読書-社会:雨読夜話

ここでは、「読書-社会」 に関する記事を紹介しています。


消えた都道府県名の謎 (イースト新書Q)
消えた都道府県名の謎 (イースト新書Q)
八幡和郎
イースト・プレス 2016-07-10

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明治時代に何度かの変遷を経て47都道府県の原型ができたわけだが、その過程でできては消えた都道府県名についてマニアックな知識を紹介している作品。

まず、「藩」という表現は江戸時代はあまり用いられず、明治になって版籍奉還の際に正式に用いられるようになったという話に驚く。
また、会津藩の本拠だった会津若松市が福島県の県庁所在地にならなかったように、戊辰戦争で負けた藩は県名や領域、県庁所在地の選定などで冷遇されたという話があるが、これは都市伝説に近いウソと書かれているのも少し衝撃を受ける。

細かな旧藩名や旧県名は覚えられないし知らない地方だとよく分からないが、幕府、大名、旗本、寺社などの領地が錯綜していた状態からさまざまな試行錯誤を繰り返して現在の形に落ち着いた経緯や、利権や面子、県庁所在地、開発方針などをめぐっての争いが繰り返された話などが紹介されていて興味深い。

群馬県の前橋と高崎、埼玉県の東部と西部、長野県の北部と南部、福井県の嶺北と嶺南など、県の中で地域間で意地の張り合いがあることが書かれていて、特に知名度の低い地域の人に対してあまり触れてはいけない話題があるかもしれないと注意をした方がいいのだろう。

東京だと三多摩、京都だと丹波や丹後といった農村部のエリアが組み入れられて少し細長い形になっているのは、当時が農業中心の産業構造だったために税金を農村で徴収して都会で使うためとあり、そういうことかと合点がいった。

都道府県の領域決めではいくつもありえたIFがあるとして、例えば飛騨が岐阜県ではなく富山県、能登が石川県でなく富山県、三河が愛知県ではなく静岡県など、地勢や文化からさまざまな組み合わせを想像して楽しめそうである。

本書は『残念な人の仕事の習慣』などとともに図書館で開催された古本市で10円で購入したもので、コストを考えると十分当たりの本だったと思う。






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宇宙の成立から、銀河→太陽系→地球→生物の発生・・・といったあたりから、人類の発生→農耕の発生→社会の変化など、大きなスケールでの歴史を一通りまとめている歴史書。

自然科学や社会科学の分野だけでなく、昔は世界や宇宙についてはこのように考えられていた、という神話や伝承に関する話も紹介されていて、実に幅広い内容となっている。

また、多くの写真やカラーグラビア、図解などもふんだんに用いられているので、眺めていくだけでも概略を知ることができる。

このようにボリュームと読み応えがありすぎるので、初めから熟読していくのは少し疲れるかもしれない。
まずは書かれている見出しを一通り眺めて進んでいくだけでもそれなりに時間をかけることができるし、大まかな流れがつかみやすいと思う。

理科や社会の授業で習っていたはずの話がかなりの深さにまで掘り下げて書かれているので、これまでの知識の確認、研究の進歩による新たな知識の獲得、思い違いの修正など、多くの結果を得ることができる1冊となっている。

繰り返して読んでいくことで、より得られる知見は増えていくものと考える。





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日本人が知らないヨーロッパ46ヵ国の国民性 (PHP文庫)
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PHP研究所 2013-07-03

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ヨーロッパ46カ国におけるそれぞれの国民性や歴史の一部、生活や日本との関わりなどを国別に紹介している作品。

西欧、東欧、北欧、南欧の4エリアに大別していて、判断が分かれる地域だと旧ユーゴスラビア諸国が南欧、バルト三国が北欧、イスタンブール周辺のバルカン半島側にも領土を持つトルコが南欧に分類されている。
そしてプライドが高い西欧、地味だが我慢強い東欧、個人主義の傾向が強い北欧、ノリがいい南欧という傾向がよく分かる。

多くの民族が住む地域ということもあり、1つの国の中でも沿岸部と内陸部でタイプが大きく異なったり、イタリアのように「イタリア人」の意識よりも「ヴェネチア人」、「ジェノヴァ人」、「フィレンツェ人」としての意識の方が強いなど、歴史的な背景も大きく影響しているようだった。

ヨーロッパの中でも都会と田舎、古都と新興地域などのイメージがついていて、例えばハプスブルク帝国だったオーストリアやチェコは京都や奈良、田舎者としていじられることが多いポーランドは埼玉や群馬あたり、言葉がきつく感じられたりマフィアが多そうに思われるアルバニアは広島や北九州あたりが似たイメージのように感じた。

