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読書-エッセイ:雨読夜話

ここでは、「読書-エッセイ」 に関する記事を紹介しています。



阿川弘之 (著)
中央公論新社 (2011/9/22)


乗物好きの作家として有名だった阿川弘之による、後に作家となった宮脇俊三が中央公論社の編集者時代に担当したエッセイ集。
書かれたのは1950年代で著者が30代ということで、鉄道は蒸気機関車が主流だったり、現在は長崎本線のイメージがある「かもめ」や九州新幹線開通前の鹿児島本線の特急だった「つばめ」といった名前が山陽本線や東海道本線の特急だったなど、時代の流れを感じることができる。

寝台列車「銀河」にニセ車掌として乗り込んだり、蒸気機関車の機関室に登場して機関士の仕事を観察するなど、この時期でなければできなかったであろう体験が書かれているのが興味深い。

また、瀬戸内海の船旅や東京郊外の峠をドライブなど、鉄道以外の乗り物の話も収録されている。

当然ながらJRではなく国鉄の時代で、戦前ほどではないにせよ駅の案内所などでの駅員の対応が横柄だったのはいかにもという感じで、分割の方法はともかくとして民営化されたのは正しかったことを再認識できるし、当時の中曽根政権やリーダーを務めた土光敏夫氏の功績は大きかったと思う。

マナーの悪い乗客はこの時期も多かったようなことも書かれていて、「昔は良かった」みたいな話はウソで昔を美化するあまりの幻想だという認識も強化することができた。

50年以上経過して伝わりにくい部分もあるが、文章が丁寧なのでそれなりに読むことができた。





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阿川弘之 (著)
中央公論新社 (2017/4/21)


タレント・阿川佐和子の父親としても知られる作家・阿川弘之が、自身や親交のある人々と乗り物のエピソードを語っているエッセイ集。

著者は元海軍軍人ということで旧日本軍に関する著作が多い他、自動車、汽車、飛行機、船と乗り物が大好きなことでも知られ、編集者たちから乗物に関する企画を持ちかけられた話も多く書かれている。

例えばガガーリンによる有人宇宙飛行を受けてロケット発射時のGを体験する機械に半ば強制的に乗せられたり、自衛隊の戦闘機に登場して音速を越えたり、潜水艦に乗った話などがそれに当たる。

また、昭和天皇や皇族の方々をはじめとして、師の志賀直哉、作家として親交が深い遠藤周作、吉行淳之介、北杜夫、近藤啓太郎、有吉佐和子など、北の実兄で精神科医の斎藤茂太、吉行の母親でNHK連続テレビ小説『あぐり』のモデルになった吉行あぐりといった人々が登場し、話を盛り上げている。

この中では遠藤が自動車の運転で奥さんに頭が上がらない様子や、吉行がモテるために必死で自動車講習所に通っていた話、脚本家の倉本聰がカミナリ嫌いで著者にいじられる話などが面白かった。

また、旧国鉄の様子や、新幹線になって駅弁や食堂車の楽しみがなくなったという嘆き、新幹線の計画が発表された際に「戦艦大和みたいに失敗するからやめた方がいい」と書いたところ大成功して後悔したエピソードなどが印象に残る。

スマートでユーモアのある文体で書かれていて、楽しく読むことができた。





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北 杜夫 (著)
新潮社 (1986/01)


「どくとるマンボウ」こと作家の北杜夫が、遠藤周作、阿川弘之、佐藤愛子、宮脇俊三、星新一、辻邦生、なだいなだといった同業の作家たちとのエピソードを語っているエッセイ集。

遠藤周作のホラ話やケチ話のやり合い、佐藤愛子との演劇での強烈なエピソード、阿川弘之や宮脇俊三の鉄道への傾倒、星新一の不思議な言動など、著作で知っている作家の話を読んで魅力を感じられるのは楽しい。

著者の語り口が現在からみると穏やかというか上品な感じがあるのも、時代の流れを感じなくもない。
本書に登場する遠藤周作の『ぐうたら交友録』には著者が登場していて、お互いの認識やケチ話についての書き方の違いが出ているので、読み比べるのも面白い。





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関連タグ : 北杜夫,


武論尊 (著)
双葉社 (2013/7/17)


『北斗の拳』の原作者として知られる武論尊が、厳しい状況の中耐えて生きている人々に向けてのエールを送るような話を、自身や漫画家たちのエピソードとともに語っている作品。

「意地」と「やせ我慢」の2つの言葉が多く出てきて、不平等で不条理でも強く生きていく、負けたり挫折しても生きることが大切という考え方が出ていて印象に残る。

生きることでは、多忙で心身ともに追い詰められていた時期に休んで北海道に逃げて牧場の手伝いと週末に競馬という生活が『パッパカパー』という競馬コメディ漫画につながったことや、才能があったが挫折して酒におぼれて若死にした小野新二という漫画家の話などが扱われている。

挫折については、『北斗の拳』に登場する北斗四兄弟の三男・ジャギが好きなキャラクターだと語り、挫折しても人生を投げていない姿勢を評価していて、そういう見方もあるのかと思わされた。

一方で、「原作者だから漫画が売れなかったら漫画家のせいにすればいい」とか、趣味のギャンブルでは「人のせいにできるのがいい」など、妥当性はともかく笑わせてくれる話も多く入っている。

そして、中学を卒業して自衛隊に入隊していた頃の話、自衛隊の同期が『サラリーマン金太郎』などで知られる本宮ひろ志でデビュー前に世話になっていたこと、すしざんまいの社長が後輩ということ、『タッチ』などでしられるあだち充が友達など、著者の交遊関係の話が非常に興味深い。
その中で例えば『北斗の拳』では作画を担当した原哲夫とはお互いの仕事に口を出さなかったというプロ意識の話も強い印象を受けた。

豪快なようでも自分の弱さやダメさにもきちんと向き合うような感じの著者の人柄が出ているようで、非常に興味深く読んだ。






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藤子 不二雄A (著), 西原 理恵子 (著)
小学館 (2018/1/19)


漫画家の藤子不二雄A(安孫子素雄)氏が、ことわざや名言などからこれまでの体験などのエッセイを語り、西原理恵子氏が本文にツッコミを入れるような挿絵を描くという構成でなされた連載を、単行本化した作品。

小学生時代の藤子・F・不二雄(藤本弘氏)との出会いや駆け出し時代の苦労、年月を経て方向性の違いによる独立、手塚治虫からの影響、赤塚不二夫や寺田ヒロオといったトキワ荘時代の漫画家たちとの交遊などが随所で書かれているのが興味深い。

また、各項ごとに『笑ゥせぇるすまん』や『怪物くん』、『プロゴルファー猿』などの藤子不二雄A作品が紹介されているのも、読んでみる入り口として機能していると感じた。

ユーモアある書き方である一方でそこまでお酒を飲んでいないかのようなことも書かれているが、西原氏のイラストでA氏の酒癖の悪さや編集者泣かせなところを暴露するような挿絵が入っているのが特に面白い。

巻末にはA氏と西原氏による対談も収録されていて、これもまた面白かった。
思っていた以上にアニメなどで観ていたA氏の作品が多いことにも驚いたので、今度は漫画で読んでみようかとも思っている。






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関連タグ : 西原理恵子, ,