若い年代向けに書かれた、読書のすすめ。
著者は若い頃に中谷彰宏の本を読んだことで読書に目覚めたことをはじめの方で書いていて、1項目当たり見開き2ページという構成といい、項目のはじめにインパクトを与える言葉にしているところといい、確かに中谷彰宏の影響を受けていることがよく分かる。
本が多くの手間を経てできるのでコストパフォーマンスが高いこと、読書の質を上げることは量をこなさなければできないこと、乱読しても情報は睡眠中に整理されるので心配するほどのことでもないなど、多く読書していくことで成長できることが書かれている。
年収や容姿にも影響を与えるなど、期待しすぎてはいけないかもしれない部分もあるが、概ね納得しやすいものとなっている。
「本の買い過ぎで貧乏になった人はいない」とか「ハズレ本を当たりに変えられるのが知性」、「今までなら「ありえない」本も1年に1冊は買ってみる」など、突き刺さるフレーズも見つけることができる。
分かりやすい文章で読書することの背中を押してくれる1冊で、読むことで読書へのモチベーションを上げてくれると思う。
[本書内で紹介されていた作品]

渡部昇一がショウペンハウエルの『読書について』の言葉を抄訳し、言葉の背景や自身の考えなどを語っている作品。
まず、ショウペンハウエルの文章が本質を突いている一方でひねくれた感じという特徴は、彼の経歴が大きく影響していることを解説している。
現代の価値観からすると誤解を生みかねないと判断したのか、編訳者が語りたいことが多かったのかは不明だが、編訳者による読書や学問に関するエッセイという要素の方が強い。
以前読んだ赤坂桃子訳の『読書について』で感じたショウペンハウエルによる文章のウザさがかなり低減されているが、その分物足りない気持ちもある。
それを編訳者の文章で補っているような形であり、ショウペンハウエルに対してけっこうきついことを語っているのも面白い。
例えば、「学者の中には古典の原典を読んでいなくて語っている人がけっこういる」という趣旨の話はなるほどと思った。
最近で言えばメディアなどが批判することが多い教育勅語がそれに当たると思っていて、私はまだ読んだことがないので軽率なことは言えない。
他にも、漫画家の小林よしのりなどの論客や学者たちとの論争に関するエピソードが書かれているのが興味深い。
そして、読むだけでなく書くことが非常に重要だという話も強く印象に残っている。
確かに、このブログを書くようになってから本の読み方に変化が出てきたと思っていて、どこが重要なポイントなのかを意識したり、読み方に緩急をつけたりするようになった。
くせのある作品だが、読書することやアウトプットの仕方などについて考えさせられる部分も多かった。
- 『読書について』の翻訳書について書いた記事
- 『読書について』

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齋藤孝による、書店通いを勧めている作品。
最近話題となっていることが分かったり、実際に読むかどうかは別としてどのような本が売れているか、その書店ではどのような本を推しているかを知ることができるなどを序盤でメリットに挙げている。
また、書店に行って本を少しめくって内容を確認する際、目次や小見出し、まえがき、あとがき、版数、デザイン、出版社にレーベルといった情報から内容を推定する方法も語っている。
読んだらアウトプットすることも重要だとして、知人に内容を紹介することやブログなどに投稿するを勧めている。
前者は好みもあるのであまりやらないが後者は10年以上続けているわけで、モチベーション維持につながった。
他にも雑誌コーナーの見方、新書コーナーの見方、古典のようなロングセラー作品の見方など、本の種類別の見方や読み方を解説している部分も興味深い。
せっかく読んだのだからと近所の書店に行ってみると、少し間を置いてしまったこともあるのか、興味ある分野の本が新たにいくつも置いてあることに気づいた。
最近はコスト面の観点からブックオフのような新古書店に行くことが多かったので、最近出た本を目にする範囲が狭かったのだと思う。
Amazonのようなネット書店での購入履歴やお気に入りリストから割り出されるお勧め作品も限界があるわけで、こうした部分に気をつけなければならないと改めて感じた。
10分くらいなら近所の書店ならいくことができるので、毎日とはいかなくても毎週くらいなら実践してみようと思う。

多読を心がけているライターによる、読書とそれによって得たものを活かす方法を語っている作品。
基本的に本には一定の確率でハズレがあるため多く読むことが重要としていて、本の読み方やアウトプットすることによる活用方法などを語っている。
目立つのは「中谷彰宏氏は・・・」、「斎藤孝氏は・・・」、「渡部昇一氏は・・・」といったように、著名人から引用した話があまりに多いところである。
確かに多く読んだことは分かるが、ひけらかしはほどほどにして欲しい。
必ずしも本は全部きちんと読まなくてもいいという趣旨のことが書かれていたので、本書も遠慮なくざっと斜め読みさせてもらった。
ポイントを太字で強調してくれていたので目で追いやすかったためということもある。
ブックレビューのブログを書くことで考えを整理するだけでなく、ブログのネタを得るためにさらに読書することにつながるとしていて、現在当ブログで行っていることまさに当てはまっている。
他に本書で役立ったところは、難しい本は目次を精読して本の構成をつかむことから始めることや、よく知らない分野については岩波ジュニア新書のように子供向けに分かりやすく書かれている本から始めること、長い本は導入部と後ろの1/3から読むといったところなどで、やってみたいと思っている。
立ち読みなどから本の情報を推定するところでは奥付にある著者の略歴を読むことや、刷数によって人気を知るなどのことが書かれている。
偏った意見が目立つ場合はポジショントークや教育による部分を疑って地位や学歴を確認しているし、刷数の話は子供の頃に伯父から教えてもらった方法だった。
目新しい部分は少ないが、まずまずまとまった内容だったとは思う。

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元マイクロソフト日本法人社長で、現在はノンフィクションを紹介するサイトのHonzを主宰する成毛眞による、100冊を紹介している作品。
日常生活には役立たないが、それでも面白いという視点でチョイスされている。
犯罪や戦争にまつわる虚々実々の駆け引きや、ぶっ飛んだ天才の伝記、オーパーツを真面目に解説した作品に、ノンフィクションと見せかけて全くのフィクションの本など、タイトル通り面白そうな本が次々に紹介されている。
特に、切腹する人を介錯する具体的な方法や、築城の方法など、現代の日本では研究者以外には全く役に立たない知識が詳細に書かれている本があることを知り、楽しくなった。
トイレで読むのに適した本と評するなど、決して素直な褒め方をしないあたりがいい。
他の作品でも見られるあけすけな語り口で書かれており、褒めているところはその分だけ本当にそうなのだろうと納得しながら読んだ。
- 著者の作品について書いた記事
- 『本は10冊同時に読め!』
- 『儲けたいなら科学なんじゃないの?』
- 『成毛真のマーケティング辻説法』
[本書で紹介されていた本の一部]
