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読書-経済:雨読夜話

ここでは、「読書-経済」 に関する記事を紹介しています。



エミン・ユルマズ
かんき出版 2023年05月10日


仕事や投資を行う上で役立つ、経済指標の種類や読み方を解説している作品。

GDPのような統計は後から判断するものなので事前にはあまり役立たないという話に少し驚いたり、失業率や人手不足を表す雇用統計や物価、生産に使用する設備などの生産額などが重要という話に納得できたりする。

数値を読むにもセンスが必要そうなのと、指標の数が多いので使いこなすのはちょっと難しそうに感じた。
多分、私がこの手のことに苦手意識を強く持っているからというのもある。

後半に書かれていた、景気に敏感なのが半導体産業という話や株価と金利、ドルと商品(コモディティ)が逆相関に近い動きをすることなどの話も印象に残り、多少なりとも今後の投資での判断に活かせればいいなと思う。





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長沼 伸一郎 (著)
講談社 (2020/4/9)


昨年読んだ『世界史の構造的理解 現代の「見えない皇帝」と日本の武器』の著者による、経済学の概念をとっつきにくいと感じる文系および理系の方が経済を理解しやすくするにはどう説明していけばいいか?という観点から書かれた、マクロ経済や通貨、今後の資本主義の見通しなどに関する解説書。

資本主義は成長し続けないと倒れてしまう不安定なシステムと位置付け、鉄道で市場と家庭でお金のやり取りをする図から、資本主義では貯蓄が(間接金融として)投資と同義になることを分かりやすく図解していたり、ゆるやかなインフレが望ましいのはサーキットの拡大に一部で追いつかない部分があるからという図解、(新)古典派経済学・ケインジアン・マルキシズムの経済学の3流派は投資家、企業家、消費者のうちの誰を優遇するか?で色分けできることなど、経済学で理解するのに時間がかかりそうなポイントを限られたページで分かりやすく語っているのがすごい。

中世のキリスト教世界やイスラム教世界が貯蓄や利子をどのように処理するかで工夫されていたという考え方や、資本主義は壊れようがないくらい人間の欲望に適合した原始的な部分があるから不安定ながらも続いているという話は、他であまり読んだことがないので特に強く印象に残る。

仮想通貨=暗号資産についても章が設けられていて、ビットコインのような大掛かりなシステムと少数の管理者がいればそこまで複雑でなくてもいいブロックチェーンのシステムを超大型機と中・小型機に例えているところや、仮想通貨は発行数に絶対的な制限がかかっている形のために金本位制と同じ長所と短所があることなどが書かれているのも分かりやすい。

最終章では、現代の資本主義が行き着きつつある状況を「縮退とコラプサー」と表現していて、『世界史の構造的理解』でも触れられていた話であり、先日読んだマット・リドレー著『人類とイノベーション:世界は「自由」と「失敗」で進化する』に書かれていたイノベーション欠乏という話と通じているかもしれないと感じたりもした。

文系の人が書いたらまず出てこないであろう表現が多いのが面白いし、著者が「はじめに」で本書を読めば経済に関する主要なテーマを扱った9冊の本のポイントを抑えられると語っているだけのことがあって、視野が広がったり理解していることの整理ができた気がする。





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上念司(著)
ビジネス社
2023年02月21日


ここしばらくの冷戦とそれに伴うデカップリング、インフレの傾向はしばらく続き、これらが日本経済に好影響をもたらすとの話をしている作品。

90年代から民主党政権までの日本は財政政策(政府)と金融政策(日銀)がちぐはぐでデフレを悪化させ続けてきたが、安倍政権と黒田総裁になってからまともな財政・金融政策を取るようになって持ち直してきたこと、そして中国が自滅の道を歩み始めたことで再び日本経済が良くなるであろうことが書かれている。

タイトルにある「何もしなくても」は、政府や日銀が「余計なことをしない」という意味もあるようで、政府だと増税や変なバラマキ、日銀だと実態に合わない金利引き上げなどをやってしまうと、再び経済が悪化することが書かれていて、これは非常に心配な部分だと感じる。

そして著者は民主党の野田政権が解散を発表してから総選挙までに株を買っていったことで大儲けができた話など、投資についての話も印象に残る。

面白かったのが、ワンルームマンション、FX、仮想通貨の3つをチャラい資産の「チャラ3」と呼んでいるところで、あと2つはやったことがないが、FXについてはしくじった経験があるので非常に納得できた。

発行されてから1年近くが経つが、十分有効な内容だったと思う。




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エミン・ユルマズ (著)
ビジネス社 (2023/3/1)


中国やロシアの先進国経済からのデカップリングとそれに伴うインフレ傾向、欧米などを中心に便乗値上げなどもあっての格差拡大といった世界情勢を見つつ、日本は無人化技術や需要を中国から奪うことで経済成長していくという見通しを語っている作品。

中国とロシアが野心を隠さない行動をとるようになった背景には現在の体制を維持できないという焦りがあるのでは?という考察や、アメリカでは二大政党のどちらにも支持したくない大きな理由がある上に富裕層や大企業のロビー活動を受けているという絶望、トリクルダウン理論がまやかしだったとの話など、色々と手詰まり感がある国が多いことが分かってくる。

また、サブスクがもてはやされるようになった傾向に対しては資産を持たせないという新たな格差拡大の一種では?という視点を提示していて、これは古代のローマ帝国で「パンとサーカス」でガス抜きをしていたことを連想した。
(現代ではパンがベーシックインカムやフードクーポン、サーカスがサブスクでのエンタメに当たる)

日本については、原材料の高騰をすぐには価格に転嫁しない美徳や、人手不足に対して無人化・省力化の技術での対応、関連技術が追い付いたことで複数の企業が持つ技術がより効果を上げ始めていることで、株価を上げる企業が増えるであろうとの観測をしている。
来年から新NISAが始まることもあって、どの企業に投資するかを考えているところだったために参考になる話が多かった。




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渡邉哲也 (著)
徳間書店 (2023/2/1)


昨今の世界的な政治・経済の情勢について解説している作品。

ロシアのウクライナ侵略、中国の度重なる横暴に対してアメリカの制裁が積み重なっていることを中心に、日本は中国の役割が小さくなることで繁栄の可能性があることを語っている。

ロシアが外交的に強気になったり弱気になったりするのは原油価格による部分が大きく、ウクライナを侵略したのは原油価格の高騰が要因にあり、その背景には民主党・バイデン政権による中東などをめぐる外交やエネルギー政策・環境政策の失敗を挙げている。

特にオバマ政権・バイデン政権で要職にあるジョン・ケリーを「無能な働き者」と評していて、アメリカは民主党が外交をこじらせて戦争になり、共和党がそれを収める構図になっているという。

中国との関係悪化もアメリカの外交の失敗も絡んでいるが、これに加えて中国で鄧小平・江沢民・胡錦涛と続いてきた路線から習近平になってからの独善的な姿勢があり、後戻りできない形になったということが分かってくる。

そして、日本は中国が世界に出てこないといい状態にある傾向があるとし、原発再稼働や環境への負荷が小さい石炭火力発電所への転換によってエネルギー問題の解決ができれば、繁栄の可能性が高いという話につなげている。

著者のメールマガジンを購読していてある程度は著者の考えを知っているつもりだが、書籍の形で整理されたものも読むと、より理解が深まることを再認識できた。




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