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読書-歴史(日本:通史・テーマ別):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:通史・テーマ別)」 に関する記事を紹介しています。



宇山 卓栄(著)
日本実業出版社 2023年01月20日


世界の民族の構成や歴史、現在に至る衝突の背景などを地域別に紹介している作品。

見た目、信仰する宗教、話す言語、読み書きする文字、遺伝子情報など多くの要素から話をしていて、一般的に思われているよりも混血が進んでいることが多かったり、その民族集団が思っている・思いたいものと実態が必ずしも一致していないことがしばしばあることに驚いたりする。

例えばイベリア半島でムスリムの支配が長かったスペイン人やポルトガル人は認めたがらないが、アラブ人やベルベル人の遺伝子がけっこう含まれていることや、アジア系の民族とされるハンガリー人がスラブ要素が強くなっていること、タイ人やベトナム人は中国人との混血が進んでいることなどが印象に残る。

よくある世界史の本では扱われることが少ない南太平洋や中南米、アフリカなどの地域にもそれなりにページが割かれていて、予備知識不足でいまひとつ入ってこないところも多かったが、漠然とした形でも知識を得られたのは良かったと思う。

民族がらみの衝突や戦争、虐殺、虐待、強制労働など、人類史の暗黒面とも言える部分も多く出てくるので、重いのは重い。




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本郷 和人 (著)
中央公論新社 (2023/3/8)


源頼朝が任じられてから武家政権のトップということになった、征夷大将軍という地位がどのような扱いだったのかを語っている作品。

「他と違う大将軍」というリクエストから征夷大将軍が選ばれた経緯や、足利義教のように将軍に就任していなくても将軍としての職務を果たしている事例などから、朝廷からの任命よりも武士たちから将軍として扱われていることが重要という話などが面白い。

室町幕府4代将軍の義持が後継者の指名をせずに「お前たちで決めろ」と語った背景には、武士たちに認められなければ意味がないという意図があったとする説にはなるほどと思う。

また、藤田達生氏が唱える足利義昭による「鞆幕府」説にも、当時義昭の政権を認めていた武士がほとんどいないから大した説ではないと語っているのも笑ってしまった。
今年初めに著者や藤田氏が出演していたNHKのテレビ番組で、著者が藤田氏の話に反論していたことを思い出し、著者が藤田氏のことをあまり好きではないんだろうなと感じてしまった。

将軍に求められてきた役割としてはまず、本領安堵などを含めた軍事面、その次に朝廷との交渉が挙げられていて、行政的な役割は後になってついてきたという話、そして頼朝や足利尊氏のように最初は自身が動く存在だったのが、徐々に神輿としての役割に変わっていった話が、映画『仁義なき戦い』の松方弘樹が演じる若頭のセリフを例に語られていたのも興味深い。




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本郷 和人 (監修)
学研プラス (2021/10/7)


上杉謙信や家康の資産額、信長が安土城で取った観覧料、新撰組の給料など、歴史上費やされたり蓄えられたお金を現在の価値に換算していくらくらいになるか?を紹介している歴史読み物。

子供向けの作品だが、扱われているテーマが面白いので読んでみた。

戦争にかかる金額の大きさや、身分による給与の格差、物価の変動などが印象に残る。

さすがに物足りなさはあるので、著者が新書で書いている『「お金」で読む日本史』も読んでみたいと思っている。




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本郷 和人 (著)
中央公論新社 (2022/3/9)


戦前では皇国史観による英雄信仰、戦後は軍事の忌避により、歴史研究が進んでいなかった合戦・軍事について、リアルな視点からどのように捉えられるかを語っている作品。

兵站や城攻めについてなど、著者の『軍事の日本史 鎌倉・南北朝・室町・戦国時代のリアル』などの著作と重なっている部分も多いが、初めて読むところも多い。

例えば、農民兵からすると恐怖以外の何物でもない戦いに駆り出すために大将や士官たちが率先して敵に向かっていたとの話は、指揮系統が確立されていなかった中世だと必要な手段だったのだろうと思った。

…が、現代でも将軍が前線で出ざるを得ず、狙い撃ちされている国の軍隊があることを思い出した。
現在ウクライナに侵略戦争を仕掛けているロシア軍のことで、ある意味軍事のリアルを教えてくれる事例となっている。

他にも、戦いは兵数とその背景となる経済力の裏付けが勝敗を分けるという当然だが物語にしにくい話や、一神教を信じていない人が大半の日本人を戦いに駆り出すことの難しさ、戦いの結果から『天地人』の主人公である直江兼続が軍事的には無能だったのでは?という疑惑などが書かれている。

フィクションに毒されてしまいがちな合戦に対してリアルな話が多く、興味深く読むことができた。




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亀田俊和 (著), 倉本一宏 (著), 千田嘉博 (著), 川戸貴史 (著), 長南政義 (著), 手嶋泰伸 (著)
SBクリエイティブ (2021/8/6)


乙巳の変、壬申の乱、桶狭間の戦い、日露戦争など、日本史上の戦乱における最新の研究成果を紹介している作品。
古代から近代にかけて、それぞれの時代の研究者たちが執筆している。

壬申の乱に持統天皇が大きく関与していた話や、上野戦争では新政府軍が実は苦戦していた話、西南戦争で西郷隆盛が持っていたらしい甘い見通しなどの話も面白いが、城郭考古学を専門とする千田嘉博氏による、中国大返しと関ケ原の合戦の話が特に面白い。

まず、中国大返しを実施できた背景には、当初予定されていた信長一行を迎えるために兵庫城に築いていた「御座所」や道路の整備があったことが書かれていて、例えば武田勝頼を滅ぼした戦いで信長を接待した家康が東海道のあちこちで「御座所」や道路を整備していた話とも符合している。

そして、関ケ原の合戦では西軍陣地の中央部の「山中」というところに「玉城」というのが築かれていて、豊臣秀頼や毛利輝元が入ることを企図していたことが書かれている。
秀頼は淀殿の許可がなかったこと、輝元はもう少し四国方面で領土を拡大しておきたかったというのがあったために予定された出陣が実現せず、「玉城」に在陣していた大谷吉継は小早川秀秋の裏切りに対応するために出ていかざるを得なかったなどの話が書かれていて、初めて知ることが多く興味深かった。

通説にはどうしても勝者に都合のいい記述が多くなりがちなのだが、それに該当せずに忘れ去られたり隠蔽される話も多いわけで、研究が進むにつれて新たな事実が発見されるのは面白い。
さらにさまざまなことが新たになったり新説が出たりすると思われるので、期待している。




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