読書-歴史小説(日本:その他):雨読夜話

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空海の秘密
空海の秘密今井 仁
セルバ出版 2016-01-19

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空海の生涯における7年間に着目し、さまざまな伝説や異説を加え、空海が史実以上の大活躍を行ったという設定で書かれた歴史小説。

空海が活躍したのは都が平城京から長岡京、そして平安京へと遷都がなされていた時期で、天皇の代としては光仁、桓武、平城、嵯峨の4代にわたっている。
歴史上の有名な人物も多くて、本書でも和気清麻呂、坂上田村麻呂、橘逸勢といった人物が空海と関わってくる。

空海は唐へ留学して真言密教を学んで持ち帰り、真言宗を開くなど史実だけでも十分すぎるくらいに天才とか超人と言われるような活躍をしているが、本書ではさらに大仕事を行っている。

秦氏、四国八十八箇所、古代におけるユダヤ人の日本渡来伝説など多くの要素が盛り込まれていて、空海は各地を冒険もしている。

全体的に面白いネタを使っていると思うが、多くの話を詰め込みすぎたのか、文章のテンポに原因があるのか、予備知識が乏しいとついていくのが少々しんどい。

説明調のセリフがあまりに長い部分がしばしばあるなど、歴史小説の形に徹するのか、異説に重点を置いた歴史読み物にするかという割り切りが中途半端な気がする。

構成の部分をもっと読みやすくすればかなりの良作になったはずなので、この部分が惜しい。





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知の巨人 荻生徂徠伝 (単行本)
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佐藤 雅美
KADOKAWA/角川書店 2014-04-26

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江戸時代の儒学者である、荻生徂徠の生涯を描いた歴史小説。
徂徠の父は5代将軍綱吉のお抱え医師だったが何らかの怒りに触れたことで江戸追放となり、徂徠も父とともに上総(千葉県)で少年時代を過ごすが、この時期に和漢の書籍を学んだことで博覧強記となったことが書かれている。

その後江戸へ出て私塾を経営した後、綱吉政権の老中である柳沢吉保にお抱えの儒者として仕官することとなり、徐々に頭角を現していく。

学問としては日本的な漢文に返り点をつけず読んでいく方法ではなく、中国語をマスターしてそのまま読んでいく方法を取り、当時主流だった朱子学以前の儒教を重視するようになっていく。
そして朱子学を批判する他に、元々尊敬していたが手紙を無視されたことなどで伊藤仁斎・東崖父子の学派も攻撃するようになるなど、色々な意味でアグレッシブさを発揮していく。

そして山県周南や太宰春台など個性豊かな弟子たちができて一大学派を築いた上、八代将軍吉宗の知遇を受けるなど、かなり慌しい生涯を送ったことが分かる。

徂徠の思想については難しくてピンと来なかったり、主人公が学者ということで少し地味だったりもするが、まずまず興味深く読めたのではないかと思う。




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山田方谷―河井継之助が学んだ藩政改革の師 (人物文庫)
山田方谷―河井継之助が学んだ藩政改革の師 (人物文庫)
童門 冬二
学陽書房 2002-05

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童門冬二による、幕末に備中松山藩家老としても活躍した思想家の山田方谷の生涯を描いた歴史小説。

師の一人が佐藤一斎、同門のライバルが佐久間象山、弟子が河井継之助と関わった人々が錚々たる顔ぶれだが、地方での活動が主だったことや旧幕府側の人間だったこと、戦いなどにあまり関わることがなかったことなどが知名度が低い原因のようである。

元々は農民の子だったのが学問によって出世し、松山藩主である板倉勝静(いたくらかつきよ)の家老ととなり、財政難にあえぐ藩で下記の藩政改革を断行していく。
  • 領地における実際の収穫高が公式よりもかなり少ないことを初めて認めた上で御用商人たちから借金の返済期限延期を認めさせた
  • 財源の使い込みや乱発によって信用を無くした藩札を正貨に交換した上で焼き捨て、新藩札を発行した
  • 松山藩を南北に流れる高梁川の舟運を利用し、開発した商品作物や鉱産物を高瀬舟で流通させた

