読書-歴史(世界:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史)」 に関する記事を紹介しています。


先生も知らない経済の世界史 (日経プレミアシリーズ)
先生も知らない経済の世界史 (日経プレミアシリーズ)
玉木 俊明
日本経済新聞出版社 2017-09-09

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歴史学者による、経済史で古くなった概念に対する反論や最新の研究成果から見られる世界史の流れなどを紹介している作品。
著者の『先生も知らない世界史』がなかなか良かったので続けて読んだ。

序盤では大塚久雄による経済史の捉え方は戦中という時代に影響され、川北稔の場合は高度成長期という時代に書かれたなど、学説が書かれた時代背景にいかに影響されるかという話がなされているのが興味深い。
この流れからすると、現在のような低成長時代をモデルとした経済史学者が出てくるのでは?と期待していることも書かれている。

西欧中心の歴史観では停滞した後進地域と捉えられがちだったアジアについては、中国大陸を中心とした経済圏がゆるやかに形成されている話や、ヨーロッパでユダヤ商人が活躍したようにアジアでもアルメニアの商人が重要な役割を果たしていたこと、中国の歴代王朝が採っていた朝貢貿易が物流を相手に支配されるという面で失敗だったなど、知らなかったり考えたことのない話が多く出てくるのが面白い。

財産を没収されない国が栄えるという話、共産主義が74年しか有効でなかった理由として需給で情報のやり取りが不足していたこと、プロイセンがイギリスに勝てなかった一因は国債を発行して戦費を調達する能力が足りなかったこととしているなど、少し前に読んだウィリアム・バーンスタインの『豊かさの誕生』に書かれていたことを思い出したりもした。

以前よく本を読んでいたアジアの開発独裁については、ガーシェンクロンという学者の後進国モデルがしばしば使用されてきたそうだが、これはアジアではなくロシアを念頭に置いて書かれたものだったという話も意外性があっていい。

そもそも経済史や学説に関する知識が不足しているのでついていきづらいところもあったが、このあたりは本書でさまざまに紹介したので、それぞれ各論を読んで学んでください、ということなのだろう。






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世界〈経済〉全史 「51の転換点」で現在と未来が読み解ける
世界〈経済〉全史 「51の転換点」で現在と未来が読み解ける
宮崎 正勝
日本実業出版社 2017-07-27

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世界史を経済の観点から、51のポイントで解説している作品。

貨幣が使用されるようになった話から、その後経済の拡大によって金属貨幣が不足して紙幣が使用されるようになった経緯が流れで書かれているのが分かりやすい。
特に、スペインで鋳造されたドルの銀貨がフィリピンを経由して中国にも伝わり、元、円、ウォンといった東アジアで使用されている通貨単位の呼び名の元になっていることは知らなかったので少し驚いた。

株式会社や銀行、保険といった成立過程についても多く書かれていて、例えばアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)は他国の中央銀行とは成立過程も仕組みも異なっていることや、アメリカでは贋札が多いためにキャッシュではなくクレジットカード決済が主流となっているなど、国情の違いが少し分かるようになっているのも興味深い。

そして大国の政府や多国籍企業などの思惑による政策で、大衆の暮らしが大きく影響を受けてしまうことも特に近代以降で書かれていて、色々と考えさせられる。

著者も語っているように本書は経済のポイントを知るための本であり、興味ある分野では類書をさらに読んでいくというのが正しい使い方なのだろうと思う。
あと、(通説と一致するとは限らない)著者の考えがところどころで出ているところもあり、そのあたりは注意が必要かもしれない。






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中国文明の歴史〈3〉秦漢帝国 (中公文庫)
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日比野 丈夫
中央公論新社 2000-04-01

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中国文明の歴史を概説したシリーズの第2巻で、秦、前漢、新、後漢の4王朝の時代を扱っている。

