読書-歴史(世界:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史)」 に関する記事を紹介しています。


「民族」で読み解く世界史
「民族」で読み解く世界史
宇山 卓栄
日本実業出版社 2018-01-25

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
経済を読み解くための宗教史
30の「王」からよむ世界史 (日経ビジネス人文庫)
キリスト教からよむ世界史 (日経ビジネス人文庫)
世界史は99%、経済でつくられる
教養として知っておきたい 地政学 (スッキリわかるシリーズ)
「世界史」で読み解けば日本史がわかる
世界史とつなげて学べ 超日本史 日本人を覚醒させる教科書が教えない歴史
世界史劇場 侵蝕されるイスラーム世界
嘘だらけの日独近現代史 (扶桑社新書)
教養としての「ローマ史」の読み方


それぞれの民族の移動や活動、政策、対立などを、世界史の中で解説している作品。

定説とされる話にもしばしば疑問を呈していて、例えば本当に氷河期にシベリアからアメリカまで渡ることができたのか?としていたり、白人による黄禍論のようなプロパガンダへの批判、中国で漢民族の王朝とされるものでも王家は北方の遊牧民出身の可能性が高い場合が多いなど、幅広い見解を紹介している。

隋の揚氏や唐の李氏が鮮卑(モンゴル系?)の出身という説が有力なのは知っていたが、宋の趙氏もトルコ系(突厥の沙陀族)という話もされていて、前の王朝である五代の後唐や後晋も沙陀族の王朝だったことを考えればそう違和感もない。

中国のところでは古代から中世にかけての民族や王朝がモンゴル系なのかトルコ系なのかで見解が分かれそうなところも多いが、大枠は納得しやすい。

それにしても近世・近代におけるヨーロッパの列強による黒人奴隷の扱いやネイティブ・アメリカンの虐殺、強制的な増殖政策による「ブラック・インディアン」の増加など、ひどい所業の数々には言葉が出なくなる。
戦国時代の日本人が奴隷貿易をやっていたポルトガル人を「あいつらは人間じゃない」と言っていた記録があるのも分かるような気がするし、アメリカ大統領だったフランクリン・ルーズベルトのクソさもさらに強く印象付けられた。

著者の見解に異論があるところもそれなりにあるが、見解が分かれやすい題材なので当然と言えば当然なのかもしれない。
重いが重要なテーマから世界史を語っていて、興味深く読むことができた。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

銀の世界史 (ちくま新書)
銀の世界史 (ちくま新書)
祝田 秀全
筑摩書房 2016-09-05

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
通貨の日本史 - 無文銀銭、富本銭から電子マネーまで (中公新書)
世界史の中の石見銀山(祥伝社新書202) (祥伝社新書 202)
魚で始まる世界史: ニシンとタラとヨーロッパ (平凡社新書)
人に話したくなる世界史 (文春新書)
金・銀・銅の日本史 (岩波新書)
ジャガイモの世界史―歴史を動かした「貧者のパン」 (中公新書)
チョコレートの世界史―近代ヨーロッパが磨き上げた褐色の宝石 (中公新書)
砂糖の世界史 (岩波ジュニア新書)
嘘だらけの日独近現代史 (扶桑社新書)
天下と天朝の中国史 (岩波新書)


大航海時代前後から金本位制が成立する時期にかけて、銀が交易や外交、戦争などにおいて果たしてきた役割を解説している作品。
銀だけでなく、香辛料、茶、毛織物、綿製品、穀物、木材、奴隷、砂糖、アヘン、生糸、鉛など、多くの交易品目が登場する。

まずはスペインがペルーのポトシ銀山からヨーロッパに持ち込んだ大量の銀が与えた影響の話がなされている。
ただしスペインはイギリス、フランス、オランダ、オスマン帝国などとの度重なる戦争のために財政が破綻状態になり、交戦国なのに穀物や木材の輸入先だったオランダに流れ込み、オランダがバルト海貿易もあって覇権を握る過程が描かれている。

そのオランダも銀の調達先だった日本が銀の輸出禁止をしたことやイギリスの航海条例や英蘭戦争などもあってトップの座から陥落し、国債発行による戦費の調達力のあるイギリスがフランスを破って次に繁栄していく話に移っている。

