FC2ブログ

博物館・美術館:雨読夜話

ここでは、「博物館・美術館」 に関する記事を紹介しています。



週末、福岡市博物館に気になっていた「挑む浮世絵 国芳から芳年へ」展(2019年11月16日~12月22日)を観に行った。
本展は名古屋市博物館収蔵のものを多く展示しているとのことで、初めて観たものも多かったように思う。

国芳の絵は初期から描いてきた迫力ある武者絵、幕府からの追及をかわすためにさまざまな工夫を入れた風刺画や役者絵、人の体が組み合わさって大きな人の顔になっているような面白い絵など、国芳らしい絵を存分に楽しむことができる。

初めて観た絵では、幕府から制限されていた吉原の絵を登場人物を雀にしている絵に、検閲を行った幕府の渡辺という役人もノリノリで許可を出したらしく、「渡」という検閲許可の印を客の背中に押させているのが面白い。

また、歌舞伎役者たちをなぜか亀に見立てて描いている絵では、体が亀なのに顔がリアルなオッサンなのが絶妙に気持ち悪くて面白かった。

芳年の作品ではこれまで観てきたイメージの血みどろバイオレンスな絵が多く収録されている他、「〇〇そう」や「〇〇したい」というお題に従って描いたシリーズも展示されていて、これはバカリズムのフリップ芸とか、柳原可奈子のものまねみたいなあるあるネタに通じるものを感じさせてくれた。

他にも芳年の兄弟子である落合芳幾など、国芳の弟子たちの作品も多く収録され、充実したものとなっている。
国芳とその弟子たちの技巧や面白さを堪能でき、行って良かったと思う。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




関連タグ : 歌川国芳,


先日福岡市美術館に「仙厓―小西コレクション」展(開催期間:2019年10月1日〜12月1日)を観に行った。
ここではギュスターヴ・モロー展(2019年10月1日〜11月24日)も同時期にやっていたがこちらは入場料が1500円で関心がなかったのでスルーし、入場料200円のこちらにした。

仙厓(せんがい)は江戸時代に博多・聖福寺の住持としても活躍した禅僧で、親しみやすい書画により「博多の仙厓さん」として地域住民からも親しまれたという。

観てみると確かにゆるくてかわいい感じの禅画が多く展示されていて、簡単そうなタッチだがこんなイメージを持って絵を描くことはできないはずで、印象に残る。

現代の目から見ても楽しめる絵で、当時も仙厓の絵を欲しがる人が多かったのも分かる。

低額でなかなか楽しめる展示だったので、行って良かった。







にほんブログ村 本ブログへ



先日、九州国立博物館に「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」展(2019年7月13日〜9月1日)を観に行った。
歴代の将軍にまつわる肖像画、木像、書状、刀剣類、絵画のような美術品が展示されている。

学生の頃の日本史の教科書に足利尊氏を描いたものとされた肖像画は研究の結果高師直の一族の誰かだとする説が有力となったことで『騎馬武者像』と呼び方が変わっていたことや、神護寺の『伝・平重盛像』が尊氏を描いたものだったのでは?という話はしっていたが、ここでは広島・浄土寺のものが展示されていて、『騎馬武者像』のような荒々しい風貌ではなく、貴人然とした感じなのが伝わってくる。

書状で印象に残ったのは11代・義澄が書いた願文で、1番目にライバルの「今出川義材(10代・義稙)の死」を書いていて、無病息災などは5番目くらいというのがなかなかすさまじいと感じた。

そして最もインパクトがあるのが、若くして亡くなった5代・義量と京都に入ることができなかった14代・義栄の2人を除く13人の木像が展示室を囲むように展示されていたコーナーで、立体的な上に風化で妙な迫力が出ているのと、目が光って見える作られ方をしているので、肝試しなどでいきなり見たら腰を抜かすかもしれない。

見て分かりやすいもの、価値が分かりにくいものと人によって評価が分かれる可能性はあるが、充実した特別展だったことは確かである。






室町幕府将軍列伝
清水克行
戎光祥出版 2017/10/3


チケットぴあ

にほんブログ村 本ブログへ



先日、福岡市美術館で開催中の「富野由悠季の世界」(2019年6月22日〜9月1日)を観に行った。

富野由悠季(喜幸)氏は『機動戦士ガンダム』シリーズをはじめ、『無敵超人ザンボット3』、『無敵鋼人ダイターン3』、『伝説巨神イデオン』、『オーバーマン・キングゲイナー』、『戦闘メカザブングル』、『聖戦士ダンバイン』、『ブレンパワード』、『勇者ライディーン』など多くのロボットアニメの制作に携わったことで知られていて、その発想の背景に関する展示が多くなされている。
そして最初のところで富野氏による、「恥を忍んで協力した」という旨のコメントが書かれている。

