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読書-SF(日本:短編集):雨読夜話

ここでは、「読書-SF(日本:短編集)」 に関する記事を紹介しています。



小川 一水 (著)
ポプラ社 (2011/2/4)


21世紀中盤から後半にかけての時代、軌道エレベータが運用されている赤道直下でシンガポールの沖合にある島を舞台とした、働く女性たちが活躍する連作のSF短編集。

宇宙で働く人の服や道具をデザインするデザイナー、水上タクシーの運転手、環境保護と開発の両立を図る不動産業者、多民族の子供たちを預かる保育園の保母さん、緊急事態に宇宙エレベータに乗り込んだCA、ロボットハンドで固い素材でも加工する彫刻家、宇宙での自給自足(?)を提唱する研究者、そして軌道エレベータを運営する企業のCEOが若い頃の話と、8話が収録されている。

軌道エレベータはインドネシア領のリンガ島で発着しており、土地不足のため周囲にメガフロート(人口の浮島)が建設されていて大都市が形成されているという設定となっている。
そこにさまざまな需要が出るわけで、登場する主人公の女性たちはさまざまな困難に前向きに活動している。

それぞれの話は完全に独立しているというわけでもなく、第1話に登場するデザイナーの歩が第6話の主人公で彫刻家の里径にとっては先輩というポジションで再登場しているし、第8話の主人公であるアリッサは後に軌道エレベータ運営会社のCEOになってからの登場が多い。

著者の作品らしくスマートさや明るさ、前向きさが感じられる内容で、なかなか良かったと思う。





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星 新一 (著)
新潮社 (1982/8/27)


星新一のショートショート集で、33編が収録されている。
「いそっぷ村の繁栄」という、イソップ童話のパロディとなっている7編のシリーズがタイトルの元となっていると思われ、その次の「シンデレラ王妃の幸福な人生」もタイトルに沿った感じの作品で、それ以外は通常通りの著者の多彩な作品となっている。

本書も確か中学生の頃に読んでいて、「頭の大きなロボット」、「いい上役」、「オフィスの妖精」、「少年と両親」、「価値検査器」、「企業内の聖人」などは覚えていた。

作品が古びないのが星作品の特長というか著者のこだわりなのだが、さすがに電子メールや携帯電話の普及は、作品が書かれた70~80年代では予見が難しかったのだろうと、オフィスで仕事をするシーンのところを読みながら思った。

軽妙な作品、短い中で考えさせられる作品、あっと驚く作品と、本書でもまたさまざまな作品を楽しむことができた。






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星 新一 (著)
新潮社(1979/5/29)


40編が収録されている、星新一のショートショート集。

中学生の頃に読んでいて、「サービス」、「税金ぎらい」、「問題の男」、「指紋」、「そそっかしい相手」あたりは読み始めてすぐに思い出した。
それ以外はあまり覚えていなかったが、殺し屋に狙われる「現代の美談」、老人が体験する「出来心」、映画撮影で訪れた惑星での出来事である「隊員たち」、短いページ数であっと驚く展開の「愛の指輪」、青年が電車でタイトル通りの女性と出会う「無表情な女」などが面白かった。

これもまた星作品の面白さ、という感じを楽しませてもらった。






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星 新一 (著)
新潮社 (1986/2/27)


星新一のショートショート集で、20編が収録されている。
中学生の頃に読んでいて、再読してみた。

小さな老人を背中に背負うことで展開する「背中のやつ」や、心中を決めたカップルに事件が起こる「逃亡の部屋」、背中に激痛を起こされた青年の話である「重要な部分」、ある会社の従業員が見たものは・・・という「あれ」、よくあるタクシーの怪談話と思わせて・・・という「車の客」など、再読しても面白い作品が多い。

本作では宇宙などのようないかにもSFという作品は少なく、日常から物語が展開していく作品が多い。

翻訳家の深見弾氏の解説には「星新一-億の読者を持つ作家」というタイトルがついていて、星作品が英米、ロシア、中国など数多くの国の言語に翻訳されている話が書かれている。
文体的にどう翻訳されているのかは分からないが、短い文章の中で驚きやさまざまな余韻を抱かせる作風は理解されやすいのだろう。

本作もまた、楽しく読むことができた。






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星 新一 (著)
新潮社 (1977/4/1)


星新一による代表的なショートショート集の1つで、35編が収録されている。

人類が宇宙のあちこちで植民地を作ろうとする帝国主義の時代、植民地にふさわしいと思われる惑星を見つけたが・・・という表題作の他、不景気を解決するための発明がなされる「不景気」、中途採用の優秀な社員の行動を探る「奇妙な社員」、異星人が育てている花が主題となる「繁栄の花」などが収録されている。

1960年代に書かれたもので、一部の道具立ては古びているが、多くは古びていないところが改めてすごいし、分かりやすく透明感がある文章でドキッとするような結末に至る持ち味は著者ならではだと感じる。

宇宙船乗りの老人と青年のやり取りを描く「宇宙の男たち」や、夫婦の悩みを意外な方法で解決する「解決」、サスペンス仕立ての「小さくて大きな事故」や「悪人と善良な市民」などは、かなり以前に読んでいたが覚えていたくらい好きな作品である。

ここ1月くらい『ショートショートの花束』や『ショートショートの広場』を読んでいたが、やはり第一人者たる著者の作品は別格に完成度が高く、面白いことを再認識できた。






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