イギリスは東インド会社を活用することもあり、大西洋では奴隷や綿花、サトウキビ、インドではキャラコ(綿布)、中国(清朝)からは陶磁器や茶など、多くの品目を扱って利益を上げていく。
ただしインドや中国との貿易では輸入超過で銀が流出していったため、インドでは地方太守から徴税権を取り上げたり、中国に対してはインドで栽培したアヘンを密輸するなど、銀を還流させるシステムを作る悪賢さはすごい。

終盤では明治時代の日本が日清戦争を戦った前後の時期における、銀の取り扱いについての話にもなっている。
下関条約ではこれまでのパターンで行くと賠償金は銀で支払われたであろうところを、日本が仮想敵国のロシアとの対立などをにらんでロンドンでポンドでの支払いを求めたことや、金本位制への移行などが語られている。

教科書の記述に出てこない交易の話が多く出てきて、非常に興味深く読むことができる。
ただし、交易される品目が多くて交易ルートや貿易のやり方がいくつも出てきて、文章だけで理解しようとするとちょっとついていくのが難しい。
このあたりを図解を多用した作品に仕上げてもらえば、さらに売れるのではないかと思っている。






にほんブログ村 本ブログへ

逆転の世界史 覇権争奪の5000年
逆転の世界史 覇権争奪の5000年
玉木 俊明
日本経済新聞出版社 2018-05-25

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
30の「王」からよむ世界史 (日経ビジネス人文庫)
人に話したくなる世界史 (文春新書)
ヨーロッパ 繁栄の19世紀史 (ちくま新書)
本気の説教 心に刺さる耳の痛い話 (日経ビジネス人文庫)
よくわかるフランス近現代史 (やわらかアカデミズム・〈わかる〉シリーズ)
特権キャリア警察官 日本を支配する600人の野望
アメリカ本土を爆撃した男 新書版
平成史
教養としての「ローマ史」の読み方
世界史を動かした脳の病気 偉人たちの脳神経内科 (幻冬舎新書)


以前読んだ『先生も知らない世界史』の著者による、経済や物流の観点から覇権が近世にアジアからヨーロッパに移り、現在アジアに戻ってきつつあるという構図で世界史を語っている作品。

過大評価されてきた存在と過小評価されてきた存在についての話がしばしばなされていて、認識を新たにするきっかけとなる。
前者が古代ギリシアや中世イタリアの都市国家などで、後者がフェニキア人(地中海から北海)、アルメニア人(ユーラシアの陸上)、ポルトガル人、セファルディム(イベリア半島などのユダヤ人)などによる交易などを挙げていて、イギリスやオランダがバルト海交易で物資を調達していた話も興味深い。

ポルトガルは商人のネットワークが強くて領土を失っても貿易での影響力を維持できたことや、イベリア半島とサハラ地域、ブラジル、西インド諸島などは南大西洋の海流を利用すれば意外と近かったことから奴隷やサトウキビの貿易が拡大した話が面白い。

大航海時代に大西洋やインド洋の物流をヨーロッパ諸国が握ったことが覇権を握ったことにつながったり、商業のルールが明文化されたこと、蒸気機関や電信の発明が世界を小さくしてきたことなど、多くの要素がつながっていることも伝わってくる。

近代のところでは資本主義は単体でも存在できるが共産主義は貿易相手の資本主義国が存在しなければ存在できないという話や、アメリカは国際機関を通しての支配だったことが不安定さにつながった話などがなされていて、あまり意識してこなかったことが多く書かれている。

過去に読んだ著作2冊よりもページ数が多い分か、広い視野から多くの要素が入った形で世界史が語られていて、興味深く読むことができた。他の著作も読んでみたい。






にほんブログ村 本ブログへ

「覇権」で読み解けば世界史がわかる
「覇権」で読み解けば世界史がわかる
神野正史
祥伝社 2016-09-02

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
現代を読み解くための「世界史」講義
戦争と革命の世界史 (だいわ文庫 H 320-1)
「世界史」で読み解けば日本史がわかる
最強の成功哲学書 世界史
地政学でよくわかる!世界の紛争・戦争・経済史 (コスミックムック)
教養として知っておきたい 地政学 (スッキリわかるシリーズ)
世界史は99%、経済でつくられる
世界史劇場 ナチスはこうして政権を奪取した
経済と“世界の動き"が見えてくる! 東大のクールな地理
世界史劇場 日清・日露戦争はこうして起こった


