読書:雨読夜話

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経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ
経済論争の核心はここだ―アダム・スミスに学べ
増田 悦佐
エヌティティ出版 2011-11-28

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「神の見えざる手」という言葉で有名な、自由競争と独占の排除を主張したアダム・スミスの論説が正しく、国家による需要の創出という手法を主張したケインズの方法はエリート主義で経済を衰退させると語っている作品。

経済の統制がさほどなされず、また企業による独占のやり方が比較的分かりやすかった20世紀はじめまでは、インフレとデフレの循環がゆるやかで、大衆が受ける不況のダメージもそれほどひどくなかったらしい。
それが、アメリカでFDR(連邦準備制度)ができてからは、1930年前後の大不況に代表されるように、不況が国民生活全体に大きくダメージを与えるようになったという。

これは、当面の不況を何とかするために打った経済政策で副作用の方が大きくなったり、企業の独占が甘くなったことでGMをはじめとするガリバー企業が思い切った生産削減をやったことで実体経済が大きくダメージを受けること、独占企業は企業努力を怠って腐敗していくこと、格差が拡大するなどの要因があることが書かれている。
そして、こうした統制型の経済政策が、欧米においてついに崩壊しつつあるという見立てとなっている。

一方、日本でも旧通産省などの官庁が企業の統合を推し進めようとしたが、それぞれの企業やその後ろにいる消費者としての大衆がそれを許さなかったために市場が機能しているとしている。
また、1935年に第13代日銀総裁に就任した深井英五の回顧録にも書かれているように、日銀が変な金融政策を実施せずに市場の動きに任せることが多いことを評価している。

これまでケインズ政策は、途上国が最初に使ったり非常事態に際して実施すれば効果があると考えていたが、どうやら一度実施しだしたらなかなかやめられないものらしい。

他にも、ケインズが戦後の会議でみっともない行動をしてしまったことや、池田勇人内閣でブレーンとして所得倍増計画の策定に関わった下村治が『日本経済成長論』で驚くほど的確な経済分析をしていることなどが書かれているのが興味深かった。

独占が野放しにした常態での自由競争がいかに問題があるか、グローバル経済だから国内では独占でもいいという論がいかに間違っているかなどの部分が分かり、けっこう驚いた。
また、アダム・スミスの『国富論』や下村治の『日本経済成長論』も読んでみたくなった。



国富論 (1) (中公文庫)国富論 (1) (中公文庫)

アダム・スミス (著), 大河内 一男 (翻訳)
中央公論新社 1978-04

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日本経済成長論 (中公クラシックス)日本経済成長論 (中公クラシックス)

下村 治
中央公論新社 2009-03

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神々の遺品 (双葉文庫)
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今野 敏
双葉社 2002-12

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今野敏による、オーパーツやエイリアンなどが絡んだミステリー。

アメリカ国防総省で超常現象を担当する特殊部隊「セクションO」が組織され、その後日本でUFOやピラミッドなどを扱うライターの三島が殺害される事件が発生する。
また、そのライターと親交のあった大学生の東堂も失踪し、警察が行方を追うなど不自然なことも多く起こる。

この事件に対し、私立探偵の石神は東堂の友人という江梨子から東堂探しの依頼を受け、助手の明智とともに捜査に当たることになる。
その中で三島や東堂と知人に当たる外国人の神父や、石神が警察に務めていた頃の先輩に当たる中西など癖のある人物が次々と登場し事件が展開していく。

また、セクションOの設立に関わった国防総省のジョーンズ少将も、セクションOのあまりの秘密主義ぶりに不自然さを感じて独自に調査していくこととなる。

展開やネタについて苦しいところ、分かりにくいところもあるが、著者の『特殊防諜班』シリーズのようにあまり深く考えなければそこそこ面白い。
二つの場面が同時進行するところや時代劇っぽい展開など、著者らしい部分が出ていると思う。



[参考文献に挙げられていた作品]

創世の守護神 (小学館文庫)創世の守護神 (小学館文庫)

グラハム ハンコック (著), ロバート ボーヴァル (著),
大地 舜 (翻訳)

