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読書-思想(東洋):雨読夜話

ここでは、「読書-思想(東洋)」 に関する記事を紹介しています。



出口 治明 (著)
KADOKAWA (2019/12/7)


唐の太宗・李世民と家臣たちの問答をまとめた『貞観政要』を元に、ビジネスに活かす方法を語っている作品。
その性質上、リーダーとなる人にも、部下として意見を出す立場の人にも役立つ内容となっている。

著者が勤めていた日本生命、創業したライフネット生命、現在学長を務める立命館アジア太平洋大学での、上司や先輩、部下などとのやり取りも例として挙げられていて、具体的な内容となっている。

著者は部下たちから「出口さんってアホですね」みたいにズケズケとダメ出しをされるようで、これは忌憚のない意見を出しても怒られない雰囲気を作ってきたためだろうと思う。

周囲に厳しい意見を出してくれる人がいることの重要性や、例え話を活用した説得方法、書類をこまめに訂正するようなことも意見をコロコロ変えることに当たるなど、組織で働く上で参考になる話が多い。

著者の考えが強く出ていると思われるのは、人間の能力差は小さくて上司はあくまで役割であるという話と、人間の器は努力してもそれほど大きくなるものではないので中身を一旦捨てて他人の考えを受け入れる余地を作るという話である。
特に後者は、以前何かで読んだ禅宗の僧侶の話と通じる部分があり、いかに思い込みやこだわりで頭を占めているかを再認識させてくれる。
おそらく器から何かを捨てることは難しくても、すぐに戻すことは容易だとも思う

李世民が西域に使者を送り出した後に別の使者を出そうとして家臣から諫言されるなど、他の類書ではあまり扱われていないと思われる話も入っていて、興味深く読むことができた。





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守屋 洋 (著)
プレジデント社 (2005/11/25)


唐の太宗・李世民が魏徴などの家臣たちとのやり取りを記録した『貞観政要』の一部を現代語訳して解説している作品。

著者の作品で同じテーマの『貞観政要』も既に読んでいるが、本書の方はより著者の話が長くなっている。

扱われている話にも違いがあり、本書では治世が13年目に入って李世民が少し政治に飽きたのかわがままな傾向が出てきたことに対し、魏徴が10項目にわたるダメ出しの上書が扱われているところが印象に残る。
かなり手厳しいことが書かれていて、処罰されるリスクを冒して上書した魏徴も、これを受け入れて褒美を出した李世民も立派な人物だったということになる。
(これが始皇帝とか朱元璋だったら、すぐに処刑されてもおかしくない)

著者は漢の高祖・劉邦や『三国志』で有名な曹操、山本五十六、唐の玄宗皇帝などのエピソードも加え、話をより分かりやすくしている。

また、日本では教育に力を入れる傾向があるのに対し、中国では教育はせずにとにかく人材を探すという違いがあるという話、人を見る上で能力、性格、学識のどれを優先するかが時代によって異なるという話などが面白かった。

いい古典ということを再認識でき、本書もまた興味深く読んだ。






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超訳 論語
許 成準
彩図社 2012/3/17



『論語』の言葉を見開き2ページで右に原文と現代語訳、左に具体的なエピソードを上げての解説文という構成で書かれている作品。

この著者の作品は、例えに使っているエピソードが現代の企業や経営者などによる初めて知るものが多く、ありきたりな例を使っていないところがいい。

例えばグーグル、『ターミネーター』や『アバター』などで知られる映画監督のジェームズ・キャメロン、スティーブ・ジョブズ、ウォーレン・バフェット、孫正義などで、具体的で分かりやすい。

儀礼などの現代で役立てにくい話をばっさりカットしているのもいいし、職権の話を「その職位にいる人への敬意・配慮」と読み替えているのも的確だと感じる。

孔子の弟子たちや各国の政治家たちといった登場人物の説明を最小限に抑えてくれているのも、この手の知識を既に得ている側からすると助かる。

著者はあとがきで、古典で長く残るものは「確実に面白い本」(『三国志演義』や『アラビアンナイト』)か「確実に役立つ本」(『孫子の兵法』や『君主論』)だとして、『論語』も現実的なことが書かれた「確実に役立つ本」という話も納得しやすい。

本書もまた読みやすく役立ったと感じるので、他の著作も続けて読んでみようと思う。






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守屋 洋 (著)
PHP研究所 (2012/11/27)


PHP研究所から出ている古典の言葉を現代語したシリーズの1冊で、『孟子』の言葉と現代語訳を右ページ、著者の解説文が左ページという見開きで構成されている。

著者の作品は解説での説教臭さが鼻につくが、本書では特にその傾向が著しいと感じた。
これはおそらく、『孟子』の言葉自体の熱さ・ウザさと、著者のウザさ・老害ぶりが相乗効果を上げているためと思われ、なかなか強烈である。

「昔は良かったが今は道徳が廃れてダメ」とか「昔はどこにでもいた、面倒見が良くて筋の通った人々はどこに行ったのだろう?」といった趣旨の言葉がいくつも出てきて、著名人がSNSでつぶやいたら炎上しそうなものが多い。

これは斉の宣王や魏の恵王との問答の雰囲気や背景などがそぎ落とされていて、言葉だけの響きだけが強く出たための可能性もあるかと思っている。

『孟子』の言葉自体は理想主義的でちょっと重いものが多いが、「賢いと余計なものまで詮索してしまう」みたいに味わい深いものも多いので、もう少し他の作品も読んだ方がいいかもしれない。






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知識ゼロからの論語入門
谷沢 永一 古谷 三敏
幻冬舎



文芸評論家の谷沢永一が『論語』の言葉から人生論やビジネス論を語った文章と、バーを舞台とした漫画『Barレモン・ハート』のキャラクターによる挿絵で構成された作品。

訳文の時点でかなり谷沢氏による解説というか意見が書かれていて、さらに現代だとこうなるとか、昔に比べて・・・みたいな語りが書かれていて、『論語』で扱われていた言葉の趣旨からはみ出しているところも多く、「入門」というタイトルにはそぐわないような気がする。

谷沢氏の文章だけだったら主張のくどさにより読むのがキツかったと思うが、『レモン・ハート』の挿絵がくどさを緩和してくれる働きを果たしている。
ただ、私が『レモン・ハート』を読んでいてその魅力を感じていたためかもしれず、未読の人からするとそれでもいまいちな感じを受けるかもしれない。

これまで読んだ谷沢氏の作品は当たり外れが大きいように思え、本書も文章だけだとハズレに入ると思う。
なぜこうなるかというと、谷沢氏は自由に書いていい場合は駄作『聖徳太子はいなかった』みたいにダラダラと自己主張を書いていく人で、どれだけ編集者がコントロールできたかにより作品の出来不出来が出たためではないか?と思っている。






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