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読書-伝記(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-伝記(日本)」 に関する記事を紹介しています。


室町幕府全将軍・管領列伝 (星海社新書)

日本史史料研究会 (監修), 平野 明夫 (編集)
講談社 2018/11/1



室町時代の将軍と管領、将軍に準じた扱いをされた人物、管領制度が始まる前の執事、管領代といった人物を紹介・解説している作品。

南北朝時代に高師直や仁木氏などが務めていた執事の役職は義満の時代くらいに管領の制度になり、斯波氏、畠山氏、細川氏の三管領システムが採用されている。

管領は応仁の乱あたりまではそれなりに機能していたようだが、それ以降は「儀式のために1日だけ就任して翌日に辞任」するような軽いものになっていて、子供が就任する場合もあるなど必ずしも実力者が務める役職ではなくなっている。

南北朝、観応の擾乱、明徳の乱、嘉吉の乱、応仁の乱、明応の政変といくつもの戦乱があり、将軍家VS関東公方、将軍側近VS有力守護、有力守護間の対立、各大名家での家督争い、さらにはその下の有力家臣も絡んでの争いと、敵味方が入り乱れる上に寝返りや裏工作があったりと、かなり複雑な情勢となっている。

恐怖の独裁者というイメージがある義満や義教も有力守護たちに御所を軍勢で包囲されて要求を呑まされることがあり、すごい時代だったことが分かる。

そして名前では一族によく使われる字、将軍から拝領した字として、義、氏、頼、満、持、政などが名前に入っている人物が何人も出てきて非常にややこしい。
本書を読んでいると、教科書であまり触れられていないのはややこしくて説明が難しいからということが理解できる。

将軍について、教科書や歴史小説などとは異なる人物像が見られたり、過去に読んだ本で名君とされる細川頼之と斯波義将がライバル関係にあったことなど、知らなくて新鮮な話がいくつも書かれていて興味深かった。

本書の性質上敵役や脇役の扱いとなっていた山名氏、六角氏、土岐氏、大内氏といった有力守護や、後に戦国大名にのし上がる朝倉氏や織田氏、三好氏など、将軍の外戚や側近だった日野氏や伊勢氏、公家の近衛家や九条家の人物についても、本を別に出してくれれば読んでみたい。






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マンガで攻略! はじめての織田信長 (ヤングアニマルコミックス)
Posted with Amakuri
金谷俊一郎・長谷川ヨシテル (著), 重野なおき (企画・原案)
白泉社 2017/8/29


信長に仕える女忍者を主人公とする4コマ漫画『信長の忍び』を題材に、歴史コメンテーターの金谷氏と元芸人で歴史ナビゲーターの長谷川氏の2人が交互に信長の事跡や関係する人物を解説している作品。
時代としては姉川の戦いくらいまで、漫画では第1巻~第5巻くらいを扱っている。

既に知っている話も多いが、土岐氏、斎藤氏、浅井氏、朝倉氏、六角氏といった、美濃や近江を領国とした大名たちの関係や家臣たちの話は教科書ではあまり扱われないので、初めて知るところが多かったように思う。

浅井氏に仕えた遠藤直経や朝倉氏に仕えた山崎吉家などは主君に恵まれなかったために敗者となった部分があるが、主君によってはもっと有名になっていたかもしれない。

また、信長に敗れたために評価が大きく下がっている大名たちの中には、それなりに大きな業績を挙げていたり有能なエピソードを持つ者もいることを再認識できる。
さすがに朝倉義景に対しては、一言で言うと「自分では何もしない、何もできない」とストレートに評されていたのには笑ってしまった。

見開きページの左端には入試問題からの出題や雑学クイズも収録されていて、これも興味深かった。
『信長の忍び』は史実とされるものとギャグをうまく組み合わせてある作品ということも伝わり、相乗効果を出してくれる作品だと思う。





マンガで攻略! はじめての織田信長 本願寺と武田信玄に挑む 2 (ヤングアニマルコミックス)
Posted with Amakuri
金谷俊一郎・長谷川ヨシテル (著), 重野なおき (企画・原案)
白泉社 2018/8/29

ヘッポコ征夷大将軍
Posted with Amakuri
長谷川 ヨシテル
柏書房 2018/11/12

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明智光秀=南光坊天海説を語っている歴史読み物。
著者は本業が茶道研究家で、「実証史学」と「傍証史学」の手法を用い、前作『本能寺の変 秀吉の陰謀』では本能寺の変は光秀が冤罪で秀吉の陰謀と書いていることが始めの方で触れられている。
(著者の作品は本書が初めてで、まだ読んでいない)

光秀が「小来栖で農民に竹槍で刺殺された」という話の怪しさや、江戸時代になってから建立された石灯籠に「願主光秀」と刻まれている話、そしていくつかの史料などを用いて、光秀が山崎の戦いから比叡山に逃れ、光秀と年齢が近かったらしい「随風」という僧侶が亡くなっていたことを利用し、随風→南光坊天海になった話が書かれている。