ローマ帝国、中華帝国、イスラム帝国、大英帝国、アメリカ合衆国と、それぞれの時代で覇権を握ってきた国々の興亡から、歴史の法則や歴史から導き出される教訓などを解説している作品。

長所で滅ぶ、絶頂を迎えると滅ぶ、経済大国は侵略に向かう、国内問題から目をそらすために外征するなど、38もの歴史法則が書かれていて、かなり分かりやすい。

現在は教育もあって何となく民主政治が正しいと思う人が多いが、総力戦になったのは民主主義国が増えたことが理由としていて、理由は君主や大臣は損得を考えて程々のところで終戦を考えるが、正義を煽られた民衆は限界を越えて戦う傾向を指摘している。
(初期のイスラム帝国などが強かったのも、宗教による正義を煽られた信者の力によること部分が大きかったことと近い)

初期は柔軟な政策を採っていたローマ帝国が滅亡の道を歩み始めたのはグラックス兄弟の改革を潰した時点だとしていて、塩野七生の『ローマ人の物語』シリーズではまだまだ序盤の第3巻くらいのところなので少し驚いた。
その後滅亡までかなりの時間を経過しているが、これは拡大戦争を続けたことで不満の捌け口をそらし続けることに成功し続けたためのようである。

中国では興亡のパターンが3回ほど変わっているとしていて、1回目が隋唐までの漢民族の王朝のパターン、2回目が清までの漢民族の王朝と遊牧民の王朝が交代するパターン、3回目が近代の皇帝が存在しない政権のパターンということになる。
中国は皇帝を戴く制度が合っていたのに、これをやめてから混乱が続いているという指摘はなかなか勇気がいる書き方だとも思う。

アメリカの特徴には宣伝のうまさ、自らの悪行や勝手な要求を美辞麗句で飾り立てて正しいことであるように主張することを挙げていて、事例を見ると確かにそうだと思わされる。
また、真珠湾攻撃や9.11での疑惑があるように、戦いのために自国民を見殺しにすることを躊躇しない傾向があることにもアメリカの怖さを感じた。

歴史上のポイントを思い切った書き方で指摘している書き方が分かりやすく、歴史への理解が進んだように感じる。
著者の他の作品も読んでみたい。






にほんブログ村 本ブログへ

人類5000年史I: 紀元前の世界 (ちくま新書)
人類5000年史I: 紀元前の世界 (ちくま新書)
出口 治明
筑摩書房 2017-11-08

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
0から学ぶ「日本史」講義 古代篇
シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 世界は四大文明でできている (NHK出版新書 530)
別冊NHK100分de名著 読書の学校 出口治明 特別授業『西遊記』 (教養・文化シリーズ)
リーダーは歴史観をみがけ - 時代を見とおす読書術 (中公新書ラクレ)
ヨーロッパ文明の起源: 聖書が伝える古代オリエントの世界 (ちくまプリマー新書)
明治維新とは何だったのか 世界史から考える
「全世界史」講義 I古代・中世編: 教養に効く!人類5000年史
本物の思考力 (小学館新書)
シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理 (NHK出版新書 535)
世界神話学入門 (講談社現代新書)


ライフネット生命の会長による、人類の歴史5000年を5冊で解説していくシリーズの第1巻。
本作では人類の発生やグレート・ジャーニーといった頃から知の爆発の時代(諸子百家やギリシアの哲学者、ブッダなどが登場した頃)までを扱っている。

著者の他の作品と比較するとやや固めの記述となっている。
教科書に近い書き方を意識しているように感じるので、気楽に読むよりも真面目に学ぶような読み方となる。

時代ごとに区切ってさまざまな地域を扱う形となっていて、ギリシアのポリスと諸子百家、ローマと漢といった風に同時代に別の地域で起こっていた出来事を意識できるところがいい。

最新の研究結果や著者の考察も入っていて、例えば中国の古代史における歴史書の記述では部族抗争の背景などを推察しているところなどが興味深かった。

地域としてはメソポタミアやエジプト、小アジアといったオリエントにおける、アッシリアやバビロニア、ヒッタイト、アケメネス朝ペルシア、「海の民」など、多くの国や集団が登場するところはなかなか理解が進まないが、はまったら面白いのだろう。

しっかりした内容の作品で、興味深かったと思う。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 出口治明, ,