読書-思想(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-思想(日本)」 に関する記事を紹介しています。


渋沢栄一 巨人の名語録 日本経済を創った90の言葉 (PHPビジネス新書)渋沢栄一 巨人の名語録 日本経済を創った90の言葉 (PHPビジネス新書)

本郷 陽二
PHP研究所 2012-11-17

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渋沢栄一による90の言葉を、1つ当たり見開き2ページで紹介している作品。

代表作の1つである『論語と算盤』のタイトルにもあるように、利益を上げることと人々のために貢献することは両立可能だという話が多く扱われている。

道徳には商業も他の分野と区別するものではないとしていたり、変に昔を美化する風潮への反論、自分のことばかりを優先する人はかえってひどい境遇に陥りがちなこと、不運というもののかなりの割合が普段の言動に起因しているなど、言われると確かにそうだと思われる言葉が随所で紹介されている。

渋沢は業績を上げた分だけ、だまされたりひどい目に遭わされたことも多かったはずだと想像しているが、その上でも前向きな言葉を多く残しているのはすごいと思う。

また、実業を志していて弁舌に自信もあった渋沢を説き伏せて大蔵省にスカウトすることに成功した大隈重信をはじめ、井上馨、木戸孝允、大久保利通、江藤新平といった明治の元勲たちの話が出てくるのも時代を感じるし、各章の末尾には渋沢が2回ノーベル平和賞の候補になっていたなどのトリビアが書かれているのも良かった。

渋沢栄一の言葉に関する本は、5代目の子孫に当たる渋澤健による『渋沢栄一 100の訓言』も読んでいてそれぞれ違った良さがあるが、読みやすさでいけば本書の方がいい。






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覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 (Sanctuary books)
覚悟の磨き方 超訳 吉田松陰 (Sanctuary books)
池田貴将
サンクチュアリ出版 2013-05-25

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超訳 吉田松陰語録ー運命を動かせ


吉田松陰の言葉を現代語で超訳したものを、1つ当たり1ページあるいは2ページで176項目で構成している作品。
勇気を持って行動することの大切さを説いた言葉が多い。

そもそも吉田松陰の著書を読んだことがなくてどのような本があり、原文でどのような言葉があるのかも知らないのだが、そのあたりの原典や原文の補足が全くない。
そのため、松陰の言葉がどのていどのニュアンスで伝えられているのかが分からないのがまず大きな問題だと感じた。

文章の内容から著者(池田氏)が前面に出てきて語っているのではないかと思われる言葉も散見され、松陰の看板を使って話をしているような感じはあまり好感を持てなかった。

なんとなく心に響かず、途中から斜め読みになってしまった。
少し前に読んだ『自分を敬え。超訳・自助論』と同じくらい期待はずれな本で、少なくとも自分には合わなかった。






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渋沢栄一 100の訓言 (日経ビジネス人文庫)
渋沢栄一 100の訓言 (日経ビジネス人文庫)
渋澤 健
日本経済新聞出版社 2010-08-03

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渋沢栄一の5代目の子孫で、コモンズ投信を経営する渋澤健による、渋沢栄一が残した言葉100を1つ当たり見開き2ページで現代語訳と解説している作品。

代表的な著書のタイトルである『論語と算盤』にも見られるように、道徳と利益を上げることのどちらも重要であり、特に正しいことを行って利益を上げることに引け目を感じることはないというメッセージが伝わってくる。

次に、「悲観的の人は残酷である」という言葉が強く印象に残った。
これは絶望が自己中心的になることにつながり、他人への思いやりが持てなくなるということを指していて、つらい時に他人への思いやりを持てるかどうかが人として試されているような気持ちになる。

他にも、悪いことをしないことだけがいいことではないこと、わがままと元気を誤解してはいけないこと、機が熟せずにうまくいかない時は勇気を持って耐えること、昔の人がすべて偉かったわけではないなど、心に刺さる言葉がいくつも収録されている。

若い頃はテロを計画していたり、その後一橋家、徳川家、明治政府を経由して多くの事業を興した人物というだけのことがあり、明るく前向きな姿勢が感じられるのがいい。
さらに、渋沢栄一関連の本を読んでみようと思う。






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関連タグ : 渋沢栄一,

超訳 言志四録 佐藤一斎の「自分に火をつける」言葉 (知的生きかた文庫)
超訳 言志四録 佐藤一斎の「自分に火をつける」言葉 (知的生きかた文庫)
田口 佳史
三笠書房 2015-04-22

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江戸時代後期に儒学者として多くの人材を育成した佐藤一斎の『言志四録』の言葉を超訳・解説している作品。

他の関連書でも心に刺さる言葉が多いことは知っていたが、本書でもいかに自分の生活や考え方、働き方などに活かせる言葉が紹介されている。

本書で特に印象に残ったのは、『言志四録』では宋学(朱子学)の影響によって天、地、気といった言葉や概念を用いた言葉が多いということである。

宋学に対しては偏狭なナショナリズムや教条主義を生み出した問題のある思想というイメージを持っているが、元々の儒教の教えに加えて仏教や道教などの概念を加えたものと解説されていて、もう少し知識を得ておかなければならないと感じた。

原文のリズムの良さ、例え話の絶妙さ、当たり前のことを当たり前に行うことの重要さを説いていることなど、佐久間象山や山田方谷、横井小楠、渡辺崋山など癖の強い人々を教えてきただけのことが書かれている。

さらっと読み終えるにはもったいない1冊なので、手元に置いて読み返したい。






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関連タグ : 佐藤一斎,

葉隠 (知的生きかた文庫)
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奈良本 辰也 (翻訳)
三笠書房 2010-06-21

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佐賀藩に武士道の書として伝わってきた『葉隠』を現代語訳した作品。
先日読んだ『葉隠 (まんがで読破)』ではいまひとつ消化不良だったので続けて読んだ。

書かれたのが江戸時代中期の幕藩体制が安定している時期なので、「いかに殿へ対していいご奉公をするか」とか「他の藩はともかく佐賀藩では・・・」といったように、少し窮屈な時代が反映されたと思われる記述もあり、現代で通用する部分とそうでない部分を判別する必要がある。

通用する部分では、人付き合いにおいて恥をかかせないような伝え方を心がけていらぬトラブルを受けないようにすることや、身なりや所作を気をつけることの重要性など、藩と企業での違いはあってもサラリーを受ける組織での言動には共通する部分があるものだと感じた。

また、佐賀藩の藩祖である鍋島直茂、直茂の子で初代藩主の勝茂、勝茂の孫で本書の語り手の山本常朝が仕えた二代藩主の光茂といった殿様をはじめとして、直茂の奥方である陽泰院や家臣たちなどのエピソードが多く収録されていて、佐賀藩ではこのような人々が模範にされていたのだろうということも推測できる。

くせのある内容ではあるが、参考にすべきところも多かったので読んで良かった。
新渡戸稲造の『武士道』もそのうち読んでみようと思っている。






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