生命保険会社や代理店での経験を通じて大手の生命保険会社のいかがわしさを『生命保険の「罠」』などの著作で語ってきた後田亨氏と、『教科書にないお金の増やし方・守り方 行動経済学で解決する50のムダづかい』のようにお金と行動心理学に関する著作が多い大江英樹氏の共著。
後田氏が生命保険の商品構成や販売の仕方を、大江氏が行動心理学の観点から生命保険を契約してしまったり契約の見直しがなかなかできない心理を解説している。
基本的には後田氏の他の著作と内容は似ているが、大江氏が心理的にやってしまいがちな不合理な行動を解説しているところでがポイントで、説得力を増す効果を上げている。
本書を読んでいると、保険会社が情緒的なところを突いて金融商品を販売するというくだりが非常に印象が悪くなった。
こうした売り方をされることは他の業種でもままあることだと思うので、気を付けたいところである。

日経新聞の電子版での連載をまとめた、保険業界にいたからこそ分かる保険の不利さを説く人物による保険の話が書かれた作品。
ベースは著者の他の作品と同様だが、極論を言ってしまえば単身者は600万円くらい貯めていれば生命保険は必要ないとストレートに言い切ってしまっていてなかなかすごい。
そして著者自身も、続けていたがん保険を解約して生命保険には全く入っていないことも書いている。
そしてあえて選ぶとしたらという保険商品の選択もしていて、中には『生命保険はヒドい。騙しだ』で良心的な経営が褒められていた県民共済や、私も入っている職場の団体保険が含まれていて、さほど悪いチョイスではないと安心させてくれる。
また、生保でも営業に近い部署の人はその会社の保険を契約する傾向が高く、一方で内勤の人は団体保険などを契約する傾向があるという話も面白い。
具体的な数値を用いての話は面倒だったのでざっと読み飛ばしもしたが、役立つ内容が書かれているので一読の価値はある。
- 著者の作品について書いた記事
- 『保険会社が知られたくない生保の話』
- 『生命保険の「罠」』
- 『生命保険のウラ側』

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生命保険の契約のヒドさに気づき、生命保険業界がいかに問題の多い契約で契約者に損をさせ続けてきたかや、契約していた日本生命にクレームを入れたり契約の根拠に関する説明を求めた経緯など、自身の実体験を語っている作品。
著者は外資系銀行に勤務していた経歴があったり金融に関する著作も多く出していることから、「私がバカでした」と自虐的に書いている。
著者が本書を書くきっかけとなったのは契約していた生命保険の更新時期になり、月額の支払いがそれまでの5万6000円から16万3000円と3倍に上がることや、元々の主契約部分が100万円しかなくて契約をやめても保険金はほとんど支払われないことが分かり、その理不尽さに激怒したことで、きちんと情報を集めていなかったこともあるが生命保険の契約が複雑になっていることも理解できる。
生命保険で使われる言葉も「更新型」、「下取り」、「特約」みたいな得なのか損なのかが分かりにくいものが多く、極力「掛け捨て」みたいな言葉を使用しなかったり、都合の悪いことを理解しづらいように説明したり記載することが多いことは、何冊か関連した本を読んで理解できてきた。
そのため以前契約していた**生命も数年前に解約し、勤務先が契約している団体保険と全労済を少しずつだけにしたことで、月々の支払いを1万円以上減らしたことを思い出した。
生命保険業界がこのようなひどい契約をやりだしたのはバブル崩壊などで利ザヤが稼げなくなったことがあるようで、これは複雑な金融商品を売りつけるようになった証券業界や、手数料稼ぎに注力している銀行業界と同じような構図なのだろう。
本書を読んで最も参考になったのは、県民共済が契約者への還元率が90%以上で一般の生命保険ではなくこちらを選ぶのがいいみたいなことで、もう少し保障が必要と感じたら県民共済への加入を検討する。
著者が日本生命のお客様係に対して要求した説明や、それに対してお客様係の担当者がのらりくらりとかわそうとする話がリアルに書かれていて、この業界もまたとんでもないところだと感じた。
著者がこの年になるまでこのあたりの問題が分からなかったのは興味がなかったこともあるだろうが、性格的に友達があまりできなかったからでは?という感想も持ったりした。
というか、著者みたいに稼いでいないので生命保険に5万も支払えない。
著者はいずれ問題点に気づいた高齢者たちの怒りが爆発することを予想しているが、これに関してはそれほど可能性はないようにも感じている。なぜなら、新聞やテレビの報道に扇動されやすい層と同じだろうから・・・
改めての生保業界のヤバさや、県民共済の良心的な経営を知ることができ、思っていた以上に興味深い内容だった。
- 著者の作品について書いた記事
- 『信長はイエズス会に爆殺され、家康は摩り替えられた-驚くべき戦国時代の闇』

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保険で多く使用されるフレーズ、例えば「掛け捨ては損」、「若いうちに入っておくとお得」、「日帰り入院から保障します」などのような話に含まれている裏というか、販売する側の本音や顧客にミスリードさせるところを、漫画を用いて解説している作品。
漫画では保険会社で新人社員のイロハが、営業成績は悪いが保険営業の黒い面を指摘するのが得意なソクラ哲という人物に、まやかしと取られかねない営業トークの問題点を学ぶ形式になっている。
もちろん、ソクラ哲はソクラテスをモデルにしている。
さまざまな特約や条件設定をつけることで保険商品の契約内容を分かりにくさせ、契約を取るという風潮がよく伝わってくる。
漫画のストーリーでも、ソクラ哲の弟子なのにまやかしを交えた営業トークで好成績を上げるプラトンや、ホストみたいな営業をするメレトス、ソクラ哲の妻でやはり悪妻のクサンティッペなど、ソクラテスの周囲にいた人物をモデルとした人物が多く登場し、軽妙なやり取りで話を分かりやすくしている。
知っている話も多かったが、ライフネット生命などが推している終業不能保険は保険金が下りる条件がけっこう厳しいということは意識していなかった。
関心がある商品だっただけに、注意して内容を吟味する必要があると感じた。
軽めの内容の漫画で実際はけっこう重要なことを解説していて、人気サイトになっているのも納得できる内容だと思う。

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元国税調査官で、税金制度の問題点や節税方法についての著作が多い人物による、確定拠出年金を活用することで税金の控除が可能なことを解説している作品。
著者はまえがきで、普段は政府や税制の悪口を書くことが多いが、確定拠出年金はメリットが大きいので今回はほめるスタンスになっていると書いている。
この制度の知名度も加入者数もそれほどでないのは、政府でも推進する省(負担を減らせる厚労省など)と望ましく考えていない省(税収が減る財務省など)と分かれていることや、金融機関からするとあまり儲からずに利幅の大きい投資信託や保険が売れなくなるためとあり、確かにそうだろうと思った。
本書で印象的なのは、定期預金や保険のような元本確保型の金融商品を利用するだけでも節税メリットがあり、投資信託で殖やすことを狙ってもいいが、元本割れなどのリスクを理解する必要があるというところだった。
他にも国民年金の需給開始時期を遅らせて支給額を増やす手段として、それまでの分を確定拠出年金で賄う方法や、確定拠出年金の対象を保険にして(受給額は少なくなるが)終身で受け取れるようにする方法なども書かれていて、具体的な内容になっている。
少し前に確定拠出年金の拠出を始めたわけだが、より納得のいく利用方法を検討していくつもりである。
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