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読書-思想(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-思想(日本)」 に関する記事を紹介しています。



梅原 猛 (著)
講談社 (1976/6/7)


哲学者の梅原猛が、1968年に富山県の教職員たち向けの講演で語った内容をまとめた作品で、物質や技術に偏重した西欧文明のいきづまりや、日本で発展した仏教文化にもっと目を向けるべきことなどを語っている。

西欧は世界支配をしたことで思想的には貧弱になったという考えや、本書で回教と表現しているイスラム圏の人口が増えてその後に勢力を拡大することを予見している話が印象に残る。

この当時はまだ影響力が強かった共産主義についても、あくまで西欧文明というかキリスト教の思想から生まれたものだと規定していて、東洋などだとマルクスが語ったような唯物論的な考えにはならないだろうから当たっているのだろうとも思った。

そして日本については、江戸時代の国学から始まって戦前までの、神道のような仏教伝来前の思想ばかりを重視してきた弊害と、1000年以上にわたって多くの影響を与えてきた仏教の思想をもっと認識すべきだとの話をしている。

国語の教育では兼好法師の『徒然草』や鴨長明の『方丈記』が教えられることが多いものの、一流とは言えない退屈男と無常男の文章よりも、仏教関係者の素晴らしい文章を教えられる方がいいことを語っている。
具体的には親鸞、道元、日蓮、空海などの著作がそれに当たる。(どれも読んでいない…)

これはキリスト教のことが分かっていないと欧米の文化や歴史、芸術などが分かりにくいことと同様に、日本仏教のことが分かっていないと日本でも文化や歴史、芸術などの理解が深まらないということなのだろう。

そこから、日本仏教の思想が西欧文明のいきづまりを打破するための1つのヒントとなりうるのでは?という話につなげている。

他にも、民族学者の梅棹忠夫氏が「フランスはあきまへんなあ」と語っていて、その理由として食事に3時間かけることを挙げていた話や、ノーベル賞受賞の物理学者である湯川秀樹氏が「スウェーデンは(仏教思想の六道における)天だ」と語った話なども面白い。

短いページ数かつ、分かりやすい表現で示唆に富む話が多く書かれている作品だった。



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本多 静六 (著)
実業之日本社 (2013/5/15)


明治時代に林学や造園などの分野で活躍し、投資家としても知られている本多静六による、長寿を実現した生活習慣や学習法、考え方などを語っている作品。

睡眠をこまめに取ることや複数の野菜を浅漬けにした「ホルモン漬」の常食、よく歩くことなど、運動不足や暴食の傾向がある身からすると耳が痛い話が多い。

また、耄碌したから働けないのではなく働かないから耄碌するという言葉からも分かるように、働き続けることの意義を語っているのは、高齢社会を予見しているかのように思ってしまう。

以前読んだ著者の『私の財産告白』と重なる内容も含まれていて、成功した背景にしっかりした考え方や行動があることがよく伝わってきた。

ただ、著者が同時代の人に向けて書かれたことが強く出ていて古びていると感じられる部分も多いので、下記に挙げた関連記事の作品の方が、最初に読むには向いているかと思う。






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渋沢 栄一 (著), 竹内 均 (編集, 解説)
三笠書房 (2021/1/20)


渋沢栄一が『論語』や同時代の幕末・明治期の人物たちとの交流、日本史の事例などから得た教訓や哲学を語った『実験論語処世談』を現代語訳した作品。

渋沢が『論語』に登場する孔子をはじめとして子路や顔回などの弟子たちのキャラクターについて考察していたり、西郷、大久保、木戸、伊藤、井上、大隈など明治の元勲たちの話、そして秀吉や家康など、業績が多いだけあって話の引き出しの多さを感じることができる。

中でも面白いのはやはり同時代人の話で、そりが合わなかったが認める部分も多かった大久保、人徳を評価していた木戸、ネガティブで他人に厳しく親切の押し売りをしがちな井上、頑固で融通が利かない江藤や黒田など、他の著作と重なる話も多いが何度読んでも面白い。

また、一橋家に仕えていた頃に新撰組とともに容疑者を逮捕に出かける際に役割分担でもめたが、土方が話の分かる人物だったのでうまくことが運んだという話も、先日読んだ『映える幕末史~新感覚な歴史の教科書』でも扱われていたことを思い出して少しテンションが上がった。

多少説教臭く感じるところもあるが、これはいつの時代もそういうものなのだろうとも思った。




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関連タグ : 渋沢栄一, 孔子,


渋澤 健 (監修)
宝島社 (2019/2/9)


渋沢栄一の『論語と算盤』に書かれている言葉を、それぞれ400字で分かりやすく要約して紹介している作品。
渋沢の玄孫でコモンズ投信の会長を務める渋澤健氏が監修している。

ゆるめのイラストや用語解説、コラムなどが多用され、サービス精神にあふれた1冊になっている。
『論語と算盤』や渋沢栄一、そして幕末から明治にかけての歴史、日本の資本主義などについての入り口になりやすい作品だと思う。




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関連タグ : 渋沢栄一,


松下 幸之助 (著)
PHP研究所 (2016/7/23)


松下幸之助が人生や生き方などのついて語っている『道をひらく』と『続・道をひらく』から若者向けの言葉を取り出し、ハローキティのイラストとともに紹介している作品。
当然だが、イラストと内容はあまり関係がなく、読みやすくするためにあるくらいの感じである。

上記2冊はまだ読んだことがないので読みやすそうな本書から先に読んでみた次第だが、分かりやすくかつ心に響くような言葉がいくつも収録されていて、関心を持つという目的は果たしていると感じた。

例えば自分の思うように物事が進まないのは、思うようにできると調子に乗りすぎて報いを受けるからだという趣旨の言葉などが印象に残ったりした。

『道をひらく』の感じが何となく知ることができたので、どこかのタイミングで読んでみることになると思う。
(現在、『道をひらく』よりも先に読みたい本が多いため)





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