安部 龍太郎 (著)
小学館 (2020/12/28)
小学館の雑誌『サライ』で連載されている「半島をゆく」を単行本化した作品の1つで、古代史にまつわる場所を訪れている紀行文。
具体的には、大和、丹後、出雲、宇佐、熊野、房総半島を訪れている。
大和が東国とのつながりがあるために首都となった説や、蘇我王朝の可能性、国東半島が大和の勢力が九州を支配する最初の地だった話、熊野に徐福と神武天皇の伝説が残っているという符合など、興味深い話が語られている。
個人的には国東半島の熊野摩崖仏が書かれていたことが読んで、以前行ったことを思い出した。
山の中の道をずっと登って行って突然出現する摩崖仏は印象的で、もう一度見たい気持ちと、またあの道を歩くのはちょっと…という気持ちの両方を抱いている。
予備知識や関心が足りなくて読み飛ばしたところも多いが、それなりに楽しめたとは思う。
- 著者の作品について書いた記事
- 『日本はこうしてつくられた2 鎌倉殿と北条一族 歴史は辺境から始まる』
- 『日本はこうしてつくられた3 徳川家康 戦国争乱と王道政治』
- 『半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編』
- 『安部龍太郎「英雄」を歩く』
- 『信長街道』

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安部 龍太郎 (著)
小学館 (2023/1/6)
小学館の雑誌『サライ』で連載されている「半島をゆく」を単行本化した作品の1つで、家康や戦国時代と大航海時代の関わり、キリシタンなどにまつわる地方を訪れている紀行文。
東京周辺を巡った章では竹村公太郎氏の作品やNHKの番組「ブラタモリ」などでも登場した、埋め立てによる土地造成や運河の開削、利根川東遷、江戸の都市計画などの話がなされていて、割と関心が深いテーマなので興味深く読んだ。
徳川家関連の史書では家康が入るまでの江戸は寒村だったかのように書かれていることが多いが、江戸湾や多くの河川による水運でそれなりに繁栄していたことが書かれている。
また、日本海の交易で栄えて信長が攻めた金ケ崎城が近くにある敦賀、大村純忠の領地でポルトガルとの交易地だった横瀬浦や長崎、著者が大坂の陣に続く第二次キリシタン戦争と位置付ける島原の乱の舞台となった原城などを訪れている。
印象に残ったのはそれほど石高があったわけではない島原を領地とした有馬氏が日野江城や原城のような巨大な城を築くことができたのは貿易による利益があったためでは?という話や、島原の乱で幕府軍が苦戦したのには一揆方に相応の準備がなされていたという話で、考えさせられるところも多かった。
- 著者の作品について書いた記事
- 『日本はこうしてつくられた2 鎌倉殿と北条一族 歴史は辺境から始まる』
- 『半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編』
- 『安部龍太郎「英雄」を歩く』
- 『信長街道』
- 『徳川家康の詰め将棋 大坂城包囲網』

安部 龍太郎 (著)
小学館 (2022/6/29)
小学館の雑誌『サライ』で連載されている「半島をゆく」を単行本化した作品の1つで、伊豆半島、三浦半島、津軽半島、下北半島、渡島半島、牡鹿半島、半島ではないがしまなみ海道などを訪れている。
以前読んだ『半島をゆく 第1巻 信長と戦国興亡編』でも伊豆半島と北条時政の話があったが、本作でも扱っているのはNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」にからめてということだろう。
伊豆半島のところでは北条氏が駿河湾の交易で巨富を築いたことが書かれているのが印象に残るが、じゃあなぜ兵を集められなかったのか?という疑問が出てくる。
三浦半島では小栗上野介忠順が建造を立案した横須賀のドックの話が出てきて、鎌倉がらみの話も含め、司馬遼太郎の『街道をゆく 42 三浦半島記』とテーマが重なっているので読み比べてみるのもいい。
北方の半島の話ではアイヌがアムール川付近で元の大軍1万と戦っていたというあまり知らなかった話や、北方の交易が儲かっていたために和人とアイヌのいざこざが絶えなかったこと、津軽為信という野性的な英雄の出現、会津藩の人々が下北半島の斗南藩に移封されてすさまじい生活を強いられたことなど、多くの話が扱われている。
歴史学者の藤田達生氏も著者に同行していて、学者ならではの考察を語っているところもいい。
前作の『日本はこうしてつくられた: 大和を都に選んだ古代王権の謎』も読んでみようかと思う。

