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読書-対談:雨読夜話

ここでは、「読書-対談」 に関する記事を紹介しています。



堀江 貴文 (著), 井川 意高 (著)
幻冬舎 (2017/9/23)


ホリエモンと、元大王製紙会長の井川意高氏の、東大在学歴があって刑務所暮らしという共通点がある2人による対談本。
ホリエモンはライブドア関連の経済犯罪で、井川氏はカジノで106億円負けたのを会社から金を借りた特別背任で服役している。

東大に関する話で印象に残る部分はあまりないが、拘置所や刑務所での体験については生々しい話が多くてインパクトがあった。

読む前は拘置所と刑務所の違いも分かっていなかったが、罪が確定しているかどうかや、作業などの有無といった部分で違っていることが何となく分かった。

そして、誰もが検察に睨まれると罪に問われるかもしれないという恐ろしさや、刑務官や刑務所によって待遇が異なること、刑務官のキツさや同じ刑務所での囚人によってかなりやばい人がいる話などを読むと、改めて関わりたくないものだと感じた。

2人とも懲役を経てさまざまなことを考えるようになったことが語られていて、それなりに示唆に富む内容だった。





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関連タグ : 堀江貴文,


渡邉 哲也 (著), エミン・ユルマズ (著)
かや書房 (2020/6/25)


経済評論家の渡邉哲也氏と投資家・アナリストのエミン・ユルマズ氏による対談本。
中国排除の機運が高まっていたところにコロナショックがきっかけで本格化し、その中で日本が存在感を出していくことになるという話がなされている。

2人とも欧米が中国を排除する方向性で世界が動いているとは捉えていたものの、きっかけが何になるのかが分からなかったところに、今回のコロナショックが決定打となったという話をしていて、過去の両者の著作でもそうした話が書かれていた記憶があるので、分かる人は分かるのだろうと感じた。

中国によるグローバリズムへのただ乗りによる悪影響は想像以上のようで、国際機関や新興国の指導者の買収、スパイの暗躍、そして中国国内から資産の持ち出しをさせないという理不尽なやり方には憤りを覚えるし、初期はともかく少し前までに中国に進出していた企業もどうなのかとも感じる。

アメリカ議会を中心に中国への締め付けは強化されていくようで、ソフトバンクのように中国とのかかわりが深い企業はかなり大変なことになることが語られている。
そして、ソフトバンクを大正時代に急激な拡大の後に倒産した鈴木商店に似ているという話が非常に面白かった。

日本に関してはインデックスファンドが中国に組み入れている部分が排除され、その部分の投資が日本に回るのではないかということや、(7/1に香港国家安全維持法が成立した)香港にあった金融センターの機能が東京に移る可能性などが書かれていて、政府や財界には積極的な取り組みを期待したいところである。

中国と韓国からのインバウンドがなくなったことにも触れていて、数は多くてもマナーが悪くて観光公害ばかり発生させてお金を落とさない中国と韓国向けではなく、金額ベースでインバウンドを対応すべきという意見はその通りと感じた。

報道では叩かれてばかりの日本のコロナ対策も評価されるようになったことも語られていて、ワイドショーによる「感染者が少ないのは隠ぺいしているから」というようなデマを平気で垂れ流すメディアの問題も書かれていて、これが現在の大きな問題の1つと感じている。

外交の話ではトランプ大統領がポーカーするように顔の見える相手を好むという話から金正恩は嫌いではなく、文在寅は相手にする価値がないと見ているらしいとの話も面白い。

現在のメディアによる報道の偏向がひどいためにこうした書籍が必要になるのはどうしたことなのかと思ったりもするが、どこぞの国のように出版が差し止められたりしないことはありがたいことなのだろう。





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関連タグ : 渡邉哲也,


井上 章一 (著), 佐藤 賢一 (著)
祥伝社 (2019/11/1)


中国史でも西洋史でもない、世界史のミカタ(見方)をテーマとした対談。
『京都ぎらい』の著者で建築史が専門の井上氏と、西欧を舞台とした歴史小説を多く著している作家の佐藤氏が、『日本史のミカタ』の世界史版を意図して対談している。

まず、大航海時代で交易の主力が陸だった時代における遊牧民の役割の大きさについて語っていて、他にもキリスト教が広まった理由に教会という役所の代わりとなる機能や官僚となる人材供給源としての有用さがあったかもしれないという話、ローマ教会がゲルマン人に戦争をやめさせていたためにエネルギーが溜まって十字軍につながった説など、あまり聞いたことがない話が出てきて新鮮に感じる。

ユーラシアの東では中国で漢族の王朝は漢、宋、明の3つだけで他は遊牧民の征服王朝とし、前者が内向きで後者が外に出る傾向にあること、現在の中国共産党の政権はこれまでのパターンに当てはまらないかもしれないなど、こちらの話も興味深い。
(宋の王室である趙氏がトルコ系という説もあり、それだと漢と明だけが漢族の王朝ということになる)

近代以降の話も扱われていて、民主主義の看板を掲げる欧米でもけっこう世襲に近い人事が行われていて日本とそれほど違いがあるわけでもないことや、ナチスが実施していた大衆扇動の手法を他の先進国も実施している事例、共産主義国の方が独裁者が出やすかった傾向など、比較的あけすけな語り方をしていて面白い。

