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読書-歴史(世界:通史):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(世界:通史)」 に関する記事を紹介しています。





「世界史の試験項目をなかなか覚えられないのは、地域があちこちに飛んで流れとして歴史を把握できないから」という問題提起から、世界が1つにつながる大航海時代以前の時代をヨーロッパ、中東、インド、中国の4地域別に通した形で世界史を解説している作品。

この問題提起については思い当たるところがあり、自分の場合は中学生の頃に陳舜臣の『中国の歴史』シリーズを5巻くらいまで読んでいたために高校時代も少なくとも中国史に関してはあまり苦手意識がなかったことを思い起こした。
(基本的に歴史が好きというのが一番大きいのだろうが)

各時代のトピックについてはほとんどが2~3ページ、例えばフランス革命のような5~6ページで構成されていて、地図や勢力関係図も多用していることもあって分かりやすい。
ところどころで情報の精度に疑念が湧くところもあるが、まずは分かりやすさを優先したということなのだろう。

例えば「文化大革命は毛沢東の逆ギレ」とか「ドイツのヴィルヘルム2世は3B政策でイギリスの交易利権を分捕ろうとした」みたいな分かりやすい表現や、ロシアが不凍港を求めて南下を繰り返したり第一次大戦前にドイツとイギリスが中東で衝突したことのような地政学的な図解、トルコやイランがロシアと戦っていたことで親日になった話が書かれているなど、他の世界史を扱った読み物との差異を出せていると思う。






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世界史MAPS

主婦と生活社 2016/11/4



世界史で発生した72の出来事を、豊富なイラストとともに地図で表現した作品。
大判で重い割に、情報の量や精度があまり納得できるものではなかった。

イラストを多用して分かりやすさを出そうとしたと思われるが、うるさい絵という感じがして失敗しているように見える。
ターゲットとしている読者層もよく分からない。

この手の作品で良かったと思っているのは以前読んだ『カラービジュアル版 戦国大名勢力変遷地図-激動の時代が一目でわかる!』で、時代によって勢力が変遷していく過程を丁寧に描かれていたのが好印象だった。

歴史好きの人向けに出すのならば、ページ数を増やして用語の解説を充実させること、変遷が分かる形にすること、持ちにくいのでもう少しコンパクトなサイズにすることなどが望ましいと思っている。





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中国やユーラシアの歴史をシナ人の視点ではなく、遊牧民の視点から語っている作品。
著者は内モンゴル自治区出身のモンゴル系で、シナ人とモンゴル人やウイグル人、チベット人などは元々たどってきた歴史が異なっている別の民族と主張し、遊牧民の王朝をシナの地方政権くらいに扱う中国の史書に不満があることを語っている。

古くは黄河文明や長江文明とは別に南シベリアからユーラシアの草原一帯に広がった冶金文明の話から、スキタイ、匈奴、テュルク(突厥)、ウイグル、キタイ(契丹・遼)、タングート(西夏・大夏)、モンゴル(元)、女真(金・後金・大清・満州)といった遊牧民の王朝の文化や統治システム、後世に残した影響などを紹介している。

漢民族の王朝とされる場合がある隋や唐も王家は鮮卑系で開かれた文化だったことや、テュルクやウイグルとの交流が多かったことも書かれている。

遊牧民の王朝では多様な宗教や民族を受け入れて文化が花開くことが多く、明のように漢族が中華思想を前面に出した国家になると宗教や少数民族を弾圧するなどギスギスした傾向が出てくることも語られ、納得しやすい。

現代の中共による一党独裁は当然後者の中華思想を前面に出した国家に当たり、その上に道教や儒教が天の思想がなくて現実主義すぎることの問題点、共産主義や資本主義の暗黒面も合わさり、かなり問題のある体制であることが伝わってくる。

著者は漢族が広い領土を支配するとそのような傾向になるので、宋代くらいの国家サイズが適当だとしている話も興味深い。

事例の紹介などで伝わりづらいところも少しあったが、論旨や文章は明快で分かりやすく、新たな視点で東アジアを考えるきっかけとなる作品だと思う。






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西欧を舞台とした歴史小説を多く執筆している作家による、自ら世界史になろうとしている世界の歴史としてユニヴァーサル・ヒストリーという概念を提起し、3つの世界が関連し合う形で世界史を語っている作品。

3つの世界とは西世界、東世界、イスラム世界の3つで、アレキサンドロス帝国とローマ帝国の領域からそれぞれ分化している。

西世界は東西ローマ分裂後の西ローマ帝国から始まり、宗教としてはローマ・カトリックと派生したプロテスタントや英国教会その他、国としては西欧からアメリカ、さらには開国後の日本もここに含まれていて、冷戦時は西側の資本主義陣営ということになる。

東世界は東ローマ帝国(ビザンツ帝国)から始まり、宗教はギリシアやロシアの東方正教会で、中東や小アジアから撤退後はロシアやバルカン半島のスラブ人世界に広がり、冷戦時は東側の共産主義陣営を形成している。

イスラム世界はその名の通りイスラム教の地域で、中東、アフリカ、中央アジア、インドや東南アジアの一部と、インド洋に面した地域に多く広がっている。

この3世界がそれぞれ対立したり、内部での対立に他の世界が介入したりといった形で話がなされていて興味深い。
例えば十字軍では東世界の要請で西世界がイスラム世界に攻め込んだが東世界も被害を受けたとか、第一次世界大戦では西世界、東世界、イスラム世界の対立が複雑に結びついたとか、第二次世界大戦は西世界の内部対立がメインなど、そういう見方もあるのかと思いながら読んでいった。

また一つ世界史の見方を教えられ、考えさせられる内容だった。






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世界史を人物よりも大きな流れ、例えば帝国の覇権や経済などから分かりやすく解説している作品。

メソポタミアのアッシリアあたりから始まった帝国のシステムが時代を経るごとに洗練されていく過程や、世俗と宗教の対立が続いて結局は世俗の王が宗教指導者に優越した中世、日本銀を利用して覇権を握ったオランダが石見銀山の枯渇などによる日本の銀禁輸で覇権を失う過程、江戸時代にナポレオンによるロシア遠征がなければロシアによる侵略を受けていた可能性があったことなど、専門用語をあまり使用せずに分かりやすく書かれている。

自由貿易と保護貿易のせめぎ合いや、貿易をスーパーや商店街に例えて説明しているところ、ロシア共産党は借りたものを返さない政権としている話など、印象に残る部分も多い。

なかなか参考になる1冊だったと思う。






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