読書-警察小説:雨読夜話

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警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2016-08-04

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警視庁公安部・青山望シリーズの第8作で、今年開催された伊勢志摩サミットを舞台としている。

サミット警備で厳戒態勢の中、真珠の養殖で知られる英虞湾で死体が発見され、裏社会の情報をネタに企業や反社会勢力から金を得るブラックジャーナリストのものと判明した。
しかし三重県警では警備で人手不足ということもあって捜査が進まず、捜査一課の上席は元上司であり青山の同期でもある警察庁の藤中に相談することで話が展開する。

その頃青山は岡広組総本部と分裂した清水組の抗争の動きを探るために名古屋に出向いており、捜査二課の龍は農水省と独立行政法人、中国系企業にまつわる汚職事件を捜査していて、これらの事件がつながってくる。

青山が思わぬ人物を情報提供者としての関係を築いていたり、藤中や龍が青山の影響を受けて捜査に公安的な手法を取り入れていることなど、本作では見せ場が少ない大和田も含め、青山たち同期カルテットがそれぞれの持ち味を発揮している。

固有名詞は出していないものの、「つまらない男」や「なかまたちの代表」の話も含め、昨今の政治情勢や中国からのインバウンド消費の変化などを背景に取り入れていて、著者が執筆するスピードがかなり早いことに驚かされる。

小説としての完成度?はどうなのかよく分からないが、リアルさは本作でも存分に感じることができ、書かれている現実の重さに圧倒されながら読み進んだ。





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真贋
真贋今野 敏
双葉社 2016-06-21

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マル暴総監
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共犯捜査 (集英社文庫)


高橋克実 、榮倉奈々主演でドラマ化された捜査三課(盗犯担当)の活躍を描く警察小説である『確証』の続編。

萩原と秋穂は、狙ったもの「だけ」を盗む手口から「ダケ松」と呼ばれるベテランの泥棒が逮捕されたと聞き、取り調べに参加する。
萩原は逮捕時の状況から、ダケ松に盗みの弟子がいてかばったのではないかと疑いを持って問い詰めたところ、はぐらかそうとしたのか大物の故売屋(盗品を売りさばく業者)に近々大きな商いがあるとの話をしてくる。

ちょうど近い時期に渋谷のデパートで国宝「曜変天目」の特別展が開催されることが分かり、その天目茶碗のすり替えの恐れがあるということで、捜査二課(経済犯罪担当)から舎人(とねり)という若い警部補が捜査に関わってくる。

その舎人は学芸員の資格を持っているなど優秀な一方、他人の気持ちをあまり頓着しないエキセントリックな性格で周囲と摩擦を起こし、特に秋穂がいらだちを見せるシーンが出てくる。

そこから犯人と萩原たち警察、デパートの警備関係者などとの間でのやり取りが展開されていくことになる。
以前読んだ捜査三課の元刑事による『泥棒刑事』にもあったように、捜査三課ではプロ化した犯罪者が相手となることが多く、お互いに手の内を知っている部分があるのが難しさを加えていると感じた。

本作も面白く読むことができたのでさらなる続編、そして他の作家からも捜査三課や所轄の盗犯係が活躍する警察小説が出たら読んでみたい。






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ヒトイチ 内部告発 警視庁人事一課監察係 (講談社文庫)
ヒトイチ 内部告発 警視庁人事一課監察係 (講談社文庫)
濱 嘉之
講談社 2016-05-13

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警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
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警視庁人事一課・監察係長の榎本が活躍するシリーズ第3作。
「身代わり出頭」、「公安の裏金」、「内部告発の行方」の3作が収録されている。

「身代わり出頭」では警視庁幹部が所有していて息子の警部補が普段使用している自動車によるひき逃げが発生し、同乗していたと思われる女性が出頭してくる。
その供述があやふやな上に証拠隠滅を図った形跡がいくつも見られるなど不審な点が多く、事態は当初想定されていた以上に深い闇があることが分かってくる。

