読書-紀行文:雨読夜話

ここでは、「読書-紀行文」 に関する記事を紹介しています。


半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編
半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編
安部 龍太郎 藤田 達生
小学館 2016-11-24

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歴史作家の安部龍太郎、歴史学者の藤田達生、画家の西のぼるの3人による、日本各地の半島をめぐる歴史紀行。
藤田氏が歴史解説、西氏が挿絵を担当し、第1作の本書では知多半島、薩摩半島、能登半島、沼隈半島、伊豆半島、志摩半島を訪れている。

冒頭ではこの企画の発端として、安部氏による藤堂高虎を主人公とした歴史小説『下天を謀る』の打ち上げで3人が集まった際に、
「司馬遼太郎のせいで高虎のイメージが悪い」
  ↓
「司馬作品では『竜馬がゆく』と『街道をゆく』シリーズが面白い」
  ↓
「我々でも『街道をゆく』みたいな作品をやってみたい」
  ↓
「陸のどん詰まりだけど、海の玄関口の半島にしよう」
と話が進んだエピソードを紹介しているのが面白い。

知多半島では信長や水野氏、薩摩半島では島津氏や鑑真、能登半島では能登畠山氏や時国家(「平家であらずんば人にあらず」で知られる平時忠の子孫)、絵師の長谷川等伯、渤海国との交易など、沼隈半島では足利義昭の「鞆幕府」と本能寺の変における四国説、伊豆半島では北条時政、堀越公方、北条早雲、江川太郎左衛門英龍など、志摩半島では九鬼嘉隆などの話が扱われている。

現在では交通が不便な田舎と思われる地域が、昔は海上交通がメインだったために交易の利益で潤っていたことが随所で書かれていて、単なる地方勢力と思っていた能登畠山氏や北条時政が想像以上に経済力を持っていたことを知って驚く。

知多半島や伊豆半島のところでは宮城谷昌光の『古城の風景』シリーズでも扱われていたので、読み比べてみるのもいい。
面白く読むことができたので、続編を楽しみにしている。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】神田界隈
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司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-02-19

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司馬遼太郎の代表的な紀行文シリーズにおける神田編。

中世だと平将門ゆかりの神田明神、家康による江戸入府の頃は上水、江戸時代は昌平坂学問所のあった湯島、明治時代は多くの学校、近代以降は古書の町である神保町と、読んでいくと神田界隈は多くのスポットを抱え込んだ地域だということが分かってくる。

明治時代に創設された学校では医学と法学を教える学校についての話が多く、特に明治大学、中央大学、専修大学、法政大学、日本大学と、プロ野球のドラフトでよく目にする私大の多くが元々は法律の専門学校としてスタートしたことは知らなかったので少し驚いた。

古書店街にまつわる話だと、岩波書店の創設者である岩波茂雄をはじめとする古書についの驚くべき目利きが紹介されていて、終戦後に二束三文で売りに出されていた古書を買い取っていったエピソードなどが印象に残る。
この章では敗戦に関連し、反日を叫ぶような言論は戦前に戦争を煽ってきたことの裏返しのような意味のことが書かれていて、自己の過ちを反省もせずに他者にばかり謝罪を求める朝日新聞や毎日新聞が連想された。

神田に墓があるということで、大隈重信の先生から明治政府の顧問格になったとされるフルベッキの話も興味深い。
彼はオランダ出身でアメリカを経て来日したが、一般教養しか学んでいなかった経歴から国籍や専門にとらわれることなく政府にアドバイスができたのが非常に良かったという話が書かれている。
フルベッキは幕末や明治に行われた陰謀論に引っ張り出されることが多いが、まともな話を初めて読んだような気がする。

明治時代についてはあまり詳しくないが、急な国づくりを進めていく上で色々と無理をしなければならなかったエピソードが多く書かれていて、もっと知られてもいいように感じた。

本書でも印象深い話を多く知ることができ、読んで良かったと思う。






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あやしい探検隊 台湾ニワトリ島乱入
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椎名 誠
KADOKAWA/角川書店 2016-03-31

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椎名誠の『あやしい探検隊』シリーズにおける、北海道、済州島に続く書き下ろし三部作ファイナルに位置づけられた作品。

今回は台湾東南部にある沿岸の町で貸家に滞在し、釣りや宴会といったいつものような活動を行うというもので、沖合いの島へマグロ釣りに出かけたり、地元の小学生たちと野球を行うエピソードが収録されている。

本作では「ドレイ頭」というポジションにあるスポーツライターの竹田氏が旅行の手配や担当編集者へのレクチャー、著者が本作を書くに当たっての元ネタとなるレポート作成と大活躍している。

初期の『あやしい探検隊』シリーズでは隊長の著者が、『あやしい雑魚釣り隊』シリーズでは副隊長の西澤氏がリーダー格として目立っていて、竹田が活躍しているのはキャラクターの他に年齢が30代後半~40代前半くらいで体力と序列のバランスから活動しやすい時期ということもあるのだろう。

