読書-警察小説:雨読夜話

ここでは、「読書-警察小説」 に関する記事を紹介しています。


黒涙
黒涙月村了衛
朝日新聞出版 2016-10-07

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
黒警 (朝日文庫)
機龍警察 狼眼殺手 (ハヤカワ・ミステリワールド)
ガンルージュ
水戸黄門 天下の副編集長 (文芸書)
影の中の影
追想の探偵
槐(エンジュ)
夜明けまで眠らない
神子上典膳 (講談社文庫)
機忍兵零牙 (ハヤカワ文庫JA)


中国の黒社会とつながる「黒色分子」として活動する組対部の警官である沢渡が主人公を務める警察小説『黒警』の続編。

本作では日本政府から中国への機密漏えいを受け、公安を中心とした対策チームが組織されて沢渡も配属を命じられるところから話が始まる。

敵は中国共産党政府とつながるチャイニーズマフィアや日本で活動する華人のネットワーク、そして日本の警察や政財界にいる協力者たちだが、用心深いために捜査に行きづまった沢渡が兄弟分であるマフィア「義水盟」の幹部である沈に相談したところ、インドネシアの若い実業家として活躍するラウタンを紹介して話が進む。

日本の社交界で華々しくデビューしたラウタンの前には峰不二子みたいな中国系の美女のシンシアが現われ、物語に大きく関わっていくこととなる。

著者の『機龍警察』にも見られるようなリアルさや重さ、そしてある種のベタさも話に華を加えていて、一気に読み進んでいった。
読んでいて気分のいい作品というわけでもないが、次が出たら読もうかと思ってしまう魅力がある。






にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト

関連タグ : 月村了衛,

警視庁公安部・青山望 一網打尽 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 一網打尽 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2017-12-05

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
カルマ真仙教事件(下) (講談社文庫)
オリエンタル・ゲリラ: 警視庁公安J (徳間文庫)
カルマ真仙教事件(中) (講談社文庫)
カルマ真仙教事件(上) (講談社文庫)
時限捜査 (集英社文庫)
警視庁公安部・青山望 国家簒奪 (文春文庫)
烏合 (幻冬舎文庫)
闇の叫び アナザーフェイス9 (文春文庫)
棲月: 隠蔽捜査7
精鋭 (朝日文庫)


警視庁公安部・青山望シリーズの第10作。

青山が妻の文子と京都の祇園祭に行ったところ、コリアンマフィアのスリ集団がチャイナマフィアに射殺される事件を目撃してしまうところから話が始まる。

北朝鮮や中国によるサイバー攻撃やマフィアによるランサムウェアを用いた仮想通貨の詐取、国際情勢などもあってコリアンマフィアがチャイナマフィアの支配下に入りつつある状況など、必ずしも報道されるとは限らない犯罪やテロに関する話が扱われている。

芸能界におけるチャイナマフィアやコリアンマフィアの影響、半グレの扱いづらさ、仮想通貨の暴落が国際的な意図が絡んでいた可能性なども出てきて、世界はさまざまな危険に満ち溢れていることを思い起こさせる。

敵としては青山らが逮捕した袁偉仁のいとこに当たる袁劉翔というコンピュータ技術者崩れの悪人が登場し、小物な気もするが今後出所してくるであろう神宮寺武人などとの関連もあるので、さらに話は複雑になっていくのかもしれない。

青山とカルテットを組む藤中、大和田、龍らもそれぞれ持ち味を出していて、中でも博多好きで出張の際は「博多克範」と自称する藤中の濃さが存分に出ているところが面白い。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 濱嘉之,

道標 東京湾臨海署安積班
道標 東京湾臨海署安積班
今野敏
角川春樹事務所 2017-11-30

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
棲月: 隠蔽捜査7
時限捜査 (集英社文庫)
卑劣犯 素行調査官
絶望の歌を唄え
ノーマンズランド
俺はエージェント
鷹の砦 警視庁捜査一課十一係 (講談社ノベルス)
変幻
警視庁公安部・青山望 一網打尽 (文春文庫)
総力捜査 (新潮文庫)


今野敏の安積班シリーズにおける最新の連作短編集。

安積が警察学校時代、中央署で地域課の交番勤務をしていた時期、目黒署で刑事課強行犯係に着任した頃の話、初期の臨海署に着任した時のエピソードなど、安積の若い頃を描いた作品が多い。
また、水野が同期の須田の過去を語る回や、安積が研修に出ている間に村雨が係長代理として安積のことを考える回など、このシリーズの設定にさらなる厚みを加える役割を果たしている。

語り手も安積や村雨、水野といった安積班のレギュラーメンバーの他に、安積や速水と警察学校の同期だった人物(名前は出てこない)、目黒署の強行犯係で安積を指導した三国、臨海署で鑑識係長を務める石倉、初期の臨海署で安積班に所属していた大橋など、さまざまな人物に安積班の面々を語らせているのがうまい。

ここでも須田が語り手になることはなく、本シリーズをドラマ化した『ハンチョウ』シリーズで須田を演じるドランクドラゴンの塚地武雅にキャラクターが近づいているような気がするところも面白い。