「公安の裏金」では公安総務課に人格的に問題のある課長が就任したことから、以前の作品でもたびたび榎本と協力してきた公安部の山下が重要な役割を果たしている。
山下は著者の他シリーズの主人公である公安部の青山を彷彿とさせるが、作品を出している出版社が異なるために青山ではなく山下を登場させているのだろう。

「内部告発の行方」ではパワハラがらみの内部告発をきっかけに、所轄だけでなく警務部の担当部署にも影響がある事件が描かれている。

極左や暴力団、反日国家の情報機関などによる警察への工作活動、資質に問題があるキャリアが幹部になってしまう官庁特有の問題など、おそらくモデルとなった事件がいくつもあった上で書かれていると思われ、その重さにたじろぎながらも読み進んでしまう。






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マル暴総監
マル暴総監今野 敏
実業之日本社 2016-05-20

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真贋
去就: 隠蔽捜査6
防諜捜査
マル暴甘糟
臥龍: 横浜みなとみらい署暴対係 (文芸書)


気が弱いマル暴の刑事である甘糟が活躍する『マル暴甘糟』の続編。

甘糟はある日半グレと多嘉原組の半ゲソ(準構成員)がにらみ合いをしていると通報があって様子を見に行くと、事態が収まりそうなところに白スーツの屈強な中年男性が割り込んでくるのを見つける。

その場は解散させたものの、翌日に半グレの1人が殺害されたために捜査本部ができ、本庁の捜査一課からも係長の土井が率いる班が参加する。
そして白スーツの男が犯人ではないかという想定で捜査がなされていくが、甘糟はひょんなことから白スーツの男の正体を知ってしまい、本人に口止めをされたためにドタバタを演じる羽目になる。

甘糟が組んでいるこわもての先輩である郡原が同期の土井と意地を張り合ったり、甘糟が捜査協力を依頼した警官たちから食事やキャバクラをたかられるなど、さまざまなエピソードが発生する。

前作からは郡原の他に多嘉原組のアキラ、そして著者の姉妹シリーズである阿岐本組シリーズから阿岐本組代貸(ナンバーツー)の日村も登場して話を盛り上げていく。

郡原の横暴さや適当さは相変わらずだが、ページが進むごとに彼の思慮深さが徐々に出てくるあたりも見ものである。

マル暴らしからぬキャラクターの甘糟が何だかんだぼやきながらもきっちり捜査を進めていく様が面白く、前作同様に一気に読み進んだ。






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潮流―東京湾臨海署安積班
潮流―東京湾臨海署安積班
今野 敏
角川春樹事務所 2015-08-28

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マル暴総監
プロフェッション
捜査組曲 東京湾臨海署安積班
防諜捜査
臥龍: 横浜みなとみらい署暴対係 (文芸書)


昨年夏に出された今野敏の代表的なシリーズの1つである、安積班シリーズの最新作。

夏の暑いある日、臨海署が比較的平穏な状態にあると思っていたら、別々の場所で3人が熱射病に似た症状で救急搬送されたとの無線が流れてくる。

これに須田が違和感を感じて安積に確認を進言したりしているうちに、その後3人が搬送先の病院で亡くなったことで事件性が出てきたので捜査が行われることになった。

本庁の捜査一課からは準レギュラー的存在となった池谷管理官と佐治係長のチームが捜査に参加し、プライドが高くて思い込みも所轄を見下す傾向も強い佐治が安積に突っかかるシーンがここでも多く出てくる。

捜査が難航している間に次の犯行が行われたり、安積班が過去に担当した事件の不審な点が浮上したりと、安積をはじめとして係員たちが苦労する様子がよく伝わってくる。

この苦境に対して交通機動隊小隊長の速水をはじめ、普段は安積をライバル視する相楽、刑事総務係の岩城、さらには臨海署の野村署長と、臨海署の面々が安積を助ける形となり、このシリーズの醍醐味のひとつであるチームワークの良さが出ている。

多くのキャラクターの個性がよく出ていて、本作も一気に読み進んだ。





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関連タグ : 今野敏, 安積班シリーズ,