小学館 1999-11

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エネルギーの未来 宇宙太陽光発電 宇宙の電気を家庭まで (アスキー新書)
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高野忠
アスキー・メディアワークス 2012-02-10

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NHKサイエンスZERO 宇宙太陽光発電に挑む (NHKサイエンスZERO)


宇宙太陽光発電の仕組みと意義について、JAXAの名誉教授を務める工学博士が語っている作品。

概略的なイメージとしてはNHKサイエンスZEROの放送を単行本化した『宇宙太陽光発電に挑む』以上に分かったものはあまりなく、細かな技術的なところもあまり理解できなかった。
また、愚痴やぼやきが多いなど関心のある記述が少ないこともあって、斜め読みになってしまった。

京大の総長が書いた『宇宙太陽光発電所−新太陽光エネルギー社会と宇宙生存学が明日をつくる』もそうだったのだが、これでは偉い学者の本は能書きが多くて読みにくいという印象を持ってしまいかねない。



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非選抜アイドル (小学館101新書)
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仲谷 明香(AKB48)
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アイドルグループ・AKB48のチームAのメンバーで、これまで「選抜」に入ったことのなかった仲谷明香による、自身のこれまでを語っている作品。

声優を志して学校に通ったものの家庭の事情から断念せざるを得なかったり、AKBを受けた理由の一つが”レッスン費用がタダ”ということ、入った後のレッスンの大変さ、人気メンバーと差が開くことへの焦りなどが率直に書かれている。

元々アイドル志望でもなかったこともあって人気を集めることを苦手とした著者は、AKBの中で生き残るための戦略として、公演でのパフォーマンスを高めることや人気メンバーのアンダー(代役)を積極的にこなすこと、これも苦手だったトークのレベルを上げることなどを実施し、成果を上げていく。
このあたりの話を読んでいると、野球選手やサッカー選手が試合に出たり戦力外にならないために実践したエピソードを思い起こした。

そうした努力により、選抜には入らないものの独自のポジションを確立し、芸能事務所に所属することや夢である声優の仕事などの成果が上がっていく過程も描かれている。
著者が所属した事務所のムーサはAKB関係者がやっている新興の事務所で、著者は大事に育てられていることが分かる。小さな事務所で仕事が多いのがいいか、ホリプロやナベプロのような大手事務所で少ないチャンスを待つのがいいのかは難しいところだと思う。

本書を読むまでは著者のことは”声優志望”と”アニメ好き”くらいしか知らなかったので、あまり知られていないメンバーにも多くのエピソードがあることが分かる。
おそらくAKBが受けている一因としては、メンバーたちの苦悩や葛藤などといった、これまではあまり外部に見せない部分をある程度見せているところにあるのだと考えている。

思っていた以上にしっかりした内容で興味深く、売れ行きがいいのも納得できた。
例えば声優としての実績は著者と同等レベルでラジオトークも面白いチームBの佐藤亜美菜など、他のメンバーによる著書が出たら、それも読んでみたい。



[著者が声優を務めている作品]
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[新訳]韓非子
[新訳]韓非子西野 広祥
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PHP研究所から出ている、古典を現代語訳した新書シリーズの1冊で、中国・戦国時代に書かれた『韓非子』を扱っている作品。
このシリーズにおいて中国の古典で共通した形として、百言百話として見開き2ページを1項目として合計200の言葉やエピソードを扱っている。

韓非子については他にも何冊か本を読んでいるのでおおよその内容は把握しているが、本書ではポイントをまとめている分かなり分かりやすい。
また、韓非子では趙簡子や孔子といった実在する人物の事例をうまく使って自説を補強しているあたりが説得力を高めていると思う。

伯夷・叔斉のように聖人や親孝行として知られる人物などを実際の政治には役立たないとバッサリ切り捨てているところや、儒家や墨家の正統争いを皮肉っているなど、かなりの毒のある書き方をしているあたりも興味深い。

本書もまた、シリーズの他の作品と同様に、入門として読んだりポイントを読み返したりするのにいい作品だと思う。



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