読書-歴史(世界):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界)」 に関する記事を紹介しています。


中国文明の歴史〈1〉中国文化の成立 (中公文庫)
中国文明の歴史〈1〉中国文化の成立 (中公文庫)
水野 清一 (編集)
中央公論新社 2001-01-01

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中国文明の歴史〈11〉中国のめざめ (中公文庫)
中国文明の歴史〈12〉人民共和国の成立へ (中公文庫)
五代と宋の興亡 (講談社学術文庫)


中国の歴史を概説したシリーズの第1巻で、人とサルの関係から話が始まり、西周の滅亡に至るまでを扱っている。
人とサルの関係とか北京原人の話、農耕社会の成立といった、スケールの大きいところから話が始まっているので少し面食らったし、あまり関心のないところは斜め読みになった。

文献でたどれない時代からなので、はじめは考古学上の発掘結果などからの話が多く、途中から三皇五帝のような神話、そして夏・殷・周の各王朝の話に続いていく。

学者の文章なので少し固い感じはあるものの、地図や写真、図などがけっこう用いられていて、しっかりした内容だとは思う。
ただ、社会制度や風習などについての話が多くて人物が前面に出てくることが少ないように感じ、読んでいてしばしばきつくなることもあった。

中国史について最初に読むのであれば作家の陳舜臣が書いた『中国の歴史(一) 』(中国歴史シリーズ)の方が読みやすいと思う。






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史記列伝〈1〉 (中公クラシックス)
史記列伝〈1〉 (中公クラシックス)
司馬 遷 (著), 貝塚 茂樹 (翻訳), 川勝 義雄 (翻訳)
中央公論新社 2001-04-01

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論語〈2〉 (中公クラシックス)
論語〈1〉 (中公クラシックス)


中公クラシックスから出ている、『史記』の列伝の前半を貝塚茂樹と川勝義雄が抄訳している作品。

『史記』を抄訳している作品や戦国時代の部分で重なる『戦国策』、それらを元にしたと思われる歴史小説や漫画などを読んでいれば、既に知っていることも多い。

本書だと事跡が簡単に省略されている人物の部分も多いので、深く詳しく知りたいのなら5冊に分かれている岩波文庫版などの方がいいような気がする。

一昨年くらいから読み続けている漫画『キングダム』に登場する人物も扱われていて、思い起こしながら読んだりもした。

訳文自体は読みやすいので、1冊目に読むにはまずまずの内容かと思う。






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資本主義は海洋アジアから (日経ビジネス人文庫)
資本主義は海洋アジアから (日経ビジネス人文庫)
川勝 平太
日本経済新聞出版社 2012-04-03

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現在静岡県知事を務める学者による、資本主義や海洋アジアを舞台とした交易が及ぼした影響などについて語った論文をまとめている作品。

以前読んだことがあるような気がすると思っていたら、『文明の海へ―グローバル日本外史』を加筆・再構成したものと書かれていた。
忘れかけていたとはいえ再読に近い形となるので、以前よりも読んで理解が進んだような気がする。

資本主義に関してはマルクスの『資本論』の弱点、例えば制度や人間の行動については書かれていても「唯物史観」という割にものへの記述がなかったり、近代の英国を題材とした関係上もあってアジアなどの軽視や無理解、交易への視点が欠如していることなどを挙げている。

そしてヨーロッパと日本で資本主義が生まれ、その背景としては海洋アジアの存在を挙げている。
ヨーロッパにとってはインド洋というイスラムの海、日本にとってはシナ海(東シナ海、南シナ海)という中国の海を経由して、東南アジアの多島海を舞台とした交易を経験したことが、資本主義の成立に関係していると語っていく。

他にも日本は開国で欧米だけでなくアジア内でも競争するようになったことや、中国の文明圏から独立した日本だけでなくヨーロッパもイスラム圏から「脱亜」してきたという視点、日本とヨーロッパでは経営者の出現するプロセスが異なるという比較など、改めて面白い視点での世界観が書かれていると感じた。

それとともに、以前からうっすらと感じていた著者の文章というか構成のまずさも目につくようになった。
アカデミズムの話を続けたり、著者の体験に話が脱線して戻ってくるまでけっこうかかったりと、かなりテンポが悪くて読んでいて少しイライラした。

学会向けの論文としてはいいだろうが、一般向けの書籍としてはサービス精神が不足しているのか、文章力に難があるように感じる。
ゴーストライターを雇って書き直してもらったり、他の人に解説書を書いてもらうなどすれば、もっと売れる内容だと思うので、つくづく惜しい。

このあたりは静岡県知事としての政策の評判がいまいちなところにつながっていて、学者出身で理念にこだわりすぎる政治家のダメなところが出ているような気もする。

欠点が多い作品ではあるがテーマ自体は興味深く、知的刺激を受けることができた。






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十八史略 新版 (新書漢文大系 4)
十八史略 新版 (新書漢文大系 4)
林 秀一 堀江 忠道
明治書院 2002-07-01

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中国で歴史の概説書として書かれた『十八史略』を抄訳・解説している作品。
神話の時代から唐における安史の乱までを扱っている。

『春秋左氏伝』、『史記』、『戦国策』、『三国志』あたりの歴史書や小説、漫画などを読んでいると、前半は多くが重なる話なのでざっと斜め読みする形となった。

そしてあまり小説ものなどになりにくい西晋、五胡十六国、南北朝を経て、煬帝、李世民、武則天、玄宗といった有名な人物が活躍する隋・唐時代に進んでいく。

原文も収録した都合上か、しばしば話と話の間が飛んでしまっていて、それを背景の解説という形で補ってはいるものの、あまり読みやすい構成とは言えない。

学術書としての評価は分からないが、歴史読み物としてはあまりお勧めしない。






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「宗教」で読み解く世界史の謎 (PHP文庫)
「宗教」で読み解く世界史の謎 (PHP文庫)
武光 誠
PHP研究所 2016-08-03

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日本人だけが知らない「本当の世界史」 (PHP文庫)
戦争と革命の世界史 (だいわ文庫 H 320-1)


宗教が世界史に及ぼした影響や、それぞれの宗教や宗派の間での争いがもたらした結果などを解説している作品。

宗教に対しては古臭くて迷信っぽいイメージを持ってしまうことがあるが、宗教が成立してから布教される間は哲学、科学思想、健康法などを含んだ体系的なものであるわけで、現代の視点からだけで考えてはいけないことを再認識させてくれる。

また、一神教と多神教の違いの背景として、以前読んだ『森林の思考・砂漠の思考』を引き合いに出して前者が砂漠の宗教、後者が森林の宗教ということで、それぞれの長所と短所を対比させているのもいい。

そして中近東で生まれた一神教であるユダヤ教、キリスト教、イスラム教がそれぞれ影響を与え合ってきたことや、教義が時代によって少しずつ変更が加えられてきたり、信仰と世俗の風習を別にすることで教義と現実のギャップを埋めようと努力が加えられてきたことも興味深い。

例えば利子はキリスト教でもイスラム教でも元々は禁止されていたわけだが、マックス・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』で考察されたように真っ向から向き合ったか、イスラム金融のように金の貸し借りに事業を挟むことで解決してきたかで、社会や経済の仕組みが違ってくるのも分かるような気がする。

それぞれの宗教における概念についての理解はできたとは言えないが、歴史上の出来事と宗教の関連について分かりやすく書かれていて、思っていた以上にしっかりした内容の作品だと感じた。






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