読書-経済:雨読夜話

ここでは、「読書-経済」 に関する記事を紹介しています。


経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書
経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書
山田 真哉
講談社 2011-12-16

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『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』『女子大生会計士の事件簿』などの著作で知られる公認会計士の山田真哉による、平清盛による経済政策の功罪を考察している作品。

まずは伊勢平氏が貿易で経済力をつけた背景を解説している。
この時代は南宋の商人が博多を拠点に貿易の全てを取り仕切っていたのを、朝廷に輸入品を献上して価値を上げたり、瀬戸内海沿岸の港湾を整備して利権を抑えたなどの話が書かれいて最初から面白い。

そして、宋銭が流通するようになったのは平清盛が始めたと語っている。
元々は末法思想が広まっていたことから寺社が経筒といってお経を胴の筒に入れて地中に埋めるという、仏教版タイムカプセルの原料として宋銭が輸入されていたのに目をつけ、通貨として普及させたという話に驚かされる。

独自通貨を発行しなかったのは当時の日本での鋳造技術が低かったこともあるかもしれないが、贋金作りへの対策ではないかとしている。
この場合その目的は果たしているものの、中央銀行がやっている通貨の発行量をコントロールすることができないわけで、「銭の病」と呼ばれる現象(ひどいデフレ?)や、源平合戦で敗戦を重ねた背景にハイパーインフレで財源不足に陥ったことがあるのではないかという話が書かれているのが非常に興味深い。

それまで通貨が使用されていなかった社会で通貨が急速に普及するとどのようなことが起こるのか?というケースの1つとして読むこともできるわけで、この時期に普及したことはいいことも悪いこともあっただろうが、総合的には良かったように思う。

他にも伊勢、博多、薩摩、神戸といった港湾都市における清盛の貢献が書かれているなど、思っていた以上に清盛が傑物だったことが理解でき、最近読んだ本の中ではかなりの当たりだったと思う。






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世界が再び日本を見倣う日 「トランプ砲」は恐れる必要なし
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長谷川 慶太郎
PHP研究所 2017-03-11

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今年の3月に発売された、長谷川慶太郎による世界や日本の政治や経済を解説している作品。
この時点ではアメリカでトランプ政権が発足してさほど時期が経っておらず、韓国で文在寅、フランスでマクロンがまだ大統領になっていなかった頃で、時間の流れを感じる。

デフレが定着した世界においていち早くデフレに対応する体制を構築できた日本が世界をリードするという基調は他の作品と重なるが、本書では著者が80年代に書いた『「情報化社会」の本当の読み方』で述べたことが現実になっていることを紹介していて、その先見性に驚かされる。

冷戦が終結した後の9.11やイラク戦争、ゼロ年代の金融バブルなどはインフレに戻そうとのあがきと取れなくもないし、現在はさらにその手のネタがなくなってきたということなのだろう。

中国とロシアに拒否権があるために機能しない国連に代わってG7とNATOによる新秩序が構築されつつあることや、日米がロシアに比較的融和的なのは中国をまず叩くという戦略によるものであること、北朝鮮が水害に弱いことなど、独自のルートから得たと思われる話は既に知っているものでも興味深く読むことができる。





トランプ幻想に翻弄される日本 :長谷川慶太郎の「投資の王道」トランプ幻想に翻弄される日本 :長谷川慶太郎の「投資の王道」

長谷川慶太郎
徳間書店 2017-05-23

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関連タグ : 長谷川慶太郎,

気づいたら先頭に立っていた日本経済 (新潮新書)
気づいたら先頭に立っていた日本経済 (新潮新書)
吉崎 達彦
新潮社 2016-12-15

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双日系列のシンクタンクに所属するエコノミストによる、「遊民経済学」という観点から日本経済をエッセイ風に語っている作品。

タイトルに書かれているのは、欧米など他国も日本と同じようなデフレが定着する現象に見舞われていて、先駆けてこの現象に適応しようとしている日本が注目されているという文脈で書かれている。

これまでの経済学では生活や産業に関わるものを多く取り上げてきたが、それらが満たされた状態になると次は何を目指すか?というところから観光やエンターテイメントに関する産業を扱うという流れから、遊民経済学という話につなげている。

他がまねできない観光資源を利用した産業、著者が趣味とする競馬のようなギャンブル、現在はまっていて毎月のように行っているラーメン二郎など、著者が経験した身近な話から経済の話に展開している。
日下公人の著作で書かれていることと通じているようにも感じる。

軽妙な文体で書かれていて読みやすく、まあまあ楽しめたと思う。





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見抜く経済学
見抜く経済学渡邉 哲也
かんき出版 2014-02-19

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日本経済の行方について、しっかりした論拠からポジティブな展望を語ることの多い経済評論家による、偏向報道などに惑わされずに多くの情報から経済の本質を探るための手法を解説している作品。

日本では特に、いつの時代でも悲観的な報道ばかりがなされる傾向にあるが、これは外れれば「我々が警鐘を鳴らしたから回避できた」と言えるし、当たれば「だから言ったのに・・・」と、責任を追求されずに済むからとあり、確かにそうした面はあると感じる。

また、とりあえず政府のやることに反対する左派的なメディアが多い背景には、団塊の世代で学生運動をやっていた人たちが一般企業から排除され、マスコミ業界に多く就職したことがあるというのも納得しやすい。
これはマルクス主義の経済学や歴史学がいまだに生き残っているアカデミズムの世界でもそうだと思う。

さらに、マスコミや経済評論家などが一次情報に当たることを怠って中には正反対のニュアンスで解説していることも多いと書かれていて、偏向しているだけでなく不勉強もひどいのかと呆れてしまった。

そして裏を取るための情報源を持つことの重要性を語り、例えば内閣府が出している白書等(経済財政白書、世界経済の潮流、地域の経済等)や、経済レポート専門ニュースが紹介されていて、参考にしようと思った。

加計学園の異常な報道を見てもいたずらに不安を煽ったり疑心暗鬼にさせるような情報は多く、多少なりとも情報の真偽を見極められるようになりたいと思った。
本質的で時間が経っても通用する内容だと思う。






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出社が楽しい経済学
出社が楽しい経済学吉本 佳生 (編集), NHK「出社が楽しい経済学」制作班 (編集)
NHK出版 2009-01-08

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2009年にNHKで放送されていた教養番組の第1シリーズを書籍化した作品。
少し前に図書館で開催されていた古本市で10円で販売されていたものを購入して読んだ。

本書は経済学で登場する概念を解説するもので、サンコクスト、機会費用、比較優位、インセンティブ、モラルハザード、逆選択、価格差別、裁定、囚人のジレンマ、共有地の悲劇、割引現在価値、ネットワーク外部性の12章で構成されている。

逆選択、価格差別、裁定といった価格や売買に関連したところは、編者の吉本氏による『金融商品にだまされるな!』『金融広告を読め』でも挙げられていた例を思い起こし、売買の際はきちんとサービス内容や契約事項を読む必要があると改めて感じた。

共有地の悲劇やネットワーク外部性あたりがあまり用語として認識していなかったところで、なんとなくイメージできるが他人に説明できるほど理解していなかったところなので参考になる。

テレビ番組で観たことがないので番組の雰囲気などがどの程度反映されているのかよく分からないが、具体的な例を多く挙げながら解説していて、まずまずの内容だったと思う。






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