読書-ノンフィクション:雨読夜話

ここでは、「読書-ノンフィクション」 に関する記事を紹介しています。


大東京の地下鉄道99の謎―各駅の地底に眠る戦前の国家機密! (二見文庫 (006))
大東京の地下鉄道99の謎―各駅の地底に眠る戦前の国家機密! (二見文庫 (006))
秋庭 俊
二見書房 2007-09

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東京の地下鉄における線路や駅で不合理に思われる箇所から、戦前に秘密裏に造られた地下の施設や路線が再利用されたのではないかと考察している作品。

東京に住んでいた頃によく利用していた有楽町線の東池袋駅や護国寺駅についても書かれていて、確かに護国寺駅に降りてから改札口までのルートが何か変だったと思い出したりした。

独断や妄想に属するような見解が多くて文章が読みにくいのが著者の作品の大きな弱点だが、扱われている事例自体はその場所を知っていれば興味深いだろうと思う。

文中では戦前や戦後に造りかけになっていた施設や路線を再利用したことを「昭和の宿題」を解決したと表現されているのが印象に残る。

戦前の事情とされる背景には陸軍や海軍の他、「地下鉄の父」と呼ばれる早川徳次、早川のライバルで東急の創業者でもある五島慶太、東京市長として関東大震災後の復興に尽力した後藤新平、小田急の創業者である利光鶴松といった人物がしばしば登場する。

例えば、銀座線の始発駅である渋谷駅が東急デパートの地上3階にあるのは五島の豪腕によるものだそうで、実に商魂たくましい。

「戦後なのになぜ隠したままにしているのだ!?」という趣旨のことを随所で述べているが、反社会勢力のアジトに使われたりテロの標的となりうるため、ということもあるのだろう。
著者の経歴を見るとテレビ朝日出身とあり、いかにも言いそうなことだと思ってしまった。

ただまあ、地下鉄の行き先表示の分かりにくさのように、直せる範囲での不合理な部分を直した方がいいとは思う。





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恋するソマリア
恋するソマリア高野 秀行
集英社 2015-01-26

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世界有数の紛争地帯・ソマリアを取材したノンフィクションである『謎の独立国家ソマリランド-そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』の続編に当たるような作品。

著者によるとソマリアは民主政治や武装解除を実現している西部のソマリランド、海賊の根拠地であるプントランド、度重なる内戦で「リアル北斗の拳」とも呼ばれる南部ソマリアの3つに大別され、そのうちソマリランドと南部ソマリアを再訪している。

初めの方では日本の中古車輸出会社とのやり取りで、当時日本からの直接輸出がなかったソマリランドへの中古車輸出を宣伝して「もしかするとソマリランドの中古車流通に革命を起こせる!?」と浮かれたりするシーンがあり、他の作品でも見られる著者の山っ気が出ているのが楽しい。

そしてソマリランドと南部ソマリアへ行き、ソマリランドではワイヤッブ、南部ソマリアではハムディを初めとする旧知のジャーナリストたちと再会し、前作で知っていたのと同様のキャラクターなのに安心する。

前回の旅ではできなかった、ソマリ人の日常生活や普段食べられている料理作りを体験したり、危険な南部ソマリアで首都モガディショ以外の土地を訪問するなど、新たな体験をしている。
また、前作同様にソマリ人の話の早さや飽きっぽさ、氏族社会のいい面と悪い面、覚醒効果のある植物であるカートで宴会をするシーンなども書かれている。

場所柄として当然ながら、南部ソマリアを訪れた後半ではかなり危険な目に遭い、臨場感たっぷりに描かれている。
大変に目に遭えば遭うほど、著者がソマリアに魅せられていくのがよく分かる。

本書単独でも十分面白いが、できれば前作から読んでいく方が望ましいと思う。




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泥棒刑事 (宝島社新書)
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小川 泰平
宝島社 2013-05-10

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神奈川県警の捜査第三課や所轄の窃盗犯係で通称泥棒刑事、略してドロ刑を長年やってきた人物による、ドロ刑の仕事を描いたノンフィクション。

ドラマや小説における主人公は殺人事件や傷害事件を担当する捜査第一課や強行犯係に属する刑事であることが多いが、事件の件数からいくと窃盗犯が最も多く、一般市民からしても身近な存在となっている。

窃盗犯の傾向としては職業泥棒による犯罪の率が高く、逮捕すると余罪が3桁単位で出ることも珍しくないという。
再犯率も高いようで、侵入方法や盗んだ物品の種類、部屋の荒らし方などから過去に逮捕歴のある犯人がある程度絞り込めるとのことで、著者は昔からプロファイリングに属する捜査が行われてきたと語っている。

