大塚 英志 (編集), 山本 忠宏 (編集)
筑摩書房 (2020/5/8)
源頼光と配下の四天王が酒呑童子を退治する話である『酒天童子絵巻』、不実な男に激怒した少女が大蛇になって追いかけてくる『道成寺縁起』、頼光と渡辺綱が土蜘蛛と戦う『土蜘蛛草子』の3つの絵巻物を、漫画のコマ割りにして分かりやすくしている作品。
昨年読んだ『まんが訳 稲生物怪録』と同じ編者の作品でもある。
元々の絵巻物だと長い巻物に登場人物と説明があってシーンの移り変わる部分で山や雲が描かれるような形式になっている形なのを、キャラクターの顔や体の一部、持ち物などをコマとして切り取り、セリフもつけることで漫画の形になっているのは改めてかなりの技術によるものだろうと感じられる。
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矢島 新 (著)
東京美術 (2016/4/26)
江戸時代に活躍した禅僧の白隠と仙厓による、ゆるくかわいい感じの禅画を紹介している作品。
割合は仙厓の方が多く、白隠の2倍以上の絵が収録されている。
自らの自画像、達磨などの禅僧、子供、犬や猫、猿といった動物、七福神や鍾馗のような空想上のキャラクターなどが禅画として収録され、見ていて楽しい。
禅ということで見た人に考えさせるテーマを扱っていたり、仙厓に絵をねだってくる知人をネタにしているなど、面白い要素が多い。
そして、2人とも若い頃はかなり技巧的な絵を描いていて、ヘタウマみたいな絵を描くにもベースとなる技術やイメージ把握が必要なのだとも思わされた。
江戸時代の町人風の作品が多い、イラストレーターの山田全自動氏が描くにっこりした表情の人物は、白隠の絵の影響を受けているのではないか?とも感じた。

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湯本 豪一 (著)
東京美術 (2015/7/31)
キモかわいい、ゆるい、面白いといった感じの妖怪画を紹介、解説している作品。
博物館や美術館の特別展や別の本などで見たことがある『百鬼夜行絵巻』や『稲生物怪記』、『神農化物退治絵巻』(放屁で化け物を退治する絵巻物)、『化物嫁入絵巻』などが収録されていて、過去に見た別バージョンも入っていたりして改めてみても面白い。
また、江戸時代の俳人・画家の与謝蕪村が描いた『蕪村妖怪絵巻』や百年を経た器物が化け物になる『付喪神絵巻』、妖怪図鑑のような『百物語化物絵巻』や『化物づくし』も収録されていて、絵筆のタッチもあるのか怖さよりもゆるさを強く感じるものが多い。
絵画の感想はなかなか伝えやすい表現が書きにくいが・・・
上手い絵、ヘタウマに分類されそうな絵とさまざまで、それぞれの楽しみ方ができる感じの1冊となっている。

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村上 勉 (著)
講談社 (2015/12/16)
佐藤さとるによる『だれも知らない小さな国』から始まる、コロボックル物語シリーズの挿絵を一貫して描き続けてきた村上勉によるコロボックル物語の画集と、創作時のエピソードなどを語っている話で構成されている作品。
小人やフェアリーといった存在を日本的な感じにするにはどうしたらいいか?という悩みや、佐藤氏が蜂をイメージしていたのに対して村上氏がコオロギやバッタをイメージして描いた経緯、村上氏が18歳の頃に佐藤氏に出会った頃のエピソードなど、2人で多くのことを考えながらコロボックル物語を作り上げたことが伝わってきて興味深い。
『図書館戦争』などで知られる有川浩がコロボックル物語を引き継ぐことになり、原稿ができるまでの間に村上氏が本作を描いたことが書かれているのも面白い。
久しぶりに、コロボックル物語を読んでみたくなった。
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