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読書-地理・地域(日本):雨読夜話

ここでは、「読書-地理・地域(日本)」 に関する記事を紹介しています。



バカリズム (著)
ポプラ社; 増補版 (2021/10/6)


都道府県の形に着目し、持ったり使ったりしたらこんな感じになるのでは?をイラストで表現しているバカリズムの本。
各都道府県の簡単なデータも記載されている。

指でつまんだり、湖を鎖で通したり、食べ物に付け合わせたりと、持ち方だけでなく使い方みたいなそれぞれの都道府県の形状をいじっているのが面白い。
都道府県を持っているサラリーマン風の男性の表情が無表情なのも、じわじわくる。

思いつきそうだが出てくるまではなかったタイプの作品で、その意味ですごい作品ということになる。




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昭文社 旅行ガイドブック 編集部 (編集)
昭文社 (2020/10/23)


各都道府県の情報が充実して掲載されている昭文社の『トリセツ』シリーズの大阪府版。
このシリーズで九州以外で読むのは本書が初めてとなる。

まず、市町村やそれぞれの位置関係を知らなかった部分や、大阪で知っていた私鉄は阪神、阪急、南海、近鉄までで京阪電気鉄道や水間鉄道を多分初めて知ったこと、大阪では東京のように環状線で高低差が感じられるらしい話など、新たに知ったことがいくつもある。

日本一長いという天満橋筋商店街や大阪城公園などは知っていていまだに行っていなかったり、繁華街として京橋や福島があることを知ったりしたので、また大阪に行ってみたい気持ちが強くなった。




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今泉慎一 (監修)
実業之日本社 (2017/3/1)


山城という、石垣と水堀に囲まれたイメージのある平城・平山城とは異なる魅力のある城の構造や、歴史上発生した事件などを紹介している作品。

井伊氏、上杉氏、真田氏といった歴史小説や大河ドラマによく登場する戦国武将にまつわる城や、天空の城として知られる竹田城(兵庫県)や滝廉太郎の「荒城の月」のモデルとされる岡城といった有名な城、七尾城(畠山氏)や岩殿城(小山田信茂)、岐阜城などのように落城などの悲劇に見舞われた城など、多くの山城が扱われている。

分類では本拠の城や屋敷が攻められた際に籠城するための詰めの城、ネットワーク化された支城、城攻め用の陣城(付城)などが扱われている。

著者の熱量に応えられるような読み方をするには至らなかったが、それなりに興味深くはあった。




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千田 嘉博 (著)
幻冬舎 (2021/1/27)


以前読んだ『江戸始図でわかった「江戸城」の真実』の著者による、著者の専門である城郭考古学の紹介とその研究成果、城郭の復元や研究の現状における問題などを語っている作品。

著者は中世までの城と信長の小牧山城以降の城での違いを、本丸を中心として階層的になっているかどうかが重要だとしている。
中世と近世では天守閣、瓦葺、石垣などで違うと考えられている場合もあるが、それだと本丸を再建しなかった江戸城や、石垣がなくて土塁に囲まれた東日本の多くの城は近世的にならなかったことになると繰り返し語っている。

また、織田信長、松永久秀、明智光秀、豊臣秀吉、徳川家康らが築いた城の特徴を語っている部分も興味深い。
悪人イメージが強い久秀の城では建物の構造的に家臣と距離が近かったらしいことや、信長の城にあまりなくて家康の城に多いのは馬出という入り口の施設という話などが書かれている。

この中で最も印象に残ったのは、秀吉による聚楽第、大坂城、伏見城についてで、聚楽第が秀次事件で完全に破壊された背景には秀次による聚楽第の防御力強化をやろうとしていたことがあったのではないかという説である。
これは朝鮮出兵で人気が落ちた秀吉に対してクーデターを仕掛けようとした秀次の謀反計画を察知した秀吉による処置であり、代わりに京都付近の拠点として伏見城が建設された話などにつながっているという、刺激的な話だった。

他にも、各地でなされている城郭の復元では、誤った復元のされ方がされていたり、かえって元の城跡を破壊してしまっている残念な例が多いことや、奈良では高取城などの城跡の扱いが悪いことなど、いまひとつ学問上の研究結果が活かされていないことへの問題点なども語っている。

専門的で分かりにくいところも多少あるが、興味深い話が多くて読みごたえがあった。




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河合 敦 (監修)
JTBパブリッシング (2022/10/28)


福岡のさまざまな情報を、教科ごとに解説している作品。
地理や歴史の話を含む、社会科が当然多くなっている。

同じ旅行関連の出版社でライバルとも言える昭文社が出している『福岡のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話』とテーマがかなりかぶっているが、それなりに特色を出している。

例えば、多くのページが割かれている歴史関連の部分では歴史作家の河合敦氏が監修していてコラムがあることや、『福岡のトリセツ』と比較すると田中久重、緒方春朔、仙厓義梵、松本清張、北原白秋など、郷土の偉人の話が多いことが印象に残る。

後発で出された分だけ情報がアップデートされているとも感じたし、どちらもそれぞれ楽しめる。
今後発行されるであろう、他県版も読んでみようかと思う。





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