読書-伝承・神話:雨読夜話

ここでは、「読書-伝承・神話」 に関する記事を紹介しています。


幻想世界の幻獣・討伐者ベストセレクション―決定版
幻想世界の幻獣・討伐者ベストセレクション―決定版
幻想世界調査委員会
学研パブリッシング 2012-08

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
幻想世界 幻獣事典
幻獣×幻想世界イラスト大事典―決定版 (Gakken Mook)
決定版 幻想世界の職業FILE


神話や伝説に登場する幻獣に分類できそうなものを80種類、そしてRPGや小説でそれらを討伐する職業を23種類、解説1ページとイラスト1ページの見開き2ページで紹介している作品。

RPGなどに出てくるものを中心としているため、ギリシア・ローマ神話、北欧神話、メソポタミア神話、旧約・新約聖書などに由来するものが多く、日本や中国、インドなどのものはあまり扱われていない。

章立てでは危険度が高い順で分けられているが無理やり感が強く、ドラゴンやアンデッドのように種類別で分けたほうが良かったように思う。

記述については、限られたページの中で対処法のような幻獣によってはあまり意味のなさそうな記述(例えば大陸サイズの幻獣への対処法などあるわけがない)を入れた上でも細かな情報を入れていて、記述にこもった著者たちのマニアックな情熱が感じられる。

ワイバーンというドラゴンに似た幻獣はドラゴンよりも少し下のポジションで、これは王家の象徴とされることが多いドラゴンを使いたくても使えない人々が拠り所とする需要に対して生み出されたなどの事情が書かれていたり、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーといったRPGでの扱われ方など、キャラクターとしてどのように変遷してきたかが分かるのも興味深い。

ゾンビとマミー(ミイラの化け物)は伝説ではなく呪術から連想されたフィクションとして生まれたので本書の対象から除外していたり、ゴーレムのような魔法生物とロボットはどれくらい異なるものなのか?という考察など、各章末に入っているコラムも面白い。

日常では役立たないがゲームをする上で知っていて損はない情報が思っていたよりも丁寧に書かれていて、そこそこ読みごたえがあった。





[参考文献に挙げられていた作品の一部]



にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

魅力的すぎる世界の神々と神話 (ビジュアルだいわ文庫)魅力的すぎる世界の神々と神話 (ビジュアルだいわ文庫)

水島朱音 榎本事務所
大和書房 2015-06-12

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


世界各地に伝わる神話や宗教に登場する神々や天使、悪魔や巨人、怪物といったキャラクターを、ゲームに登場するような感じのイラストとともに紹介している作品。

これまで近い傾向の作品も読んでいるが、本書で目立ったのは類書で扱われることの少ない、ケルト神話やスラブ神話、ゾロアスター教、メソポタミア神話などのキャラクターが登場しているところである。

ギリシア神話や北欧神話が定番で、次いでインド神話やエジプト神話、それからマヤ・アステカ神話にユダヤ・キリスト教あたりといった順番で扱われるイメージだったので、マニアックな関心をくすぐるところがいい。

読んでいくとヨルムンガンド、ヘリオポリス、アグニなどは『機動戦士ガンダム』シリーズで、ネルガルは『機動戦艦ナデシコ』で、リリスやマルドゥックは『新世紀エヴァンゲリオン』でといったように、神話から取られた固有名詞がけっこうあることに気づく。
アニメや小説などで気づかないうちに使用されていた神話経由の固有名詞は、他にも沢山あるのだろう。

イラストのタッチは好き嫌いが分かれそうだが、これはこれでありだと思う。
まずまず楽しみながら読んだ。






にほんブログ村 本ブログへ

肥後の民話 ([新版]日本の民話 27)肥後の民話 ([新版]日本の民話 27)

荒木 精之
未来社 2015-12-18

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


日本各地に伝わる民話をまとめているシリーズの熊本編。
阿蘇、城北(菊池など)、熊本周辺、城南(八代など)、球磨・天草と地方別に分けて書かれている。

「古家のもり」や「さるの花嫁」、「ノッペラボン」(のっぺらぼう)、「めしくわぬ嫁御」のように昔話で読んだことのある有名なものも多く、熊本もまた民話が多く残っているところだということが分かる。

