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読書-SF(海外):雨読夜話

ここでは、「読書-SF(海外)」 に関する記事を紹介しています。



ティムール・ヴェルメシュ (著), 森内 薫 (翻訳)
河出書房新社 (2016/4/23)


ヒトラーが21世紀の現代になぜか復活するブラックユーモア小説『帰ってきたヒトラー』の下巻。

<狂気のユーチューブ・ヒトラー>の知名度は一気に上がるが、当然ながら賛否両論となり、特にタブロイド紙の「ビルト」紙(多分日本で言えば「文春」みたいなものか?)からあることないこと記事を書かれ、ヒトラーが事務所とともに戦うシーンで盛り上がりを見せている。

他にも極右政党の本部に突撃取材を敢行して党首にインタビューをしたり、ミュンヘンのオクトーバーフェストに招かれておかしな人にからまれるなど、さまざまな活動をしていたら・・・という話になっている。

現代の人が「ユダヤ人をネタにしない」というのは倫理的な理由から、ヒトラーがそれに同意するのは「ユダヤ人はネタにならない」からといったように、同じ言葉を話していてもヒトラーと他の人々が捉える意味が違っているのに妙に話のつじつまが合うところが、本作のポイントであるように思う。

いつの間にかヒトラーが冠番組を持つようになって社会問題を斬るご意見番のような存在になっていくなど、ヒトラーが受け入れられる社会的背景は現在でもあるのでは?という警告も込められているのが分かる。

ドイツではヒトラーやナチスについては条件反射的に「悪い!」だけで片付けられているようで、このあたりは先の戦争で「日本(だけ)が悪い!」だけで片付けていく日本の左派メディアと近いものがあるようにも感じた。

ヒトラーの側近や当時の状況などもヒトラーが語っていて、かなり細かく作りこまれた作品でもあり、ドイツだけでなく多くの国で評判になったことも納得できた。






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ティムール・ヴェルメシュ (著), 森内 薫 (翻訳)
河出書房新社 (2016/4/23)


アドルフ・ヒトラーが2011年のベルリンに突如出現し、現代の風潮に驚いたり怒ったりしながら活躍していくブラックユーモアのあるSF小説(タイムスリップ者としたら)。
以前観た映画版の『帰ってきたヒトラー』が面白かったので読んでみた。

基本的にはヒトラーが語り手となっていて、ヒトラーから見た周囲の状況や、ヒトラーが感じた現代社会への不満が、いかにもヒトラーが考えたかのように書かれているのがとても面白い。
特に、メルケル首相を「陰気なオーラを自信満々にまとった女首相」とか、プーチン大統領を「ロシアのいかがわしい指導者」と評しているところで笑ってしまった。

ヒトラーがそっくりさん芸人としてテレビのバラエティ番組に出演してYoutubeでも拡散されて人気が出るところは映画版と同じだが、原作である本書ではフリーのジャーナリストではなく、比較的早くドイツの芸能プロダクション?と思われる会社と契約を結んでいる分、ストーリー展開が早いと感じる。

<狂気のユーチューブ・ヒトラー>の人気が急上昇して事態が大きく動いているところで、上巻が終わる。






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彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)
彷徨える艦隊〈7〉戦艦ドレッドノート (ハヤカワ文庫SF)
ジャック キャンベル (著), 月岡 小穂 (翻訳)
早川書房 2012-01-25

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彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)


100年の冷凍睡眠からよみがえった軍人が艦隊を指揮するシリーズの第7巻で、第2部の開始編という位置づけとなっている。

元帥に昇格して艦長のターニャと結婚したギアリーは1ヶ月しか新婚生活を送ることができず、アライアンス政府および軍の上層部から新たな指令が出る。
それはシンディックの勢力範囲に侵略していた謎の異星人が支配している星系を訪れ、異星人のことを調べて可能であれば交渉せよというものだった。

