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読書-歴史(世界:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史)」 に関する記事を紹介しています。





著者がセレクトした50か国の歴史を、1か国につき10分程度で読めるように構成されている作品。

日本と関係が深い国、ヨーロッパ・中南米、アジア・オセアニア、中東・アフリカの4分で大別されている。
選ばれている国は大半が納得できて数か国くらいに疑問に感じたり、この国が入っていないのはどうなの?という感想を受けたが、サッカー日本代表のスタメンみたいに誰が選んでもいくらかは納得が得られないものなのだろう。

入っていてもいいのでは?と思った国は、モンゴル、インドネシア、旧ユーゴスラビア諸国、パキスタンなどだが、旧ユーゴスラビア諸国などは限られたページで書こうとすると雑になるから入れなかったのだろうという推測もした。
逆に失礼ながら外してもいいのでは?と思った国は、モナコとかバーレーンあたりになる。

広い領土を支配した栄光の時代、侵略を受けたり植民地化された屈辱の時代などがそれぞれあり、現在では大国というイメージがないスウェーデン、デンマーク、ポーランド(とリトアニア)、オーストリアなどが中世に覇権を争っていたことには歴史の流れを感じる。
各国民では最大領土を基準に考える人が多いだろうから、なかなか争いごとはなくならないのだろう。

ヨーロッパでは婚姻政策が多いこともあってか、同君連合という形での国家乗っ取りが行われたり、王家の嫡流が途絶えたことで数か国の干渉による継承戦争が発生したり、スウェーデンの議会がナポレオンとの関係を考慮してナポレオンの部下であるベルナデット(つまりフランス人)を国王に迎えて現在の王室になっているなど、万世一系とされる日本から見るとすごい歴史が紹介されているのも印象に残る。

著者が最初の「この本の使い方」でも書いているように、読んでいくうちにそれぞれの国のイメージや歴史の流れ、パターンを何となく知ることができ、興味深く読むことができた。






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関連タグ : 後藤武士,


「移民」で読み解く世界史
神野正史
イースト・プレス (2019-05-12)



民族の移動を含めた広い移民での移民が歴史に与えた影響や、教訓とすべきポイントなどを解説している作品。
著者は安易な移民受け入れに反対の立場をとっており、この意見には賛成する。

古代から気候変動と移民の発生の関連を重点的に書かれていて、寒冷化したら民族の移動が発生して王朝が倒れ、温暖化したら農耕民の王朝が繁栄するような図式が提示されている。

そして、鉄、騎馬、三大発明(紙・羅針盤・火薬)といった文明の利器が出現したことで、移民の影響が早く、大きくなっていく過程も書かれている。

北米におけるインディアン(ネイティブ・アメリカン)と英米からの移民に代表される、移民を受け入れたばかりに地獄のような目に遭うという「お人好し民族」がたどった事例や、悪行の数々を美辞麗句でごまかす連中の話には気が重くなってくる。

基本的に移民になる人々は出身地が住みにくくなったならず者が多く含まれているわけで、チェックもなしに入ってきた移民の方々が移住先の人々に対して穏やかな対応を期待することには無理があるのだろう。

本書ではまずアメリカ人の非道さを書いているが、現在の日本にとっては中国人が世界をリードすることよりはまだましのような気がする。

移民に関連しては日本が危機に陥りつつあるという警鐘を鳴らしているが、一方で日本がこれまで多くの強運によって多くの困難を乗り切ってきたことも書いていて、楽観的な部分も書いている。
この中では、日露戦争後に佐藤大佐と梨羽少将が交わした、日露戦争に勝った理由に関する天運や自ら引き寄せた運についての話が興味深かった。

現在の日本だと移民を制限する手法を採用しようとするとある種の人々から猛反対を受けてグダグダになりそうなので、欧米で**系によるテロが発生したとか、そのバックで****党が動いた、みたいな事件が起こり、アメリカから強い要請を受ける形でなければ実現は難しいように思っている。

これまでに読んだ著者の作品と同様、少しストレートでどぎつい表現ながらもポイントを抑えた形で書かれていて、興味深く読むことができた。






粛清で読み解く世界史
神野 正史
辰巳出版 2018/9/28



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ルターの宗教改革から現代にかけてを扱った、学者、作家、評論家といった識者たちによる「文芸春秋SPECIAL」に掲載された論文をまとめている作品。

まず印象に残るのは、ロシア、中国、イスラム圏、韓国、北朝鮮など、欧米や日本とは世界観や歴史観、モデルとなる体制や人物が異なっている地域の話で、現在の体制が崩壊したからといって民主化が進むとは限らないことを再認識することができる。