天海は家康のブレーンとして活躍しただけでなく二代将軍秀忠、三代将軍家光の時代まで生きていたことが知られている。
そして本書では天海が家光や光秀の重臣・斎藤利三の娘で家光の乳母となった春日局、春日局の元夫の稲葉正成などとの関係についても考察されている。

家康が死んだ後に家康を神として祀るに当たり神号を大明神とすべきか、権現とすべきかという論争がなされ、金地院崇伝が大明神派、天海が権現派で天海の主張が容れられた話も書かれている。
そこで崇伝はそこまで熱心だったわけではなく、実際は神官・吉田兼見の弟に当たる神龍院梵舜という僧侶が熱心な大明神派で、
天海は梵舜が家康を呪詛するつもりだったのでは?と疑っていたという説を唱えていて、初めて知る話だった。

この神やらまじないやらの話として、家康や天海にまつわる建物の位置関係の話がなされていて、ちょっと分かりにくいが昔はそういうことが重視されていたのかもしれないと思ったりもした。

八切止夫の作品など、これまで読んできた異説を扱った歴史読み物と重なる部分も多いが、そこそこ興味深く読んだ。






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布教活動で日本を訪れて信長と出会ったルイス・フロイスが残した詳細な記録である『日本史』に描かれる信長の描写などを解説している作品。

信長を描いた記録には家臣である太田牛一の『信長公記』もあるが、家臣という立場上のバイアスがかかっている。
一方でフロイスの『日本史』もまた別種のバイアスがかかっているとはいえ、風景や服装といった当時の日本人の記録では書かれていない描写もあり、その貴重さが分かってくる。

フロイスが出会った信長は自らお膳を運んでくることもあったそうで、これは現在のIT企業の社長が自分でコピーをとったり電話をかけたりすることと似ていると書かれていて、確かにそうだと思った。
昨年のNHK大河ドラマ『おんな城主直虎』でも市川海老蔵が演じる信長が阿部サダヲ演じる家康に自ら膳を運んできてもてなすシーンを思い出したりもした。

フロイスの記録は上司から「長すぎる」と指摘を受けたほどだったそうで、フロイスが現代に生まれていたら作家やエッセイスト、ジャーナリストなどとして成功していたのではないかとも思った。

諸大名についてのことも書かれていて、キリシタン大名だった高山右近や黒田官兵衛、小西行長、蒲生氏郷、大友宗麟らに好意的で、キリスト教に敵対的だった毛利元就、龍造寺隆信、本願寺顕如などには手厳しいのは立場上当然と感じた。

後にバテレン追放令を出した秀吉や、信長に謀反した明智光秀にもけっこう悪意のある書かれ方だったり、豊臣秀次は善良さと残虐さの二面性があると書いているなど、興味深い部分が多い。

分かりやすく書かれていて、まずまず楽しむことができた。






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関連タグ : 織田信長,



ベストセラーになった『本能寺の変 431年目の真実』の著者による最新作で、明智光秀の諸説ある出自や謎とされる部分が多い前半生などについての研究というか推察を語っている作品。

一般には光秀は美濃の土岐氏の一族に当たる明智氏の出で、斎藤道三が息子の義龍と戦って敗れた際に美濃を逃れて全国を旅したようなイメージが流布されているが、これは江戸時代の軍記物(つまりフィクション)の影響による部分が大きいらしい。
これに対し、マイナーなものも含めて多くの史料から光秀像を描き出そうとしている。

特に面白かったのは、4種類に分かれる明智氏の系図から、光秀が書かれているものは捏造の可能性が高いのでむしろ「光秀が書かれていない」系図の方に着目し、各時代の当主が活動していた場所や時代から、光秀が生まれるとしたらこのあたりと当たりをつけていくところで、そういう推定の仕方もあるのかと少し興奮した。

関連して美濃に住んでいた明智氏の定政は小さい頃に戦乱に巻き込まれて母方である三河の菅沼氏のところに逃れて菅沼藤蔵と名乗り、家康の家臣として活躍したことで明智定政、さらには没落していた土岐氏を継いで土岐定政という大名となった話は全く知らなかったので驚いた。

そして朝倉氏が支配していた越前に残る光秀の伝承や記録から、光秀は美濃から逃れて越前に住んでいた時代と、足利義昭に従って越前に住んでいた時代があるのではないかという話も印象に残る。

そしていくつか考えられる光秀の事跡から蓋然性が高そうなのを集め、光秀の年表を作成している。
おそらくこれはかなり手間がかかる作業だったのではないかと思っている。

本能寺の変にまつわる著者の説は他の作品で書かれているものだが、安土城を放火したのが(光秀を援護しようと向かっていた)家康の別働隊によるものだったのでは?という話は過去に読んだ本で出てなかったと思うので、少し驚いた。

どれくらいの信憑性があるのかは判別できないが、面白い内容であることは確かである。
次は光秀の子孫についての作品を出すみたいなので、チェックしておく。






本能寺の変 四二七年目の真実
Posted with Amakuri
明智 憲三郎
プレジデント社 2009/3/1

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