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読書-スポーツ:雨読夜話

ここでは、「読書-スポーツ」 に関する記事を紹介しています。



TAJIRI (著)
徳間書店 (2021/6/30)


アメリカのプロレス団体・WWEに所属した時期があり、国内外の多くの団体でも活躍しているプロレスラーが、ヨーロッパやアメリカ、東南アジアなどを興行や指導で訪れた際の出来事をつづった紀行文。

以前読んだ雑誌で本書の続編である『戦争とプロレス』が紹介されていて、椎名誠の『あやしい探検隊』シリーズに近い感じだと評されているのに関心を持ったので読んでみた。

プロレスが興行ビジネスなのと著者の知名度が高いと思われることから、マルタ、ポルトガル、オランダ、アメリカ、シンガポール、マレーシアなど、多くの国を訪れている。
また、格安の航空チケットが手配されたり、空港から会場まで自動車で何時間も移動することになるなど、ハードな日程になることも多い。

プロレス団体の主催者やレスラー、関係者など出てくる人々も濃い人が多いのと、著者が人々の言動を盛って語っているのも面白い。

プロレスが世界各地で盛んになっているのはいいとして、基本ができていなかったり技ばかりに目を向けられているようなプロレスごっこみたいになりがちな傾向にも危機感を持っていて、理論的なトレーニング方法を指導したり、プロレスではキャラクターを活かすための技が必要などと熱く語っている部分もあるのが話に厚みを持たせてもいる。

私にプロレスやプロレスラーについての予備知識がないので分からなかったところも多いと思われるが、なかなか面白い1冊だった。




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落合博満 (著)
ダイヤモンド社 (2011/11/17)


落合博満氏が中日ドラゴンズの監督時代、どのような考えでチームを作り、ペナントレースや日本シリーズを戦ったかを語っている作品。

少し前に読んだ『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』と重なる話も多いが、本人が語るのと記者が書くのとではやはり色々と違うものだと感じたりもする。

落合氏はマスコミへの対応で口が重いことが多くてあまり評判が良くなかったが、表情や言葉で何を考えているか知られると不利になるからという話をしていて、この点でも契約で目指すとされた勝利に対して徹底していたのだと改めて思い知らされる。
知られることが嫌なら黙るか、変なことを言ってけむに巻くかのどちらかになるのだろう。

本書の構成は、ノムさん(故・野村克也氏)の著作に少し似ているが、エピソードが多めなノムさんに対し、落合氏は個人の内面や技術的な感覚の話などが多い感じを受ける。

野球協約のおかしさや、リーダーになった人を過去の偉人と比べて引きずりおろそうとする傾向、極端な例を出してルールの改善を図るべきことなど、野球界やマスコミに対して色々と思うことがあることも伝わってきた。




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お股ニキ(@omatacom) (著)
光文社 (2019/3/13)


ダルビッシュ有など多くのプロ野球選手と交友があって影響を与えることもしばしばの人物による、近年の野球に関するデータ分析の傾向やその弊害などを語っている作品。

投球のストレート(フォーシーム)と変化球の回転や変化、バッティングの角度や軌道、キャッチャーのフレーミングとブロッキングに監督の采配、編成や球団経営、さらには近年のセイバーメトリクスの影響を受け過ぎる野球文化と、さまざまな観点から書かれている。

技術的な話が今一つ関心が持てずによく分からなかったり、MLBの選手のことをあまり知らなかったりして入ってこない部分も少しあるが、全体的には一般的に思われていたり評価されている話と異なることが書かれている部分も多くて面白い。

例えば、バッティングが良かったノムさんがリードのことを多く語ってキャッチング・ブロッキングが優秀だった里崎智也がバッティングのことを多く語るというキャッチャーに関する違いや、弱者の戦略がもてはやされがちだが基本はあくまで能力のある選手を集める編成をするのが王道だという正論、MLBで実施している戦力均衡策がもたらした意外な戦略など、考えさせられる話が多い。

印象に残るのは、データを重視するのはいいが捉え方を間違えたり使いすぎると直感と異なる結果になっておかしな結果になる場合があるという話で、データ分析の世界は簡単なものではないと感じる。

