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読書-伝記(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-伝記(日本)」 に関する記事を紹介しています。


ポンコツ武将列伝
ポンコツ武将列伝長谷川 ヨシテル
柏書房 2017-12-13

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戦いに勝てない、酒色でひどい失敗をした、クズすぎる行動で見放されるといったダメなエピソードを持つ武将たちの事跡を紹介し、偉いイメージが先行する武将に対して親しみを持ってもらおうという意図で書かれた作品。

扱われているのは以下の27名をメインとして、信長・秀吉・家康の三傑の残念な行動や、関ヶ原の合戦でのダメな行動をした武将、明治時代に総理大臣になった伊藤博文、黒田清隆、大隈重信もコラムで扱われている。

小田氏治/源行家/佐久間信盛/織田信雄/徳川秀忠/熊谷直実/毛利隆元/伊達政宗/服部半蔵(三代目の正就)/堀尾忠氏/足利義政/細川政元/大内義隆/今川氏豊/今川氏真/兵主源六/斎藤竜興/蘆名盛隆/薄田兼相/福島正則/本多忠朝/徳川綱吉/荒木村重/織田有楽斎/仙石秀久/毛利輝元/徳川慶喜

歴史小説などでもバカ殿として知られる人物から、有名だがダメな行動もひどい人物、小田氏治や兵主源六(ひょうす・げんろく)のようにローカル・マイナーな人物までバラエティ豊かなラインナップになっている。
(ダメなエピソードに事欠かない大友宗麟あたりも入れてほしかったが・・・)
また、登場する武将はさん付けで書いていて、ある種の敬意と愛情が示されている。

著者が最も思い入れが強いとしているのが法号の「天庵さん」と呼ぶ小田氏治で、居城の小田城を何度も攻め落とされては奪回することを繰り返していて、ただ連敗するだけではなく過去の失敗に学んでいなかったり、大晦日の宴会で油断していて城を攻め落とされるなど、バリエーション豊富な負け方をしているのがキャラを濃くしている。
その一方で家臣や領民からの人望が高かったようで、上杉謙信、北条氏康、佐竹義重といったトップクラスの大名たちに攻められまくっても生き延びてきたのは大いに評価できると思っている。

また、知人の友人が末裔だったことから知ったという、山陰で秀吉軍と戦った兵主源六の話も面白い。
篭城戦やゲリラ戦で秀吉軍を大いに苦しめていたのが、踊りが大好きな性格を突かれてあっけなく城を落とされてしまったという話には驚かされる。

他にも修験道に没頭して『読むだけですっきりわかる戦国史』で「魔法半将軍」と書かれた細川政元や、出家後なのに師の法然から悪行をこっぴどく叱られて『平家物語』のイメージをぶち壊す熊谷直実、男色がらみのドロドロで暗殺された蘆名盛隆あたりが特に濃い印象を受ける。

読んでいくと大河ドラマ『軍師官兵衛』で田中哲司が演じた荒木村重、『おんな城主直虎』で尾上松也が演じた今川氏真、三谷映画『清須会議』で妻夫木聡が演じた織田信雄などを思い出したりもした。

同時代人による文書で、「無用の戦」(小田氏治)、「性根が悪い」(熊谷直実)、「三介どののなさること」(織田信雄)、「織田の源五は人ではないよ」(織田有楽斎)など、キツいダメ出しがされている話も面白い。

マニアックな話もそうでない話も含め、大いに楽しむことができた1冊だった。






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北条氏康 関東に王道楽土を築いた男 (PHP新書)
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伊東 潤 板嶋 恒明
PHP研究所 2017-09-16

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戦国時代の北条氏において、勢力を伸ばすことに大きく貢献した三代目の北条氏康の事跡や関東における戦乱、北条氏の代ごとの事情などを解説している作品。
歴史ライターの板嶋氏の原稿を、歴史作家の伊東氏が分かりやすくした構成のようである。

北条氏の治世の特徴としては中間搾取を減らして年貢を安くしたり、法令や統治組織を整えるといった戦国大名の中でも特に民のことを考えた政治をやっていたことで、北条氏の後に関東を治めた家康が統治に苦労したことからもそれは伝わってくる。

そして氏康が用いていた印判には「祿壽應穩」(ろくじゅおうおん、民の財産と生命を守るという意味)と書かれていて、例えば信長の『天下布武』などと比較するとかなり印象が異なる。

北条氏が戦ってきたのは元々領土を奪ってきた山内上杉氏・扇谷上杉氏の関東管領家あたりから、古河公方足利氏、安房の里見氏、そして氏康に敗れた山内上杉憲政を保護した上杉謙信などで、河越夜戦や2度にわたる国府台の戦い、小田原城籠城戦など多くの戦いが描かれている。

そして氏康の戦い方は父・氏綱から伝えられた義のために戦うということの他、領民を苦しめないために大会戦を避けたり、できるだけ無理をしない戦い方が目立っている。
(特に、明らかにやばい上杉謙信とはできるだけ正面から戦わないようにしている)
もっとも、河越夜線のようにここぞという時は果敢な戦いもしていて、自ら剣を振るうことも多かったようである。

暗君扱いされることが多い息子の氏政にも危機管理能力に優れた慎重な人物と評価していて、もう少し思い切りが良ければ北条氏が滅ぼされることはなかったかもしれないとしている。
武田氏・今川氏との三国同盟についても、武田信玄が駿河への執着によって同盟破棄をせずに継続していたら、三氏とも滅びなかった可能性があったというIFの話も興味深い。