この手の低い身分から抜擢されて改革を断行した家臣は、例えば薩摩藩の調所広郷のように保守派から叩かれたり汚職を疑われたりして失脚させられるケースが多いが、方谷は政策を儒教、中でも陽明学の教えを前面に押し出して行ったこともあるのか、キャリアを全うしているのがすごい。

そして勝静が幕末の混乱によって老中首座として幕政に専念せざるを得なくなったことから事実上の藩主代行として活躍していくこととなる。
幕府はもはや立ち行かないことを認識しつつも、譜代大名として忠義を果たすことで意見が一致した勝静と方谷のシーンは読んでいてこみ上げるものがある。

政策上では松平慶永のブレーンをしていた横井小楠がライバルだったようで、攘夷という事実上できない政策を幕府に強要して政権交代を狙うという小楠のやり方への反発が多く書かれている。
どんな賢人でも時代の流れには勝てないという、政策論争の限界が分かるのが興味深い。

まだまだ日本史には知らない人物が多いことを再認識し、興味深く読むことができた。




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我ニ救国ノ策アリ 佐久間象山向天記
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仁木 英之
幻冬舎 2012-10-26

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幕末に活躍した思想家である、佐久間象山の生涯を描いた歴史小説。
真田家が藩主を勤める松代藩の藩士に生まれた象山(啓之介)は、文武両道の才能とともに自信家でくせのある性格でも知られ、こうしたキャラクターがその後の人生に大きな影響を与えることになる。

具体的には剣術、儒学、砲術、蘭学と、多くの分野で一流の才能を見せ、なおかつ勝海舟、吉田松陰、河井継之助、小林虎三郎(「米百俵」で有名)といった人材を育ててもいる。

また、くせのある性格においても、松代藩の保守派の家老たちと対立した他、砲術家として教えを受けた江川太郎左衛門英竜と国防の方向性で確執があったり、河井のように象山から離れる弟子が出たりするなど、必ずしも起こさなくてもいいトラブルを起こしていたようでもある。

当時の鎖国から開国へという流れの中、日本の国防をいかにすべきかということで多くの活動をしていた象山だったが、弟子の吉田松陰がペリーの黒船に密航しようとした事件で責任を問われ、松代で謹慎させられることとなる。

そこで象山は欧米に先んじられている海ではなく、空という視点から国の守りを検討することになる。
この空という部分はあまり象山についての知識がないので史実なのかフィクションなのかよく分からないが、フィクションであればあまりふくらませる必要はなかったのではないかと思う。

あまり歴史小説の主役になることのない人物について多くを知ることができ、楽しんで読めたと思う。



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小説 佐藤一斎
小説 佐藤一斎童門 冬二
致知出版社 2006-02

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江戸時代後期に昌平坂学問所の儒官(現在で言うところの東大総長)を務めて幕末・明治の偉人たちに多大な影響を与え、『言志四録』でも知られる佐藤一斎を描いた歴史小説。
小説というよりも、一斎の交遊録のような形式で書かれている。

主君であり学友だった林述斎(元の名は松平乗衡)は、林家の塾だった昌平坂学問所を官学にするなどの政治力や経営能力に優れていて、学者・教育者として卓越した一斎とはうまく役割分担ができていた。

述斎と言えば、松浦静山を主人公とする時代小説『甲子夜話秘録』シリーズではワトスンのような扱いだったが、実はそれなりにすごい人物だったことが分かって少々驚いた。

また、『遠山の金さん』などの時代劇で悪役として登場することの多い鳥居耀蔵(目付→江戸町奉行)が、林述斎の七男だったことも知らなかった。

一斎が「陽朱陰王」(表では朱子学者、裏では陽明学者)と呼ばれたことについては、昌平坂学問所(官学)と林家の私塾(私学)という形で使い分けをしていたのではないかとの見解が述べられている。

弟子からは尊皇攘夷派、佐幕派ともに出ているように、様々な思想の人物を受け入れる幅の広さがあった。
その分、藤田東胡や横井小楠のような過激な思想家からすると、物足りなく感じられたらしい。

佐久間象山、山田方谷、渡辺華山、大橋訥庵、大塩平八郎、川路聖謨、西郷隆盛など、関係の深い人々との話が多く出てきて、興味深く読むことができた。



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