読書-ノンフィクション:雨読夜話

ここでは、「読書-ノンフィクション」 に関する記事を紹介しています。


カリスマ鈴木敏文、突然の落日 ―セブン&アイ「人事抗争」全内幕―
カリスマ鈴木敏文、突然の落日 ―セブン&アイ「人事抗争」全内幕―
毎日新聞経済部
毎日新聞出版 2016-05-31

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昨年春にセブンアンドワイホールディングスで起こった、セブンイレブンジャパンの社長人事をめぐる幹部間の対立から、長年トップに君臨してきた鈴木敏文氏が突然の辞任を発表した騒動について、毎日新聞が取材した内容をまとめている作品。

騒動の発端とされるのは、鈴木氏がセブンイレブンの社長を務めていた井阪隆一氏を更迭して井阪氏よりも年上の副社長に替える人事案を出したことで、業績も好調で井阪氏にこれといって問題があったわけでもなかったことから井阪氏本人や社外取締役、大株主の投資ファンドなどが反対の意向を示し、さらには創業者である伊藤雅俊氏も反対に回り、取締役会で人事案が否決された。

その結果、鈴木氏が辞任を申し出たという経緯となっている。

辞任を発表した会見では鈴木氏と彼に近い幹部や顧問が出席し、その場にいない井阪氏の悪口を立て続けに言っているので非常に印象が悪い。
特に、鈴木氏と伊藤氏の間でメッセンジャーをする以外は何をしているのか不明な顧問が、井阪氏(当時58歳)の父親を味方につけるべく説得した話をしていて、やり方もまずければそれを会見の場で語るのも恥ずかしくないのか疑問に感じた。

鈴木氏は「もう7年もやったのだから」と井阪氏を更迭しようとしていたが、それなら20年以上にわたってトップの座にいた鈴木氏はどうなのか?長期政権の弊害はこちらの方が大きいのでは?と思ってしまう。

それほどの業績を挙げたわけでもない鈴木氏の息子が取締役になっていることなどから、ワンポイントの社長を挟んで息子に社長を引き継がせようとしたのではないか?との観測も多くの人から上がったようで、これもまた重要なポイントになったようである。

そして創業者と経営トップとして良好な関係を続けてきた伊藤氏と鈴木氏の関係が悪化した事情についての考察も書かれている。
伊藤氏は鈴木氏に経営を一任して現在の発展につながってきたのだが、長く成果を出し続けてきたことで周囲が鈴木氏に逆らいにくい雰囲気になってきたこと、鈴木氏が人を通じて伊藤家に会社への援助を求めてきたことなどが書かれている。

以前読んだ長谷川慶太郎著『2017年 世界の真実』では、伊藤氏が世襲を図った鈴木氏を切り捨てたという見立てと、マスコミが鈴木氏が怖くてはっきり報道できていないと書かれているが、そういった部分もありそうだと思っている。

せっかく経営のカリスマとして栄光を浴びてきた人物だっただけに、会見の様子を読む限りだと晩節を汚したように見えるのは非常に残念である。

この出来事についてはあまり細かなことを知らなかったので、会見での具体的なやり取りや取材の結果分かってきたことなどが書かれていて、興味深く読んでいくことができた。
鈴木氏が辞任したことでセブンアンドワイはしばらく大変だと思うが、これからも消費者のために貢献する企業として活躍してもらいたいと切に願っている。






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仕事にやりがいを感じている人の 働き方、考え方、生き方。
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毛利 大一郎
幻冬舎 2017-03-27

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仕事にやりがいを感じて取り組んでいる、さまざまな企業で活躍する人10人にインタビューし、仕事に対する考え方や、現在に至るターニングポイントなどを語ってもらっている作品。

テレビのドキュメンタリー番組のような内容となっていて、例えば1代で大企業を築いたような雲の上に感じられる人ではなく、比較的身近というか、かなりの努力をすれば到達できるのかもしれないと思われるくらいの地位の人を多く扱っているようである。

10人のそれぞれの経歴や考え方は当然ながらさまざまで、中には出会った人が良かったからいい結果につながったが、問題のある人に心酔していたらどうなったのだろう?と思ってしまう人もいる。
これは、その人が人を見る目があったということなのだろう。

生きていればいいことも悪いことも起こるわけで、その中で何を考えて次につなげていくかが重要なのだということ、考え方や行動を変えることに熟慮は必要だが恐れてはいけないことなど、考えさせられるポイントが多くあった。

興味深く読み終えることができ、何らかの形で活かすことができそうである。






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大東京の地下鉄道99の謎―各駅の地底に眠る戦前の国家機密! (二見文庫 (006))
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秋庭 俊
二見書房 2007-09

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ニッポン地下観光ガイド
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帝都東京・隠された地下網の秘密〈2〉地下の誕生から「1‐8計画」まで


