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読書-産業・技術:雨読夜話

ここでは、「読書-産業・技術」 に関する記事を紹介しています。



松田 琢磨 (著)
KADOKAWA (2023/3/29)


物流で主流を占めるコンテナに関するさまざまなことが解説されている作品。

コンテナが発明されてからその有用性を認められて一気に普及した事情や、コンテナのメーカーや運用する海運会社が世界的に統合・集約が進んだこと、コンテナの流れからは日本の役割が低下し続けていることなど、知らなかった話も多い。

コンテナは使ったら回収する必要があるわけで、各国の輸出入の量や容積によっては空きのある状態でコンテナを運ばないといけない場合、逆に運ぶ量や重量によりそれ以上運べない場合があることや、アメリカ西海岸の港湾で労働組合が強すぎるためかカナダやメキシコ沿岸、東海岸などに顧客を取られている話などが印象に残る。

パンデミックや資源高騰、国際関係のこじれといった昨今の情勢も書かれていて、なるほどと思うところも多かった。

関連したテーマの本である『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』も、いずれ読んでみるかもしれない。




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廣井 悠 (著), 地下街減災研究会 (著)
河出書房新社 (2018/3/9)


日本各地の地下街の成り立ちや変遷、防災対策、利用しやすくなるための工夫などを紹介している作品。

全国の地下街が一通り紹介されていて、都市によってあったりなかったりするのがしばしば意外だったりする。
例えば盛岡市にはあって仙台市にない、高岡市にあって金沢市にない、小田原市にあってさいたま市や千葉市にない、松山市にあって高松市にないなど、必ずしも人口規模だけではないようである。

地下街の路上に看板やワゴン車が置かれていないのは通路が道路として扱われるという法律上の理由からといった話や、地震、火災、浸水といった災害への対策、IT化や老朽化への対応など今後の見通しなど多くのトピックが扱われている。

執筆者たちが都市防災や建設関連の専門家が多いためそちらの話題が多い傾向にあるが、地下街の魅力を再認識できたり、どのような工夫がなされているかを知ることができたりと、興味深い内容だったと思う。





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日経ヴェリタス編集部 (編)
日本経済新聞出版 (2017/11/18)


あまり知られていないが高い技術や新たな技術で期待が持てる企業を紹介している作品。
2017年に発行された本なので時代の変化を考慮する必要はあるが、興味深い記載が多い。

例えば『会社四季報』で事業内容が気になっていたサイセイランディック(3277)は権利関係が複雑な不動産を整理して販売するというビジネスモデルの企業で、ややこしくて他が手を出しづらいところをビジネスモデルにすると儲かるという形が分かりやすいと感じた。
その分、ノウハウやオペレーションで他社に差をつけているのだろう。

他にも知らなかった企業が多く紹介されていて、『会社四季報』などと情報を照らし合わせた上で投資の参考にしたいと思える内容だった。





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2018年時点で将来有望と考えられる分野の企業を紹介している作品。

テーマとしては電気自動車、外国人向けビジネス、イスラム関連ビジネス、国内の少子高齢化、社会貢献などが挙げられている。
そして出版から2年以上経過した現在では、カジノや外国人観光客相手に稼ぐ企業などは必ずしも有望とは言えない状態となっている。

テーマとして関心を持ったのはイスラム関連のハラール認証を取得している企業や、後継者不足による事業継承に関わる企業、製品が環境保護に貢献している企業などで、このあたりは社会の変化に関わらず有望だと感じた。

本書の内容とは無関係に『会社四季報』を読んで実際に株式を購入したり購入候補としてチェックしていた企業もいくつか入っていて、さらに関心を深めたりもした。

具体的にはタナベ経営、山田コンサルティンググループ、ヒューリック、日本化薬といった企業で、最低購入価格が10万円台と比較的手頃でもある。

また、フォーバル(8275)や青山財産ネットワークス(8929)もこれまで注目していなかったが、買いやすくて業績も良さそうなのでチェック対象に入れた。

『会社四季報』の概要欄を読んでも分からない点が具体的に書かれていて、投資をする上で参考になった。





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IoT(Internet of Things)の進展により、下記4つの強みを持つ日本企業が今後の発展が期待できることや、IoTによってどのようなことが実現できるかなど、技術や経済、社会などの分野にわたって解説している作品。
  • レガシー半導体
  • 電子部品
  • モーター
  • 電子素材

AIやドローンの効率的な利用による期待できることについては予想の範囲をそれほど超えるものでもなかったが、IoTに関連した企業にどのようなところがあるのかという話は、株式投資の参考になるので興味深く読んだ。

おそらくいいことばかりでもないだろうが、そんなことばかり考えても仕方がないので、希望を持ちつつ技術動向などに注視していきたい。






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