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読書-対談:雨読夜話

ここでは、「読書-対談」 に関する記事を紹介しています。



井上 章一 (著), 磯田 道史 (著)
祥伝社 (2021/7/1)


日本文化研究センター所長で『京都ぎらい』などの著書でも知られる井上章一氏が歴史関連の対談を行うシリーズで、『日本史のミカタ』『世界史のミカタ』に続く作品。

本作では日本文化研究センターの部下に当たり、メディアでの出演も多い歴史学者の磯田道史氏と、日本史と世界史の違いと類似、歴史を研究する上で注意すること、歴史観が変遷していく過程などをざっくばらんに語り合っている。

歴史上の決断には健康状態や好き嫌いも大きく影響しているという話や、歴史上の神話が作られる弊害、大河ドラマに女性にだらしない人物が選ばれにくくなりつつあるような変化など、井上氏の下ネタや磯田氏のさまざまなエピソードを交えて語っているのが楽しい。





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関連タグ : 磯田道史,


本郷 和人 (著), 門井 慶喜 (著)
祥伝社 (2020/2/1)


東大史料編纂所教授の本郷和人氏と、『家康、江戸を建てる』などの著作のある作家・門井慶喜氏による、日本史上の将軍について語っている対談本。

坂上田村麻呂、源頼朝、足利尊氏、足利義満、徳川家康、徳川吉宗、徳川慶喜、西郷隆盛の8人の将軍と、将軍になっていないが将軍との比較として適した例としての織田信長・豊臣秀吉が扱われている。
西郷隆盛は他の7人のように征夷大将軍になっているわけではないが、主従関係的な役割がかつての征夷大将軍と似ているために入っているようである。

坂上田村麻呂の頃は単なる方面軍司令官くらいの役割だったのが、朝廷が頼朝から特別な将軍にしてほしいとの要請を受けて「縁起がいいから」という理由で征夷大将軍の肩書が与えられた経緯、軍事のみの役割だったのが時代を経るに従って政治をつかさどる役割の方が大きくなった経緯などが語られている。

門井氏が編集者からボツにされた『うじうじ尊氏』の構想や、信長を描くならフロスト警部シリーズのようにモジュラー型の小説とするかもしれないなど、本郷氏が立場上なかなか踏み込みにくい歴史上の人物の内面を探った話などが語られているのも面白い。
いずれ、この対談が元となった小説が出るかもしれない。

本郷氏と門井氏の相性はなかなかいいように感じたので、また別の企画での対談があれば読んでみたい。





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関連タグ : 本郷和人,


山崎元 (著), 大橋弘祐 (著)
文響社 (2015/11/11)


編集者でライターの大橋氏が、山崎氏にお金の運用や使い方について質問する形式で書かれている対談本。

対談前の大橋氏があまりこうしたことについて知識がなくて悩んでいて、単行本の企画で教えてもらおうというノリで山崎氏に打診し、山崎氏は山崎氏で銀行のカモになりそうな大橋氏がいい実験台だと思って承諾したという経緯が書かれているのが面白い。

大橋氏が質問して山崎氏が身もふたもない回答をし、大橋氏が納得できない部分をさらに質問して…という形で話が進み、読者が聞きたいであろうことが突っ込んで書かれているのが分かりやすい。

銀行が勧める商品を購入してはいけないとか、保険はできるだけ加入しないなど、山崎氏の他の著作でも書かれている内容がより分かりやすく書かれている一方、ギャンブルは経済学的にはやらない方がいいが競馬は教養娯楽費として支出していると語るなど、笑いの要素が入っているのがいい。

大橋氏がネット証券の最大手がSBI証券だと聞いて、山崎氏が楽天証券に勤めていることを無視してSBI証券での手続き画面ばかりを使っているのも笑ってしまった。

投資やお金の使い方についてのいい入門書だと思う。





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関連タグ : 山崎元,


渡部清二 (著), エミン・ユルマズ (著)
かや書房 (2020/10/14)


投資スクール『複眼経済塾』の塾長と塾頭による、日本の株価が今後上がっていくであろうという見通しと、株式投資でのポイントなどを語っている作品。

まず、日本企業の株価が長期的にかなり上昇するであろうことを、過去2度に発生した日本での株価サイクル(40年くらい上昇して20年くらい低下する)から語っている。

これは以前読んだ加谷珪一著『お金は「歴史」で儲けなさい』でも感じたことだが、200年足らずの2度のパターンを法則とする考えは有効なのか?という気もしないでもない。
ただ、ポジティブな予測であるのでそれなりに頭に置いておきたい内容でもある。

後半では『会社四季報』による投資先企業の探し方や、日経などの媒体からの経済の動向の調べ方などが書かれている。
ここでは、四季報の見方で自己資本比率の目安(平均が50%くらい)やキャッシュフロー(営業と投資がプラスだとポジティブ)などの話が参考になった。
また、「カタリスト」(触媒)と呼ばれる、投資のきっかけとなるものをいかに探すかがポイントのようである。

終盤では株式投資では楽しんだり応援したりすることの重要性を語っていて、肩の力を抜いてもできるという感じで心理的なハードルを下げてくれる話がなされている。
このところあまり投資についての情報収集をしていないような気がするが、またやってみようという意欲を沸き立たせてくれた。





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ビート たけし
新潮社 (2014/5/16)


ビートたけしが極地などで活動してきた学者や探検家の達人たちと対談したものをまとめている作品。
章立ては下記となっている。
  1. 人類の旅を逆向きに辿れ 探検の達人・関野吉晴
  2. 失われつつある「ことば」を救い出せ 文化人類学の達人・西江雅之
  3. 幻の植物を求めてアジア奥地に潜入せよ 植物探検の達人・荻巣樹徳
  4. ゴリラから人間関係を学べ ゴリラの達人・山極寿一
  5. 巨大ハーレム シロアリ王国に忍び込め シロアリの達人・松浦健二
  6. ウナギの産卵場を特定せよ ウナギの達人・塚本勝巳
  7. 辺境に生きる極限生物を見つけろ 辺境生物学の達人・長沼毅
  8. 超小型カメラで動物の動きを追跡せよ 海洋生物の達人・佐藤克文
  9. 深海に潜む巨大イカの生態を探れ ダイオウイカの達人・窪寺恒己
  10. 富士山の大噴火を予測せよ 地球の達人・鎌田浩毅
  11. 宇宙の謎を解く鍵を手に入れろ 宇宙の達人・村山斉
この中では塚本氏と長沼氏は他の本を読んでいて多少知っていたが、他の人の話は初めて知るものが多く、興味深かった。

子供の頃に「猫になりたい」という志向があってどんな秘境・奥地にもするっと入れてしまう西江氏や、人類がアフリカから南米最南端までの旅を逆ルートでたどったところ想像以上に大変だったという関野氏、小型カメラを動物に着けて思わぬ生態を知った佐藤氏、深海に探査船で潜って動いているダイオウイカの撮影に世界で初めて成功した窪寺氏の話など、強烈なエピソードが多くて引き込まれる。

また、インタビュアー役のたけしも様々な本や媒体から得た知識や教養があることが、的確な質問からも伝わってきてすごさを感じることができる。
ギャグや例え話のセンスは少し古くてそれほど面白くないが・・・

思っていた以上に面白い話が多く扱われていて、楽しく読むことができた。





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