FC2ブログ

読書-警察小説:雨読夜話

ここでは、「読書-警察小説」 に関する記事を紹介しています。




警視庁公安部・青山望シリーズの、完結編となる第12作。
東京マラソンと浅草の三社祭で覚せい剤による毒殺事件が連続して発生し、青山・藤中・大和田・龍のノンキャリア同期カルテットが一連の事件と背後に存在する疑惑の捜査に当たっていく。

彼らも署長を経験するなど40代後半?になったことでノンキャリア警察官としての上がりが見えてきて、次の進路を考える描写も目立ってくる。

このシリーズならではの重くてリアルな話が多く、日本の先行きが非常に心配になってくる。
北方領土の返還は無理そうだなとか、仮想敵国への牽制として根室、宗谷、佐渡、隠岐、対馬などに軍事基地を建設して在韓米軍を誘致するのも1つの手かもしれないと思ったりもした。

福岡県の大物政治家とか、トップ周辺にいた三人組の元政治家など、「ああ、あいつか!」と連想しやすいネタが会話の中で扱われているのも興味深い。

さすがに12作目となってマンネリ感やネタ切れ感があり、つまらない印象がある。
これは多分、神宮寺や袁のようにキャラが立ってそれなりに魅力のある悪役の不足による部分が大きいと思う。

著者も疲れを自覚したのか、編集者から売り上げや評判が落ちていることを指摘されたのか分からないが、時間の経過を早めることで幕引きを図ったのではないかと思っている。

シリーズを通しては非常に面白く、楽しませてもらった。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

関連タグ : 濱嘉之,

エムエス 継続捜査ゼミ2
Posted with Amakuri
今野 敏
講談社 2018/10/18


ノンキャリアの警察官を退官して女子大の教授に転身した人物が、ゼミの女子大生たちとともに未解決事件の捜査を行う警察小説『継続捜査ゼミ』シリーズの第2作。

本作では冤罪事件を扱うこととしたゼミ一同だったが、小早川自身が学内で発生したミスコン反対派のリーダーが遭った傷害事件の被疑者になってしまい、その対応がメインとなってしまう。
この点で、ゼミで選んだ事件と身近な事件との対比が前回と異なっている。

最初に学内を訪れた目黒署の地域課巡査部長・菅井の横柄さに小早川が腹を立てて反抗的な態度を取ったことで、強行犯係長の大滝からも「事件の前に被害者に会った人物が他に出てこない」こともあって執拗に小早川を追及してくるシーンが多い。
このあたりを読むと、警察組織の怖ろしさが伝わってくる。

ゼミで選んだ事件でも、第一発見者や最初に到着した捜査員の印象が大きく影響を与えることや、起訴されるかどうかの判断基準、起訴されてからも弁護側とのやり取りによってはひっくり返される場合があるなど、冤罪かどうかの判断が難しいことやその判断が多くの人々に大きな影響を与えること、一歩間違うことで正義に反してしまうことなどがよく描かれていると思う。

前作でも登場した警察官として安斎や保科、丸山なども引き続き活躍しているが、今回は小早川が被疑者ということで行動に制約が出ていることもあり、わりとシリアスな感じに描かれている。

梓、蘭子、麻由美、蓮、楓の5人のゼミ生もそれぞれ持ち味を生かして小早川の冤罪を晴らそうと活躍していて、ここも見所となっている。
このシリーズは3もありそうだと思っているので、期待して待つ。





にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏,



ノンキャリアの警察官を退官して女子大の教授に転身した人物が、ゼミの女子大生たちとともに未解決事件の捜査を行う警察小説。
2010年に殺人事件は時効となったことが本作の背景にあるようで、オダギリジョー主演のドラマ『時効警察』が放送されていた頃とは事情が変わっている。

主人公の小早川は刑事をしていた期間が長くて警察学校の校長を最後に退官し、幼馴染の学者の紹介で三宿女子大の教授となり、ゼミでは「継続捜査」として未解決事件を題材に捜査の演習を行っている。

ゼミ生は蘭子、梓、麻由美、蓮、楓の5人で、それぞれ法律、城、世界の謎、薬、武道と趣味とする知識の造詣が深く、事件の捜査に妙なところで役立ってくる。

小早川は警察学校時代の教え子で目黒署の刑事である安斎から未解決事件の題材を提供してもらって捜査の演習を始めるが、捜査を進めるうちに本庁の特命捜査対策室(継続捜査をする部署)の保科係長や丸山とも協力することとなる。
彼らは女子大生たちと会えるという下心を隠していないように見え、積極的に絡みたがる描写が多いのが面白い。

