読書-産業・技術:雨読夜話

ここでは、「読書-産業・技術」 に関する記事を紹介しています。


流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)
流通大変動 現場から見えてくる日本経済 (NHK出版新書)
伊藤 元重
NHK出版 2014-01-08

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具体的な例を挙げての解説が分かりやすい経済学者による、ここ数十年の流通業の変化と経済に及ぼした影響について語っている作品。
読んだことがある過去の著作で目にした事もある、下記のような話題が扱われている。
  • アメリカの要求による大規模小売店舗法(大店法)の緩和
  • 内外価格差の解消
  • 高齢化社会への対応
  • 小売業の郊外への進出と都心部への回帰
  • 百貨店の変動
  • 問屋に代表される中間流通の再編
  • 情報技術の発達が流通業に及ぼした影響
  • アジア市場拡大への対応

ダイエー、ユニクロ、セブンアンドワイ、吉野家、ウォルマートといった企業が取っている手法が分かりやすく書かれているので読みやすい。

著者はミクロ経済や流通が元々の専門だと思っていたが、実際は国際経済学や貿易摩擦などを研究していたと語っていて意外だった。
それが、日本で羊毛の市場についての専門家がいないために調査してほしいとの依頼を受けたことがきっかけで、流通の現場で調査する魅力を感じて現在に至る過程が書かれていたので興味深い。

流通業にまつわる多くの話題が分かりやすくまとめられていて、概要を知ったり知っている事項を整理するのに役立つ1冊だと思う。






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流通業の「常識」を疑え!―再生へのシナリオ
流通業の「常識」を疑え!―再生へのシナリオ
松岡 真宏 中林 恵一
日本経済新聞出版社 2012-01-06

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流通業や小売業のここ数十年の変化と、その背景、そして今後の展望などについて解説している作品。

百貨店、GMS(イオンやイトーヨーカ堂などに代表される総合スーパー)、コンビニ、専門の小売店と業態別に話をしている。

流通業を語る際は売り上げが悪化しているところは「不景気による消費の低迷で・・・」という話がなされることが多いが、必ずしも実態を表しているとは限らず、経営戦略の失敗による部分も大きいという。

例として消費性向の具体的なデータを挙げ、金額ベースでの消費はそれほど下がっている訳ではないが、通信費やサービスへの消費が増えた一方で、単価が下がったこともあって金額ベースで衣料品の消費が減っていることが分かる。(購入している点数はそれほど変わっていない)

それなのに少し前の百貨店では衣料品に力を入れる戦略を取ったため、結果として大失敗となった経緯が書かれている。
また、百貨店にテナントを多く入れるのではなく「小売業としてのあるべき姿」にこだわったことも良くないとして、集客力のある専門店を効果的に入れることが望ましいとしているようである。

これはGMSでも同様で、さらに郊外への過剰な出店によって消耗戦が起こっていることも問題に挙げている。
ただし土地利用に関する契約などから簡単に閉店することができない事情も書かれていて、適正な形になるには時間がかかりそうでもある。

専門の小売店については紳士服店や衣料品店、ドラッグストアなどを挙げ、法律の改正などで出店が増える時期と頭打ちになる時期、そして淘汰と寡占が進むプロセスが書かれていて、知っている店の名前がいくつも出てくる。

後半では大きな流れとして、少し前は小売業と総合商社の提携、近年では小売業と鉄道会社と提携という現象を取り上げている。
駅の改札内や周辺に建設した大型の商業施設が成功している事例を出し、それぞれでの売り上げに限界が見えてきたことでより効率的な販売の形を探っているようである。

流通業や小売業の大まかな動きが分かりやすく書かれていて、興味深く読むことができた。
消費者としては、よりよいサービスや販売方法が提供されることを期待したい。





時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?時間資本主義の到来: あなたの時間価値はどこまで高められるか?

