読書-SF(海外):雨読夜話

ここでは、「読書-SF(海外)」 に関する記事を紹介しています。


彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス (ハヤカワ文庫SF)
彷徨える艦隊3 巡航戦艦カレイジャス (ハヤカワ文庫SF)
ジャック・キャンベル (著), 寺田 克也 (イラスト), 月岡 小穂 (翻訳)
早川書房 2009-08-20

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彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)
彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)


100年の冷凍睡眠から目覚めた軍人が、宇宙艦隊を率いて奮闘するSFシリーズの第3巻。

敵対するシンディック軍もギアリー率いるアライアンス艦隊の進路やギアリーの戦術を読むようになり、先回りをかけられそうになるなど、対応の難易度が一気に増していく。

前作ではヌモスやファレサといった反抗的な艦長たちが表舞台から退場したが、代わってカシアやミデア、インといった扱いづらい艦長たちが出てくるので、ギアリーが艦隊の統制に悩むシーンは続く。
また、アライアンスの政権に不満を持っていてギアリーに対して帰国後に政権へのクーデターをけしかける艦長も現れる。

ギアリーが同盟国の副大統領であるリオーネ、旗艦ドーントレスの艦長であるデシャーニとの三角関係に悩むように、軍隊というイメージの割に女性の士官や政治家が多く、西欧風の名前だけでは性別を少し判別しづらい。

後半では特に困難な局面が続き、これまでチェスを指すように難局を切り抜けてきたギアリーも、手詰まりに感じて苦悩することが増えてくる。

アウェイでの戦いが続くために兵糧や弾薬、燃料などは略奪や原料調達によって何とかなる場合もあるが、戦艦が撃沈されたり修復ができないレベルまで破壊された場合は補給ができないのが厳しい。
戦闘中の不幸な被弾でそうなるのはまだ仕方ない面もあるが、無謀な艦長の行動によってそうなるのはちょっとやりきれない。

また、軍需物資を製作する補助艦は性質上スピードが出なくて敵に狙われがちなことも、補給が一般に思われている以上に難しくて重要だということが分かる。

ここまできたら完結する10巻まで読み続けなければならないような気持ちになっている。
続編も読んでいく。






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彷徨(さまよ)える艦隊〈2〉特務戦隊フュリアス (ハヤカワ文庫SF)
彷徨(さまよ)える艦隊〈2〉特務戦隊フュリアス (ハヤカワ文庫SF)
ジャック・キャンベル (著), 寺田 克也 (イラスト), 月岡 小穂 (翻訳)
早川書房 2009-05-30


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彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)


冷凍冬眠から100年ぶりに救出された軍人が圧倒的に劣勢な宇宙艦隊の司令官となり、艦隊を生き延びさせるために奮闘していく戦争ものスペースオペラシリーズの第2作。
『彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス』の続編であり、古本市で前作とともに確か1冊10円で買ったように覚えている。

ギアリーが率いるアライアンス(星系連盟)の艦隊は敵のシンディック(惑星連合)の追撃を逃れてある星系にたどり着いたところ、強制収用所に味方の捕虜が収容されていたので救出を行う。
その中には英雄とされる大佐のファルコがいて、この人物がトラブルを起こす。

ファルコは軍事的には猪突猛進型の精神主義だが、ヒトラーを思わせるカリスマ性や人心掌握術、それ以上に過大な野心を持っており、警戒していたもののギアリーに不満を抱く艦長たちを切り崩して39隻で艦隊を離脱して敵の大軍が待ち構えていると思われるがアライアンスに近い方向に去ってしまう。

造反にショックを受けたギアリーだったが、この事態からヒントを得てまた新たな戦術を考案し、次に訪れた星系で作戦を試みていく。
そしてタイトルにあるフュリアスの艦長であるクレシダが大活躍するシーンが印象に残る。

序盤の反主流派の艦長たちとのやり取りから、同盟星系の副大統領として艦隊に参加しているリオーネと複雑な関係になっていく過程、ハイパーネットと呼ばれるワープ設備の謎、シンディックの施設から推定された謎など、前作で少しだけ触れられていた伏線が本作で徐々に目立ち始めていくのも興味深い。

かなり人間臭いドラマや戦略シミュレーションゲームのような戦艦の移動シーン、通信や映像にタイムラグがあるようなリアルさなど、前作同様にエンターテイメントとしてかなり引き込まれる内容となっている。
これは続編も読まないといけないなと思わされる。





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大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)大尉の盟約〈上〉 (創元SF文庫)

ロイス・マクマスター・ビジョルド (著), 小木曽 絢子 (翻訳)
東京創元社 2015-09-19

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大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)大尉の盟約〈下〉 (創元SF文庫)

ロイス・マクマスター・ビジョルド (著), 小木曽 絢子 (翻訳)
東京創元社 2015-09-19

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星間帝国で王族の青年が活躍するSFシリーズの長編。

このシリーズではマイルズという人物が主人公で、マイルズの従兄弟に当たるイワンは脇役の扱いだが、本作はスピンオフの位置づけとなるため、イワンが主人公を務めている。

軍の大尉として提督の秘書的なポジションで働いているイワンはある日、親族で諜報員のバイアリーから、敵対する組織に追われているテユという女性を誘拐して保護するように依頼を受け、彼女を訪ねたところ逆に気絶させられた上に監禁されてしまう。

