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読書-歴史(世界:通史・全体):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史・全体)」 に関する記事を紹介しています。



尾登 雄平 (著)
KADOKAWA (2019/12/6)


はてなブログで運営されている「歴ログ -世界史専門ブログ-」などから、世界史に関連した面白い話を50話紹介している作品。

世界史でのメジャーな話はそこまで目新しい感じはしないが、例えば南米で独立した国々が戦争を繰り返してきた話や、イスラム教のカリフ時代からウマイヤ朝にかけての時期を企業継承に例えた話、第二次世界大戦で「それでうまくいったの?」といった謀略戦がなされていたことなど、世界史の教科書であまり扱われていない話が面白い。

南米やアフリカ、カリブの海賊の話、イタリアの南北問題など、もう少し類書を読んで知りたいと思わせてくれた。




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長沼 伸一郎 (著)
PHP研究所 (2022/6/21)


科学者による、理数系の観点から世界史の概略と今後への見通しを語っている作品。

地政学や、科学理論が宗教や経済の思想に大きな影響を与えている話、人が抱く短期的願望と長期的願望のせめぎ合いなどを扱い、他の歴史書に出てこない話が多くて強い知的刺激を受ける。

西欧で資本主義が発達したのは微積分学やニュートン力学がイスラム圏に勝利したから(ざっくりした印象)とか、アメリカで短期的願望の集積が長期的願望になるという考え方が今後世界が閉塞状態に導く危険がある話など、理解するのに少し時間がかかるが論旨は明快なので読み進めることができる。

日本では国難の時期に「理数系武士団」が出現して危機を救っては解散するパターンが繰り返されたと書かれていて、4種類の人々(思想家、官僚、学習者、伝道者)で構成されることが書かれている。
幕末で思想家に当たるのが島津斉彬や勝海舟、伝道者に当たるのが西郷隆盛や坂本龍馬とあり、そんな考え方があるのかと驚かされる。

日本の弱点としては予備戦力の思想がこれまでなかったことと、知的制海権を握られっぱなしだったことを挙げていて、前者については習得可能と著者は見ていて、後者についてはアメリカの思想の弱点を突く考え方が出せればチャンスは十分にあるという話がなされている。

番外編として、幕末・維新の時代に活躍した人々の年齢層が若いことで「それに比べて現在の人々は・・・」と思う場合があるが、現在は学ぶべき情報が多くなっているために当時の人々の年齢を1.5倍にすれば丁度良くなるという、歴史換算年齢の話も面白い。

『外来種は本当に悪者か?』『銃・病原菌・鉄』など、年に1冊くらい読みごたえがある本を読んでいるが、今年は本書がそれに当たりそうである。

多分、まだ十分に理解できていないと思うので、もう少し読み返してみる。
また、著者の『現代経済学の直観的方法』も読んでみたいと思う。




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関真興 (著)
KADOKAWA (2016/5/12)


世界史のロングセラーとして知られるが読みづらいとの評価もある、ウィリアム・H. マクニール著『世界史』の内容をダイジェストで紹介している作品。

読んだ感じだと、世界史の概説書として特色がそれほどある印象を受けなかった。
これは読み手側の問題か、著者が分かりやすくしようとし過ぎたためなのかは、元の作品を読んでいないので判断できない。

文体もです・ます調とだ・である調が混ざっていてかなり違和感があった。
著者の他の作品ではこの違和感はそれほどなかったので、マクニールの『世界史』に対する気持ちが空回りしたところがあったのかもしれない。

結局のところ、元の作品を読む必要がある、ということだろう。





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関連タグ : 関真興,


出口治明 (著)
祥伝社 (2016/10/1)


ライフネット生命の創業者による、自身が多くの読書から得た世界史の理解を解説している『仕事に効く 教養としての「世界史」』の続編。

前作で語っていない、日本で教えられる世界史の中でも触れられる機会が少ないイスラム圏、インド、中南米、アフリカなどの歴史について多く書かれている。

インドが地政学的に西北のカイバル峠以外からは軍隊が侵入しづらいために独自の地域世界が続いてきたこと、そしてインダス川流域やガンジス川流域を支配する北部の政権と、デカン高原に割拠する南部の政権に分かれることが多くて統一王朝が続いた時期が短いことなど、他の地域と異なる部分が多いことが分かりやすかった。
ムガール帝国以外の諸王朝は全然覚えられないが、腰を据えて歴史書を読んだら覚えていくものなのかもしれない。

中南米ではナポレオンの登場で宗主国だったスペインとポルトガルが大変な目に遭ったことで独立運動が激化し、サン・マルティンとシモン・ボリバルという2人の英雄が登場したこと、既得権益層の保守派VS革新派と連邦派VS中央集権派などの対立やアメリカなどの干渉もあって政情が安定しない状況が続く背景などが書かれていて、解決の道は遠そうである。

そしてアフリカでは部族闘争で敗れた部族から奴隷の形で中南米に労働力が流出したこと、そして19世紀にイタリア軍がエリトリアに侵入したことをきっかけに牛痘が一気に広まって牛がほぼ絶滅して農業が壊滅状態になったことで、暗黒大陸と称されたり野生動物の楽園のような形になった経緯が書かれている。

他にも、16世紀の激動の時代にヨーロッパで広大な領土を支配した神聖ローマ皇帝のカール5世が諸外国との戦争で振り回されて次の代に国家破産に至った経緯や、ルネサンスに至った地中海の東・西・南を通ってのイスラムからの文化の伝来、プロイセンがドイツ帝国となって第一次世界大戦に至るまでの歴史なども書かれ、幅広い世界史の知識を得られる。

前作を読んでからかなり時間が経ってしまったが、本書も興味深く読むことができた。




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関連タグ : 出口治明,


斎藤 整 (著)
KADOKAWA (2020/4/30)


世界史をそれぞれの時代で区切り、その時代に異なる地域で似たような事件が発生していたり、気候変動や感染症のように世界規模での変化が世界史にもたらした影響などを語っている作品。

タイトルに「大人の」と書かれているのは、教科書に書かれていなかったり、書かれるべきでないと思われる異説や珍説を多く紹介していて、学校の学習を妨げかねないという意図からだと思われる。

例えばアメリカ大陸を「発見」したのはコロンブスでその前にヴァイキングが到達していたらしいことは知られているが、紀元前にフェニキア人がブラジルに到達していたという説や、明代にインド洋に派遣された鄭和の艦隊の一部がアメリカ大陸に到達していた説、中国の南北朝時代の僧侶が太平洋を渡ってアメリカ大陸を訪れた説など、荒唐無稽と思われがちな説まで扱われていて、嫌いな話題ではないのでそれなりに楽しめた。

もちろんまともな話が主流で書かれていて、最近の研究によって判明した話も多い。
例えば、厳罰主義というイメージが強かった秦の法律に未成年者保護の条文があることが書かれていたのは衝撃的で、前の時代を悪く書く傾向がある歴史書によってイメージが偏ってしまっているのだろうと感じた。

また、新大陸で銀が大量に流入してインフレになったら「価格革命」、アフリカ周りでアジアと交易するルートが主流になったら地中海のイタリア商人が没落して「商業革命」、茶やコーヒー、綿織物などが流入すると「生活革命」など、西洋史ではよくよく「革命」という言葉を使うのが好きなようである。

日本がらみでもシュメールと日本の類似点や、恐山に金山が存在する可能性、プロテスタンティズムがないはずの日本で資本主義の思想が生まれた理由を考察した『徳川時代の宗教』という作品があるなど、興味深い話が多い。

それぞれの章に割かれたページも短くまとめられていて、分かりやすいのもいい。





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