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読書-歴史(世界:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史)」 に関する記事を紹介しています。



出口 治明 (著)
筑摩書房 (2020/3/6)


人類の歴史を概説的に語るシリーズの第3作で、1001年~1500年の時期を扱っている。
この時期のトピックとして中国では宋、遼、金、元、明など、西アジアや中央アジアではセルジューク、ティムール、オスマンなど、ヨーロッパだと十字軍、レコンキスタ、ルネサンス、英仏百年戦争などが書かれている。

第1作の『人類5000年史I: 紀元前の世界』を読んでいてその次も読んでいたと勘違いしていたが、よく考えると第2作は読んでいなかった。

第1作でも読みにくいというかテンポが悪いような気がしていて、これは紀元前の話で単に予備知識が少ないからだと思っていたが、多少の予備知識があるはずの中世を扱った本書でもそれはあり、構成によるのだと気づいた。

世界全体の話を入れていく都合上、扱う国や地域が入れ替わるのは当然なのだろうが、章や節も分けずに本文でいきなり違う国の話をしているので、どこの話を読んでいたのかが時々混乱してしまうのである。

著者の他の作品や別の歴史読み物で知っている時代や人物のところでは、他の作品で出てこない話や表現があって興味深く読むことができるのだが、あまり詳しくない時代や人物のところでは理解が追い付かなかったりする。

特に、中世ヨーロッパではドイツ、フランス、イギリス、ローマ教会などで似た名前の人物が何人も出てきたり、王家や貴族の家が複雑に絡んでいたりして、ついていけないところが多かった。

つまり、ある程度の予備知識があってまとまった形で捉えるような読み方なら面白いのだろうが、そうでなければ面白さを感じにくいという印象を受けた。

この手の本を楽しむために、ドイツやフランス、イギリス、イタリアなどの歴史にもう少し詳しくなりたいところではあるが、多分手に取って類書を読む気になるには時間がかかる。






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陳 舜臣 (著)
講談社 (1991/2/5)


作家・陳舜臣による、中国の歴史を解説したシリーズの第5巻。
靖康の変後の金と南宋が対立した時代から元朝、そして明の太祖・朱元璋(洪武帝)の治世までが扱われている。

最初に読んだのが中学生の頃で、かなり久しぶりに読み返した形だが、当時はあまり関心や知識がなかったのか、全く読んだ記憶がない話がいくつも出てきて我ながら驚く。
例えば金が華北に楚や斉といった傀儡国家を建設していたことや、当時の金の実力では華北までしか支配できなかったことなどである。

金は北方民族の国家にありがちな内輪もめの多さや人口が少ないことなどが弱点で、一方の南宋では主戦派と和平派の対立が深刻だったことや、軍閥を警戒するあまり武官の待遇が悪くて軍が弱かったこと、朱子学のような現実を無視した理想主義の考えによる政策などで問題がいくつも発生していた話が興味深い。

どうも中華思想からいくと外部の異民族に対しては条約を破ることに抵抗があまりないようで、宋が遼や金、モンゴルに対して約定違反を繰り返しているのは、現在の中共政府が日本などに対してやっていることと変わらないように見える。

次のモンゴル帝国および元のところでは、チンギス・ハンの帝室が遊牧民の国家の例にもれず後継者争いや内輪もめを派手に繰り返しているところや、政治は税をいかに取るかという考えから搾取と浪費が繰り返されていたことなど、大きなインパクトを与えた王朝だったことが伝わってくる。

一方で、モンゴルは金を征服する前にイスラムや東欧に遠征していたことで中華文明を相対化して見ることができたことで遼や金に比べて中華文明におぼれる度合いが少なかったことや、陶器のように宋代で一旦完成した感じのある文化がまた別の要素が加わって新たな文化が生まれた話も興味深い。

その後が元末に各地で発生した反乱から朱元璋がのし上がってくる過程、そして貧農の出身だったこともあって知識人や富裕層、さらには取って代わられることを恐れて功臣たちの大粛清を断行した恐怖の独裁者としての話に続いている。
この辺りは以前読んだ小前亮著『朱元璋 皇帝の貌』でも少し書かれていたことで、より理解しやすかったところがある。

全体的には少し前に岡田英弘著『中国文明の歴史』を読んだことも、本書をより理解する助けになったと思う。

南宋で最後まで抵抗した文天祥の「正気の詩」のように文人や文化の話も随所で触れられていて、改めて充実した内容の作品であることを確認できた。
このシリーズは本作までしか読んでいないので、気が向けば次の第6巻も読んでみようと思う。





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岡田 英弘 (著)
講談社 (2004/12/18)


中国文明を「秦による統一から日清戦争まで」と規定し、それぞれの時代による変遷を民族の動きや言葉の違いなどとともに解説している作品。

中国文明の時期を大きく下記の3つに分け、第2期では匈奴、鮮卑、トルコ系、キタイなど、第3期ではモンゴルやタングート、女直といった北方の遊牧民が中国に入ってきて、漢民族とされる人々の構成は随時代わっていることが分かる。
  • 第1期:『三国志』などにも登場する戦乱でそれまでの漢民族の人口が1/10以下に激減し、絶滅と言ってもいい時期まで
  • 第2期:元が南宋を滅ぼし、著者が言う『世界史の誕生』まで
  • 第3期:日清戦争で清が日本に敗北し、中華思想のプライドを打ち砕かれるまで

