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読書-対談:雨読夜話

ここでは、「読書-対談」 に関する記事を紹介しています。



勇敢な日本経済論 (講談社現代新書)
高橋 洋一 ぐっちーさん
講談社 2017/4/19



9月に逝去されたブロガーで実業家の「ぐっちーさん」こと山口正洋氏が2年前、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏と日本経済などについて語り合っている対談本。

理系で財務省(旧大蔵省)の非効率さや不合理さを改善しようと奮闘していたが色々あって追い出されたり窃盗の容疑を受けたりした経験のある高橋氏と、海外の投資銀行で活躍していたがサブプライム証券の販売を拒否してクビになったことがあるぐっちーさんの対談ということで、それぞれボトムを経験した者の凄みを感じられる話が多い。

2人はボトムを経験した意味では4回も破産したトランプ大統領や、第一次政権を辞職した後に返り咲くことは無理だと思われていた安倍首相もそうした強みを持っていると語り、ぐっちーさんはトランプ氏が資金難の頃に奔走した経験を、高橋氏は安倍氏が暇だった時期にアベノミクスにつながる話をしていたエピソードを語っていて、かなりの刺激を受ける。

ぐっちーさんが会った頃のトランプ氏は上品な英語を話していたそうで、現在のような少し品がなくて分かりやすい語り方は低所得層に受けるためにやっているキャラのようで、未だにトランプ氏を単に異常な人扱いするマスコミが書けない話をしている。

そして日本政府を企業のようにバランスシートで見れば財政は全く問題ないこと、増税は財務官僚が天下り先の費用を徴収したいためという話、金融政策は雇用のためになされるべきとの主張、役所の規制緩和や改革への救いがたい抵抗、金融やマスコミのような規制に守られた業界の腐敗しきった対応など、テレビ番組などでは話すことを許可してもらえない話が多く刺激的である。

中でも、高橋氏が第一次政権辞職後の安倍氏に金融緩和を進めた際に「左派の政策ですけどいいんですか?」と聞き、安倍氏が「全く問題ない」と答えているエピソードなどが面白い。

また、規制緩和はどれが効果が出るかはやってみて時間が経たないと分からないので、特区を設けるなどしてとにかく数多くやってみることが効果的だが、効果が分からない上に既得権益層にはダメージがすぐに分かるために理解が得られない難しさを語っているところも印象に残る。

発行されてから2年以上経過しているが、あまり古びてもおらず興味深く読むことができた。
ぐっちーさんこと山口氏が若くして逝去されたのはつくづく残念である。





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村上ファンドの創設者として浮き沈みの大きい投資家人生を送ってきた村上氏と、ギャンブルでの自身の手ひどい負けを面白おかしく描いてきた漫画家の西原氏による、投資やお金に関する対談本。

西原氏のことは他の著作で知っているが、村上氏については村上ファンドに関するゼロ年代のニュースでしか知識があまりなかったので、どのような考え方をする人で、数字や記憶力で勝負できる人ということを知ることができて興味深い。

「投資は期待値から判断するとギャンブルではない」という村上氏の勧めによって西原氏とその長男が株式投資をやってみたエピソードや、仮想通貨の話もなされている。

西原氏の子育てに関する本のイメージがあってずっと小学生くらいのイメージを持っていたが、当然成長しているわけで20歳前後になっていることには改めて時の流れを実感したりもする。

知らなかったような投資などに関する新たな話はそれほどないが、村上氏と西原氏の個性の違いによる掛け合いが面白く、楽しく読むことができた。






生涯投資家
村上 世彰
文藝春秋 2017/6/21


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関連タグ : 西原理恵子, ,




米中の対立を中心に、世界各国での情勢について語っている対談本。

アメリカの政界では90年代くらいに日本から色々とむしり取ってきたハゲタカのような人々の勢力が強くなっていて、中国に対して日本にやったようなことを考えているのはいかにもありそうだと感じた。

そして親中派にはいまだにあのヘンリー・キッシンジャーが暗躍していることに驚いた。
キッシンジャーの影響力がそれくらいすごいのか、あるいは後に続く人材が不足しているのか、どちらなのだろうか?