漫画『キングダム』の舞台となっている秦が戦国時代を終わらせたところから、『三国志』の前段階となる宦官や外戚がらみの混乱や黄巾の乱あたりまでが描かれている。

近い時代を扱っている陳舜臣の『中国の歴史』シリーズの第2巻第3巻と比較すると、人物の話が少なめで社会制度や経済、文化についての記述が多めという印象がある。

漢帝国による西域への進出や、匈奴をはじめとした周辺の遊牧民との交渉、前漢の文帝や景帝の時代に生産が増えた一方で格差が拡大した事情、貨幣の普及と政府の政策の変更などが多く書かれている印象がある。

また、小説では面白くならないためか、他であまり扱われていない反乱や事件の話が出てくるのも興味深い。

読み応えのあるシリーズで、本書も良かったと思う。






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「お金」で読み解く世界史 (SB新書)
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関 眞興
SBクリエイティブ 2017-04-07

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「お金」ということで通貨の使用や金融、貿易といった観点から世界史のトピックを解説している作品。
時代としては古代文明における通貨の使用から、フランス革命の時期あたりまでを扱っている。

ユーラシアの東西で金と銀で評価が異なったり、バイキングやイスラム商人による交易範囲の広さ、両替商から銀行、中央銀行と金融業が発展していく様子など、普段は政治や戦争から見ることが多い世界史の話が興味深い。

世界のさまざまな地域で話が飛んだり、あまり予備知識がなくてピンとこない地域や時代の歴史のところで理解がついていかないところなどがあったりもしたが、このあたりは関連したところの本を読んでから本書を読み返すのがいいのだろう。





いまの世界をつくった世界史の大事件30いまの世界をつくった世界史の大事件30

関 眞興
宝島社 2016-09-07

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中国文明の歴史〈2〉春秋戦国 (中公文庫)
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貝塚 茂樹 (編集)
中央公論新社 2000-03-01

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中国文明の歴史〈9〉清帝国の繁栄 (中公文庫)
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中国文明の歴史〈12〉人民共和国の成立へ (中公文庫)
中国文明の歴史〈11〉中国のめざめ (中公文庫)
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中国文明の歴史を概説したシリーズの第2巻で、中国史上で最も華やかだった時代の1つと思われる春秋・戦国時代を扱っている。

斉の桓公や晋の文公といった覇者、孔子や孫子などの諸子百家、張儀や蘇秦による合従連衡の駆け引きなど、個性豊かな君主や家臣、論客たちの活躍がこの時代の特徴だが、それ以外の社会や経済、産業といった歴史読み物や歴史小説であまり扱われない分野に言及されているところがポイントが高い。

孔子をはじめとする儒教の価値観だと理想の時代だった西周の封建的な秩序が崩れていく嘆かわしい時代ということになるが、西周の理想はフィクションという趣旨のことを語ったり、都市国家だった頃は君主と貴族のみで全てを決められていたのが領域国家になるにつれてその下に士大夫階級が出現して無視できなくなったという見立てが書かれているのが興味深い。

経済や産業については鉄が普及して農具に利用できるようになったことや、治水や灌漑の技術が発達したことで生産高が上がったこと、商業の発達といった社会変化についても書かれていて、これを「矛盾」や「孟母三遷」といったエピソードと組み合わせて解説しているのはうまいと感じた。

この時代を扱っている『春秋左氏伝』や『史記』、『戦国策』などの現代語訳を読んでいて人物のエピソードが面白い一方で時系列についての理解が追いついていないことを自覚しているが、本書では史書によって人物の活躍時期に差があったり、創作と思われるエピソードがあるなどの部分についても考察されている。
特に外交の分野で活躍した張儀と蘇秦の2人の場合、似たような外交をした人々の事跡も彼らがやったこととされたこともあるようで、このあたりは陳舜臣の『中国の歴史(二) 』にも似たことが書かれていたように思う。

中国文明の歴史ということで、この時代の政治史や人物伝、思想書などからこぼれ落ちる部分がフォローされているところがいい部分で、興味深く読むことができた。






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