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読書-紀行文(国内):雨読夜話

ここでは、「読書-紀行文(国内)」 に関する記事を紹介しています。



椎名 誠 (著)
小学館 (2019/11/28)


椎名誠の『わしらは怪しい雑魚釣り隊』シリーズの第7作。

行くことが多い関東近郊での釣りから、宮古島、伊豆諸島の新島、長崎、宮古島、宮崎、能登半島といったところへの遠征も収録されている。
能登半島では北陸放送から企画が持ち込まれてのタイアップで遠征したことが書かれていて、映像を見たいと思った。

結成から12年が経過して隊員が30人を越えている他、隊員たちの経験値が上がったのか、ドレイ隊員たちが小さめの魚をカッターナイフなどで捌いているシーンも書かれているのが面白い。
また、過去に台湾や済州島でメンターたちが世話になった現地の人が雑魚釣り隊の合宿に参加しているのも、それだけ活動が魅力的だからだろう。

関東近郊の干潟でアナジャコやマテガイ、ホンビノスガイなどを採集する回では、先生役を務めた『捕まえて、食べる』の著者・玉置標本氏も、雑魚釣り隊の料理人・トオル氏が採集した生き物をおいしい料理にしたことに衝撃を受け、入隊することが書かれているので、今後登場するのを楽しみにしている。

本書の初めの方では元気に釣り船に乗っていた古参隊員のタコの介こと樋口氏が体調を崩して最後の参加となった、大雨のために新宿の地下で仮想キャンプをした回では、普段あまり書ききれていない隊員たちの話をしているのも、話に厚みを持たせている。

ごはんをマンガ盛りにして食べる天野氏と「しろめしおかわりくん」こと似田貝氏の食べっぷりを著者が楽しみにしていたり、スポーツジャーナリストとして世界中を飛び回るドレイ隊長の竹田氏を著者の若い頃を思い出させてくれるなど、個性豊かなメンバーが盛り上げていることを再認識する。

著者が講演などで地方に出張することが集合のきっかけになったり、著者が来る前のことは他のメンバーが手記を残しているなど、隊長である著者が宴会の場にいる、ということが大切なのだと伝わってきて好感が持てる。

本書も雑魚釣り隊の魅力が存分に書かれていて、楽しませてもらった。





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関連タグ : 椎名誠, あやしい探検隊,


北大路 公子 (著)
集英社 (2020/4/17)


ビールとテレビが大好きで旅行や運動が嫌いなエッセイストが、集英社から出された「あえて行きたくないところへ苦手なことをしに行く」という企画により、嫌々ながら日本のあちこちを旅行させられた過程を書いているエッセイ集。

著者が住む札幌から、岩手、山梨、三重、香川、沖縄の一道五県に出かけ、犬ぞり、富士急ハイランドの絶叫マシン、青木ヶ原樹海、こんぴらさんへの1368段の石段、沖縄の海でのシュノーケリングと、アクティブな企画は全て「嫌だなあ」と言いつつ編集者の元祖E譲に引っ張られて体験している。

また、レンタルの電動自転車で移動する予定も組まれていて、前回自転車に乗ったのは30年前という著者は「自転車なんか乗ったらぶつかって死ぬ」と言って何とか乗らずに済ませられないかあがいてもいる。

何かあるとすぐに「嫌だなあ」、「帰りたい」、「ホテルでビールを飲んでいたい」、「雨が降って企画が中止になればいいのに」みたいな弱音を吐き、元祖E譲から「楽しいと思いましょう!」みたいにポジティブなことを言われるやり取りが面白い。

また、山梨では曇天の日が多くて最後まで富士山が見えなかったことで「富士山の存在は嘘だな」みたいなことを語ったり、神社で「原稿を書かずに原稿料をもらえますように」と祈るなど、表現のセンスが面白く、50代くらいの年代にしてはけっこう感性が若いように感じる。

