FC2ブログ

読書-SF(日本:長編):雨読夜話

ここでは、「読書-SF(日本:長編)」 に関する記事を紹介しています。



月村 了衛 (著)
早川書房 (2010/9/22)


忍術使いが活躍する小説を、SF仕立てで描いているような小説。

無限王朝の勢力によって滅ぼされそうになった王が、嫡子と姫を同盟者の元に逃すよう、伝説の忍者組織・光牙(こうが)の1人である零牙(れいが)に依頼するところから話が始まる。

無限王朝からは骸魔六機忍と呼ばれる凄腕の忍者たちが追ってきて、零牙やその仲間たちと壮絶な忍術での戦いが繰り広げられるという話になっている。

戦い方では亜空間への移動や稲妻を飛ばす戦法、高速での移動、オーロラによる攻撃など、忍術使いが出てくる小説に出てくる道具立てをSFで表現したようなものが多い。

また、光牙の者たちは元の世界の記憶を断片的に持っていて、異世界転生もの小説のダーク版と捉えることもできる。

設定の変なところは突っ込まず、単純に楽しめばいい作品ということになる。





にほんブログ村 本ブログへ
スポンサーサイト




関連タグ : 月村了衛,


銅 大 (著)
早川書房 (2017/11/21)


名門を勘当された若旦那が辺境の宇宙港に流れ着き、旧知の少女とともに合成食糧による食料事情を改善しようと奮闘するスペースオペラ。

若旦那は人柄はいいものの無能と判断されたのか、名門の当主を追放されて辺境の宇宙港・デルタ3に腰を落ち着けようとする。
そして知識不足もあって栄養失調に陥って行き倒れかけたところ、かつて若旦那の家で働いていて現在は祖父が作った食堂を再興しようとしていた少女・コノミに助けられる。

この作品の設定では宇宙での食べ物は多くが合成によるもので味がひどいものが多いらしく、コノミも祖父が遺したレシピを持っているものの活用が難しい描写が多く出てくる。
一方で若旦那は当主だったころに食べていた美食の記憶があるため、料理自体はできないもののどうやったらおいしくなるかの検討ができるようで、コノミとともに研究している。

また、昔は<太母>と呼ばれるAIが人類を保護していたが、<涅槃>へ旅立って人類からすると不便なことが増えたなど、壮大な設定が後半の話に影響を与えていく。

登場する食事はあまりおいしそうに見えないし、色々とくせのある作品だと思うが、それなりに楽しめた。





にほんブログ村 本ブログへ

宇宙人相場 (ハヤカワ文庫JA)
宇宙人相場 (ハヤカワ文庫JA)
芝村 裕吏
早川書房 2014-11-21

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
富士学校まめたん研究分室 (ハヤカワ文庫JA)
この空のまもり (ハヤカワ文庫JA)
猟犬の國
セルフ・クラフト・ワールド 1 (ハヤカワ文庫JA)
セルフ・クラフト・ワールド 2 (ハヤカワ文庫JA)
セルフ・クラフト・ワールド 3 (ハヤカワ文庫JA)
雲英の魔術
マージナル・オペレーション改 02 (星海社FICTIONS)
遙か凍土のカナン7 旅の終わり (星海社FICTIONS)
マージナル・オペレーション改 01 (星海社FICTIONS)


35歳男性のオタクである高野という主人公が彼女の父親から半強制的に勧められて投資をすることになり、宇宙人?とのメールをやり取りも発生している小説。

高野はオタク趣味が高じてグッズ会社を経営していたが、婚活を考えていた矢先に妙(たえ)という病弱で少しエキセントリックなところのある女性と知り合い、これまた変わり者の父親から個人投資家としての活動をするように命じられる。
指定された投資手法はデイトレードよりもさらに短期で売買を繰り返すスカルピングというもので、筋がいいのか続けていくことになる。