著者が逮捕したり取り調べたことのある個性豊かな泥棒たちの話や、盗品が持ち込まれることのある質屋さんとのやり取り、著者が目の当たりにした同僚のドロ刑たちの活躍など、多くのエピソードが書かれており、下手な警察小説などより断然面白い。

検挙率を上げるために行われてきた被害届のもみ消し問題など書きづらかったと思われる部分も書かれていて、著者がドロ刑の仕事に情熱を持って取り組んできたことが伝わってくる。

興味深く読むことができたので、著者の他の作品も読んでみようと思う。



[著者の作品]


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刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる 警察入門 (じっぴコンパクト新書)
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実業之日本社 2014-01-11

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警察組織やその活動の実態について、警察もののドラマなどと比較しながら解説している作品。
警察の各部署における職務内容、階級組織、現状の問題点、ドラマでの演出と実際の操作の比較と、多岐にわたって書かれている。

部署では捜査一課、捜査三課、組対四課(マル暴)、生活安全部、鑑識、SIT、SAT、SP、科捜研、機動捜査隊など、それぞれの部署を扱ったドラマを引き合いに出して紹介している。
初動捜査を担当する機動捜査隊は当時の警視総監が『機動捜査隊』のドラマが大好きだったことから、そのドラマから名前がつけられたなど、思わぬトリビアがあって驚いたりもした。

そして本庁と所轄、キャリアとノンキャリアといった警察組織のピラミッドに話が移る。
キャリアは国家公務員で、研修期間を除いてほとんど捜査に関わらないことや、捜査ではドラマで下に扱われることの多い所轄が主役であることなどが書かれている。

警察の問題点についても触れていて、職務によるストレス、時効の是非、被害者・加害者家族のケア、パチンコ業界との癒着、サイバー犯罪など多くの問題とそれらへの取り組みを知ることができる。

ドラマならではの演出では、西部警察での武装の派手さがほとんど現実にはNGとなることや、古畑任三郎の推理は物証に欠けること、『あぶない刑事』でタカがつけているようなサングラスがNGなど、そりゃそうだろうと思う点や意外に思った点などが出てくる。

警察の実態の一部を知ることができて警察ものの作品をより楽しめそうということと、警察もののドラマが数多く紹介されていて関心を持ったことと、2つの意味で楽しく読んでいった。



[本書の続編]
刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる 警察入門 捜査現場編 (じっぴコンパクト新書)刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる 警察入門 捜査現場編 (じっぴコンパクト新書)

オフィステイクオー
実業之日本社 2014-05-01

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[本書内で扱われていたドラマの一部]


[参考文献に挙げられていた作品]


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警視庁科学捜査最前線 (新潮新書)
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今井 良
新潮社 2014-06-16

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1949年の大東亜共栄圏: 自主防衛への終わらざる戦い (新潮新書)
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警視庁担当記者を務めてきた人物による、現在の警視庁における科学捜査の実態の一端を解説している作品。

現在、物品が大量に流通して証拠品からの操作が難しくなったり、地域内での人のつながりが薄くなっているという背景、そしてインターネットなど犯罪に使用されうる技術が進んだことなどから、従来の地取り、鑑取りといった捜査手法のみでは事件解決が難しくなったという現実があり、それに対して科学捜査の手法がいくつも開発されてきたことを語っている。

組織としてはドラマでよく登場する鑑識や科学捜査研究所(科捜研)の他に、捜査支援分析センター(SSBC:Sousa Shien Bunseki Center)という部署が組織されていることが書かれていて、防犯カメラの画像分析やNシステムの記録を活用した事件を解決したエピソードが紹介されているのが分かりやすい。

最近で有名な事件では「黒子のバスケ脅迫事件」や「パソコン遠隔操作事件」も扱われていて、犯人逮捕に向けた警察の執念が伝わってくる。特に「パソコン遠隔操作事件」では犯人に面子をつぶされた警察の怒りも相当なものだったと思う。

また、それぞれの組織における課や係の役割や捜査手法、使用している機材や技術についても語られている。
このあたりを知っておくと、警察小説を読む時により楽しめそうである。

ITやマーケティングの分野ではビッグデータの活用ということがしばしば語られるが警察においてもそれは同様で、指紋や掌紋、声紋、DNA、犯行の手口や事件現場といったデータの蓄積があり、それらをいかに有効に活用していったかが書かれている。

漠然と捜査に持っていたイメージとの違いがあったり、思っていた以上に進んだ捜査手法があったりと、興味深く読むことができたと思う。




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