『日本史のミカタ』とは異なって学者がいない分だけ学問の話に入っていないところに少し物足りなさも感じたが、幅の広さの方が求められた対談だったと考えると、この組み合わせが良かったのだろう。
井上氏がしばしばプロレスおたくである部分を垣間見せるところも見どころである。






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橋爪 大三郎 × 大澤 真幸
講談社 (2011/5/18)


宗教も専門とする社会学者2人による、日本人が理解しづらいと思われる一神教としてのキリスト教、そしてその元となったユダヤ教について、クリスチャンだったら怖くて言えないような質問も交えて語り合っている対談本。

まず、一神教としてのキリスト教を世界で最も理解していない人々として日本人がいることを挙げていて、少し驚く。
そして仏教や儒教も一神教に通じるような考え方があるそうで、多くの神々が身近に感じて生きる日本人は世界では少数派のようである。

キリスト教とユダヤ教の違いにはイエス・キリストの存在くらいでそれ以外は共通する部分が多いとして、ユダヤ教の話から始めている。

一神教では神の言葉は預言者を通してなされるが、誰が正しい預言者で誰が偽の預言者なのか分からないために多くの人々が偽預言者とされ殺された話や、複数の福音書と呼ばれる経典でも記述に不整合がいくつもある話がなされている。

偶像崇拝は、神に祈ると見せかけて神を創造した自分たち自身を祈ることにつながるのでいけないという考え方のようで、いまひとつピンとこないところもあった。
偶像があろうとなかろうと、預言者がいようといまいと、神を創造したのは人間なのでは?と疑問を公言するのはあまり良くないようである。

そしてキリスト教の地域で近代化が進んだ背景には、ユダヤ教やイスラム教のように整った宗教法がないことを挙げている。
大航海時代になったのも、宗教改革や宗教戦争でピューリタンのように宗教的に迫害された人が大量に発生して移民・植民のニーズが生まれたからという話にはなるほどと思った。
また、教義や解釈で苦しいところがある部分も、それを埋め合わせる説明のための努力が哲学や科学につながり、近代化に貢献したようでもある。

さらに、意識してのキリスト教信仰と、意識しなくても態度や行動様式に出るキリスト教的な考え方があり、後者は無神論、自然科学、哲学、共産主義といったキリスト教と対立すると思われそうな考え方にも出ているという話が興味深い。
例えば「宗教はアヘン」と公言する共産党と教会は、組織構成ややっていることが似ているとのくだりが面白い。

他にも、日本の神道で偶像がないのは日本人が本当に拝むことが大嫌いだからで、一神教で偶像がないのはあまりに畏れ多いためと書かれていて反対の理由だからと語られているなど、以前読んだ2人の対談本『げんきな日本論』とでも見られたような刺激的な意見がいくつも出されて、大いに楽しんで読むことができたとともに、一神教についての知識も増やすことができた。






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勇敢な日本経済論 (講談社現代新書)
高橋 洋一 ぐっちーさん
講談社 2017/4/19



9月に逝去されたブロガーで実業家の「ぐっちーさん」こと山口正洋氏が2年前、元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏と日本経済などについて語り合っている対談本。

理系で財務省(旧大蔵省)の非効率さや不合理さを改善しようと奮闘していたが色々あって追い出されたり窃盗の容疑を受けたりした経験のある高橋氏と、海外の投資銀行で活躍していたがサブプライム証券の販売を拒否してクビになったことがあるぐっちーさんの対談ということで、それぞれボトムを経験した者の凄みを感じられる話が多い。

2人はボトムを経験した意味では4回も破産したトランプ大統領や、第一次政権を辞職した後に返り咲くことは無理だと思われていた安倍首相もそうした強みを持っていると語り、ぐっちーさんはトランプ氏が資金難の頃に奔走した経験を、高橋氏は安倍氏が暇だった時期にアベノミクスにつながる話をしていたエピソードを語っていて、かなりの刺激を受ける。

ぐっちーさんが会った頃のトランプ氏は上品な英語を話していたそうで、現在のような少し品がなくて分かりやすい語り方は低所得層に受けるためにやっているキャラのようで、未だにトランプ氏を単に異常な人扱いするマスコミが書けない話をしている。

そして日本政府を企業のようにバランスシートで見れば財政は全く問題ないこと、増税は財務官僚が天下り先の費用を徴収したいためという話、金融政策は雇用のためになされるべきとの主張、役所の規制緩和や改革への救いがたい抵抗、金融やマスコミのような規制に守られた業界の腐敗しきった対応など、テレビ番組などでは話すことを許可してもらえない話が多く刺激的である。

中でも、高橋氏が第一次政権辞職後の安倍氏に金融緩和を進めた際に「左派の政策ですけどいいんですか?」と聞き、安倍氏が「全く問題ない」と答えているエピソードなどが面白い。

また、規制緩和はどれが効果が出るかはやってみて時間が経たないと分からないので、特区を設けるなどしてとにかく数多くやってみることが効果的だが、効果が分からない上に既得権益層にはダメージがすぐに分かるために理解が得られない難しさを語っているところも印象に残る。

発行されてから2年以上経過しているが、あまり古びてもおらず興味深く読むことができた。
ぐっちーさんこと山口氏が若くして逝去されたのはつくづく残念である。





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