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読書-地理・地域:雨読夜話

ここでは、「読書-地理・地域」 に関する記事を紹介しています。



広瀬 公巳 (著)
文藝春秋 (2019/10/18)


モディ政権になってからのインドの政情を中心に、モディ政権の政策、与党となっている人民党と長らく政権を担ってきた国民会議派の状況、カーストなどのインド独自の難しさ、ライバル国でもあり貿易相手国でもある中国との関係、IT産業が発達した背景、日本はどのように付き合っていくか?などを解説している作品。

モディは商店主の家に生まれた叩き上げの政治家で、特に経済政策での実績を上げていることが読んでいて印象に残った。
そして与党の人民党はヒンドゥー教徒を中心とした政党のようで、現在は他の支持層とのバランスをうまくやってきたと思われる。

モディの政策で一番目を引いたのは、高額紙幣の使用を突然停止したことで、どのように混乱が収拾されたのかがいまひとつ分からなかったのでもう少し知りたいところである。

そしてライバルの国民会議派は多くの支持基盤を持ち、日本の自民党に少し似た性格があるようだが、初代首相のネールに始まるネール・ガンディー一族が指導者を務めていることが多い。
(モディの前のシン前首相は、当時の党首だったソニア・ガンディーがイタリア生まれで国会議員になれなかったための就任)
ただ、一族の指導者が宗教対立に巻き込まれて暗殺されたことや、長期政権への不満などもあったのか現在は野党となっている。

こうした国内の政治的な話の他、トランプ政権の移民制限や入国管理強化などによる影響を受けている話、日本の安倍政権とのやり取りなどが印象に残った。

インドについてはあまり知識があるとは言えない状態だったので、初めて知ることが多くて興味深く読むことができた。






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日本史の舞台となった、各地の街道を紹介・解説している作品。

この手のテーマは好きでしばしば読んでいるが当たり外れが大きい印象があり、本書はハズレという感想となる。
著者は古街道研究家ということで知識や経験が豊富なのは分かるのだが、文章や構成の方面の才はいまいちなのかもしれない。

ページの都合もあるのだろうが、街道を著した地図が小さくて3つくらいしか地名が扱われておらず、かなり不満がある。
また、まとめ的に最初の方に日本地図に本書で扱う街道を掲載したものがあるといいのだが・・・と、編集の視点からダメ出しをしたくなってしまった。

類似のテーマの本では、『「街道」で読み解く日本史の謎』の方をおすすめする。






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日本各地の自然が形成した絶景をカラー写真で紹介・解説している作品。

火山活動、プレートの動き、海流や河川による浸食、隆起や沈下などにより、いかに多様な地形が形成されるかが分かるし、ただ写真を眺めているだけでも面白い。

NHKで放送されている『ブラタモリ』でタモリや案内人の方の口からしばしば語られる「柱状節理」などの用語も出てきて、「そうそう、これこれ」と思いながら読んだ。

印象に強く残ったのは沖永良部島の銀水洞や豊岡市の玄武洞、伊豆諸島の青ヶ島などである。
扱われている中で実際に行ったことがあるのは山口の秋吉台と鹿児島の桜島で、また行ってもいいなと思ったりもした。

その場所に行くための交通手段や問い合わせも合わせて紹介されていて、その点も行き届いている。
(交通の便が悪いところも多いが・・・)





日本の地形・地質―見てみたい大地の風景116 (列島自然めぐり)
斎藤 眞 (著), 下司 信夫 (著), 渡辺 真人 (著), 北中 康文 (写真)
文一総合出版 2012/3/3


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九州の19の城下町と長崎を合わせて20の町を、古地図と現在の地勢を交えて変化や由来を紹介している作品。
福岡(と博多)、柳川、秋月、久留米、熊本、八代、人吉、府内(大分市)、中津、臼杵、佐賀、唐津、長崎、厳原、飫肥(日南市)、高鍋、延岡、鹿児島、知覧が扱われている。

城下町の防御力を高めるセオリーはある程度共通しているようで、以下のような記述がしばしば出てくる。
  • 防御施設に転用可能な、寺院や武家屋敷を周囲に配置する。
  • 城下町を通る道路はクランク上に曲げ、わざと見通しを悪くする。
  • 河川や海を堀の代わりに利用し、橋もできるだけ架けない。

個性的な工夫も出てきて、例えばこの辺りが印象に残った。
  • 佐賀や柳川は低湿地にある地理条件を利用し、有事の際は町や城を水浸しにして防衛する仕組みがあった。
  • 熊本城の城内をわざと街道が通るようにして、薩摩の島津家の大名行列などを威圧した。
  • 薩摩藩では外城という砦のような防御施設を100以上築いた。

安土桃山時代から江戸時代にかけて地名変更もしばしばなされていたようで、福崎→福岡や隈本→熊本は知っていたが、財部(たからべ)→高鍋や県(あがた)→延岡の例は知らなかった。
(財部や県は大友氏と島津氏の合戦に関する記述で目にしたような気がするが、具体的な場所がわかってなかった)

変に風景がどうとか観光ポイントがどうといった脇道にそれず、あくまで情報を中心に書かれているところに好感が持てる。
こうしたテーマを扱った作品はこういう構成がいいのだ、と思わせてくれた。






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興味を持って読めて分かりやすい『読むだけですっきりわかる』シリーズの世界地理編。
世界の各地域ごとに、それぞれの国のことを限られたページ数の中でどんどん解説していく。

通常社会科や地理の授業で扱われることが少ない地域、例えばサハラや東アフリカの国々、中南米やカリブ海の国々、オセアニアの島国などについても書かれているのはすごいと思う。

サッカーなどのスポーツに関連付けたり、年配の人にとって分かりやすい呼称(ビルマとかセイロンなど)も合わせて紹介されているのも、読者のことを考えて書かれていることが伝わる。

細かなケアレスミス(東西南北の誤りや中米と中東を書き間違えるなど)が目立つのはいただけないが、それ以外は興味深くてなかなかいい作品だと思う。






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