本書には今年横浜DeNAベイスターズに入団し、野球以外にYouTuberとしても活躍しているトレバー・バウアー(サイ・ヤング賞投手)が登場していないが、著者から見たバウアーの話なども読んでみたい。

もっと言えば、バウアーに投球論やトレーニング論、日米の野球の違いなどを語ってもらった本が出たら読んでみたい。
もしかすると、企画して持ちかけている人がいるかもしれない。






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鈴木 忠平 (著)
文藝春秋 (2021/9/24)


中日ドラゴンズの監督時代に、落合博満氏の担当をしていたスポーツ新聞記者(当時)によるスポーツノンフィクション。

怪我でほとんど投げられていなかった川崎憲次郎の開幕投手起用、1年過ぎてからの大量解雇、サードを立浪和義から森野将彦へ交代したこと、日本シリーズでの山井→岩瀬の継投、ドラフトでの大田泰示ではなく野本圭のような即戦力偏重、アライバこと荒木・井端のポジション交換、そして優勝したのに契約更新されなかったことなど、落合監督時代の8年間に起こったことを関係者への丁寧な取材に基づき語られている。

各章では川崎、森野、宇野勝、和田一浩、トニ・ブランコなど選手やコーチ、背広組が感じていた話と、著者が落合氏との会話や感じたことの2種類で構成され、落合氏がどのようなことを考えて秘密主義とか非情と思われる言動をしていたのか考察している。

それぞれの話がかなり重く、少しずつ読んでいく形となった。
監督の契約は星野仙一氏、山田久志氏と同じように勝ち続けるとボーナスがつく契約だったのだが、その2人と違って勝ち続けたために人件費が跳ね上がって経営に影響を与えたことや、あの「ガッツポーズ事件」で坂井球団社長が選手たちに嫌われて優勝後のビールかけで誰も近づいてこなくて1人で右手に持ったビールを左手にかけていた話など、契約と経営についての話も印象に残る。

立浪や井端の守備の衰え、内部にリークしていた人物のあぶり出しなど職務上話しづらいことが多いポジションだったことは確かなようで、こうしたことを徹底してできたからこそあれだけの成績が出せたのだろう。

著者の文体が少しかっこつけすぎている気がしないでもないが、かなり読みごたえのある1冊だった。

『嫌われたGM』という作品が出たら読むかというと…多分読まないだろう。



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新庄剛志 (著)
マガジンハウス (2022/2/23)


BIGBOSSこと、北海道日本ハムファイターズの監督になった新庄剛志による、インタビューをまとめた作品。

著者が阪神時代に監督だったノムさん(故・野村克也氏)の本で「ジーンズが似合わなくなるから筋トレしたくない」みたいなことを言っていた話が書かれていたが、これは努力しているところを見せたくないがための照れ隠しの発言だったようである。
果たして、ノムさんはこれに気付いていなかったのか、気付いていて著者の意図を尊重してそのように書いたのかは分からない。

ノムさんからの指示でオープン戦で投手をやっていたことへの感想も知りたかったが、質問自体がなかったのか質問はあったけどカットされたのかは分からないが入っておらず、気になる。

読んでいくと、奇抜なパフォーマンスやエキセントリックな言動も計算してやっていたことが語られている。
言われてみれば確かに、ビッグマウスだけで終わらずに結果を残していることが多いことに気付かされる。

著者はペナントレースでスタメンを当日発表して賛否が分かれている(否が多い)が、メッツ在籍時代に監督だったボビー・バレンタイン氏がやっていたことに学んだものだという。
他にもノムさん、日本ハム時代のトレイ・ヒルマンに影響を受けたこと、他にも星野仙一、仰木彬、岡田彰布、落合博満の4人を参考にしていることを語っている。

他にも野球を考えてやってきたことが分かるのと、語彙があまり豊富でない分だけ分かりやすいとも感じた。

現在著者が指揮を執る日本ハムの成績はお世辞にもいいとは言えないが、元々戦力が不足していたので驚きはない。
横浜DeNAベイスターズの監督を務めたアレックス・ラミレス氏も当初はかなり批判されていたと記憶しているので、評価をするのはまだ早いのだろう。



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