第1期末の『三国志』の魏では人口が減りすぎて民間人を河南省周辺に集めて立てこもるという表現がされていて、伝染病や異星人の侵略などで人類が追い込まれるSF小説みたいな事態が起こっていたことに色々と考えさせられる。

発音や言葉もこうした民族の移動によって変化を重ねてきたことも語られていて、中国語が文字では通じるものの地方によって話し言葉が通じないというのも納得しやすい。

どうしても中華史観だと司馬遷の『史記』とか中国四千年の歴史だとかで変なバイアスがかかるが、そうした要素を排除して書かれているようなところに好感が持てる。

そして日清戦争から現代は、西欧文明と日本文明に影響を受けている時代だとしていて、中華、人民、共和国のように、西欧の概念は日本で翻訳された言葉が多く入っていたり、日本の軍制を取り入れていたなどの事例から説明していて分かりやすい。
現在の中国の問題点は、中国文明と西欧文明と日本文明の悪いところが組み合わさった点にあるのでは?と思っている。

全体的には人物や戦争などの話を少な目にし、シンプルな構成で大まかな流れをつかみやすい形で書かれていて、興味深く読むことができた。
元や清のところではカタカナの名称が多く出てあまり消化できなかったので、類書を読んで予備知識を得たいと思う。






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井沢 元彦 (著)
小学館 (2019/10/23)


井沢元彦著『逆説の世界史』シリーズの第3巻で、前半がインドや日本の宗教が一神教に負けなかった話、後半がギリシア文明の話をしている。

一神教が広まった地域では元々あった多神教が滅ぼされるというのが世界の多くの地域で発生したパターンだが、インドのヒンドゥー教と日本の神道だけは一神教的な性質を持つ仏教を取り込み、その後のキリスト教やイスラム教にも滅ぼされることなく続いてきた「強い多神教」という話がなされている。

その理由にはヒンドゥー教は輪廻の思想、神道ではある種のゆるさや日本人のカスタマイズ好きが一因ではないかといったことが考察されている。

日本での仏教の受容については、鈴木正三などに代表される禅宗の教えや親鸞の浄土真宗の教えにあった勤労を美徳として利益を肯定する考え方が、西欧のプロテスタンティズムやカルヴィニズムなしで資本主義を成立させたという話も紹介されている。

後半のギリシア文明では、まずポリスの時代のアテネに登場したアルキビアデスという人物が民主制の弱点を利用してのし上がるデマゴーグの典型的な人物と紹介されていて印象に残る。
軍人や政治家として有能なのは確かだが、平気で裏切って敵対勢力に鞍替えする反復常ない人物で、さすがにやりすぎたのか暗殺されるという末路をたどっている。

そしてポリスの時代を終わらせたマケドニアのアレクサンドロス大王の話に移る。
アレクサンドロスによる遠征はインド西部で止まったが、これは兵たちが高温多湿なインドの気候に辟易して「こんな土地をもらっても仕方がない」と思ったためではないか?と、上層部ではなく一般の兵たちの視点から考察されている。
基本的にイデオロギーや信仰がない状態での兵はお金、女性、土地を得られなければ働いてくれないものだという話は納得しやすい。

その後はアレクサンドロスが急死した後の後継者争いのごたごたや、ソクラテス・プラトン・アリストテレスなどギリシア哲学の話がなされているが、このあたりはそれほど新たに感じる話は少ないように感じた。

本作がギリシアを扱い次がローマを扱うそうなので、これが出てくるのを楽しみにしている。






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神野 正史 (監修), 造事務所 (編集)
日本経済新聞出版社 (2019/11/2)


バビロンやテオティワカン(アステカ帝国の都市)、アンコールのように現在は遺跡しか残っていない都市、当時の繁栄まではいかなくても観光地として栄えている都市、現在まで繁栄が続く都市など、30の都市を選んでその歴史を紹介している作品。

一昨年に読んだ出口治明著『グローバル時代の必須教養 「都市」の世界史』で扱われて本書で出てこない都市はカイロとベルリンで、人によって選択が違ってくるのが興味深い。

アムステルダムが「アムステル川」のダムに由来するなどの都市名の由来や、都市の計画や建造に活躍した人物の話、歴史上の事件とのつながり、旧市街と再開発地区の関係、構造からくる渋滞などの都市問題など幅広い話が扱われていて、歴史の本というよりは地理の本という印象が強い。

社会科や地理ではインドのデリー(オールドデリー)とニューデリーは別物みたいに習ったような記憶があるが、現在はデリーという1つの都市でまとまって扱われているなど、知らなかった知識に驚いたりもした。

これも一昨年に読んだ『30の都市からよむ日本史』の世界史版という感じだが、日本史に比べて面白さの点でいまいちに感じたのは、扱われている都市についての予備知識が少ないためだろう。

世界史の本を読むにしても、世界のニュースを知って物事を考えるにしても役立ちそうな話が多く扱われていて、興味深い内容だと思う。






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