特定の主人公が出てくるシリーズものもあり、中でも一休さん(京都)や吉四六さん(大分)とともにとんち話で知られる、八代の彦一さんの話は子どもの頃に何度も読んでいて、懐かしく思いながら読んだ。
彦一さんの話に出てくる殿様というのは藩主の細川氏ではなく、家老で八代を任されていた松井氏のことだというのは本書で初めて知った。

シリーズものでは泣くことで怪力を出して大仕事をする「なば」少年や、とぼけた行動を連発するびゃァどんなども面白い。

他にも、「うそつきウソ助」、「タニシの孝行」、「老人とえんま大王」、「月見の枝」など、面白い話がいくつも収録されている。
嫁と姑や村人同士といった古いコミュニティ内での対立や、わりと普通の人が欲望に取り付かれて身を滅ぼす話、狐や狸が人間を化かしたり逆に懲らしめられる話など、安定した内容となっている。

このシリーズは現在復刊を進めていて、他にもどんどん出てくるようなので他の地方の作品も読んでみようかと考えている。





にほんブログ村 本ブログへ

水木しげるの妖怪地図―47都道府県ご当地妖怪を訪ねる (別冊太陽 太陽の地図帖 8)
水木しげるの妖怪地図―47都道府県ご当地妖怪を訪ねる (別冊太陽 太陽の地図帖 8)
水木 しげる (著), 荒俣 宏 (監修)
平凡社 2011-06-27

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
水木しげる 妖怪百物語
水木しげる 世界の妖怪大百科
水木しげる妖怪大百科
日本妖怪大事典 (Kwai books)
鳥山石燕 画図百鬼夜行全画集 (角川文庫ソフィア)


日本各地に伝わる妖怪の伝承について、水木しげるによるイラストと解説がなされている作品。

冒頭では博物学者・作家である荒俣宏による、妖怪の伝承が生まれるメカニズムについての解説が掲載されている。
ここでは荒俣が水木とニューギニアを訪れた際のエピソードから、水木が妖怪についてどのような捉え方をしているかが伝わってきた興味深い。

そして日本の地域ブロックごとに妖怪を紹介している。

アイヌの伝承が入った北海道・東北、江戸の文化が強く反映された関東、山にまつわる伝承が多い中部、政争の敗者が怨霊化した話が多い近畿、狸や狐の伝承が目立つ中国・四国、にぎやかな妖怪や南方の伝承が多い九州・沖縄と、地域別の特徴がよく出ていると思う。

この中ではダイダラボッチのような巨人伝説が各地に残っていることや、キジムナー(ガジュマルの精)や柿の実が妖怪化したもののように植物系の妖怪が印象に残った。

下記に挙げた水木作品で知っているものも多かった一方で地域による違いがより分かりやすく、楽しんで読むことができた。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 水木しげる,

図説そんなルーツがあったのか!妖怪の日本地図 (青春新書インテリジェンス)
図説そんなルーツがあったのか!妖怪の日本地図 (青春新書インテリジェンス)
志村有弘
青春出版社 2013-07-02

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
日本の妖怪FILE (ムーSPECIAL)
妖怪文化入門 (角川ソフィア文庫)
妖怪図譜: 江戸の化物大集合 (別冊太陽 日本のこころ 219)
ゼロからわかる! 図説 怪談: 幽霊・鬼・妖怪 (Gakken Mook CARTAシリーズ)
江戸マンガ 1 芋地獄: 芋地獄/人魚なめ


日本各地に伝わる妖怪や幽霊の言い伝えや、地方による呼び名や話の違い、どのような経緯でキャラクターとして定着していった課などを、妖怪別に解説している作品。

天狗、河童、のっぺらぼう、鬼など各地に言い伝えが残っているよく知られた妖怪から、地方独特の妖怪や幽霊の話など、地域性が出ている。

狐や狸が人間に化けるというのも扱われていて、どちらにおいても仏教に帰依した結果僧侶となり、何百年も生きたという話などが面白い。

また、江戸時代に広島県の三次盆地で稲生平太郎(武太夫)という実在する少年が体験した『稲生物怪録』の話は妖怪がらみの絵を扱った本でよく登場していて、妖怪の総大将の名前が山本五郎左衛門(さんもとごろうざえもん)というのも興味深い。

それぞれの妖怪ごとに2~4ページ割り当てて解説していて、気になった妖怪を探して気軽に読むことができる。





にほんブログ村 本ブログへ