他にも、ワイマール共和国では政党政治の混迷と緊急事態用に議会を無視できる大統領令の乱発によって行政が立法に優先してヒトラーが台頭する前から民主政治が変質していたことや、音楽が教会、ブルジョア、軍隊など時代によって主要なスポンサーが変わることで流行が移ってきた話、福田和也による違和感だらけの戦後のアメリカ大統領の評価(フランクリン・ルーズヴェルトやバラク・オバマの評価が高すぎる気がする)などが目についた。

納得できるもの、できないもの、知らなくて新鮮に感じたものなどさまざまで、興味深く読むことができた。





世界史の新常識 (文春新書)
文藝春秋 (編集)
文藝春秋 2019/3/20


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世界史での出来事を貿易や税制、金融政策など、お金の観点から解説している作品。
エジプト、ローマ、漢、イスラム、モンゴル、オスマン、スペイン、イギリス、アメリカ、ドイツ、日本と、様々な時代の様々な国家のお金事情が書かれていて面白い。

古代のエジプトやローマの時代から税制に関する共通した法則があることを指摘していて、官僚機構が妥当な額の税を徴収している間は国が栄え、徴税請負人のように中間搾取がひどくなれば増税なのに税収不足の状態を経て、平安時代の日本で荘園に土地を寄進したような脱税がまかり通るようになって国が衰退していくというものである。
経済が傾いたから増税となるのか、税制で失敗したから経済が傾くのかは双方向で作用しているようにも感じる。

近代にイギリスが覇権を握った理由には国債による資金調達、株式会社のいち早い組織的な運用、そして海賊行為を挙げていて、まっとうな方法だけで短期間にのし上がることは難しいのだろう。

また、この時期にユダヤ系のロスチャイルド家がヨーロッパ各国の宮廷に入ってナポレオン戦争で大儲けをした一方で、その後振るわなくなったのは家族経営を重視しすぎて株式会社への移行が遅れたためとあり、成功体験が次の足かせになる事例であるとも思った。

イギリスの次の覇権国がアメリカだが、第一次大戦や第二次大戦でヨーロッパやアジアの戦争には傍観するつもりだったのが、ドイツや日本みたいな国がアメリカのドル体制へ挑戦する動きを認識した途端に全力でつぶしにかかっていることが書かれているのも印象に残る。

そして、一方的に搾取する経済システムを構成するとそれがどこかで破綻に至るパターンも書かれていて、人間は一定レベルで似たような行動パターンを繰り返すものなのかもしれないと改めて思った。

著者の他の作品と同様にお金というリアルな視点から歴史を読むことができ、興味深かった。






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関連タグ : 大村大次郎・武田知弘,




貨幣や金融の歴史について、この業種を宗教的な制約をあまり受けずに実施できたユダヤ人の活動とともに解説している作品。

元々メソポタミアの遊牧民だったユダヤ人はパレスチナの地に王国を築いていたが、アッシリア、バビロニア、古代ローマ帝国などに何度か滅ぼされ、ディアスポラと呼ばれる離散を強いられてしまう。
この結果、神殿ではなく教書を重視した信仰となったり、多くの地域に仲間が住むことでネットワークを構築したことで商業で活躍できるようになっている。

また、イスラム教やキリスト教では利子を取ることを認めていないのに対し、ユダヤ教だと異教徒に金を貸して利子を取ることは問題ないため、金融業でも大きな力を持つに至っている。

イスラム圏では比較的差別を受けていないように見えるが、キリスト教圏だとユダヤ排斥の動きに対して資金調達や商業振興の面でいてほしいというニーズのせめぎあいがあり、結果としてユダヤ人を追放したスペインやポルトガルは衰退し、ユダヤ人を受け入れたオランダ、イギリス、アメリカなどが繁栄するようになった経緯も書かれている。

貨幣については金属片、金貨や銀貨といった鋳造通貨、金銀などと交換できる兌換紙幣、発行元の信用(のみ)で流通する不換紙幣と、経済の拡大とともに多くの量が流通できるようになった経緯が分かりやすい。
取引方法についてもそうで手形や国債、株券などが発行されて取引がしやすくなっていく一方、実体経済以上に貨幣や取引がなされることによるバブルも発生しているのは当然の結果なのだろう。

ロスチャイルド家のように宮廷ユダヤ人として活躍した人々や、各国の政界や財界で活躍してきたユダヤ人も随所で扱われている。
この中では、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)としてのし上がったアブラモビッチやホドルコフスキーなどもユダヤ系ということは知らなかったので少し驚いたりもした。(名前からはユダヤ系と分からない)

当方の知識や理解力不足で金融の話で少し難しく感じる部分も少しだけあったが、幅広い内容が明快に語られていて興味深く読むことができた。






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