氏との戦いを有利に進めて甲斐・信濃のほとんどを得ることができたため、秀吉や勝家から干渉を受けずに済んだ面もありそうである。

全体的には主要人物の肖像画や人間関係図、家系図、勢力地図などが多用されていて、かなり分かりやすかったと思う。
三谷幸喜の戯曲や映画で有名な話もまだまだ知らない話があり、興味深く読むことができた。






図説 明智光秀
Posted with Amakuri
柴 裕之(編著)
戎光祥出版 2018/12/7

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NHKで放送されている教養バラエティ番組「ブラタモリ」を書籍化した作品の第13巻。
京都では清水寺と祇園、そして黒部ダムと立山の回が収録されている。

清水寺は「清水の舞台」が有名だが、これは参拝客が増えて拡張する土地がないために崖の下にも拡張した結果だと言う話に驚かされた。
平安時代から参拝客が多かった話や、崖の多い地形がこの世とあの世を結びつける場所と位置づけられた話も面白い。

祇園では元々は建仁寺の敷地だったところが明治の廃仏毀釈で払い下げられた結果形成されたことが語られ、意外と新しいことが分かる。
市電の開通によって風紀上の理由から一つ奥まった通りに移転したというエピソードも納得しやすい。

黒部ダムでは写真からだけでも一端が伝わる巨大さや、電力需要を賄うための場所的な必然性、ダム建設の困難さなどが紹介されていて、あまり知らなかったことが多くて新鮮だった。

立山のところでは氷河と火山によって形成された高原や湿原が紹介されていて、初めて知ったところばかりで日本にはまだ知らない絶景の土地がいくつもあることを再認識させられた。

本作では黒部ダムが最も印象に残り、多くの観光客が訪れるのも理解できた。






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室町時代から信長の出現に至る時代を、経済や金融の観点から解説している作品。
タイトルに信長とついているのに、4部構成のうちの第4部で初めて信長が登場するというのがなかなかすごい。

それでは何が書かれているかというと、信長が戦った既得権益層としての寺社勢力の経済力や軍事力と、それらと持ちつ持たれつの関係を持ってきた室町幕府、そして信長の先駆者に当たる足利義教や細川政元、三好長慶らの事跡などが書かれている。

この時代の背景にあるのは、日本で貨幣を発行しておらず明から銅銭を輸入して流通していたことであり、銅銭の輸入が減ったり途絶えたりするとすぐにデフレになるという問題である。
これと天候の問題により、冷静な判断が下せない人が増えて殺伐とした時代になったと語っている。

その中で力を得たのが
  • 大和の大名として振舞った興福寺(法相宗)
  • 多くの荘園や琵琶湖の物流を握って軍事力もあった「恐怖の山」こと比叡山延暦寺(天台宗)
  • 室町幕府と癒着して貿易利権や税の徴収などでのし上がってきた京都五山(臨済宗)
  • 商工業者としての町衆を支持者に多くの動員力を誇る法華一揆(日蓮宗)
  • 大衆の支持を集めて寺内町システムを構築した本願寺(浄土真宗)
といった大寺院であり、軍閥、商社、銀行、商工ファンド、地主と多くの機能を持つ強大な存在で、朝廷や幕府、大名たちが大変な目にあったことがよく分かる。

こうした大寺院は宗教の権威を背景にかなり暴力的なことをやらかしていて、例えば天文法華の乱で比叡山が法華を攻撃したことによる京都での被害は応仁の乱よりも大きかったというのはすさまじい。

そして権力を宗教から世俗に戻すことに成功した信長の実績は、考えられているよりも大きいものだったことが分かってくる。
これがなければ現在まで宗教勢力の政治への介入と、それに伴う内乱も大変なものだったと思われる。

近いテーマを書いている大村大次郎著『お金の流れで見る戦国時代 歴戦の武将も、そろばんには勝てない』では書かれていない京都五山や法華の話もあり、大変興味深く読むことができた。






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