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読書-紀行文(海外):雨読夜話

ここでは、「読書-紀行文(海外)」 に関する記事を紹介しています。



マイケル・ブース (著), 寺西 のぶ子 (翻訳)
亜紀書房 (2013/4/9)


料理人の修行をするなど料理に造詣が深い英国人のジャーナリストが、家族4人で来日して日本食を体験する紀行文。
本書をコミック化した『コミック版 英国一家、日本を食べるEAST』を読んでいたので、入り込みやすかった。

日本への滞在期間は3か月弱で、東京、北海道、京都、大阪、福岡、沖縄など、かなり精力的に動き回っている。

焼き鳥やお好み焼き、ラーメンといった大衆的なグルメの体験から、メディアの出演が多い服部幸應氏や辻調理師専門学校を経営する辻芳樹氏へのインタビューをした上に食事に誘われる話、昆布の養殖場や酒造会社などで生産者の方々への取材などを行っていて、うまいものへの賛辞はもちろんだが口に合わないものもストレートに表現しているのが面白い。

そして、6歳と4歳の息子2人の思わぬ行動に振り回されたり、京都でゲイの青年にまとわりつかれて参るなどのハプニングも多く書かれていて、単なる旅行ノンフィクションになっていないのが人気となった一因だと思う。

けっこうページ数は多いのだが、著者の元々の文章と翻訳者の仕事の良さにより、英国人らしいユーモアと皮肉が入った文章により思ったより早く読むことができて楽しめた。





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益田 ミリ (著)
幻冬舎 (2017/9/21)


以前読んだコミックエッセイ『沢村さん家のこんな毎日 平均年令60歳』の作者が、40台を契機にしてか「美しいものをみておきたい」と決意し、パック旅行に1人で参加した体験を描いた紀行文。

参加したツアーは、スカンジナビアでのオーロラ観測、ドイツのクリスマスマーケット、フランスのモン・サン・ミシェル、ブラジルのカーニバル、台湾の天渓天燈祭(願い事を書いた紙風船?を熱気球のように飛ばす祭り)の5つで、それぞれの旅を楽しんできたことが伝わってきて、1人でツアーに参加しても楽しめるものらしいことが分かる。

コミックエッセイと近い作風で、すごく面白いというほどではないが、普通の中にある楽しさや面白さが伝わってくるような書き方で、普通を楽しむ作品なのだと思う。

そこそこ興味深く読んだ。





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ショート・ショートで知られるSF作家・星新一が70年代ごろにさまざまな雑誌で書いた紀行文をまとめている作品。
昔読んでいて先日復刊していることを知り、再読してみた。

北杜夫著『マンボウ周遊券』でも扱われていたソ連への招待旅行における列車「赤い矢」号での恐怖体験(!)や、フィリピンでの心霊手術体験、香港・台湾での四柱推命体験、豊田有恒・田中光二との韓国旅行後の対談、病院での断食体験などが収録されている。

観光に関する話はおそらく古びていると思われるが、心霊手術や四柱推命は昔からあるものなので、現在読んでも十分興味深いものとなっている。

韓国についての対談では韓国人の海外旅行や自由化された話や、日本からの女性観光客が少ないことが書かれていて、隔世の感がある。

また、豊田氏は本書が書かれた時期は韓国フリークだったのが、その後韓国のことを知れば知るほどに韓国のひどさを伝える本をどんどん出すようになったことも感慨深い。
親韓→嫌韓をいち早く経験した人なので、その後の作品と読み比べると変化が分かるのではないかと思う。

著者の観点が面白いこともあり、時間が経過しても楽しめる内容となっていることを再認識できた。






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関連タグ : 星新一,

夫婦で行く東南アジアの国々 (集英社文庫)
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清水 義範
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作家・清水義範が夫人とともに東南アジアの国々を訪れた紀行文。
パック旅行を利用していて、ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシア(ジャワ島とバリ島)を旅行している。

このシリーズはイスラム圏、イタリア、バルカン半島諸国に続いてのもので、夫人が「日本人がよく行くところだからいい」とか「バルカン半島の国々はよかったけど、馴染みがないからあまり売れなかった」などとあけすけな発言をするところから始まるのが面白い。

仏教寺院では裸足が基本だが小石や砂に閉口したり、パクチーが多く含まれていた食事に困ったり、ラオスにあるゲテモノの仏像パークが妙に印象に残ってしまったりなどのエピソードが描かれている。

パック旅行だったからなのか、私が関心を持てる対象が少なかったからなのか、著者が加齢で筆力や構成力、感性などに衰えが生じたためなのかはよく分からないが、以前読んでいたほどは面白く読めなかった。





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関連タグ : 清水義範,

あやしい探検隊 台湾ニワトリ島乱入
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椎名 誠
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椎名誠の『あやしい探検隊』シリーズにおける、北海道、済州島に続く書き下ろし三部作ファイナルに位置づけられた作品。

今回は台湾東南部にある沿岸の町で貸家に滞在し、釣りや宴会といったいつものような活動を行うというもので、沖合いの島へマグロ釣りに出かけたり、地元の小学生たちと野球を行うエピソードが収録されている。

本作では「ドレイ頭」というポジションにあるスポーツライターの竹田氏が旅行の手配や担当編集者へのレクチャー、著者が本作を書くに当たっての元ネタとなるレポート作成と大活躍している。

初期の『あやしい探検隊』シリーズでは隊長の著者が、『あやしい雑魚釣り隊』シリーズでは副隊長の西澤氏がリーダー格として目立っていて、竹田が活躍しているのはキャラクターの他に年齢が30代後半~40代前半くらいで体力と序列のバランスから活動しやすい時期ということもあるのだろう。

また、飲食店を経営する名嘉元氏やトール氏の参加日数が短かったこともあり、ザコこと小迫氏が料理長として腕を振るっているシーンも多く出てくる。

今回は角川書店から出た書き下ろしなので、似田貝氏と榊原氏の2人が担当編集者として参加している。
また、「週刊ポスト」で連載中である『あやしい雑魚釣り隊』を担当する小学館のケンタロウ氏、海釣り専門誌「つり丸」で『あやしい雑魚釣り隊』を連載していた頃に担当編集者だったコンちゃんこと近藤氏も参加していて、担当を外れても参加し続けたくなるような集団であることが伝わってくる。

荒天を呼び込むケンタロウ氏、マグロ釣りで普段の冷静さを失う海仁氏、今回はマンゴーにこだわる長老格のトクヤ氏とメンバーたちのキャラが立っている他、貸家付近でやかましく鳴き続ける野良のニワトリたちや椎名の部屋に居ついていたコウモリまで登場している。

著者が70歳を超えたためか『あやしい探検隊』シリーズとしてはファイナルであると随所で書いていたり、巻末に収録されている座談会で過去を振り返っているところからすると、『あやしい探検隊』を冠する作品は本作が最後なのかもしれない。

ただし『あやしい雑魚釣り隊』の活動は今後も続けたい旨のことが書かれているので、次作が出ることを期待しておく。






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関連タグ : 椎名誠, あやしい探検隊,