松岡 真宏
草思社 2014-11-20

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問屋無用論から半世紀 これが世界に誇る日本の流通インフラの実力だ
問屋無用論から半世紀 これが世界に誇る日本の流通インフラの実力だ
玉生 弘昌
国際商業出版 2013-06-01

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メーカーや小売業に比べると脚光を浴びることが少ない、卸売業(問屋)の重要性や日本の流通インフラの優秀さなどを語っている作品。

1960年代に「問屋無用論」というのが語られたらしく、卸売業を経由することでコストが上がってしまうイメージが持たれやすいが、これに対しては数式を用いて反論している。

物流にはコストが必ずかかるわけで、それをメーカーあるいは小売業で行おうとした場合は限られた取引先だけと取り引きする場合はコストを安くできるものの、一定以上の数の取引先と取り引きしようとすれば、卸売業を経由した方がはるかに効率が良いわけで、納得しやすい。

これによって日本では多品種の商品が安く購入できているのに対し、そうなっていない国の例としてアメリカを挙げている。
アメリカではウォルマートのような小売業が寡占で強くなりすぎたことによる弊害が書かれていて、増田悦佐の作品でも読んだことがあったのを思い出した。

その卸売業を支えているインフラにはさまざまなものがあるが、その中でも著者が経営する会社による、プラネットというメーカーと卸売業の間での通信システムの話に移る。

これは従来電話回線を用いていたものをインターネット回線によるものに更新することで効率が良くなったと自賛している一方で、卸売業と小売業の間ではまだまだ古い通信システムから更新できていない実態を問題視している。

これは早い時期に通信システムを作り上げてしまったことによるもので、今後の課題としてはこの通信システムの更新と、日本では意識されることの少ない流通インフラを海外に展開することを挙げている。

海外での取り引きはリスクが高いことは当然として、少しずつ進められればということが語られていて、このあたりは町工場など下請け企業が支える製造業の話と似ているようにも感じた。

他にも小売業によるプライベートブランドについて、メーカーが儲からないので作りたがらないものを消費者の利便性のために作らせる場合、大手メーカーの陰に隠れて世に出られないメーカーに製造を依頼する場合は意味があるとの意見を紹介していて、なるほどと思わせられた。

意識されることは少ないものの社会を支える基盤のひとつについての知らなかった話が多く書かれていて、興味深く読むことができた。






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地下をゆく (イカロス・ムック)
地下をゆく (イカロス・ムック)
イカロス出版 2015-08-31

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日本各地にある地下の建造物や洞窟を多くの写真とともに紹介しているムック本。

首都圏外郭放水路(埼玉県)や大谷石採掘場跡(栃木県)のように下記に挙げている関連記事の本で既に知っているものもあれば、初めて知るものも多かった。

例えば渋谷の地下を暗渠として大雨の際に流れる渋谷川の付け替え工事で貯水槽も併設されている話や、釧路沖の海底の地下で石炭を採掘する釧路コールマイン、黒部ダムの地下にある黒部川第四発電所などで、まだまだ知らない地下の施設は多いと改めて感じる。

少し前にNHKのテレビ番組「ブラタモリ」の収録の際に東京駅の地下で未発見だった地下通路が発見されたことがニュースになっていてそれも書かれていたし、長崎を訪れた回で見た池島炭鉱のことも掲載されていてテンションが上がった。

実際の写真とは別の意味で印象に残ったのは関東の上水道と下水道のルートを示している地図で、上水道は水圧で流すのでルート設定の自由度が高いことから道路にそって敷設されることが多い一方、下水道は現実的に高低差以外では流しにくいことから地形に沿った形で敷設されているのが興味深いところだった。

現在の生活を支えるインフラが地下にも多く設置されていることがよく分かり、興味深く読むことができた。





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あなたの知らない地下のびっくり話 (KAWADE夢文庫)
あなたの知らない地下のびっくり話 (KAWADE夢文庫)
現代ふしぎ調査班
河出書房新社 2012-08-11

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大東京の地下400年99の謎 (二見文庫)
大東京の地下99の謎―帝都の地底に隠された驚愕の事実 (二見文庫)


タイトル通り、地下の建造物や地下鉄、洞窟や地下水といった地下にまつわる雑学を紹介している作品。

前半では地下鉄など多くの地下施設が存在する東京の話が多く、使われなくなった地下鉄の駅のホームが残っている場所や、地下鉄の近くを流れる地下水を周辺の河川に流すようにすると水質向上にもつながった話、虎ノ門にある高層ビルの地下1階を通る自動車道が造られている件など、興味深い話が多く書かれている。

他にも戦時中に造られた地下壕や地下工場、日本各地にある洞窟や坑道、世界各国にある地下遺跡やカタコンベなど、知らなかったものも多い。

そして建造物だけでなく、シールド工法や地下水の処理といった技術的な話、法的な制約、災害へ対するリスクといった方面の事柄が書かれているのもポイントだと感じた。

これまでに読んだ地下関連の書籍に書かれていないものも多く扱われていたので、期待していたものを得ることができたと思う。




[参考文献に挙げられていた作品]


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