対人関係で気をつけすぎたり無頓着すぎたりして、人から嫌われないためのポイントを見開き2ページで86項目にわたり解説している作品。
他人の都合や気持ちを考慮した言動をすることはもちろんだが、気を悪くすることを気にしすぎておどおどしたり、言いたいことをはっきり言えない場合も不信感を抱かれることにつながることが書かれていて、特に注意したいところだと感じた。
先に言いにくいことを言ったり、断ったり反対するにしても代替案を出すこと、脅しや権威を持ち出すことに対しての対応など、たいしたことでもないのにトラブルになりがちなポイントへの対応が書かれているのもいい。
そしてまともな対応が期待できない人へは距離を置くことと書かれているが、さすがにこの部分ではあまり具体的な話にまで及んでいない。
まともな対応が期待できない人や既に嫌われてしまった後の対応は、また別の対策が必要ということだろう。
不用意に人間関係を悪くしてしわまないための予防的措置という感じのことが分かりやすく書かれていて、参考になる。
- 著者の作品について書いた記事
- 『言いにくいことを「サラリ」と言う技術』
- 『「カチン」ときたときのとっさの対処術』
- 『宇宙銀行―徳を積み立てると幸運が引き出せる』
- 『ツキを呼びこむ「論語」の成功法則-心をこう鍛えれば強くなる!』

行動経済学の作品としてよく売れたらしい『予想通りに不合理』の続編で、人の合理的でない判断や行動を実験結果とともに紹介し、不合理さを前提としてどのようにしたらいい結果を出せるかまでを語っている作品。
指摘されれば確かにそうだと思われる話がいくつもあり、例えば人がいいことにもいやなことにも慣れる傾向というのが分かりやすい。
これをうまく使うには、いい気分になるイベント(例えば買い物)は何度かに分けて嬉しさをリフレッシュさせる一方、いやなこと(これは面倒な家事など)はつづけてやってしまうことで慣れてしまえばいいと書かれている。
(意識しなければ逆にやってしまいがちだが・・・)
他にもあるレベルまで報酬を弾むことは成果につながりやすいのだがそれを越えた報酬はプレッシャーになって逆効果としていたり、自分が考えたり作ったりしたものは過剰に評価する傾向、報復することは明らかに不合理な行動だが抑止力としての意味があるなど、しばしば想定と異なる結果が出ているのが興味深い。
著者が学生の頃に事故で重傷を負ってかなりの苦労を強いられた話をしばしば例に出したり、学生が物価の安いインドで実験をした際に起こったエピソードを紹介したりもしていて、話に厚みを加えているところもいい。
結果に対していくつかの仮説を立ててより具体的な傾向を見出すなどして話を勧めているのが分かりやすく、著者の他の作品も読んでみようというだけの魅力を見出すことができた1冊だった。
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心理学の観点から『君主論』などで知られるマキャベリの言葉における妥当性や有効性を解説している作品。
本音を明かさないことや、怖れられることやケチと見られることは問題ないが憎悪や嫉妬は避けるべきこと、他人の悪行を改善させることはあまり効果がないなど、マキャベリの思想を多くの実験結果やデータなどで裏付けているのが興味深い。
また、他人に頼っての成功を狙うのはその人に支配されることにつながるので、あくまで自力がベースという話ももっともだと思う。
それが難しいわけだが・・・
読んでいて思ったのは、マキャベリズムを活用して成功した人にはサイコパスの人も多く含まれていたのでは?ということだった。
変に情があってできないことも、こうした人だったら戦略的に判断して行動できるのかもしれない。
マキャベリと内藤氏の心理ネタという、どちらも関心のあるテーマの組み合わせが自分の中で盛り上がっていて、興味深く読むことができた。
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近年の日本で目立っている行動などについて、心理学の観点から分析している作品。
具体的には裏づけもないのに自信満々な言動をすることや、「意識高い系」と呼ばれる言動、SNSの普及でつながりに依存というか縛られがちになる傾向などである。
まず、裏づけもないのに自信満々なのは元々人間にある自己評価が高い傾向に加え、リスクや問題に対する考慮が足りないためとばっさり切り捨てていて、ポジティブになることが正しいと言い過ぎる風潮がそれを助長していると補足している。
成功している人は多かれ少なかれ不安を抱えた状態を乗り越えてきたわけで、ネガティブさによる慎重さもまた必要との意見は納得しやすい。
次に意識高い系になる背景には、周囲に見られることへの意識の強さと、認められるために地道な努力をする意欲にギャップがあることを挙げている。
結局、これも自分のことばかりで周りが見えていないという話になる。
そしてSNSへの依存については、24時間ずっと周囲の意向に振り回されがちになったり、仲間うちだけの狭いつながりに引きこもる例が書かれている。
さらには職場でもウェットな関係を求めたり、1人になることの恐怖についても書かれていて、この傾向が1人でじっくり考えることができなくなり、上記の行動につながっている部分もあるようである。
この手の本ではありがちな提言のところが弱いのは本書でも同様だが、心理が行動につながるプロセスが分かりやすく解説されていてなるほどと思いながら読んだ。

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ふと口に出した言葉、あるいは話す流れで話さなかった言葉などによって、意図したことが伝わらずに悪意と受け止められるケースや、言葉の送り手と受け手でどのように齟齬が発生するかなどを具体的な言葉(および仕草)とともに解説している作品。
トラブルが起こりちなやり取りでしばしば見られる感情としては、「自分を認めさせたい」、「相手よりも優位に立ちたい」というものが多いようで、確かにこれはあると思った。
「嫌われる人の話し方」については多く書かれているが、「好かれる人の話し方」については書かれている分量が少なく、ちょっとタイトルとあっていない部分があるようにも感じる。
起こさなくていいトラブルを回避するために使用するのが正しい使い方なのだろうが、悪意を効果的に伝えたい場合や問題のある人を遠ざけるためのテクニックとしても使用できそうである。
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