そして高野が使用する携帯電話のメールアドレスに”金融とは何か?”のように端的に質問をしてくるメールが届くようになり、面白がって返信をしていると、どうやら宇宙人が書いているのでは?という疑惑を持つようになる。
話はリーマンショック前後を扱っていて、何度か市況が荒れるタイミングとメールのタイミングがリンクしているように感じられたことも、高野の疑惑を増していく。

高野と妙、そして妙の両親といった濃い人々のやり取り、高野がしばしばアニメの言葉を使用してしまうこと、そして株式投資の手法や金融についての学習やおさらいをすることができるようにもなっていることなど、ゆるい舞台設定ながら思っていた以上に楽しむことができた。

著者の他の作品にも関心を持ったので、どれか読んでみようと思う。






にほんブログ村 本ブログへ

時空の巫女 (ハルキ文庫)
時空の巫女 (ハルキ文庫)
今野 敏
角川春樹事務所 2009-05

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
軌跡 (角川文庫)
殺人ライセンス (実業之日本社文庫)
海に消えた神々 (双葉文庫)
バトル・ダーク―ボディーガード工藤兵悟〈3〉 (ハルキ文庫)
心霊特捜 (双葉文庫)


アイドル発掘の話から超能力者に深層心理、そして次元や予知といったところに話が展開していくSF作品。

芸能プロダクションの関連会社社長である飯島は親会社社長の中根からアイドルプロデュースを命じられ、部下の曽我とともにアイドル候補探しをするうちに、「ちあき」という名の2人の女性と出会う。

これとは別に自衛隊の情報部門に所属する綾部は、米軍の超能力者の研究をしている機関から大爆発で甚大な被害が出る現象と「チアキ」という女性の救世主の夢を見る超能力者が多いため調査に協力してほしいとの要請を受けて困惑するが、上司の指示もあって来日したマクルーハン教授とともに調査に当たることとなる。

この2つの話が途中からリンクし、破局を回避するにはどうしたらいいかという流れで話が進んでいく。

書かれたのが90年代後半ということで、ノストラダムスの大予言がブームとなっていたことが反映されたものと思われるが、次元や多元宇宙(パラレルワールド)の話が続いたりしてついていくのがつらかったりする。

著者の作品の中では、安積班シリーズの『イコン』『蓬莱』、他には『神々の遺品』あたりが近いように感じた。
全体的には、まあそこそこという内容だった。



にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 今野敏,

コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)
コロロギ岳から木星トロヤへ (ハヤカワ文庫JA)
小川 一水 (著), 橋本晋 (イラスト)
早川書房 2013-03-29

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

関連商品
天冥の標VII 新世界ハーブC (ハヤカワ文庫JA)
臨機巧緻のディープ・ブルー (朝日ノベルズ)
宇宙軍士官学校―前哨― 3 (ハヤカワ文庫JA)
宇宙軍士官学校―前哨―4 (ハヤカワ文庫JA)
深紅の碑文 (上) (ハヤカワSFシリーズJコレクション)


小川一水による、21世紀の地球と23世紀の小惑星の間でやりとりがなされる時間SF。

23世紀、ヴェスタに敗戦して占領下に置かれたトロヤの少年リュセージとワランキは、展示されていた昔の宇宙戦艦を探索していたところ謎の存在を見つける。

一方、21世紀に飛騨のコロロギ岳山にある天体観測所で観測に当たっている天文学者の百葉(ももは)はある朝、異変に遭遇することとなる。

そしてリュセージとワランキが危機に追い込まれている状態だったため、コロロギ岳とトロヤの宇宙戦艦との間で、時空を越えてのコンタクトがなされていく。

時間に関するパラドックスや干渉が発生するところやパラレルワールドっぽい展開は、以前読んだ鯨統一郎の『タイムスリップ森鴎外』に始まるシリーズや、J・P・ホーガンの『未来からのホットライン』、などを思い起こした。

ネタバレになるのでこれ以上内容については触れないが、パラドックスでこんがらがりそうな題材なのに、軽妙に話を進めているのは著者らしくて面白かった。




にほんブログ村 本ブログへ

関連タグ : 小川一水,