その後いくつかのやり取りがあった後、イワンは追い込まれている状況を打破するためにテユと偽装結婚をすることを思いつき、話が大きく展開していく。

緊急手段として結婚を選んだイワンとテユだったが、中盤で必ずしも結婚を続けなくてもいいかもしれない状況になりつつあることに気づいた後も、お互いが複雑な感情を見せ合うあたりが物語のポイントになっている。

舞台はバラヤー帝国というイワンも連なるヴォル一族が支配する星間帝国で、一時的にワープ航法ができなくなった孤立時代や、他の星間帝国に占領された時期、皇位をめぐるクーデター騒ぎなど、多くの歴史を経ていることが書かれている。

登場人物でもテユと行動を共にするリッシュ、イワンの母親であるアリス、アリスのパートナーで元機密保安庁長官のシモンなど、個性豊かな人物が次々と登場して話を盛り上げていく。

スケールが大きい舞台に各種設定が細かく作りこまれたシリーズのようで、上巻の途中までは舞台設定を理解するのに時間がかかったが、登場人物たちが思い出話をしたり異邦人であるテユが質問したりすることで説明がなされていき、話にのめりこんでいった。

かなりの読みごたえがあり、他にどのような出来事があったのか気になってしまうような作り方が実にうまい。
このシリーズは多くの作品が出ているので、他も読んでみようと思う。





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彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)
彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)
ジャック・キャンベル (著), 寺田 克也 (イラスト), 月岡 小穂 (翻訳)
早川書房 2008-10-23

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人類の対立する2陣営における星間戦争において、100年前の冷凍睡眠からよみがえった軍人が艦隊の司令官として活躍するシリーズの第1巻。

民主主義のアライアンス(星系連盟)と全体主義のシンディック(惑星連合)の戦争が続く中、アライアンスに属する宇宙戦艦の艦長だったギアリーは艦が撃沈されたために乗組員全員を退避させ、自らは冷凍睡眠の脱出ポッドに入った。

そして味方の艦隊に回収され冷凍睡眠から目覚めると100年が経過していて、自らが伝説の英雄として偶像化されていることを知り愕然とする。

しかも艦隊は敵の罠にかかって大敗した上に包囲されている最悪の状況で、さまざまないきさつから艦隊の指揮を執って脱出をしなければならなくなる。

伝説の英雄としてギアリーを崇拝する士官や兵がいる一方、ギアリーに対し反感を抱いたり平気で命令違反をする士官がいたり、戦争の長期化によってベテランの士官が育つ前に戦死したことによる練度の低下、戦略や戦術が退化していることなど、多くの問題があることが分かってくる。
しかも艦隊には同盟勢力の政治家も同乗していて、駆け引きに神経を使うシーンがしばしば出てくる。

伝説上のギアリーの勇敢さはかなり一人歩きしていて、とにかく敵に突っ込んで戦うのがいいという風潮が蔓延しているところは、ある国のある時期の軍隊を思い起こしてしまう。

そして単なる戦略や戦術だけではなく、人間臭いやり取りを繰り返しているのが物語に厚みを加えている。

宇宙艦隊を指揮する感じが鷹見一幸の『宇宙軍士官学校』シリーズに近いと思っていたら、その鷹見氏が解説を書いていたのでちょっと驚いた。

解説でも書かれているように、謎となっている部分がところどころで出てきて次回以降への伏線となっていることや、通信や映像データを受信するのにタイムラグがあるなどのリアルさもあり、かなり読み応えのある作品となっている。

思った以上に面白かったので、続編も読むつもりである。





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宇宙をぼくの手の上に (創元推理文庫 605-5)
宇宙をぼくの手の上に (創元推理文庫 605-5)
フレドリック・ブラウン (著), 中村 保男 (翻訳)
東京創元社 1969-03-28

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フレドリック・ブラウンによる9編のSF短編集。
ブラウンはショート・ショートも多く書いているが、本作では比較的長めの下記の短編が収録されている。
  • 惑星探査での悲劇を描く「緑の地球」
  • 殺人の証拠があるのにうそ発見機で無罪とされる事態を捜査する「一九九九年」
  • 夜空に見える星座の位置がありえない速度で動いたことによる混乱を書いた「狂った星座」
  • 「地球最後の男が・・・」というフレーズで始まる「ノック」
  • スランプに陥った作家のもとに異星人が来訪する「すべて善きベムたち」
  • 木星の衛星カリストで発生した殺人事件がどんどん異常な事態に発展する「白昼の悪夢」
  • 一家で操船する宇宙船で、シリウスの内惑星を訪れて不思議な出来事に見舞われる「シリウス・ゼロは真面目にあらず」
  • 博士とネズミのやり取りが意外なことになる「星ねずみ」
  • 欧米でたまに見られるナポレオン妄想からスケールの大きな話になっていく「さあ、気ちがいに」

本作ではサスペンス性の高い作品が多く、話が進むにつれてのぞくぞくする感じや、意外などんでん返しに驚いたりと、ブラウンらしい作品の良さを楽しむことができたと思う。




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