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読書-ファンタジー・幻想小説:雨読夜話

ここでは、「読書-ファンタジー・幻想小説」 に関する記事を紹介しています。



ホルヘ・ルイス ボルヘス, アドルフォ ビオイ=カサーレス
河出書房新社 (2018/4/6)


アルゼンチンの作家・ボルヘスとカサーレスが、古今東西の怪奇話と自分たちの短編を92作収録しているアンソロジー。

葛飾北斎が語った言葉や、『聊斎志異』などに出てきたかもしれない中国の怪奇小説、イスラム圏や西欧の話も入っているなど、多くの地域から集められていることが分かる。

それはいいのだが、読む側に教養やセンスがないのがいけないのか、面白く感じようがなかったり、そもそも意味が分からなかった話も多く、斜め読みになった。
解説を担当した朝吹真理子という人が「眠れなくなるから安眠したいならベッドサイドで読まない方がいい」みたいなことを書いているが、全く共感できなかった。






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捜神記 (平凡社ライブラリー)
干 宝 (著), 竹田 晃 (翻訳)
平凡社 (2000-01-24)



中国の東晋時代に編纂され、その後の幻想小説にも影響を与えた「志怪小説」と呼ばれる怪奇話の464話を集めたアンソロジー。

それまでの時代にこの手の作品がなかったようで、後世の『聊斎志異』などのように細かなストーリーのものはあまりなく、ネタだけで勝負するような話になっていて、結果として出来にばらつきが多い。

扱われている時代では前漢、新、後漢、三国、晋などの話が多く、歴史上の人物が扱われている話もある。
本書の著者の時代より少し前で、『三国志』の登場人物である、曹操、孫策、孫権やその後継者たちが登場する話も多い。

中には『論語』で「怪力乱神を語らず」との言葉を残しているはずの孔子とその一行が大鯰が化けた怪人に出会った話も収録されていて、それはないだろうと笑ってしまった。

易学に通じた人が怪異現象を解決する話、狐や幽霊となんだかんだで付き合ってしまう話、天変地異の前触れとなる怪奇現象などの話がさまざまに扱われ、面白い話も多い。
時代によるのかな?と思ったのは、人々が怪奇現象は動物などが化けた妖怪だと分かった時点で簡単に叩き殺しているシーンがけっこうあることで、戦乱の時代ということもあるのかエネルギッシュである。

似た話が続いたり、オチがなくて明らかにつまらない話も多かったりするので、収録する話を半分くらいに厳選した本が出たらもっと売れるのではないか?と思う。






大器晩成―中国昔話大集〈2〉 (アルファポリス文庫)大器晩成―中国昔話大集〈2〉 (アルファポリス文庫)

話 梅子
アルファポリス 2008-01-01

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楊逸が読む聊斎志異
楊 逸 (著), 黒田 真美子 (翻訳)
明治書院 (2011-09-28)



中国人で初の芥川賞作家で大学教授でもある楊逸氏が、中国の怪奇小説集『聊斎志異』から25の話を選び、中国と日本の文化の違いや、当時と現代の違いなどを含めて紹介・解説している作品。

現代語訳は別の翻訳者がしていて、著者は話の選択と各章の初めでエッセイを書くという分担になっている。

日本に在住する中国の人から見た、日本と中国での違いの話がちょっと面白い。
中でも、日本の幽霊は(円山応挙の影響で)足がないので、人間との恋愛話に発展しにくいという見解にはなるほどと思った。

おどろおどろしい話は少な目で、人外の存在と比較的うまくやっている話が多く、安心して読むことができる。

特に『聊斎志異』で選ばれることが多い「陸判」や「蓮香」などは内容のインパクトやハッピーエンドなところもあり、本書を読む前から大体の筋を覚えていたりもした。

冥界でも賄賂が有効だったり、頼みごとによって名簿の記載内容を書き替えてもらったりする話が出てくるあたりは、いかにも中国っぽいと改めて感じた。

幽霊や仙人などから言われたことをきちんと実行した場合、実行できなくて痛い目に遭う場合と、人間の弱さが出てくるところも面白い。

改めて、『聊斎志異』の話は面白いことを再認識できる1冊だった。






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『聊斎志異』や『閲微草堂筆記』、『捜神記』など、中国の怪奇・幻想小説から比較的怖そうな話を収録しているアンソロジー。
読んだことがある『聊斎志異』からの話も多い。

表紙や挿絵が恐怖をあおるものになっていて、恐怖小説寄りにしたいという意図は伝わる。
ただ、中国の幽鬼や妖怪、ローカルな神などは変に人間臭かったり、無駄に精力的だったりするので、日本の怪談話とは違うことに留意しておいた方がいいと思う。

私は日本の怪談話よりも中国の幻想小説の方が好きなので、十分に楽しむことができた。






捜神記 (平凡社ライブラリー)
干 宝 (著), 竹田 晃 (翻訳)
平凡社 (2000-01-24)


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中国奇想小説集: 古今異界万華鏡
井波 律子 (翻訳)
平凡社 2018/11/9



有名な清代の『聊斎志異』などのような中国の幻想・奇想小説を26編、六朝、唐、宋、明、清と各時代ごとに収録し、それぞれの元となった作品の作者や時代背景、それぞれの関係なども解説されている作品。

これまでに読んだ『聊斎志異』や『唐宋伝奇集』にあったような、日本と違った人間臭い感じの化け物や幽霊などが登場し、人間となんだかんだやり取りしている話が多くて面白い。

日本と違うなと思うのは女性の幽霊や化け物で、日本だと単純に恨んで祟るとか弱らせるまでで終わりなのが多いのに対し、「白娘子 永に雷峰塔に鎮めらるること」に出てくる巨大な白蛇が化けた美女のように、しつこく主人公の青年につきまとってくるなど、やけにエネルギッシュなところで、国情の違いを感じたりもする。

解説では、六朝時代の『捜神記』や宋代の『夷堅志』のように「不思議な出来事の記録」スタイルと、唐代伝奇や清代の『聊斎志異』のように「虚構の物語世界」スタイルの2種類に大別できることが書かれていて、過去に読んだこの手の作品がどちらになるか、という視点で読み返すのも面白そうである。

久しぶりに現実から離れて楽しむことができる中国の幻想・奇想小説を読むことができ、いい気分転換になった。






捜神記 (平凡社ライブラリー)
干 宝 (著), 竹田 晃 (翻訳)
平凡社 (2000-01-24)


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