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読書-伝記(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-伝記(日本)」 に関する記事を紹介しています。



加来耕三+嶋健一郎 (著), 大羽快 (イラスト)
メディアファクトリー (2009/7/3)

戦国武将50人のイメージと実像について、4コマ漫画『殿といっしょ』の1~3巻に収録されているカットとともに紹介されている作品。

書かれている文章で目新しさはさほどないが、『殿といっしょ』のカットの中でも特に濃い感じのものが多く収録されていて、全巻読んだ者としては思い出し笑いしながら読むことができた。
というか、それが最大の売りになるかと思う。

収録されているのが1~3巻までのため、後ろの方の巻で登場している加藤清正などのカットが入っていないのは少し残念である。

『殿といっしょ』を読んでいなければ面白さは減りそうな気もするので、このあたりは何とも言えない。






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関連タグ : 大羽快,




月刊誌「Wedge」における戦国武将のマネー事情についての連載を加筆・修正の上でまとめている作品。

北条早雲、織田信長、明智光秀、武田信玄、上杉謙信、毛利元就、豊臣秀吉、伊達政宗、石田三成、前田利家、真田昌幸、徳川家康の12名が扱われている。

時代が戦国時代で戦争も多く、戦争には金がかかる・・・ということで、増税、略奪、商品作物の販売、鉱山の開発や奪取、借金、投資の募集、金融政策、経費切りつめなど、現在の政府や企業も行っているのと通じる手法が出てきて、金銭に関して人間がやることはあまり変わらないと感じた。

この時代は独占禁止法やインサイダー取引の禁止などがあるわけもないので、信長や家康のように法令を出す前に既にその法で価格が上がるものを買い占めておくなどの方法を取っているのは、時代を考えるとすごくずる賢いと感じた。

家臣との関係でも財政がピンチになると利家のように家臣から金を徴収したり、逆に家康のように家臣に金を貸して逃げられにくくするなど、金の使い方に性格が出ていることも分かる。

当時の金銭や米、土地などの価値を現代の価格に換算していて、億とか兆の単位も多くて必ずしも実感がわくものばかりではないものの、合戦で多くの兵を食べさせ続けるには莫大な金がかかることはよく伝わってきた。

本書のような切り口で書かれた本は少ないと思うので、この点でも興味深く読むことができた。





戦略は日本史から学べ
橋場 日月
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2019-05-24)



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信長の重臣で対本願寺戦線を統括して最大の軍団を擁していた佐久間信盛が、本願寺との講和が終わって少しした段階で追放になった理由の一因に信長の一族や尾張の有力な家臣、他の軍団長などとの関係性が薄くて切りやすかったのではないか?という話を導入部として、地縁や血縁といった人間関係から信長の家臣団について考察している作品。

前半では信長の家臣団がどのような変遷をたどって方面軍というシステムを採用するようになったかを語り、後半では織田信忠、神戸信孝、柴田勝家、佐久間信盛、羽柴秀吉、滝川一益、明智光秀の7軍団の構成や任務、たどった運命などを扱っている。

また、平手政秀や林秀貞といった家老格、譜代に近い存在になった美濃三人衆(稲葉一鉄、安東守就、氏家直元)、有力家臣で軍団長になりえたが戦死した森可成や塙直政、信長の側近として活躍した森成利(蘭丸)、万見重元、菅谷長頼、堀秀政、長谷川秀一など、軍団長以外の有力家臣たちの話も書かれている。

佐久間の軍団が信長からするとリストラに反対しそうな家臣が少なくて切りやすかったことは前述の通りだが、明智光秀の軍団でも信長の一族や尾張の人物などで有力な家臣が少なく、結果として本能寺の変を起こすに際して情報漏れを防ぐ結果になった(信長からすると監視役の有力家臣を光秀につければ防げた可能性があった)という話が面白い。

他の軍団では信長の息子である信忠や信孝は当然として、秀吉みたいに信長の息子を養子にしたり、信長の娘や養女を自分や身内の妻に迎えたり、信長の一族や尾張の有力家臣と縁組みしたり、軍事行動を共にすることで関係を深めた話が系図とともに紹介されていて、現代の政界や会社での人間関係にも似た部分があると思った。

秀吉の伝記だと前田利家と親友で丹羽長秀には少し目をかけられた一方で、柴田勝家、滝川一益、明智光秀らからはいびられたみたいな感じに書かれていたような気もするが、勝家と相性が悪かったのは史実だったみたいとして、一益とのが良好だったというのは少し意外にも感じた。
おそらく没落した人物の家系は下げても苦情があまり出ないので、そのように語られるようになったのだろう。

あまりに多くの人物が登場するので人名辞典などが欲しいところだが、論旨は明快だし知らなかった話も多く扱われていて、興味深く読むことができた。







織田信長家臣人名辞典
谷口 克広
吉川弘文館 2010/10/1


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勝海舟の言葉やエピソードから、人生訓などを語っていると思われる作品。

・・・なのだが、私の考えがひねくれている可能性は認めるとして、勝海舟にかこつけて著者が現代人や現代社会にあれこれ説教を垂れているような雰囲気が前面に出ているように感じられ、つまらなかった。

多分、『氷川清話』や勝海舟の伝記で既に知っている話が多かったり、勝のホラ吹きなところや煙たがられた残念な面も知っていて、著者が手放しで崇拝しているところに違和感を持ったためではないかと思う。






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裏がえしの自伝 (中公文庫)
梅棹 忠夫
中央公論新社 (2011-04-23)



人類学者で国立民族学博物館の設立や世界各地での学術調査、『文明の生態史観』『知的生産の技術』といった著作など多くの業績を残した梅棹忠夫による、さまざまな事情や自身の素質などでならなかった、あるいはなれなかった職業や生き方について語った、自身のIFを扱った変則的な自伝。

「ぼくは大工」、「ぼくは極地探検家」、「ぼくは芸術家」、「ぼくは映画製作者」、「ぼくはスポーツマン」、「ぼくはプレイボーイ」の6編が収録されている。

この中では南極探検隊の隊長になる話がきていた話が最も魅力的なIFなのだが、そちらに進んでいたら『モゴール族探検記』のような中央アジアの砂漠地帯での業績がなかった可能性が高く、著者が語っているように砂漠に深入りしていたのが運命の分かれ目だったということなのだろう。

一方で著者が一時期やっていた俳句があまりにもひどくて先生から破門された話も隠さずに披露していて、多才な学術界の巨人もスーパーマンではないことを知って親しみが持てる。

2012年に日本科学未来館に特別展「ウメサオタダオ展 —未来を探検する知の道具—」を観に行った時にさまざまなもののスケッチが大量に展示してあり、それが異常に上手いできばえだったことを記憶していたが、元々絵や空間認識についての素質や関心があって学術調査に活かされたことが分かって納得できた。

他にも桑原武夫や今西錦司、西堀栄三郎といったそうそうたる人物との交流や、初期から関わる機会が多かった映画やテレビの世界や業界人に対して不信や疑問を抱くようになってテレビ出演をしなくなったなど、現在のマスコミ不信につながる話が語られているのも興味深い。

本作は正規の自伝に当たると思われる『行為と妄想 わたしの履歴書』の外伝のような位置づけをされるみたいなので、『行為と妄想』にも関心を持っている。








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