江戸時代中期に勝田祐義によって編纂され、寺子屋での教科書として広く利用された『金言童子教』の言葉451を現代語訳および解説している作品。
『論語』などの名言が多く収録されていて、韻を踏んだり前後で意味を対応させたりと、リズムよく読むための工夫がなされていることが伝わってくる。
多分繰り返し口に出して読むことで効果が出てくるものであり、単に黙読するだけでは効果が限定的なものなのかもしれない。
このレベルの内容を、幼稚園児や小学生の頃から学ばせていたのはすごいことと思う一方で、それでもダメな人は一定数出ていたと思うので、教育の合う合わないなどはあるかもしれない。
あまり、現代の人がダメだとくさしても仕方がない。
全体的には類書が少なくていい着眼点だと思うし、読みやすい構成となっている。
ひとつ注文をつけたいのは続き物の言葉を分けて訳しているところで、ぶつ切りにされてリズムが悪くなっている。
ここはまとめた形で構成した方が良かったのではないかと思う。
- 著者の作品について書いた記事
- 『現代語訳 論語』
- 『日本人の闘い方-日本最古の兵書『闘戦経』に学ぶ 勝ち戦の原理原則』
- 『最強の人生指南書-佐藤一斎「言志四録」を読む』
- 『1分間武士道 差がつくビジネス教養1』
- 『5分で「やる気」が出る賢者の言葉 「プチ鬱」から抜け出す33の技術』

渋沢栄一の『論語と算盤』を現代的に分かりやすく現代語訳している作品。
構成もすっきりしていて、訳文も読みやすい。
また、怪しい祈祷師にはまったおばを論破して迷信の打破を説いている話などが面白い。
それなのに、この手の類書を多く読んで新たな発見が減ったためか、著者の訳文が合わなかったのか分からないが、それほど好印象でもなかったのはなぜだろう?
『論語と算盤』を現代語訳した作品であれば、齋藤孝氏の『現代語訳 論語と算盤』の方がいいと思う。

本田宗一郎の言葉を100選び、多くの写真とともに見開き2ページの構成で解説している作品。
『1分間本田宗一郎 常識を打ち破る人生哲学77』で初めて本田のことを知り、本書も読んでみた。
特に若い頃の本田は血の気が多くて大声で怒鳴ったり工具投げるような感じだったらしいが、その怒りを引きずらなかったという話は、松下幸之助にも通じている。
40代の頃の本田の写真が掲載されているが、後年の好々爺然とした感じとは違ってかなり怖そうに見える。
本書でまず印象に残ったのは、芸術とデザインの違いについての言葉で、時代を越えて通用するが認められるまで時間がかかるので商売に向かないのが芸術で、その時代の流行を捉えたものがデザインという感じのことを言っている。
どちらがいいというものではなく、企業ではデザインが求められるということを言いたいのだろう。
他のところで、本田が技術者は人情の機微にも通じておくべきだということを語っていることとも通じているのが面白い。
他にも西郷隆盛は青年たちを多く死なせたために英雄として認められないということや、コンビを組んだ藤沢武夫とは退任の時に「まあまあだったな」と言い合った話、画家のシャガールやF1ドライバーのアイルトン・セナとの交流などにまつわるエピソードなども扱われていて、興味深く読むことができた。
- 関連記事
- 『1分間本田宗一郎 常識を打ち破る人生哲学77』
- 『渋沢栄一 100の言葉 日本人に贈る混迷の時代を生き抜く心得』
- 『田中角栄 100の言葉 日本人に贈る人生と仕事の心得』
- 『1分間松下幸之助 逆境を力に変える不屈の人生哲学77』
- 『現代語訳 意志の力』

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鎌倉時代の政治家・北条重時が遺した『極楽寺殿御消息』などから家訓を48選び、現代語訳および解説している作品。
重時は承久の乱の主将だった義時の三男、『御成敗式目』で知られる泰時の弟に当たり、初期の六波羅探題の北方のトップとして長年実績を上げ、後に泰時の孫の時頼が執権に就任した際は連署として補佐に当たるなど、鎌倉幕府の実力者として活躍している。
ただし承久の乱では幼年だったため従軍していないなど武将としての実績はあまりないようで、本書を読む限りだと政治家のイメージが強い。
書かれている家訓は現代でも通用しそうな話が多くてためになるが、著者の石原氏が語りすぎて残念な構成になっている。
まえがきで著者は「重時の家訓はくどい」と書いているが、著者の解説文もかなりくどく、自分のこととなるとよく分からないのかもしれないと感じた。
著者以外で、重時の家訓についての本を読んでみたい。
志村 史夫
ワニブックス 2017/12/8
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