読書-歴史(日本:古代):雨読夜話

ここでは、「読書-歴史(日本:古代)」 に関する記事を紹介しています。


古代史の謎は「鉄」で解ける (PHP新書)
古代史の謎は「鉄」で解ける (PHP新書)
長野 正孝
PHP研究所 2015-10-16

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日本海を介した鉄の交易という視点から、古代史を読み解いている歴史読み物。
著者の『古代史の謎は「海路」で解ける』が面白かったので、本書も続けて読んだ。

「倭国」を中世ヨーロッパにおけるハンザ同盟に例え、朝鮮半島の西南部、九州、出雲、丹後、北陸、信州、群馬といった地方に点在する都市国家の同盟のようなものではなかったかという形で話を組み立てている。

それが騎馬民族の高句麗に押しまくられて半島から撤退に追い込まれ、その結果として百済などから工人が大阪湾岸に移住して日本と朝鮮半島で技術力や工業力が逆転して行ったのではないかという話につなげている。

そして瀬戸内海は治安や補給の問題があって交易路として使用できなかった時代が長く、日本海側の方が多く使用されていたということを強調し、現代の視点で判断してしまう傾向に注意している。

前方後円墳については、元々は陵墓という性質のものだったのが、後に鉄などを取り引きする貿易センターのような役割を果たすようになったとしていて、埴輪はさまざまな言葉を話す人々にとって分かりやすい看板やパーティションとして使用されたのではないかという仮説も面白い。

現在の日本の歴史学界に対しては、古代のさまざまな事象を「王権」、「祭祀」、「神道的な考え方」という言葉で片付けてしまう傾向に対して異論を唱えていて、確かにもっと掘り下げるべきポイントはありそうだと思った。

著者は港湾を多く手がけた建設官僚だったそうで、竹村公太郎氏と近い経歴のようである。
著者に対しては古代だけでなく、中世や近世の水上交通などをテーマとした本も書いてほしいと思う。





[参考文献に挙げられていた作品]


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地図で読む「魏志倭人伝」と「邪馬台国」 (PHP文庫)
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武光 誠
PHP研究所 2014-11-06

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古代の東アジアを視野に入れた形から、『魏志倭人伝』とそれに書かれている邪馬台国のことを考察している作品。

著者は邪馬台国の所在地については九州説を採用している。
そして距離が長く書かれている理由としては魏の実力者で『三国志』でも知られる司馬懿が、ライバルの曹真が中央アジアの大月氏(クシャーナ朝)と外交関係を結んだことへの対抗上として、日本は遠くにある大国だと思わせたかったという説を語っている。

このように本書では『三国志』のような中国の歴史書ではあまりメインで出てこない周辺の異民族についての話が多く、例えば劉備元徳や諸葛孔明で知られる蜀が魏との戦いではチベット系の部族の協力を得ていたことや、漢が朝鮮半島に置いた楽浪郡が東方の出先機関として交易で栄えていた話が書かれていて面白い。

中国の時代も『三国志』の時代だけでなく前代の漢や後の西晋、五胡十六国時代、南北朝時代、隋・唐までと幅広く扱っていて、周辺では他に遼東半島の公孫氏政権や高句麗などのことも書かれている。

一般的な歴史読み物で書かれているよりも広いスケールから書かれていて、興味深く読むことができた。






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関連タグ : 武光誠,

地図で読む日本の古代史―90分でわかる!「日本と日本人」の始まり (知的生きかた文庫)
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日本の古代史における重要事件や謎について、地図を用いて具体的な場所とともに解説している作品。
文章で知っている内容でも、具体的に地図上のどのあたりで行われたことなのかが明示されているので分かりやすい。

例えば飛鳥、難波、近江京、藤原京、平城京、長岡京、平安京といった都の位置がどのように移っていき、どのような位置関係にあるか分かるとその事情も伝わりやすくなる。
特に、聖武天皇が何度も遷都を行った話では、近畿地方のあちこちに行っていたので廷臣や領民の方々はさぞ大変だっただろうことが想像できる。