周囲に武田信玄、上杉謙信、今川義元、徳川家康といった目立つ戦国大名たちと領地を接していながら戦うことが多かったのは知名度が低い地方勢力だったり、華々しい滅び方をしたわけでもないこと、記録が欠落しているなどの理由があって少し地味な印象がある北条氏だが、その地域にあった政治や外交、合戦などをしてきたことが伝わってきて、思っていた以上に興味深く読むことができた。






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知れば知るほど面白い!「その後」の関ヶ原 (じっぴコンパクト新書)
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二木 謙一
実業之日本社 2015-07-02

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地方での合戦を含め、関ヶ原の合戦に参加したりしなかったりした大名たちと、その子孫のその後を紹介しているデータブック。

西軍の主力だった石田三成や宇喜多秀家、大阪の陣で活躍した真田幸村などの子孫が江戸時代を生き抜いてきたことや、合戦に関連した駆け引きや家中のやりとりで運命が大きく変わってきたことが分かりやすい。

東軍として大幅な加増を得た加藤清正、福島正則、小早川秀秋、加藤嘉明といった豊臣系の大名が当代あるいは次の代で改易(取り潰し)になったことも、政治的な意図を考えればまあ理解できる。

そして、改易になった後に大名として返り咲いたのは立花宗茂と丹羽長重の2人で、宗茂に比べて扱われることが少ない長重のことを知ることができたのが良かった。
2人とも二代将軍の秀忠に気に入られたことも大きかったかと思う。

他にも譜代大名の家などで後継者不足で絶えそうになったのを何とか養子を迎えて続けてきた経緯や、宗氏や五島氏のような地方勢力の動向などが扱われているのもいい。

ところどころ記述ミスが見られるのは残念だが、そこそこ興味深く読むことができた。






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徳川軍団に学ぶ組織論 (日経ビジネス人文庫)
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小和田 哲男
日本経済新聞出版社 2017-04-04

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徳川家康の名言 〜最後に必ず勝つ理由〜
藤原氏―権力中枢の一族 (中公新書)


天下を取った家康とその家臣たちが、組織を発展させる上でいかに活躍したかを解説している作品。

メインで扱われているのは家康、徳川四天王(本多忠勝、井伊直政、酒井忠次、榊原康政)、本多正信、服部半蔵正成の7名で、各章の章末のコラムでは鳥居元忠、平岩親吉、成瀬正成、大久保兄弟(忠世、忠佐、彦左衛門忠教)、石川数正、土井利勝、伊奈忠次も紹介されている。

戦場での武功が目立ちがちな武将が政治力や交渉力も持ち合わせていたり、家康との特別な関係性、各人の出身などが整理して解説してあり、理解が進められる。

例えば徳川四天王の中でやや地味な印象がある榊原康政は能力のパラメータにバランスが取れていたらしいことが書かれていて、これが特徴を分かりにくくさせたように感じる。
(スポーツ選手や芸能人でもそうしたタイプの人は何人か思い当たる)
康政が用いていた「無」と描かれた旗印や鎧兜は博物館の特別展で見たことがあってかっこよかったので、もう少し人気が出てもいいように思う。

キャラクターを見たところそれなりにくせがある人々だったと思われ、彼らをまとめていた家康の統率力や苦心も過小評価されがちなのかもしれない。
分かりやすく書かれていて、興味深く読むことができた。






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関連タグ : 小和田哲男, 徳川家康,

天下人の父・織田信秀――信長は何を学び、受け継いだのか(祥伝社新書)
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谷口 克広
祥伝社 2017-04-01

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信長の父である、織田信秀の事跡に関する研究結果、そして信長への影響を解説している作品。

信長に関する史料は多い一方で、父の信秀や祖父の信貞(信定)に関する史料は数が少ないようで、名前や兄弟の順番、系図などにもいくつか説があって分かれているようで、研究が難しいことが伝わってくる。

流れとしては信貞の代に港町として繁栄していた津島の支配権を握り、信秀の代で尾張最大の実力者となって美濃の斎藤道三や三河の松平清康、駿河の今川義元といった他国の大名との合戦も多く行っている。

一方で津島社や熱田神宮、伊勢神宮などへ寄進を行ったり、朝廷に皇居修理の費用を出すなど、かなりの財力を持っていたことが分かる。
また、守護の斯波氏や守護代の清須織田氏といった旧勢力ともまずまずの関係を持っていたことが書かれている。

その信秀が実施していて信長も倣ったと思われることは多いようで、戦略的に本拠地を移転することや商業の重視、合戦では籠城策を取らずに外へ出て戦ったこと、何度敗戦してもめげずに戦いを挑むメンタルの強さなどが挙げられていて、確かにその通りだと思った。

近年の信長の研究でこれまでイメージされていたように既成の秩序を破壊する感じではなく、権威や座のような団体、宗教勢力に対しては基本的に協力してくれれば保護する姿が描かれている。
将軍・足利義昭の追放や一向一揆の弾圧は敵対された結果であり、例えば信長に協力的な神社を保護したことはあまり着目されない傾向がある。

必ずしも興味深い話ばかりではなかったが、多くの敵に囲まれていた中で戦いを続け、信長が飛躍するための基盤を整えた業績はもっと評価されてもいいと思った。






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