また、飲食店を経営する名嘉元氏やトール氏の参加日数が短かったこともあり、ザコこと小迫氏が料理長として腕を振るっているシーンも多く出てくる。

今回は角川書店から出た書き下ろしなので、似田貝氏と榊原氏の2人が担当編集者として参加している。
また、「週刊ポスト」で連載中である『あやしい雑魚釣り隊』を担当する小学館のケンタロウ氏、海釣り専門誌「つり丸」で『あやしい雑魚釣り隊』を連載していた頃に担当編集者だったコンちゃんこと近藤氏も参加していて、担当を外れても参加し続けたくなるような集団であることが伝わってくる。

荒天を呼び込むケンタロウ氏、マグロ釣りで普段の冷静さを失う海仁氏、今回はマンゴーにこだわる長老格のトクヤ氏とメンバーたちのキャラが立っている他、貸家付近でやかましく鳴き続ける野良のニワトリたちや椎名の部屋に居ついていたコウモリまで登場している。

著者が70歳を超えたためか『あやしい探検隊』シリーズとしてはファイナルであると随所で書いていたり、巻末に収録されている座談会で過去を振り返っているところからすると、『あやしい探検隊』を冠する作品は本作が最後なのかもしれない。

ただし『あやしい雑魚釣り隊』の活動は今後も続けたい旨のことが書かれているので、次作が出ることを期待しておく。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈II
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司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-03-25

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司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズにおける東京の本郷編に用語解説や詳細地図をつけて読みやすくした作品の上巻。
体裁が異なることでいかに読みやすくなるかを実感しながら読んだ。

下巻では本郷が大名や旗本の邸だった性格と、明治時代に東京大学ができてお雇い外国人が来たことで「欧米文明の配電盤」としての役割を果たした話を中心に語っている。

大名の話では『水戸黄門』の主人公となった徳川光圀の話、そして祖国である明が滅亡した後に光圀から招かれて厚遇を受けた儒学者の朱舜水の話が印象に残る。
朱舜水は志士だったが特に業績は残していないことを語っていて、日本で人々から一方的に尊敬の念を受けたような話が書かれているのが興味深い。
また、光圀が前田家と近藤登之助というあくの強い旗本の間で発生したトラブルを仲裁したエピソードも印象に残る。

明治の話では、本郷を中心に欧米の文明が広まっていったことが日本人の「東京と地方」という意識構造につながっているとして、夏目漱石の『三四郎』を題材に語っている。
漱石は弟子で物理学者の寺田寅彦から聞いた話だけでリアルな実験シーンを書いていて、例えば芥川龍之介もそうだが文学にも数学的な素養や意識が大いに役立つのだろうと感じた。

文学がらみでは漱石の他にも坪内逍遥、樋口一葉、正岡子規といった人々の話が出てきて、例えば樋口一葉の父親の上司が夏目漱石の父親だったなど、思わぬ関係性が出ているのに驚かされる。

他にも江戸時代に北方探検で活躍した最上徳内や近藤重蔵、西欧流の砲学を定着させた高島秋帆、適塾で大村益次郎や福沢諭吉を教えた緒方洪庵など、読んだり聞いたりしたことのある人物のエピソードが書かれていてあまり飽きなかった。

「本郷」という響きだけだとあまりピンとこなかったが、多くの歴史上の話が詰まった興味深い場所だということが分かり、読んで良かったと思っている。






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司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈I司馬遼太郎『街道をゆく』【用語解説・詳細地図付き】本郷界隈I

司馬遼太郎
朝日新聞出版 2016-03-25

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司馬遼太郎の『街道をゆく』シリーズにおける東京の本郷編に用語解説や詳細地図をつけて読みやすくした作品の上巻。

このシリーズは作品によっては興味のない話が続いて読むのに時間がかかることがあり、こうした形式でも読めるようにしてあるのは助かる。
率直なところ、この形式でなかったら読まなかったかもしれない。

この本郷というのは東京大学のあるところで、東京に住んでいた頃に東大が情報処理関連の試験会場だったために1度だけ訪れているが、あまり予備知識がなかったのであまりこれはという感想を持っていない。

東大のある場所は江戸時代は加賀藩前田家の屋敷であり、明治時代には大森貝塚の発見で知られるモースや日本美術の良さを欧米に広めたフェノロサのようなお雇い外国人の屋敷を経て東大になったという経緯が語られていて、思っていた以上に有名な人物が何人も登場する。

また、先日読んだ歴史小説である『家康、江戸を建てる』に登場する大久保藤五郎(主水)が引いた上水道があったり、夏目漱石や森鴎外、漱石の弟子に当たる寺田寅彦が住んでいた場所、三菱財閥創業者である岩崎弥太郎の屋敷、三代将軍家光の乳母で大奥を仕切った春日局の墓と、歴史上の人物にまつわる名所旧跡が多く扱われ、それらから彼らのエピソードが語られていく。

東京に住んでいたころに本書を読んでいたら見て回ったかもしれないと思うし、それくらい興味深い内容だった。
面白かったので、下巻も読むつもりである。






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