読書-警察小説:雨読夜話

ここでは、「読書-警察小説」 に関する記事を紹介しています。


警視庁公安部・青山望 国家簒奪 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 国家簒奪 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2017-01-06

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警視庁公安部・青山望シリーズの第9作。

名古屋を拠点とする暴力団の若頭が、組で禁止されているはずの覚醒剤を取り引き後に爆殺されるところから話が始まる。
藤中がこの事件を、龍がユーロ建て生命保険にまつわる特殊詐欺事件を追うこととなり、青山と大和田も一連の事件を捜査していくこととなる。

コリアンマフィアとその背後にいるチャイナマフィアの関係、人民解放軍の困窮、ユーロ圏の混乱、各国での政治情勢、警察内部の反社会勢力への内通者の問題など、政治や社会に関する近年の話題を存分に盛り込んでいて、シリアスな話におののきながら読み進んでいくことになる。

オルレという韓国式トレッキングを九州で流行らせようとしていることに不愉快な思いをしたり、ある国の居住者の情報に関して外交上の駆け引きがあったり、度重なる暴露で税金逃れが難しくなった話などが印象に残る。

登場人物では悪役の大物が逮捕されたり殺害されたりして退場して小粒になってきたのが少しつまらないので、新たな悪役を登場させたほうがいいように感じた。
元組長の清水の存在感は安定しているし、青山の情報提供者となっている白谷もキャラが立ってきたので、これからの活躍にも期待できる。

そして、『孤独のグルメ』のような感じで、青山や藤中が出張先で舌鼓を打つ食べ物のシーンも魅力である。

フィクションの形態を取った警鐘を鳴らす作品であり、興味深く読んでいった。





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警視庁FC (講談社文庫)
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今野 敏
講談社 2014-09-12

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警視庁にFC(フィルム・コミッション)という、テレビや映画の撮影の便宜を図る部署が創設され、そこに配属された警察官がトラブルに巻き込まれるという警察小説。

警視庁の地域部総務課(交番の管理)に所属する楠木(くすき)はある日特命として警視庁FCへの兼務を命じられ、室長の長門や組対四課(マル暴)から来た山岡らとともに仕事をしていくことになる。
この楠木は警察官というよりも公務員としての意識が強く、平穏無事をひたすらに願うキャラクターとなっている。

何度か出動があった後、大物の映画監督と女優の組み合わせによる話題作の映画撮影の現場を担当することになったが、ここで殺害事件が発生する。
それなのに撮影を続行していたり、楠木から見て雰囲気があまりピリピリしていないように感じられるなどの違和感があるのだが、長門らの説明により釈然としないながらも仕事を続けていく。

本来であれば捜査本部の捜査員に引き継ぐべきところだが、楠木は山岡とともにFCの仕事に加えて捜査もさせられることとなり、独り言でのぼやきを連発する。

ひたすら余計な仕事をしたくないはずなのに、長門や山岡からは捜査がしたいと意気込んでいるかのように誤解されるシーンが出てきて、心の中でツッコミを入れているのが面白い。

楠木のキャラクターはこれも著者の作品である『マル暴甘糟』の主人公である甘糟に通じるものがあり、著者はお笑い路線での警察小説ではこのタイプが書きやすいのかもしれないと思った。

気軽に楽しく読める警察小説で、しばしば笑いながら読んだ。
あと1冊か2冊くらい続編が出てくれないかとも期待している。





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警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2016-08-04

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警視庁公安部・青山望シリーズの第8作で、今年開催された伊勢志摩サミットを舞台としている。

サミット警備で厳戒態勢の中、真珠の養殖で知られる英虞湾で死体が発見され、裏社会の情報をネタに企業や反社会勢力から金を得るブラックジャーナリストのものと判明した。
しかし三重県警では警備で人手不足ということもあって捜査が進まず、捜査一課の上席は元上司であり青山の同期でもある警察庁の藤中に相談することで話が展開する。