椎名 誠 (著)
小学館 (2019/11/28)
椎名誠の『わしらは怪しい雑魚釣り隊』シリーズの第7作。
行くことが多い関東近郊での釣りから、宮古島、伊豆諸島の新島、長崎、宮古島、宮崎、能登半島といったところへの遠征も収録されている。
能登半島では北陸放送から企画が持ち込まれてのタイアップで遠征したことが書かれていて、映像を見たいと思った。
結成から12年が経過して隊員が30人を越えている他、隊員たちの経験値が上がったのか、ドレイ隊員たちが小さめの魚をカッターナイフなどで捌いているシーンも書かれているのが面白い。
また、過去に台湾や済州島で隊員たちが世話になった現地の人が雑魚釣り隊の合宿に参加しているのも、それだけ活動が魅力的だからだろう。
関東近郊の干潟でアナジャコやマテガイ、ホンビノスガイなどを採集する回では、先生役を務めた『捕まえて、食べる』の著者・玉置標本氏も、雑魚釣り隊の料理人・トオル氏が採集した生き物をおいしい料理にしたことに衝撃を受け、入隊することが書かれているので、今後登場するのを楽しみにしている。
本書の初めの方では元気に釣り船に乗っていた古参隊員のタコの介こと樋口氏が体調を崩して最後の参加となった、大雨のために新宿の地下で仮想キャンプをした回では、普段あまり書ききれていない隊員たちの話をしているのも、話に厚みを持たせている。
ごはんをマンガ盛りにして食べる天野氏と「しろめしおかわりくん」こと似田貝氏の食べっぷりを著者が楽しみにしていたり、スポーツジャーナリストとして世界中を飛び回るドレイ隊長の竹田氏を著者の若い頃を思い出させてくれるなど、個性豊かなメンバーが盛り上げていることを再認識する。
著者が講演などで地方に出張することが集合のきっかけになったり、著者が来る前のことは他のメンバーが手記を残しているなど、隊長である著者が宴会の場にいる、ということが大切なのだと伝わってきて好感が持てる。
本書も雑魚釣り隊の魅力が存分に書かれていて、楽しませてもらった。
- 本書のシリーズについて書いた記事
- 『わしらは怪しい雑魚釣り隊』
- 『続 怪しい雑魚釣り隊―サバダバサバダバ篇』
- 『わしらは怪しい雑魚釣り隊 エピソード3 マグロなんかが釣れちゃった編』
- 『おれたちを笑うな! わしらは怪しい雑魚釣り隊』
- 『おれたちを笑え! わしらは怪しい雑魚釣り隊』
- 『おれたちを跨ぐな!: わしらは怪しい雑魚釣り隊』

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北大路 公子 (著)
集英社 (2020/4/17)
ビールとテレビが大好きで旅行や運動が嫌いなエッセイストが、集英社から出された「あえて行きたくないところへ苦手なことをしに行く」という企画により、嫌々ながら日本のあちこちを旅行させられた過程を書いているエッセイ集。
著者が住む札幌から、岩手、山梨、三重、香川、沖縄の一道五県に出かけ、犬ぞり、富士急ハイランドの絶叫マシン、青木ヶ原樹海、こんぴらさんへの1368段の石段、沖縄の海でのシュノーケリングと、アクティブな企画は全て「嫌だなあ」と言いつつ編集者の元祖E譲に引っ張られて体験している。
また、レンタルの電動自転車で移動する予定も組まれていて、前回自転車に乗ったのは30年前という著者は「自転車なんか乗ったらぶつかって死ぬ」と言って何とか乗らずに済ませられないかあがいてもいる。
何かあるとすぐに「嫌だなあ」、「帰りたい」、「ホテルでビールを飲んでいたい」、「雨が降って企画が中止になればいいのに」みたいな弱音を吐き、元祖E譲から「楽しいと思いましょう!」みたいにポジティブなことを言われるやり取りが面白い。
また、山梨では曇天の日が多くて最後まで富士山が見えなかったことで「富士山の存在は嘘だな」みたいなことを語ったり、神社で「原稿を書かずに原稿料をもらえますように」と祈るなど、表現のセンスが面白く、50代くらいの年代にしてはけっこう感性が若いように感じる。
イラストレーターの丹下京子さんの挿絵は故・安西水丸氏の作風に近いのも本文とあっていて、随所で笑いながら楽しく読むことができた。

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