富野氏の父親が旧日本軍関連で与圧服の研究をしていて実物が自宅にあって影響があったらしいことや、子供の頃から科学技術への関心やデザインの才能があったこと、ただし理系の才能はあまりないと感じて美術系の学校に進んだことなどが時系列的に紹介されていて興味深い。

そしてそれぞれの作品に関する展示があり、これがかなり充実している。
初期の絵コンテや企画書などが多く展示されていて、例えば富野氏がメカニックデザイナーの大河原邦男氏に提出したざっくりした発注書が、大河原氏によってかっこいいデザインのものになっているのはいつ見ても面白い。
また、アニメのクライマックスシーンも流されていて、『ザンボット3』の人間爆弾の回がエグくて当時の子供たちに衝撃を与えたことは想像に難くない。

想定していた以上に展示数が多くて、2時間以上滞在して閉館時間近くまでいたが後半はやや駆け足で見ることになったくらいなので、興味のある方は半日くらいの時間を見ておいた方がいいと思う。

ガンダムシリーズに携わった富野氏と大河原氏の展示を見たことになるので、作画を担当した安彦良和氏の特別展が開催されるようであればぜひ観に行きたい。







チケットぴあ

にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : ガンダム,



先週末、福岡市博物館で開催中の「徳川家康没後400年記念 大関ヶ原展」(2015年8月7日~10月4日)を観に行った。

関ヶ原の合戦の模様を描いた屏風や絵巻物、秀吉が亡くなる前後から関ヶ原の戦後処理にかけての時期のさまざまな書状、合戦に参加した武将たちの鎧兜などが展示されていて、タイトルに「大」がつくだけあってかなりのボリュームとなっている。

合戦の模様を描いた絵では武将の名前がついていたり、旗指物の模様などから有名な武将の位置が分かるのでじっくり見ることができる。
旗指物では徳川軍の「厭離穢土 欣求浄土」、石田軍の「大吉大万大一」、宇喜多軍の「兒」、井伊軍の赤く染め抜かれた「井」、蜂須賀軍の「卍」、徳川軍伝令の「五」などが識別しやすい。

他にも家康のそばに「南光坊」と書かれた鎧兜の人物が南光坊天海(徳川家の顧問に当たる僧侶)のことらしかったり、石田三成の家老である島左近が黒田長政軍に銃撃を受けて家来に運ばれる模様なども見ることができた。

書状のところでは、毛利輝元が国元にいる叔父の元康に宛てた書状が多く、徳川派が増えていらだったり、毛利家と親しい細川家や黒田家が家康につくことを知ってショックを受けるなど、刻々と移る情勢に対する感情が伝わってくる。
また、石田三成が真田家に対して味方するように働きかけている書状では、かなり必死に説得している感じが分かる。

そして書状の宛先が苗字、氏名、官名などを略したものが多く、例えば房州(真田安房守昌幸)、豆州(真田伊豆守信之)、備中(備前中納言宇喜多秀家)、芸中(安芸中納言毛利輝元)といった具合で、歴史小説などで予備知識があるとちょっと面白い。

鎧兜については、九州国立博物館「戦国大名-九州の群雄とアジアの波涛」でも見ている黒田長政(一の谷型兜、水牛の角つき兜、羊歯つき兜)や立花宗茂(日輪ととさか)といった九州に縁が深い武将の他にも、加藤清正(烏帽子型兜)、加藤嘉明(イカに見えるが富士山型兜)、榊原康政(胴に「無」の篆字)、鍋島勝茂(深緑のおしゃれな甲冑)などバラエティ豊かな意匠が楽しい。

また、先日読んだ『家康、真骨頂: 「狸おやじ」のすすめ』で扱われていた、家康の60歳頃の肖像画(一般的に太ったイメージのものと比較すると中肉中背に描かれている)や、久能山東照宮に収められている島左近の兜も展示されていて、読んでからさほど期間が経っていなかったこともあってテンションが上がった。

戦国時代や戦国武将が好きな人なら満足できる内容の特別展だと思うので、おすすめする。




にほんブログ村 本ブログへ