佐藤 さとる (著), 村上 勉 (著)
講談社 (2011/2/15)
佐藤さとるによる小人が登場する『コロボックル物語』シリーズの第2巻。
第1巻では「せいたかさん」と呼ばれる人間の青年が主人公だったが、本作では数年経過した後にせいたかさんとの連絡係を務めるコロボックルのクリノヒコが主人公で、仲間たちとともにいなくなったと思われていたマメイヌを探す話がメインとなっている。
コロボックルの国ではせいたかさんが技術を教えたことで電気を引いたり新聞の印刷を始めようとするなど、一気に文明化しているのが面白い。
また、前作に登場したヒイラギノヒコがリーダー、エノキノヒコが校長先生、ツバキノヒコが電気技師に出世していて、舞台設定に厚みを持たせている。
クリノヒコと親友のスギノヒコら仲間たち、そしておちび先生の連絡役を務めることになったクルミノヒメらとのやり取りも楽しい。

佐藤 さとる (著), 村上 勉 (著)
講談社 (2010/11/12)
1959年に発行されてから長く読み続けられているファンタジー小説シリーズの第1巻。
先日、挿絵を担当してきた村上勉氏の『コロボックルの小さな画集』を読んでその魅力を思い出し、再読した。
主人公の青年は子供の頃に遊びに出かけていた小山で小人らしき存在を見つけたことで、就職後にもその小山を通うようになって再び小人たちと出会って・・・という話になっている。
主人公はアイヌ神話のコロボックルを連想し、そして小人たちは日本神話のスクナヒコナの子孫と考えているという話が日本的で面白い。
また、ヒロインに当たるおちび先生や、ヒイラギノヒコ、エノキノヒコ、ツバキノヒコといったコロボックルたちのキャラクターの魅力も伝わってきて、久しぶりに読み返してもいい作品だと再認識した。
続編も再読してみようと思う。
- 関連記事
- 『コロボックルの小さな画集』

- 本を購入する
- Amazon.co.jp
- 楽天ブックスTOP : 全品送料無料に
- 本のことならHonya Club.comにおまかせ!
: 書店受け取りで送料無料
鈴木了三 (訳編)
インタープレイ (2015/12/17)
中国の怪異話の翻訳を22編収録しているアンソロジー。
編者によると、人間味が深く、メルヘン的色彩の濃いものを選んだとのことで、『聊斎志異』や『捜神記』などからの収録もある。
「忍者になった娘」や「姿を見せぬ友達」、「竜女を妻にした男」、「のどにできたこぶ」など、そのへんにいそうな人が実は…みたいな話が多く、この手の話が好きなので面白さを十分に楽しむことができた。
のどから猿が出たり、お腹からすっぽんが出たり、眼から小人が出てきたりと、人体がらみの話はちょっと痛そうで引いてしまったり、個人的な貸し借りにきっちりしているのが中国的なのかな?と思ったりもした。

- 本を購入する
- Amazon.co.jp
- 楽天ブックスTOP : 全品送料無料に
- 本のことならHonya Club.comにおまかせ!
: 書店受け取りで送料無料
![]() | 大器晩成―中国昔話大集〈2〉 (アルファポリス文庫) 話 梅子 アルファポリス 2008-01-01 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
中国の古典小説を翻訳したメールマガジンを単行本化したシリーズの第2集。
このシリーズでは仙人や幽鬼、閻魔大王などが登場する怪奇物やファンタジー作品が多いのだが、本集ではその手の作品は1章のみとなっている。
それ以外はというと、出世、試験、わいろ、名声、習性、犯罪と、いかにも中国らしい話が多く収録されている。
科挙でランクによって大きく待遇に差があること(キャリア官僚とノンキャリアみたいなもの)や試験に何度も合格できずに人生を棒に振る事例、手の込んだ賄賂のテクニック、人を陥れる策略など、小説とは言え中国では日本よりもえげつない感じが強い。
皇帝やその側近が庶民のふりをして悪人を懲らしめたり真面目な役人を評価する『水戸黄門』みたいな話も入っていて、ワーカホリック気味な名君とされる清の雍正帝が多く扱われ、日本で言えば時代も近くて御庭番を使っていた『暴れん坊将軍』こと徳川吉宗みたいな感じなのかもしれない。
4冊あるこのシリーズで面白かった順番をつけると、第1作→第4作→第2作→第3作となる。

- 本を購入する
- Amazon.co.jp
- 楽天ブックスTOP : 全品送料無料に
- 本のことならHonya Club.comにおまかせ!
: 書店受け取りで送料無料
多久 弘一 (著)
里文出版 (2002/10/1)
『聊斎志異』や『捜神記』、『子不語』など、中国の怪奇小説の話を収録しているアンソロジー。
この手の作品は大好きなのでしばしば読んでいるが、『聊斎志異』で既に知っている話が多かったり、他の作品でいまいちに感じる話が多かったりで、そこまでいい方の作品ではないように感じた。
好きな作品は狐と飲み友達になる話や、妖怪を騙してロバに化けた状態で売り飛ばしたりこきつかったりする話などで、残虐さが少な目の方が落ち着いて読むことができる。
また、「饅頭こわい」や「のっぺらぼう」などの日本での怪談話やとんち話のネタ元になったと思われる話もあり、面白い話はアレンジされて色々なところに伝わっていくものなのだと感じた。
![]() | 大器晩成―中国昔話大集〈2〉 (アルファポリス文庫) 話 梅子 アルファポリス 2008-01-01 Amazonで詳しく見る by G-Tools |

- 本を購入する
- Amazon.co.jp
- 楽天ブックスTOP : 全品送料無料に
- 本のことならHonya Club.comにおまかせ!
: 書店受け取りで送料無料