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読書-歴史小説(世界):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史小説(世界)」 に関する記事を紹介しています。


呉漢 - 下巻 (単行本)
呉漢 - 下巻 (単行本)
宮城谷 昌光
中央公論新社 2017-11-08

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後漢の建国に貢献した、呉漢の生涯を描いた歴史小説の下巻。

更始帝から差し向けられた軍に勝利した劉秀は皇帝に即位し、大司馬となった呉漢は配下につけられた将軍たちとともに河北から南方、東方と転戦を続けていく。

敵としては各地を移動する賊軍の他、梁の劉永、斉の張歩、蜀の公孫述といった地方に割拠する勢力がいて、呉漢はいまいちな将軍の能力不足や裏切りなどのために敗戦することもあるが、劉秀のバックアップもあって確実に平定を成し遂げていく。

変換しづらい漢字が多いので名前は書かないが、呉漢の側近たちもそれぞれの持ち味を発揮して呉漢の軍を盛りたてているところも注目のポイントである。

劉秀はどうしても他の創業時の皇帝、例えば劉邦や李世民と比較すると歴史小説で扱われることが少なくて配下の将軍なども知名度が低いが、建国するにはそれなりの困難さがあるわけで、そのあたりがよく描かれていたのではないかと思う。






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呉漢 - 上巻 (単行本)
呉漢 - 上巻 (単行本)
宮城谷 昌光
中央公論新社 2017-11-08

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光武帝劉秀の大将軍として後漢王朝の建国に貢献した、呉漢の生涯を描いた歴史小説の上巻。
著者の作品では劉秀を描いた『草原の風』があって読んでいたので、これも読んでみた。

呉漢は洛陽の南にある南陽郡で小作人をやっていたが、仇討ちのために旅していた人物との出会いをきっかけに主人からも見出され、農場経営を徐々に任されることとなる。

その頃は前漢王朝が王莽に乗っ取られて新王朝になる頃のことで、呉漢はその王朝で亭長(現在で言えば駐在所長くらいの役職)になったが、客人となっていた人物が仇討ちを果たしたことで連座を逃れるために洛陽へ、その後は新王朝への反乱が続いて治安が悪くなったために河北地方へと難を逃れた。

そこでも多くの人とのつながりから北京近くの県令になり、河北を平定するために遠征してきた劉秀の配下に入ることとなる。
そこからは趙で前漢皇帝の血脈である劉子輿を騙る王朗の征伐や、劉秀が仕えていた更始帝と反目して自立を図ったことでも戦いとなるなど事態が展開し、呉漢は劉秀から大将軍に任じられて河北の騎馬軍団を率いて戦っていく。

前歴からも呉漢は学問はないが人徳があって本質を見抜く能力が高い人物として描かれていて、「小石が黄金に変わることはあるのか」という言葉が背景に語られている。

なかなか面白いので、続けて下巻を読む。





呉漢 - 下巻 (単行本)呉漢 - 下巻 (単行本)

宮城谷 昌光
中央公論新社 2017-11-08

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中国任侠伝 (〔正〕) (文春文庫)
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陳 舜臣
文藝春秋 1975-08-25

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司馬遷の『史記』に登場する侠客たちの活躍を描いた、陳舜臣による歴史小説集。
先日読んだ『メンターが見つかれば人生は9割決まる!』の内容が、本書に収録されている「似てくる男」に通じているように感じたので、再読してみた。

「似てくる男」は朱家という魯の大親分のところに来た田仲という若者が、朱家を尊敬するあまりちょっとした癖に至るまで真似をし始め、朱家がほとほと弱ったという話を描いたもので、必死になって学ぼうとする人の熱意が感じられるものとなっている。
朱家についてはもう1作の「季布の一諾」でも漢帝国のお尋ね者となっていた季布をかくまう人物として登場していて、これは塚本青史の『史記游侠外伝 一諾』と同じ題材を元としている。