各国の著名人についても紹介していて、アーノルド・シュワルツェネッガー(オーストリア系)、マルチナ・ヒンギス(スロバキア)、マザー・テレサ(アルバニア)などは出身国のイメージがあまりなかったので少し驚いた。

それぞれの国や地域には違いとこだわりがあり、一緒くたにされると不快なのは自分をその立場に置き換えれば想像できることなので、可能なら尊重したい。

知らない話も多く、そこそこ興味深く読んだ。






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「昔はよかった」病 (新潮新書)
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パオロ・マッツァリーノ
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『反社会学講座』『つっこみ力』の著書を読んだことがある自称イタリア生まれの戯作者による、美化されがちな昔の状態がそれほどいいものでもなかったことを新聞記事や投書、広告、統計といった具体的なデータを用いて面白おかしく語っている作品。

「道徳が低下している」、「治安が悪くなった」、「絆やふれあいが薄れてきた」といった「昔はよかった」ネタに痛烈な攻撃をしているのが面白い。
こうしたことを言う人は大体「自分は別」と考えている場合が多いという話には、確かにそうだと思った。

犯罪の件数が低下しているにも関わらず犯罪報道が増えたり、「被害額は最多」(件数は減少)のような印象操作がなされていることや、火の用心のようなパトロールはプラスよりもマイナスが大きくて始まった頃から反対され続けてきたこと、団塊の世代が最も凶悪で暴走老人という表現が合っていることなど、ひとつひとつ具体的に事例を挙げていく。

商店街の衰退についても、そもそも具体的なビジョンや方法論もなく安易に商売を始めた人が多かったなど、当事者が指摘されると嫌がるであろうデータが多い。

昔はよかったネタだけでは一本調子になると危惧したのか、コーラとウーロン茶が普及した背景や、美人やハイテンションという言葉が報道で扱われる数が増えた傾向などについての話も面白い。
例えば、下戸で知られる芥川龍之介がコーラとウーロン茶を扱ったしょうもない短歌を作って自分でウケていた(けど他人からは不評だった)という話に失笑してしまった。

本書を読んでいくと、現代は問題はそれなりにあるとはいえ、それほど悪い時代でもないように思えてくる。
メディアの報道や他人からの話をすぐに受け入れてしまうのではなく、できれば実際のデータにも当たって裏を取ることの重要性を教えてくれる1冊でもあった。






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日本史の中の世界一
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田中 英道 (編集)
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日本における歴史的に世界で誇れるもの、世界一のものなどを50項目選び、紹介している作品。
できるだけ客観的に比較しやすい分野のものが選ばれている。

まず、世界最古、世界で最初というものが思っていた以上に多く、縄文土器、企業(金剛組)、温泉宿(小松市の「法師」)、国立博物館(正倉院)、国歌(「君が代」)、長編小説(『源氏物語』)、先物取引(大坂堂島米会所)などが紹介され、社会や日本史の授業ではまだまだ過小評価されすぎているのではないかと感じる。

また、縄文時代の遺跡から枯山水のような風景を見立てた庭園、富士山を見立てた石が発掘されたように、古代から似た感性を持っていたようなところになぜか感動する部分があった。

世界最古だけでなく、仁徳天皇陵(陵墓として世界最大の面積)や東大寺の大仏(世界最大のブロンズ像)、日光杉並木(世界一長い並木道)など、知っていることから知らなかったこと、意識しなかったものまで多様なものが扱われている。

戦争に敗れたことでイメージがいまひとつな近代でも、日露戦争で白人国家に勝利した意義の大きさ、あじあ号という新幹線構想の母体となった特急列車、多くの制約があった中での戦艦大和を建造した技術力、欧米の反対でつぶされた人種差別撤廃法案の提出など、第二次世界大戦の戦勝国(とそれに便乗したいくつかの反日国)が嫌がるであろう話も多く収録されている。

そして戦後は驚異的な経済成長(と、食糧難の時代に餓死者をあまり出さなかったこと)や、国民皆保険の実現、データから見える治安の良さなども書かれている。

教育や報道の分野でかつては影響力が強かった左翼の人々によって隠されたり歪曲して伝えられているケースもあったわけで、もっと知られていい内容が多い。

さらに日本の良さについて深く知りたいと思わせてくれる1冊だったと思っている。






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