イラストレーターの丹下京子さんの挿絵は故・安西水丸氏の作風に近いのも本文とあっていて、随所で笑いながら楽しく読むことができた。





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安部龍太郎“英雄
Posted with Amakuri
安部 龍太郎
日本実業出版社 2013/7/19


作家の安部龍太郎が取材で日本各地の城や寺社、山、港などを訪れ、歴史小説で使われたエピソードや、文献や伝承から考察したことなどを語っている歴史紀行。

兵力で圧倒していた三好長慶が足利義輝と和睦した背景には義輝を毛利元就が支援したためという話や、蒲生氏郷がイタリア人を家臣にしてローマ法王のところへ派遣した記録、氏郷が伊達政宗によるさまざまな策謀をはねのけていたが政宗が盛った毒によって死んだとされる説など、興味深いエピソードがいくつも扱われている。

信長が支配していた津島での伊勢湾交易、武田信玄が狙っていた越後の日本海交易、王直が宇久盛定や松浦興信らと組んで東シナ海に海上王国を築いた話など、思われている以上にこの時代は交易が盛んだったことを再認識させられる。

それぞれの章が短くまとめられていて、テンポ良く読むことができる。






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関連タグ : 安部龍太郎,

食の街道を行く (平凡社新書)
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向笠 千恵子
平凡社 2010-07-16

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司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズを意識し、食事の道をたどって地元に方々から話を聞いたり考察したりしている紀行文。

以下の道が扱われていて、先日読んだ『日本「古街道」探訪 東北から九州まで、歴史ロマン23選』と重なる道も杯っている。
  • 海辺から山への道:鯖街道、ぶり街道、塩の道、鮑の道
  • 海上の道:昆布の道、醤油の道
  • 権力者がつくった街道:鮎鮨街道、お茶壷道中
  • 渡来食品が伝わった道:砂糖街道、豆腐の道、唐辛子の道、さつま芋の道

題材として食物が伝わったり運ばれたりした道というのは面白いテーマなのだが、著者の食物へのこだわり(国産とか無添加とか)をあれこれ語っているとこや、道中での経験の話があまり面白く感じない。

テーマを前面に出した形での紀行文というのは、教養要素と紀行文要素のバランス取りが難しいのだろう。
この点、『街道をゆく』や『ブラタモリ』はかなり高度な技術や工夫のたまものなのだろう。

もう少し構成が何とかならないのかというところもあるが、それなりに関心を持って読むことができた。






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街道をゆく 夜話 (朝日文庫 し 1-55)
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司馬 遼太郎
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司馬遼太郎による短いエッセイや評論、解説、あとがきなどから、『街道をゆく』シリーズにつながるものを集め、地域ごとに構成している作品。

収録された文章の種類と数が多いこともあり、面白い作品、つまらないと感じる作品のばらつきが大きい。
内容としては出会った人とのローカルすぎるやり取りを長く続けたり、地域振興などのために書かされたと思われる作品が厳しい。
おそらく著者がまとめてほしくなかったと思っているものも多いのではないだろうか。

興味深かったのは幕末に会津から激動の舞台に引っ張り出された秋月悌次郎の素朴な感じや、京都の人に見られる複雑な感情、出雲の人々に見られる大和への反感や石見の人から嫌われる事情、播磨の三木城で秀吉軍との篭城戦を戦った別所氏の時代遅れな見識などで、どうやら話の広がりと面白さに相関関係がありそうである。

解説文には『街道をゆく』シリーズの入門書に最適と書かれているが、そうでもないと思っている。
理由は本作の文章だと著者の話が脱線したままになったり、話が戻っても残りのページ数が少なかった場合が多かったことによる。
『街道をゆく』シリーズは私にとっては、つまらない脱線と面白い脱線を読み分けるもので、ある程度のページ数がないと良さが出ないような気がしている。






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関連タグ : 司馬遼太郎, 街道をゆく,