そして神武東征のような神話のエピソードや、壬申の乱、藤原広嗣の乱、恵美押勝の乱といった戦乱における各軍の進路などが書かれているのを見ると、改めて平安時代以前は貴族も積極的に戦闘を行っていたのだと分かって興味深い。

律令などの法律がらみの話ではそれほど地図が必要ないような気がしたり、古墳の位置などではもう少し位置の図解が欲しかったりと、配分についてはちょっと思うところもあるが、全体的には興味深く読むことができた。





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中田 力
PHP研究所 2012-02-15

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医学や複雑系に関して著名な科学者による、日本の古代史を科学の視点を用いて考察している作品。

材料は『魏志倭人伝』をはじめとする中国側の史料と、『古事記』、『日本書紀』といった日本側の史料で、それらは当時の最高レベルにいた知識人によって書かれたものなので、一定の根拠があるという考え方で扱われている。

まず、邪馬台国の所在について、これまでは資料に記されている地名と現在の地名とのつながりにこだわりすぎてきたとし、当時の海岸線や地形、交通手段の合理性などから類推している。

その結果、『魏志倭人伝』で書かれている伊都国は従来疑われていなかった糸島市ではなくて佐賀県多久市周辺、奴国は佐賀市周辺、投馬国が熊本平野ときて、邪馬台国が宮崎平野にあったと推定しているのに興奮する。
さらに邪馬台国のライバルとされる狗奴国は都城あたりだろうとまで当たりをつけている。

そして記紀にある天皇の在位期間を統計的にどれくらいの割合で盛っていたかを計算の上で活躍した年代を推定したり、東アジア一体の遺伝子情報から長江下流域から日本に移住した人々が多かったことを読み解いたりしている。

その上で各地に残る言い伝えや神社や遺跡の分布などを踏まえ、奴国が呉の出身者、邪馬台国が徐福が連れてきた一団、出雲が越の滅亡で旧呉国から流れてきた人々だったと思い切った説を打ち出している。

そして国譲りにあっさり同意した事代主の家系が皇后を輩出していたことや、神武天皇、崇神天皇、応神天皇、継体天皇の代でそれぞれ皇室に変化があったことなどの解釈を行っている。

きっぱり断言するにはちょっと弱いところも多いように感じるが、一般的に語られてきた日本古代史とはかなり様相が異なっていて面白い。
著者の他の作品である、『科学者が読み解く日本建国史』も読んでみたい。





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古代史の謎は「海路」で解ける (PHP新書)
古代史の謎は「海路」で解ける (PHP新書)
長野 正孝
PHP研究所 2015-01-16

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港湾行政などに関わってきた元建設官僚による、古代史を海路や船の観点から考察している作品。
『日本書紀』で編纂に携わった舎人親王が海についての知識が乏しかったとし、苦しいと思われる部分で実はこうだったのでは?というスタイルで書かれている。

史料に邪馬台国などが出てくる時代は帆船が登場する前で手漕ぎ舟が主流で、瀬戸内海ではなく干潟が多かった日本海側が主な交易ルートだったところまではそうかもしれないと思っていたが、半島を海沿いに航行するのが危険なために川沿いに船を引っ張って陸路を横断することが多かったという話に驚いた。

丹後半島や能登半島の付け根にあたる地方で船を引きずっていた名残と思われる遺跡があることや、古代の日本の船に竜骨がなくて船底が平らなのもそのためだという。
そして九州と出雲、丹後、敦賀といった地方が交易で栄えていて、河内の王だと思われている応神天皇が丹後の王だったのではないかという話につながっている。

雄略天皇が敵対してきた吉備を平定したことで瀬戸内海ルートが使用できるようになった話や、継体天皇が敦賀から琵琶湖北岸地方を本拠としていて敦賀から難波への交易ルートを開いたなど、大和を中心に書かれている『日本書紀』とはかなり異なった様相で古代史が書かれている。

古代史についての想像に新たな要素を加える作品だと感じ、興味深く読んだ。




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