その頃青山は岡広組総本部と分裂した清水組の抗争の動きを探るために名古屋に出向いており、捜査二課の龍は農水省と独立行政法人、中国系企業にまつわる汚職事件を捜査していて、これらの事件がつながってくる。

青山が思わぬ人物を情報提供者としての関係を築いていたり、藤中や龍が青山の影響を受けて捜査に公安的な手法を取り入れていることなど、本作では見せ場が少ない大和田も含め、青山たち同期カルテットがそれぞれの持ち味を発揮している。

固有名詞は出していないものの、「つまらない男」や「なかまたちの代表」の話も含め、昨今の政治情勢や中国からのインバウンド消費の変化などを背景に取り入れていて、著者が執筆するスピードがかなり早いことに驚かされる。

小説としての完成度?はどうなのかよく分からないが、リアルさは本作でも存分に感じることができ、書かれている現実の重さに圧倒されながら読み進んだ。





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真贋
真贋今野 敏
双葉社 2016-06-21

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マル暴総監
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高橋克実 、榮倉奈々主演でドラマ化された捜査三課(盗犯担当)の活躍を描く警察小説である『確証』の続編。

萩原と秋穂は、狙ったもの「だけ」を盗む手口から「ダケ松」と呼ばれるベテランの泥棒が逮捕されたと聞き、取り調べに参加する。
萩原は逮捕時の状況から、ダケ松に盗みの弟子がいてかばったのではないかと疑いを持って問い詰めたところ、はぐらかそうとしたのか大物の故売屋(盗品を売りさばく業者)に近々大きな商いがあるとの話をしてくる。

ちょうど近い時期に渋谷のデパートで国宝「曜変天目」の特別展が開催されることが分かり、その天目茶碗のすり替えの恐れがあるということで、捜査二課(経済犯罪担当)から舎人(とねり)という若い警部補が捜査に関わってくる。

その舎人は学芸員の資格を持っているなど優秀な一方、他人の気持ちをあまり頓着しないエキセントリックな性格で周囲と摩擦を起こし、特に秋穂がいらだちを見せるシーンが出てくる。

そこから犯人と萩原たち警察、デパートの警備関係者などとの間でのやり取りが展開されていくことになる。
以前読んだ捜査三課の元刑事による『泥棒刑事』にもあったように、捜査三課ではプロ化した犯罪者が相手となることが多く、お互いに手の内を知っている部分があるのが難しさを加えていると感じた。

本作も面白く読むことができたのでさらなる続編、そして他の作家からも捜査三課や所轄の盗犯係が活躍する警察小説が出たら読んでみたい。






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ヒトイチ 内部告発 警視庁人事一課監察係 (講談社文庫)
ヒトイチ 内部告発 警視庁人事一課監察係 (講談社文庫)
濱 嘉之
講談社 2016-05-13

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警視庁人事一課・監察係長の榎本が活躍するシリーズ第3作。
「身代わり出頭」、「公安の裏金」、「内部告発の行方」の3作が収録されている。

「身代わり出頭」では警視庁幹部が所有していて息子の警部補が普段使用している自動車によるひき逃げが発生し、同乗していたと思われる女性が出頭してくる。
その供述があやふやな上に証拠隠滅を図った形跡がいくつも見られるなど不審な点が多く、事態は当初想定されていた以上に深い闇があることが分かってくる。

「公安の裏金」では公安総務課に人格的に問題のある課長が就任したことから、以前の作品でもたびたび榎本と協力してきた公安部の山下が重要な役割を果たしている。
山下は著者の他シリーズの主人公である公安部の青山を彷彿とさせるが、作品を出している出版社が異なるために青山ではなく山下を登場させているのだろう。

「内部告発の行方」ではパワハラがらみの内部告発をきっかけに、所轄だけでなく警務部の担当部署にも影響がある事件が描かれている。

極左や暴力団、反日国家の情報機関などによる警察への工作活動、資質に問題があるキャリアが幹部になってしまう官庁特有の問題など、おそらくモデルとなった事件がいくつもあった上で書かれていると思われ、その重さにたじろぎながらも読み進んでしまう。






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