また、自己顕示欲が旺盛で同期の安積との掛け合いが面白い、交機隊の小隊長を務める速見もあちこちで登場して話を盛り上げているのもいい。

安積班シリーズをさらに面白くしている1冊だと思う。
本作では安積にライバル意識を燃やす強行犯二係の相楽がほとんど登場していないので、次回以降での活躍を期待している。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏, 安積班シリーズ,

警視庁公安部・青山望 国家簒奪 (文春文庫)
警視庁公安部・青山望 国家簒奪 (文春文庫)
濱 嘉之
文藝春秋 2017-01-06

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
院内刑事 (講談社+α文庫)
警視庁情報官 ゴーストマネー (講談社文庫)
警視庁公安部・青山望 聖域侵犯 (文春文庫)
ブラックチェイン: 警視庁公安J (徳間文庫)
連写 TOKAGE 特殊遊撃捜査隊 (朝日文庫)
紅の五星 冷たい狂犬 (角川文庫)
襲撃 (実業之日本社文庫)
警視庁公安部・青山望 頂上決戦 (文春文庫)
ACT2 告発者 警視庁特別潜入捜査班 (講談社文庫)
内通者 (朝日文庫)


警視庁公安部・青山望シリーズの第9作。

名古屋を拠点とする暴力団の若頭が、組で禁止されているはずの覚醒剤を取り引き後に爆殺されるところから話が始まる。
藤中がこの事件を、龍がユーロ建て生命保険にまつわる特殊詐欺事件を追うこととなり、青山と大和田も一連の事件を捜査していくこととなる。

コリアンマフィアとその背後にいるチャイナマフィアの関係、人民解放軍の困窮、ユーロ圏の混乱、各国での政治情勢、警察内部の反社会勢力への内通者の問題など、政治や社会に関する近年の話題を存分に盛り込んでいて、シリアスな話におののきながら読み進んでいくことになる。

オルレという韓国式トレッキングを九州で流行らせようとしていることに不愉快な思いをしたり、ある国の居住者の情報に関して外交上の駆け引きがあったり、度重なる暴露で税金逃れが難しくなった話などが印象に残る。

登場人物では悪役の大物が逮捕されたり殺害されたりして退場して小粒になってきたのが少しつまらないので、新たな悪役を登場させたほうがいいように感じた。
元組長の清水の存在感は安定しているし、青山の情報提供者となっている白谷もキャラが立ってきたので、これからの活躍にも期待できる。

そして、『孤独のグルメ』のような感じで、青山や藤中が出張先で舌鼓を打つ食べ物のシーンも魅力である。

フィクションの形態を取った警鐘を鳴らす作品であり、興味深く読んでいった。






にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 濱嘉之,

警視庁FC (講談社文庫)
警視庁FC (講談社文庫)
今野 敏
講談社 2014-09-12

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
ST 化合 エピソード0 警視庁科学特捜班 (講談社文庫)
確証 (双葉文庫)
欠落 (講談社文庫)
宰領: 隠蔽捜査5 (新潮文庫)
38口径の告発: 歌舞伎町特別診療所 (徳間文庫)
熱波 (角川文庫)
同期 (講談社文庫)
ST 沖ノ島伝説殺人ファイル<警視庁科学特捜班> (講談社文庫)
クローズアップ (集英社文庫)
襲撃 (実業之日本社文庫)


警視庁にFC(フィルム・コミッション)という、テレビや映画の撮影の便宜を図る部署が創設され、そこに配属された警察官がトラブルに巻き込まれるという警察小説。

警視庁の地域部総務課(交番の管理)に所属する楠木(くすき)はある日特命として警視庁FCへの兼務を命じられ、室長の長門や組対四課(マル暴)から来た山岡らとともに仕事をしていくことになる。
この楠木は警察官というよりも公務員としての意識が強く、平穏無事をひたすらに願うキャラクターとなっている。

何度か出動があった後、大物の映画監督と女優の組み合わせによる話題作の映画撮影の現場を担当することになったが、ここで殺害事件が発生する。
それなのに撮影を続行していたり、楠木から見て雰囲気があまりピリピリしていないように感じられるなどの違和感があるのだが、長門らの説明により釈然としないながらも仕事を続けていく。

本来であれば捜査本部の捜査員に引き継ぐべきところだが、楠木は山岡とともにFCの仕事に加えて捜査もさせられることとなり、独り言でのぼやきを連発する。

ひたすら余計な仕事をしたくないはずなのに、長門や山岡からは捜査がしたいと意気込んでいるかのように誤解されるシーンが出てきて、心の中でツッコミを入れているのが面白い。

楠木のキャラクターはこれも著者の作品である『マル暴甘糟』の主人公である甘糟に通じるものがあり、著者はお笑い路線での警察小説ではこのタイプが書きやすいのかもしれないと思った。

気軽に楽しく読める警察小説で、しばしば笑いながら読んだ。
あと1冊か2冊くらい続編が出てくれないかとも期待している。





[その後出た続編]
カットバック 警視庁FC2カットバック 警視庁FC2

今野 敏
毎日新聞出版 2018-04-18

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏,