読書-サイエンス:雨読夜話

ここでは、「読書-サイエンス」 に関する記事を紹介しています。


深層水「湧昇」、海を耕す! (集英社新書)
深層水「湧昇」、海を耕す! (集英社新書)
長沼 毅
集英社 2006-10

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人口増加に伴う食糧問題に対して、水産資源を増やすことで対応できないかという観点から書かれている作品。
著者は目指す方向を「100億人がマグロを食べる」という表現で表している。

まず、「漁業の本質は海から窒素とリンを収奪すること」と定義していて、その通りなのだが軽くショックを受ける。

浅い海では魚のえさとなる植物プランクトンの光合成に必要な日光が豊富に得られる一方でミネラルが取り合いになって不足気味になるのに対し、深海では逆に日光がなくて沈殿してきたミネラルが豊富にあるというギャップがある。

このギャップを埋める現象として、地球の自転などによって深海のミネラルを多く含んだ深層水が表層に湧き上がる「湧昇」(ゆうしょう)というものがあり、湧昇が発生するところでは植物プランクトンが増えて魚も増えるという。

ただ、湧昇が発生していても鉄分が少ないと効果が小さいらしく、湧昇が起こっているのに魚が少ない海に鉄粉を撒くという実験を繰り返して確かめられている。

この湧昇を人工的に起こしたり、起こりやすい条件を整えたりすることによって水産資源を増やすという話につながっていく。

簡単にできることではないし、できたらできたで別の環境問題が発生する可能性もあるので今後も研究が進められていくはずだが、今後に希望を持たせるような話がなされている。

世の中で課題を解決する場合にいくつかの解答候補がまま出てくるわけで、魅力的で皆が幸せになれる正解が見つかればいいなと思う。






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思わず話したくなる「深海魚」のふしぎ (宝島SUGOI文庫 )思わず話したくなる「深海魚」のふしぎ (宝島SUGOI文庫 )

クリエイティブ・スイート
宝島社 2011-07-07

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『へんないきもの』のような構成で深海生物をネタを入れつつ紹介している作品。

高い水圧、光がないために光合成を行う生物がいないこと、海底火山のように場所によっては高温にさらされるなど、地上や浅い海の生き物とは生息する環境が大きく異なるため、形状や行動にインパクトがあるものが多い。

ホタルイカやチョウチンアンコウのように光を出すものがいることは知られているが、思った以上に光を出す種類は多くて、天敵が下から見てもシルエットが分からないように身を隠すため、威嚇するため、エサとなる生き物をおびき寄せるためとその理由はさまざまなことに驚く。

食事にありつく機会が少ないことから食いだめができるよう、口を閉じられないくらい大きな歯を持っていたり、体よりも大きな生き物を丸呑みできるような構造になっているものなど、厳しい環境に適応することはこういうことなのかとも思ったりもする。

環境との関連で言えば、熱水や黒煙が多い環境で生息するスケーリーフットという巻貝はうろこ状の足が硫化鉄で覆われているという話にも印象が残る。

つけられた名称もすごいものがいて、「ウルトラブンブク」(ウニの一種)とか「ピンポン・スポンジ・ツリー」(海綿)のようなものは形状のインパクトに負けていない名称となっている。

楽しくかつ興味深く読むことができ、購入して良かったと思う。






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図解+写真でばっちりわかる 宇宙はどのように誕生・進化したのか  宇宙138億年をワープしてみよう (まなびのずかん)図解+写真でばっちりわかる 宇宙はどのように誕生・進化したのか 宇宙138億年をワープしてみよう (まなびのずかん)

新海 裕美子 (著), 矢沢 潔 (著), 佐藤 勝彦 (監修)
技術評論社 2015-11-25

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古代の人々による宇宙観あたりから始まり、天動説と地動説をめぐるさまざまな事件、ニュートン力学、アインシュタインの相対性理論、量子力学、ビッグバン宇宙論、超ひも理論と、これまでに広く語られてきた宇宙に関する理論や学説を一通り紹介している作品。

さすがに必ずしも読んですぐにイメージができるような性質のものではないが、できるだけ分かりやすい文章表現が心がけられていたり、限られたページの中で図解を多く使用して分かりやすくしようと努力してきたことは強く感じられる。

特異点や相転移、ダークマター、ブラックホールといった太陽系外の宇宙を舞台とするハードSFでしばしば使用されてなんとなくイメージできつつも説明できるほど理解しているわけでもない用語についても、おおよその意味や由来が書かれていてなるほどと思ったりもした。

現代の科学で宇宙についてこうではないかと想定されていること、あまり分かっていないことの一覧が俯瞰できるような形で書かれていて、興味深く読むことができた。




天文学の図鑑 (まなびのずかん)天文学の図鑑 (まなびのずかん)

池田 圭一 (著), 縣 秀彦 (監修)
技術評論社 2015-05-08

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へんな古代生物
へんな古代生物北園大園
彩図社 2012-08-25

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へんないきもの (新潮文庫)
またまたへんないきもの (幻冬舎文庫)
毒のいきもの
またまたへんないきもの
カッコいいほとけ


形状や生態、名称や扱われ方が奇妙に感じられる古代生物を面白おかしく解説している作品。
著者は異なるが、『へんないきもの』と同様に、1つの生物ごとに見開き2ページでイラストつきで紹介している。

まず目についたのは昨年見に行った国立科学博物館特別展「生命大躍進-脊椎動物のたどった道」に登場したアノマノカリスやウミサソリ(プテリゴートゥス)、ディメトロドン(恐竜に似た外見の単弓類)などが出てきたところで、懐かしさとともに読んだ。

他にも、表紙に掲載されている首が長すぎる首長竜や、哺乳類を蹴飛ばして気絶させてからくちばしでとどめを刺す飛ばない巨鳥、6本の角を持つサイに似た哺乳類、異常な巻き方になっているアンモナイトなど、知っているものも初めて見るものも面白い。

文章でも、翼竜のプテラノドンは構造上翼を畳めないので陸に下りた際は弱かったらしいことや、他の恐竜の卵を食べていたと思われていた恐竜は冤罪だった(けど学名には卵泥棒とついたまま)という話、首長竜は重量のバランスや骨格の関係から頭を持ち上げることはできなかったらしいことなど、興味深いトリビアも沢山書かれている。

気軽に読めて古代生物や絶滅した生物についての入り口となる作品で、なかなか良かったと思う。




毒のいきもの毒のいきもの

北園 大園
彩図社 2010-09-24

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すごい古代生物 ようこそ、奇跡の「もしも動物園」へ
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川崎悟司
キノブックス 2015-12-23

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絶滅した生物を動物園で飼育している体で紹介している作品。
タイトルには古代生物とあるが、数百年以内という比較的最近に絶滅した生物も扱われている。

こうした生物を生息していた大陸ごとに紹介し、動物園の入場者と触れ合う生物のイラストと、「飼育員からのひとこと」として世話をする上での架空のポイント、現存する近いタイプの生物という構成で書かれている。

乗ることができるアルマジロに似た恐竜、ペリカンのようなくちばしを持った翼竜、つぼ焼きにして食べられるアンモナイト、ダチョウのように地上を走り回るフクロウに似た鳥、硬い皮膚に覆われているため釣った際は戦車砲でとどめを刺す必要がある巨魚など、リアルなイラストと世話のポイントの対比が楽しい。

環境の変化で絶滅した生物の他、天敵のいない隔絶した環境に適応しすぎたために外来生物との生存競争に敗れて淘汰された生物など、種が続くには多くの要因が必要なのだと感じた。

気軽に読める構成で絶滅した生物のことを知ることができるようになっていて、興味深かった。





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