結婚したことでギアリーとターニャは以前よりも言いたいことを言い合う感じになっていたり、ひとまずシンディックとの戦争が終わったことで政府や軍の上層部からの不可解な指令、上層部に不信感を持つ艦長たちによるクーデターの動きなど、当然ながら第1部とは少し話の流れが変わっていて政治的な話が多い。

また、ギアリーやターニャと微妙な関係にある、友邦の元副大統領のリオーネも今回も特使という形で艦隊に参加しており、これまでと比べると口出しする回数が少ないのが今後への含みを持たせているように感じられる。

異星人が支配する星系に進み、さらなる戦いや苦難が徐々に発生している中、本作が終わっている。
第2部開幕編として面白かったので、次も読み進めると思う。






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関連タグ : ロバート・キャンベル,

イヴのいないアダム (ベスター傑作選) (創元SF文庫)
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アルフレッド・ベスター (著),‎ 中村 融 (編集)
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『虎よ、虎よ!』や『分解された男』などの長編で知られるSF作家アルフレッド・ベスターによる10作品を収録した短編集。

以前『虎よ、虎よ!』を読んでその濃さと魅力が印象に残っているので、本書も読んでみた。

作風は本書に収録された作品でも出ていて、極端な感じの人物描写や急展開するストーリー、そしてSF小説に登場する道具立てをかなり著者なりにアレンジしているところが感じられる。

個別の作品では、ごくまれに異常な動作をするアンドロイドとその持ち主の男が問題に遭うたびに逃避行を続ける「ごきげん目盛り」や、時間SFが絡んで予想される結末を読者に考えさせる「時と三番街と」、ある教師が子供の作文を読んでその子を探しに出かける「願い星、叶い星」、破滅した世界で男と女が奇妙なやり取りを続ける「昔を今になすよしもがな」あたりが好きな作品だった。

濃い作風なので合う・合わないがはっきりした作品もあり、収録されている中で最も長い「地獄は永遠に」は私の教養や理解力が足りないのか、あまり楽しめなかった。

全体的には久しぶりにSFの醍醐味のいくつかを楽しめる作品で、読んで良かったと思っている。
かなり年月が経っているにも関わらず、話の本質が古びていないところもすごい。





破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)破壊された男 (ハヤカワ文庫SF)

アルフレッド・ベスター (著),‎ 寺田克也 (イラスト),‎ 伊藤典夫 (翻訳)
早川書房 2017-01-07

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彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)
彷徨える艦隊〈6〉巡航戦艦ヴィクトリアス (ハヤカワ文庫SF)
ジャック キャンベル (著), 月岡 小穂 (翻訳)
早川書房 2011-04-05

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彷徨える艦隊 旗艦ドーントレス (ハヤカワ文庫SF)


シリーズの第6作で、第1部の完結編。
前作でアライアンスの領域に帰還したギアリーは議会から元帥に任命され、補給を終えてからシンディックの本拠に乗り込むことになる。

艦隊にはリオーネに加えて2人の議員が参加したり、捕虜となったシンディックの副司令官から情報を得たりと、政治や外交の話が多くなっている。

これまでの戦いでシンディックの主力が壊滅していたこともあってシンディックの本拠へは比較的スムーズに到達することができたが、シンディックの幹部会はなりふり構わない戦い方や謀略を仕掛けてくる。

アライアンス、シンディックともに長引いた戦争によって中央政府の支配が弱まっていることも書かれていて、それぞれの支配下の星系で反乱や離脱の動きも出てくる。

さらにこれまで暗躍してきた「異星人」とか「謎の種族」と呼ばれる存在の行動も目立つようになってきて、ギアリーが率いるアライアンス艦隊は何度か危機的な状況に陥ったりもする。

ギアリーとデシャーニの関係についても多くのページが割かれていて、読んでいて少し辟易しながらも重要なところでもあるので読み進んでいく。

全体的に作りこまれた設定やほどほどに複雑な人間関係が話に厚みを出していて、読みごたえがあった。
第7作から第2部が開始するわけだが、しばらくは余韻を味わっておきたい。






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