演習の題材となった老夫婦殺人事件だけでなく、ゼミ生や同僚の竹芝教授が遭遇した学内での事件も並行して捜査しており、徐々に皆の知見が増していくところが本作の醍醐味のように思える。

ページを追うごとに小早川が実は伝説の刑事として優秀な捜査員を多く育ててきたことが保科や安斎の口から語られていて、本人が謙遜しているのと対比をなしているのもいい。

キャラクターの関係性がうまくまとまっていて面白い作品なので、続編の『エムエス 継続捜査ゼミ2』も読んでみようと思う。





エムエス 継続捜査ゼミ2
Posted with Amakuri
今野 敏
講談社 2018/10/18

時効警察 DVD-BOX
Posted with Amakuri
オダギリジョー (出演), 麻生久美子 (出演), 三木聡 (監督, 脚本)
角川エンタテインメント 2006/06/23

にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏,

警視庁公安部・青山望 爆裂通貨 (文春文庫 は 41-11 警視庁公安部・青山望)
警視庁公安部・青山望 爆裂通貨 (文春文庫 は 41-11 警視庁公安部・青山望)
濱 嘉之
文藝春秋 2018-04-10

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
院内刑事 ブラック・メディスン (講談社+α文庫)
警視庁公安部・青山望 一網打尽 (文春文庫)
零れた明日 - 刑事の挑戦・一之瀬拓真 (中公文庫)
桜狼 鹿取警部補 (ハルキ文庫)
脅迫者 警視庁追跡捜査係 (ハルキ文庫)
死のマスカレード 冷たい狂犬 (角川文庫)
バグズハート - 警視庁組対特捜K (中公文庫)
鳩の血-警視庁公安0課 カミカゼ(2) (双葉文庫)
追撃の報酬 新・傭兵代理店 (祥伝社文庫)
臥龍: 横浜みなとみらい署暴対係 (徳間文庫 こ 6-36)


警視庁公安部・青山望シリーズの第11作。

ハロウィンの日に渋谷とハワイで、スーパーマリオの仮装をした集団が現れ、複数のATMが破壊された上にそれぞれの場所で射殺された死体が発見される事件が発生し、青山らの同期カルテットが捜査に当たることとなる。

捜査の過程で被害者は皆が日本人だが公式に把握できていない無戸籍者ということが発覚したり、狙われたのはATMの現金よりもOSが入った端末らしいと思われたりと、事件がより複雑であることが明かされていく。

今回もチャイニーズマフィアや北朝鮮の工作員の暗躍がなされていることや、無戸籍者に対する日本政府の対応の不備など、現代日本のリスクや問題点が描かれているのもリアルで重い。

特に、90年代後半に北朝鮮系の金融機関が血税で救済されたという話は非常に納得できない思いになる。

藤中が辞令を受けて警察庁でより幅広い活動ができるようになっていたり、新婚の青山が早くも妻の文子から尻に敷かれ始めている様子が描かれているなど、話の厚みを加えている部分も面白い。

本書もこのシリーズの魅力が存分に出ていて、興味深く読むことができた。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 濱嘉之,

黒涙
黒涙月村了衛
朝日新聞出版 2016-10-07

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
黒警 (朝日文庫)
機龍警察 狼眼殺手 (ハヤカワ・ミステリワールド)
ガンルージュ
水戸黄門 天下の副編集長 (文芸書)
影の中の影
追想の探偵
槐(エンジュ)
夜明けまで眠らない
神子上典膳 (講談社文庫)
機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)


中国の黒社会とつながる「黒色分子」として活動する組対部の警官である沢渡が主人公を務める警察小説『黒警』の続編。

本作では日本政府から中国への機密漏えいを受け、公安を中心とした対策チームが組織されて沢渡も配属を命じられるところから話が始まる。

敵は中国共産党政府とつながるチャイニーズマフィアや日本で活動する華人のネットワーク、そして日本の警察や政財界にいる協力者たちだが、用心深いために捜査に行きづまった沢渡が兄弟分であるマフィア「義水盟」の幹部である沈に相談したところ、インドネシアの若い実業家として活躍するラウタンを紹介して話が進む。

日本の社交界で華々しくデビューしたラウタンの前には峰不二子みたいな中国系の美女のシンシアが現われ、物語に大きく関わっていくこととなる。

著者の『機龍警察』にも見られるようなリアルさや重さ、そしてある種のベタさも話に華を加えていて、一気に読み進んでいった。
読んでいて気分のいい作品というわけでもないが、次が出たら読もうかと思ってしまう魅力がある。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 月村了衛,