東京の地下鉄における線路や駅で不合理に思われる箇所から、戦前に秘密裏に造られた地下の施設や路線が再利用されたのではないかと考察している作品。

東京に住んでいた頃によく利用していた有楽町線の東池袋駅や護国寺駅についても書かれていて、確かに護国寺駅に降りてから改札口までのルートが何か変だったと思い出したりした。

独断や妄想に属するような見解が多くて文章が読みにくいのが著者の作品の大きな弱点だが、扱われている事例自体はその場所を知っていれば興味深いだろうと思う。

文中では戦前や戦後に造りかけになっていた施設や路線を再利用したことを「昭和の宿題」を解決したと表現されているのが印象に残る。

戦前の事情とされる背景には陸軍や海軍の他、「地下鉄の父」と呼ばれる早川徳次、早川のライバルで東急の創業者でもある五島慶太、東京市長として関東大震災後の復興に尽力した後藤新平、小田急の創業者である利光鶴松といった人物がしばしば登場する。

例えば、銀座線の始発駅である渋谷駅が東急デパートの地上3階にあるのは五島の豪腕によるものだそうで、実に商魂たくましい。

「戦後なのになぜ隠したままにしているのだ!?」という趣旨のことを随所で述べているが、反社会勢力のアジトに使われたりテロの標的となりうるため、ということもあるのだろう。
著者の経歴を見るとテレビ朝日出身とあり、いかにも言いそうなことだと思ってしまった。

ただまあ、地下鉄の行き先表示の分かりにくさのように、直せる範囲での不合理な部分を直した方がいいとは思う。





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関連タグ : 秋庭俊,

恋するソマリア
恋するソマリア高野 秀行
集英社 2015-01-26

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世界有数の紛争地帯・ソマリアを取材したノンフィクションである『謎の独立国家ソマリランド-そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』の続編に当たるような作品。

著者によるとソマリアは民主政治や武装解除を実現している西部のソマリランド、海賊の根拠地であるプントランド、度重なる内戦で「リアル北斗の拳」とも呼ばれる南部ソマリアの3つに大別され、そのうちソマリランドと南部ソマリアを再訪している。

初めの方では日本の中古車輸出会社とのやり取りで、当時日本からの直接輸出がなかったソマリランドへの中古車輸出を宣伝して「もしかするとソマリランドの中古車流通に革命を起こせる!?」と浮かれたりするシーンがあり、他の作品でも見られる著者の山っ気が出ているのが楽しい。

そしてソマリランドと南部ソマリアへ行き、ソマリランドではワイヤッブ、南部ソマリアではハムディを初めとする旧知のジャーナリストたちと再会し、前作で知っていたのと同様のキャラクターなのに安心する。

前回の旅ではできなかった、ソマリ人の日常生活や普段食べられている料理作りを体験したり、危険な南部ソマリアで首都モガディショ以外の土地を訪問するなど、新たな体験をしている。
また、前作同様にソマリ人の話の早さや飽きっぽさ、氏族社会のいい面と悪い面、覚醒効果のある植物であるカートで宴会をするシーンなども書かれている。

場所柄として当然ながら、南部ソマリアを訪れた後半ではかなり危険な目に遭い、臨場感たっぷりに描かれている。
大変に目に遭えば遭うほど、著者がソマリアに魅せられていくのがよく分かる。

本書単独でも十分面白いが、できれば前作から読んでいく方が望ましいと思う。




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関連タグ : 高野秀行, ,

泥棒刑事 (宝島社新書)
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小川 泰平
宝島社 2013-05-10

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神奈川県警の捜査第三課や所轄の窃盗犯係で通称泥棒刑事、略してドロ刑を長年やってきた人物による、ドロ刑の仕事を描いたノンフィクション。

ドラマや小説における主人公は殺人事件や傷害事件を担当する捜査第一課や強行犯係に属する刑事であることが多いが、事件の件数からいくと窃盗犯が最も多く、一般市民からしても身近な存在となっている。

窃盗犯の傾向としては職業泥棒による犯罪の率が高く、逮捕すると余罪が3桁単位で出ることも珍しくないという。
再犯率も高いようで、侵入方法や盗んだ物品の種類、部屋の荒らし方などから過去に逮捕歴のある犯人がある程度絞り込めるとのことで、著者は昔からプロファイリングに属する捜査が行われてきたと語っている。

著者が逮捕したり取り調べたことのある個性豊かな泥棒たちの話や、盗品が持ち込まれることのある質屋さんとのやり取り、著者が目の当たりにした同僚のドロ刑たちの活躍など、多くのエピソードが書かれており、下手な警察小説などより断然面白い。

検挙率を上げるために行われてきた被害届のもみ消し問題など書きづらかったと思われる部分も書かれていて、著者がドロ刑の仕事に情熱を持って取り組んできたことが伝わってくる。

興味深く読むことができたので、著者の他の作品も読んでみようと思う。



[著者の作品]


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