他にも始皇帝暗殺を企てる「荊軻、一片の心」、鶏鳴狗盗という言葉の元となった話である「孟嘗君の客」、漢の高祖劉邦が尊敬する魏の信陵君が登場する「虎符を盗んで」、郭解というならず者が調子に乗りまくる「おれは幸運児」など、中国の戦国時代から前漢の武帝の時代にかけての侠客たちの活躍が描かれていて面白い。





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劉邦(下)
劉邦(下)宮城谷 昌光
毎日新聞出版 2015-07-15

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宮城谷昌光による、前漢の高祖劉邦を描いた歴史小説の下巻。

関中に入って秦を下す話から項羽との有名な鴻門の会、漢中王に左遷されてからの関中への反攻、反項羽勢力を糾合しての彰城制圧と直後の大敗、河南の城をめぐって項羽に攻められまくる苦闘、そして広武山における項羽とのにらみ合いと、怒涛の時期を描いている。

項羽が絶大な軍事力を持ちつつも、それゆえに弱者や敗北への理解が不足していて部下が育たなかったのに対し、劉邦は敗北を重ねながら多くの人材を見出し、戦いを重ねることで良将が育っていく過程が印象に残る。

そして「国士無双」という言葉の元となった韓信や、奇謀の士である陳平と出会って役者が揃っていく。
司馬遼太郎の『項羽と劉邦』では韓信について繊細な面を描いていたが、本書では「人の下につくことができない男」という面が強調されていて、これもまた韓信なのだろうとも感じた。

項羽についても、タイトルが『劉邦』ということもあってか、軍事能力がありすぎて普通の人の痛みが分からない人物に描かれていて、司馬遼太郎の描く項羽とそれほど離れていないように思う。

一方で劉邦を地神の声を聞きながら行動してきた人物として描き、著者はしばしば筋の通らない行いをしたことに不快感を持っていたようだが、天下や庶民のことを考慮しての判断も多かったということで認識して書いたことをあとがきで述べているのも興味深かった。

劉邦軍の約束違反によって攻められることになった斉の田横を主人公とした『香乱記』では劉邦を悪役に描いているそうで、これも気になっている。




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劉邦(中)
劉邦(中)宮城谷 昌光
毎日新聞出版 2015-06-16

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宮城谷昌光による、前漢の高祖劉邦を描いた歴史小説の中巻。

上巻に引き続いて沛公となった劉邦が陳勝・呉広の反乱で混乱する情勢の中、まだ弱小勢力ながらも戦いの中で少しずつ強くなっていく。

陳王を名乗っていた陳勝が敗死したり、魏や斉、趙といった秦に滅ぼされた国々の再興を目指して立ち上がった諸勢力とのやり取り、味方と信じていた雍歯の裏切りにあって落ち込むなど、多くの出来事が発生する。
そして軍師として有名になる張良と出会い、多くの局面で方向性を示してもらうなど、力強い味方になっている。
張良以外にも多くの人物が劉邦陣営に加入し、初対面の人物を将軍や将校に任じるなど、劉邦による適正を見抜いた上での思い切った人事が目立つ。

徐々に各地の勢力が集約していく中、劉邦は江南から決起した項梁が率いる楚軍に加わり、ライバルとなる項羽と出会う。
寡黙で他の将と馴れ合わない項羽はなぜか劉邦には関心を示したようで、軍を並べて秦軍と戦うシーンが増えていく。
また、劉邦は陳勝の元部下だった呂臣という将軍と息の合ったところを見せている。

その後秦軍と戦いの中で大きな事態がいくつも発生し、一旦軍を立て直すなどして戦いを継続していくところで終わる。
司馬遼太郎の『項羽と劉邦』で言えば上巻で収めているところが中巻まで使っていて、他の宮城谷作品とも共通する、序盤の話に力を入れる傾向が出ている。

下巻では一気に話が進んでいくと思われるので、発売を楽しみにしている。




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