読書-歴史(日本:中世以降):雨読夜話

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戦国武将の明暗 (新潮新書)
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本郷 和人
新潮社 2015-03-14

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東大の史料編纂所教授による、関ヶ原の合戦前後を中心として戦国武将や関係者が何をしてどのような運命をたどったかについて語っている歴史エッセイ集。
『週刊新潮』に連載したものを単行本化したものである。

まずは通説と異なる話、例えば合戦の舞台が関ヶ原になったのは西軍から家康と内通が疑われていた小早川秀秋が松尾山を占拠したことによる偶発的なものだった可能性、伝わっているよりも秀秋軍が少なかったのではないかという疑惑、「大谷吉継の茶」や黒田官兵衛にまつわるエピソードのソースとなる史料が見つからないなど、史実と思い込んでいる話には怪しいものも多いことが分かって軽くショックを受ける。

他にも毛利輝元がいとこである吉川広家の手紙で「練れた人でない(要するにバカ)」と書かれるような甘さがあったこと、島津家が活躍できなかった背景には伊集院一族の反乱があったこと、「北陸の関ヶ原」では大谷吉継による切り崩し、西軍の丹羽長重の奮戦、前田利長の冴えなさなど、『天地人』の主人公として知られる直江兼続が出羽の長谷堂城(それほど堅固でもない)を落とせなかったのはそれほど戦いに強くなかったのでは?という疑惑など、関ヶ原の合戦にまつわる興味深い話がいくつも書かれている。

関ヶ原の合戦が終わった後に家康が実施した論功行賞や戦犯の処罰では、毛利や前田、加藤清正、京極高次、井伊直政といった具体的なケースから、身内へのケチさ、婿への甘さ、政治的な判断などが考察されているのも面白い。

全体的に題材は面白いが、少し文体に安定感がないようにも感じた。
著者はまえがきで、自分の本が売れないと自虐を語って本書で軽さを意識して書いたということだったが、それによって無理した感じが出たのかもしれない。
売れ行きが良くない理由は題材の選び方ではなく、文体や構成に起因しているのでは?と思ってしまった。

題材自体は面白いので、他の著作も読んでみようと思わせてはくれた。






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信長は光秀に「本能寺で家康を討て!」と命じていた (双葉新書)
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跡部 蛮
双葉社 2011-07-06

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本能寺の変は元々信長が自作自演である事件を起こそうと企て、実行を命じた腹心の光秀に裏切られたのではないかという見立てで書かれている歴史読み物。

基本的にはいわゆる陰謀説で、朝廷勢力、室町幕府勢力、そして信長政権内にいる協力者などの暗躍を推定していて、荒木村重の謀反が1回目の信長暗殺計画、そして本能寺の変が信長による謀略を逆手に取った2回目の暗殺計画に成功したという構図で描かれている。

著者も参考にしたと書いているように、明智憲三郎著『本能寺の変 427年目の真実』(ということは必然的に続編の『本能寺の変 431年目の真実』も)に近い形での考察がなされていて、著者によってこのように書き方が違うものなのかというところが分かる。

史料によっては本能寺が爆発したことを示唆するものもあるようだが、少し前に読んだ『信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた』と比較すると、現象は同じでもそれに至る背景はかなり異なった形で捉えることができるのも興味深い。

本能寺の変はタイムマシンでも発明されるようなことでもなければ真相が解明されることはないと思うので、これもまた説のひとつとして楽しめた。

それにしても先日読んだ『秀吉ではなく家康を「天下人」にした黒田官兵衛』と同様に、誤字やケアレスミスの記述があちこちに入っているのはつくづく残念である。
歴史読み物ではしばしば見られるような気もするが、予算的な問題なのか、時間的な問題なのかとちょっと考えてしまった。






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なぜ家康の家臣団は最強組織になったのか (竹書房新書)
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小野 雅彦
竹書房 2014-08-28

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家康とその家臣団が、どのような経験を積んで江戸幕府を安定させるに至ったのかを、家康の生涯を追いながら解説している作品。

人質時代に人間の洞察力を磨いたり、三河一向一揆で一度は一揆軍に加担した家臣の帰参を認めたり今川・武田・北条などの旧臣を受け入れた包容力、長所と短所や愛称などを把握して絶妙な人事を行ったことなど、家康による家臣に対する見事な対応が印象に残る。

このあたりは宮城谷昌光の『古城の風景〈2〉一向一揆の城 徳川の城 今川の城』にもあったように、家康とともに戦っていったことで本多忠勝や榊原康政、井伊直政のように若い頃から仕えていた武将が成長していった部分も大きい。

信長のように能力本意だけに偏らず、そして秀吉のように利益で釣るタイプでもなく、利益だけでなく名誉や役割の充実感なども合わせて人間の心理を読み取ったようなマネジメントが家康から伝わってくる。

そして家康だけの話でもなく、慈悲深い大将だったと評される祖父の清康のような一族の遺徳や、家康のために成果を出してきた家臣たちの働きについても書かれていて、さまざまな要素が重なって成功したのだということが感じられた。

