読書-伝記(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-伝記(日本)」 に関する記事を紹介しています。


不屈の人 黒田官兵衛 (メディアファクトリー新書)不屈の人 黒田官兵衛 (メディアファクトリー新書)

安藤優一郎
メディアファクトリー 2013-06-28

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少し前に読んだ『「街道」で読み解く日本史の謎』の著者による、黒田官兵衛の事跡を解説している作品。

知略の面で語られることが多い官兵衛だが、本作では慈愛に満ちた面や意外に筋を通すところ、自身の知略が他人から疎まれることへの意識が少し薄くて損をしてきた部分が比較的多く描かれている。

いいところは地図や系図を多用して分かりやすくしているところで、いまいちなところは類書と比較すると目新しいところ、とがったところがあまりないところである。

読みやすいのはいいが、その反面あまり印象に残らなかった。






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徳川家康の経営学―激動の時代を生き抜く (人物文庫)
徳川家康の経営学―激動の時代を生き抜く (人物文庫)
童門 冬二
学陽書房 2002-12-01

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家康の事跡からたどる、その偉大さを解説している作品。
10年以上前に読んだと思うものを再読した。

広く知られている話も多いが、
  • 忠義に篤いイメージのある三河の家臣団が築山殿事件などで見せた「役に立たない主君は替える」という一面と、それに対する家康からの江戸幕府成立後の冷遇という形での仕返し
  • 家康がタテマエばかり言ってホンネは家臣に言わせるという据え膳主義
  • 信長や秀吉と比較し、家康は家臣と一対一の「ここだけの話」という形で指示を出す傾向
  • 家康が『吾妻鏡』や『孟子』を熱心に研究しつつも知らないふりをして林羅山らの学者に体系づけをさせた話
などが印象に残る。

久しぶりに再読し、読みやすい文章で分かりやすく書かれていることを再認識でき、15年経過しても販売され続けているのも納得だと感じた。






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戦国武将の実力 - 111人の通信簿 (中公新書 2343)
戦国武将の実力 - 111人の通信簿 (中公新書 2343)
小和田 哲男
中央公論新社 2015-10-22

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戦国武将を111人選び、先見性・統率力・教養・実行力・企画力の5つの基準で能力を評価し、その業績を解説している作品。
通説の評価だけでなく、最近の研究結果が反映されているのが特徴となるかと思う。

戦国武将ではどうしても合戦の話が多くなるが、本書では領国統治や経済政策についての話を多くしているのもポイントが高い。
例えば今川氏親による金山開発、長宗我部元親による商品作物の輸出、島津家でなされた貿易や独自通貨の発行など、伝記や歴史小説で扱われることが少ないと思われるので面白かった。

戸沢政盛や蠣崎(松前)慶広といった遠方の地方勢力、京極高次や亀井茲矩といった少しマイナーな武将、武田勝頼や別所長治のように敗者としてイメージが良くない武将など、必ずしも多くの人が選ぶとは思えない人物が掲載されているのも特徴がある。

パラメーターの評価は参考までというところだと思うが、解説文が読みやすさと興味深さのバランスが取れていてなかなか良かった。






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応仁の乱 人物データファイル120
応仁の乱 人物データファイル120
応仁の乱研究会
講談社 2017-07-29

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今年固いイメージのある中公新書としては異例の大ヒットとなった『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』を受けて書かれたと思われる、応仁の乱に関係する・関係しそうな室町時代の人物を120人分解説している作品。

足利、細川、山名、畠山、斯波といった応仁の乱で目立つ人物から、朝倉孝景のように下克上を果たした家臣、伊勢貞親のような陰謀をめぐらせた官僚タイプの人物、地方で活躍した人物など、知らなかった人物も多く扱われている。
これは日本史の研究書や小説として扱いづらかったためということもある。

足利将軍家から名前をいただく風習から、持(義持)・教(義教)・政(義政)といった文字が名前につく人物が多いこともあって、予備知識が少ないと最初のうちは少しこんがらがってしまう。

細川や山名といった親族が多数活躍した氏族だとさらに区別をつけるのが難しく、理解を助けるために系図が用意されているのはありがたい。

欲を言うと、登場する人物の領地や活躍した地方を日本地図あるいは近畿周辺の地図で表示するような方法が取られれば、さらに分かりやすくなるのではないかとも思った。

これだけ多くの人物が関係し、分かりやすい英雄や勝利者が見つけにくいというのがこれまで詳しく扱われなかった原因ということが伝わってくる。

小説にするのであればまとまった形の長編よりも、「細川勝元編」、「山名宗全編」、「畠山義就編」のように、それぞれの視点から描かれた連作の形であれば、作家の筆力によっては売れるのではないかと考えている。
例えば本業の作家であれば岩井三四二、脚本家だったら三谷幸喜、他にはバカリズムなどの作品だったら読んでみたい。

多くの人物のデータがきれいな形でまとめられているので、『応仁の乱 - 戦国時代を生んだ大乱』の副読本としても役立つ1冊だと思う。





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水野大樹
実業之日本社 2017-01-28

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勝海舟の人生訓 (PHP文庫 ト 1-2)
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童門 冬二
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勝海舟の事跡や残した言葉、著作などから、人生に役立ちそうなものを紹介・解説している作品。
勝は自慢話やホラに近い話もしばしばしていたらしいので、そのあたりは考慮して読んだ方がいいのかもしれない。

面白い話がいくつもあり、例えば歴史上の人物を論評しているところでは細川頼之(南北朝時代の室町幕府管領)、北条早雲、天海、松尾芭蕉などを評価している。
松尾芭蕉が近江商人を指導したとか、細川頼之が北朝の経済を発展させて南朝を圧倒したなど、広く知られているとは思えない話が紹介されているのが興味深い。

民衆を生活できるようにするのが支配者の役目で、経済を軽視する支配者は滅ぶという趣旨の話はその通りだと感じた。

低い御家人の身分から立身していったこともあり、「世間は生きている、理屈は死んでいる」と語っているようにかなり現実主義的で、イデオロギーにこだわる人物を好まないことも伝わってくる。
これは朝令暮改を気にしない横井小楠を高く評価し、水戸藩の儒者だった藤田東胡を嫌っていた話、江戸幕府滅亡後に明治政府に仕えた勝をひどく非難した福沢諭吉を「幕末は本郷に隠れていた弱い男」と評しているところなどに表れているのがいい。

柔軟ながらも筋を通し、覚悟を持って生きた勝のエピソードが分かりやすく書かれていて、興味深く読むことができた。






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