2人の著書を読んでいるのでベースは予想とそれほど違わないが、彼らが語る表現が面白い。

まず、フランスのデモや暴動では黄色のチョッキを着ていることから「フランス版黄巾の乱」と表現していたり、奥さんのコントロールもできないマクロンが政局をコントロールできるわけないという発言には笑ってしまった。

また、韓国が期待する北朝鮮の工費が安い労働者は働かないので期待できないとか、ヨーロッパで韓国人のような嫌われ者のポジションにはアルメニア人がいるという話はあまり知らなかったので興味深い。

他にも、日本が一帯一路に協力的に見える時があるのは、中国がうまくいかなくて投げ出したプロジェクトの中でまだ見込みがありそうなものを横取りしているなど、マスコミ報道で出てこない話が多く、こうした本を時々読む必要を再認識する。

話がしばしば唐突に飛んでいるように見えるのは、本書で収録できないくらい話が盛り上がったからなのだろう。







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関連タグ : 渡邉哲也,




経済評論家の渡邉哲也と元経済ヤクザの猫組長の2人による、裏世界のリアルさを踏まえた上で現在の国債情勢や今後の見通しなどを語り合っている対談本。
渡邉氏の本は何冊か読んでいるが、猫組長のものは初めてとなる。

この猫組長の経歴だが、投資顧問会社のビジネスマンだったのがバブル崩壊で億単位の借金を背負ったことでヤクザの世界に入り、石油や金融などで荒稼ぎをしてきたらしいことが書かれていて、他の経済評論家などが書けないと思われることをストレートに語っている。

ブレグジットを山口組分裂と比較したり、償還しようとすると国家権力から抹殺される恐れがある債券が世界にけっこうある話、米英(日本も含む)VS中独のブロック対立化が進む世界情勢、北朝鮮がアメリカ寄りになりつつある影響などが語られている。

中でも、イギリス・ロンドンにある世界を代表する金融市場のシティがブレグジットによってEU内のどこかに機能を移転するとしても、パリは(革命家やテロリスト、独裁者などが留学や活動してきたことでも分かるように)治安や中立性で大きく問題があり、フランクフルト(欧州中央銀行)やブリュッセル(EU本部)も既に別の国際機関の本部があって難しいなど、結局ロンドンから移転できないか、せいぜいアイルランドのダブリンに一部を委譲するくらいしかできないのでは?という話が興味深かった。

特に猫組長はきれいごと抜きで話を進めていくので、その信ぴょう性はともかくとしてシビアさがより強く感じられる。
おそらく、やばすぎて本書で語れなかったことも沢山あると思われ、興味深い。

読んでいくと現実の重さにつらくなるかもしれないが、他の著作にも関心がある。






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関連タグ : 渡邉哲也,


合戦の日本史 (文春文庫)
安部 龍太郎 伊東 潤 佐藤 賢一 葉室 麟 山本 兼一
文藝春秋 (2017-07-06)



信長、秀吉、家康・江戸時代前期、幕末・明治の4テーマについて、信長編では5人、それ以降では山本氏が逝去されて4人の歴史作家たちが語り合っている対談本。

長篠の合戦では伊勢長島の一向一揆を壊滅させたことで東国に鉄砲や弾薬が流通するルートが信長によって切断されたという話や、大航海時代の列強と戦国時代の関わり、本能寺の変に関する憶測、信長や秀吉の限界、家康が北条氏政などと違うのは信長からここぞという勝負所での行動を学んだところという説、徳川慶喜のよく分からなさなどを語り合っていてなかなか興味深い。

作家たちの個性も出ていて、会社勤めの経験があるためか現代社会との関係で理解しやすい話をする伊東氏、異説につなげたがる安部氏、カエサルやナポレオンのようなヨーロッパの歴史人物を引き合いに出して語っている佐藤氏などが分かりやすく、作家たちの考えていることの違いが面白かった。

作品を読んだことがない葉室氏も含め、作品をもっと読んでいればさらに楽しめるかもしれない。






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