時系列に沿って分かりやすく書かれていて、興味深く読むことができた。





徳川家臣団の謎 (角川選書)徳川家臣団の謎 (角川選書)

菊地 浩之
KADOKAWA 2016-09-28

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関連タグ : 徳川家康,

信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた
信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた
副島 隆彦
PHP研究所 2015-12-17

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少し前にベストセラーとなった明智憲三郎著『本能寺の変 431年目の真実』と、八切止夫著『信長殺し、光秀ではない』などを元に、著者独自の調査や推論を加えて歴史の闇を探っている作品。

桶狭間の合戦、本能寺の変、関ヶ原の合戦という3つの事件を中心に、信長と家康、そして彼らに関係する人々のことを語っている。

まず、本能寺の変は下記の構図で犯行がなされ、殺害方法は本能寺の床下に仕掛けた黒色火薬による爆殺としている。
  • 主犯 : イエズス会のヴァリリャーノ、オルガンティーノ、信長の小姓となった黒人(?)のヤスケなど
  • 従犯 : 明智光秀、細川藤孝、高山右近などのキリシタン大名と隠れキリシタン大名
  • 関与はしていないが、犯行計画は知っていた : 秀吉、家康
このあたりは、これまで上記の本を読んでいたので流れが分かりやすかった。
そして『信長殺し、光秀ではない』は読みにくくて頭に入っていない部分も多かったので理解が進んだ。

ルイス・フロイスら宣教師たちの書簡などからも信長がイエズス会の策略に乗らず、相容れない敵だという認識が形成されてきた記述があったようで、イエズス会のようなキリスト教勢力の力は恐ろしいと感じた。
おそらくバチカン市国には、公開されてはまずい史料も多く収められているのではないかと思う。

はたして普段から信長の家来が多く常駐していると思われる本能寺に、気づかれないように大量の火薬を仕掛けることが可能なのか?という部分には大いに疑問があるが、動機などからはありそうに思えてくる。

そして、家康については八切止夫著『徳川家康は二人だった』や村岡素一郎著『史疑徳川家康』に書かれている摩り替り説を採っている。

家康のおじとされる水野信元・忠重兄弟が忍者だったとか、三方ヶ原の合戦で実際は浜松城は武田軍が攻略して徳川兵を皆殺しにしたとか、(新)家康は桶狭間の合戦直後からずっと岡崎城ではなく浜松城を本拠としていたなど、通説と大きく異なる説を語っている。
そして関ヶ原の合戦では、ある新兵器が勝敗を決定付けたとしている。

全体的には非常に面白い話だったと思うが、決め付けている割に根拠付けが少ないので、もう少し材料を示してほしいところではある。
それと、人名ミス、漢字の変換ミスが多いのが読むリズムを悪くした。

そうした欠点はあるが、刺激的な話が多くて興味深く読むことができた。






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関連タグ : 織田信長,

「桶狭間」は経済戦争だった (青春新書インテリジェンス)
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武田 知弘
青春出版社 2014-06-03

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信長と他の大名の経済的なセンスの差から、戦国時代を解説している作品。
以前読んだ『織田信長のマネー革命 経済戦争としての戦国時代』の続編のような位置づけとなっている。

桶狭間の合戦で今川義元は上洛ではなく知多半島における交易の利権を狙って侵攻したと思われることや、駿河・遠江・三河の生産力では通説ほどの軍勢は集められないはずで、『信長公記』などで話が盛られた可能性が高いという。

そして地図上では面積が狭い印象のある尾張は肥沃な上に伊勢湾交易で農業生産と匹敵するくらいの利益を出していて、織田軍と今川軍の差はせいぜい2倍かそこらだったのではないかとしている。

その時期に信長の居城だった清須城の遺構からはイメージされるよりも巨大な城だったことから、多数の常備軍を収容していて活用していたことが推定されるという話に驚く。

生産に関わらない常備軍を運営するには当然多額の金がかかるが、それを実現できるほどに豊かだったということでもある。

そして義元の他に、信長と武田信玄、毛利元就、上杉謙信との比較もしている。

まず信玄の場合、領国が生産高が低い上に経済封鎖を受けやすい内陸国という悪条件があり、、そんな中で治水事業や金鉱の開発、重税などによって強大な勢力を組織したことを評価すべきだという。

三方ヶ原の合戦で家康が武田軍に攻めかかったのは面子の問題もあったのだろうが、武田軍の装備が遅れていて甘く見ていたのではないかと書かれているのに驚く。
浜松城を攻めなかったのも短期間で攻略できる自信がなかったためとしていて、その理由なら納得しやすい。

それでは鉱山や港湾の利権を握っていて経済的に豊かだった元就や謙信の場合はなぜ信長に勝てなかったのか?という話に移る。

これは寺社勢力や国人層の権益に手をつけられなかったことや、収益を政治や軍事に十分に活用できなかったこと、そもそも天下統一への意識がなかったことなどを原因に挙げている。

戦国時代を経済的な背景から分かりやすく解説していて、前作同様に興味深く読むことができた。






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